自宅の晩酌に秋田県八峰町の山本酒造店さんが醸しているお酒をまとめて取り寄せて、飲み比べることにしました。
4本目はこれです。
「ど辛 純米生原酒」。
山本酒造店はこの2月、蔵の敷地内に新たに醸造所併設のカフェ「LABO and CAFE YAMAMOTO(ラボ・アンド・カフェ・ヤマモト)」をオープンしました。
その趣旨については空太郎が「SAKEStreet」に記事を書きましたので、そちらをお読み下さい。
そこに書き切れなかったお話を紹介していきます。
カフェを併設した醸造所を作るに当たって、蔵元の山本友文さんは次のように意気込みを語っています。
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外観にも内装にも徹底的にこだわり、店の中に入ると、「ここは代官山?自由が丘?」と感じるほどにおしゃれになるよう惜しげもなく、お金をつぎ込んでしまいました。
店に入ると中央に細長いカウンターを配置します。
カウンターには十和田石を使います。
内装には木を多用して、梁の部分以外の天井部分にも薄板を張って、ウッディな雰囲気にしています。
エアコンなどは高い位置につけると雰囲気を壊すので、床置きです。
カウンターには数台のサーバーを配置して、ラボで造ったフレッシュなお酒を提供します。
ドライバーでお酒が飲めない人のためには、高級なコーヒーを用意し、都内でも人気のマカロンも並べます。
子連れで来た家族がゆったり時間を過ごせるように奥にはキッズルームも用意します。
また、奥の2階には隠れ家のようなキッチンカウンターも作り、そこでVIPをもてなすつもりです。
カフェは日中のみの営業ですが、週末だけは料理人を招いてメーカーズディナーもやります。
とにかくやるからには徹底します。
当初計画よりもお金がかかり、当面は本体の利益を一部回さざるを得ませんが、いずれ、ここの事業も単年度で利益がでるようにしたいですね。
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さて、4本目のお酒は山本シリーズの中で最も日本酒度の高い+15の辛口酒、無濾過生原酒です。
上立ち香はマスカット系の凜とした香りが。
玩味すると中程度の大きさの旨味の塊が、平滑になった表面に打ち粉を振って、サラサラな感触を振りまきながら、行進をするようにまっしぐらに駆け込んできます。
受け止めて保持すると、自律的にキビキビとした態度で膨らみ、拡散しながら適度な大きさのガラス球様の粒々を連射してきます。
粒から滲み出てくるのは甘味と旨味が等量。
甘味は上白糖系の乾いた儚いタイプですぐに昇華。
旨味は多彩というよりは奥行きのあるコクが特徴で、単独でしっかりどっしりと踊ります。
流れてくる含み香は生酒らしい鮮度の優れた酒エキスの香りで硬派な雰囲気でデコレート。
後から酸味と渋味が少量現れて、メリハリを付与。
旨味はずっとコンスタントに味わいを放ち続け、むしろ終盤になるとその個性が際立つのです。
飲み下した後の余韻はシンプルですっきりしたものでした。
飲めば飲むほど味が主張するスルメのような仕上がりでした。
それでは山本酒造店のお酒、5本目をいただくことにします。
お酒の情報(23年57銘柄目)
銘柄名「ど辛 純米生原酒 2022BY」
酒蔵「山本酒造店(秋田県八峰町)」
分類「純米酒」「生酒」「原酒」
原料米「不明」
使用酵母「山本蔵付セクスイー酵母」
精米歩合「65%」
アルコール度数「16度」
日本酒度「不明」
酸度「不明」
情報公開度(瓶表示)「△」
標準小売価格(税込)「1800ml=2600円」
評価「★★★★★(98点)」