自宅の晩酌に秋田県八峰町の山本酒造店さんが醸しているお酒をまとめて取り寄せて、飲み比べることにしました。
2本目はこれです。
「山本(やまもと)ミッドナイトブルー 純米吟醸生原酒」。
山本酒造店はこの2月、蔵の敷地内に新たに醸造所併設のカフェ「LABO and CAFE YAMAMOTO(ラボ・アンド・カフェ・ヤマモト)」をオープンしました。
その趣旨については空太郎が「SAKEStreet」に記事を書きましたので、そちらをお読み下さい。
そこに書き切れなかったお話を紹介していきます。
今回、新たにできた醸造所は、本蔵に比べると、いずれもミニチュアサイズの規模なので、蔵元の山本友文さんは「ラボ(実験室)」と呼んでいます。
その理由について、次のように話しています。
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日本酒を好きな人たちが立ち寄ってもらうには、単なる酒蔵の売店では魅力がなさすぎます。
そこで考えたのが、本蔵で造って販売している定番の「山本」の酒とは違う酒を提供することでした。
うちの仕込みは総米で1000~1500キロサイズなので、仕込み1本で4合瓶だと3000~5000本が造れます。
これまではそのサイズで敢えて実験的な酒造りもしてきましたが、年に何本かは出来の悪い酒ができてお蔵入りになります。
サイズがでかいと痛手も大きいわけです。
そこで、こちらのラボでは総米を通常の10分の1サイズの90㌔で仕込めば、カフェで売り切れるし、失敗しても痛手が小さくてすむ。
ナイスなアイデアだとなりました。
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いい考えだと思いますが、山本さんのすごい所は、そのラボを見せるための価値をつけるところです。
その話は次回に。
さて、2本目のお酒も裏貼りで語っていますので、ご紹介します。
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この商品は香りが敢えて控え目で柑橘系のフルーツのようなジューシーな酸味と、日本刀のような鋭い切れ味が特徴のピュアブラックに対して、上立つリッチな香りと穏やかな味わいが特徴の純米吟醸です。
この商品はしぼりたての生酒ですので、お飲みになるまでは冷蔵庫にて保管してください。
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こちらも、麹米50%&掛米55%精米の純米吟醸、生原酒です。
上立ち香は鮮度に優れた麹バナの香りが漂ってきます。
玩味すると中程度の大きさの旨味の塊が、平滑になった表面に打ち粉を振って、サラサラで馥郁な感触を振りまきながら、生き生きとした雰囲気で滑り込んできます。
受け止めて保持すると、自律的に流麗に膨らみ、拡散しながら適度な大きさのガラス球様の粒々を連射してきます。
粒から滲み出てくるのは甘味7割、旨味3割。
甘味は上白糖系のさらりとしたタイプ、旨味はシンプル無垢でシルキータッチの印象で、両者は足並みを揃えて、バランスに優れた踊りを披露します。
流れてくる含み香もマスカットに生酒の色気を伴ってデコレート。
後から酸味と渋味が適量現れて、明快ですっきりとしたメリハリを付与します。
甘旨味は終盤までヴィヴィッドで繊細な世界を描き切るのでした。
これまた納得の仕上がりでした。それでは山本酒造店のお酒、3本目をいただくことにします。
お酒の情報(23年56銘柄目)
銘柄名「山本(やまもと)ミッドナイトブルー 純米吟醸生原酒 2022BY」
酒蔵「山本酒造店(秋田県八峰町)」
分類「純米吟醸酒」「生酒」「原酒」
原料米「不明」
使用酵母「不明」
精米歩合「麹米=50%、掛米=55%」
アルコール度数「16度」
日本酒度「不明」
酸度「不明」
情報公開度(瓶表示)「△」
標準小売価格(税込)「1800ml=3580円」
評価「★★★★★(98点)」