佐賀「基峰鶴 Calm 生酒」ヘビー級の甘旨味がどんより、のろのろと巡る | 酔い人「空太郎」の日本酒探検

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意欲ある先進地酒蔵のお酒をいただき、その感想を報告します。
SAKETIMESにも連動して記事を載せます。

大井町の駅近くにある國酒文化振興酒場さんで角打ちをいたしました。

この店は佐賀県の酒を徹底的に揃えており(ごく一部例外あり)、この日も次々と佐賀のお酒を堪能することにしました。

最後の5杯目にいただいたのはこれです。

基峰鶴(きほうつる)Calm 生酒」。

佐賀県基山町の基山商店さんがが醸しているお酒です。

 

このお酒は、基山商店が契約栽培で取引している農家から入ってくる山田錦のうち、等級を得ることができなかった等外米(規格外)で醸しているお酒です。

通常、JAなどのルートから酒米を購入する場合、必要な等級のお米を買えばいいだけですが、契約栽培の場合にはそうもいかず、等外米も引き取らなければなりません。

等外米は仮に全量使ったとしても純米などの特定名称を名乗ることはできません。

このため、長年、ある意味、“厄介者”扱いをされてきましたが、等外米でもある程度の酒質に仕上げる力を持つ蔵が増えてきて、近年は、あえて、等外米を使っていることを明記して販売するケースが増えているわけです。

基峰鶴のこのお酒も、「普通酒」を明示して、販売しています。

 

60%精米のお酒、生酒です。

上立ち香はとろりとした濃い甘い香りが。

口に含むと中程度の大きさの旨味の塊が、平滑になった表面にたっぷりととろみ層を乗せて、ゆらゆらと揺れながら、転がり込んできます。

 

受け止めて保持すると、促されるままにややだるそうに膨らみ、拡散しながら、適度な大きさの粘り気のある粒々を次々と射掛けてきます。

粒から現出してくるのは甘味8割、旨味2割。

甘味は水飴チックのどろりとしたタイプ、旨味は複数のコクが複層化した印象で、両者は太めで脂身のたっぷり入った世界を描くのです。

 

流れてくる含み香も濃い飴様の香りでデコレート。

後から酸味と渋味は僅少しか現れず、甘旨味のヘビー級の舞いが終盤まで淡々と続くのでした。

飲み下した後の余韻もいささか長めでした。

やや雑味が多く感じました。

佐賀の酒を楽しんだ昼下がりでした。

 

お酒の情報(23年122銘柄目)

銘柄名「基峰鶴(きほうつる)Calm 生酒 2021BY」

酒蔵「基山商店(佐賀県基山町)」

分類「“純米酒”」「生酒」

原料米「等外米の山田錦」

使用酵母「不明」

精米歩合「60%」

アルコール度数「15度」

日本酒度「不明」

酸度「不明」

情報公開度(瓶表示)「△」

標準小売価格(税込)「1800ml=2200円」

評価「★★★★(97点)」