自宅の晩酌に秋田県八峰町の山本酒造店さんが醸しているお酒をまとめて取り寄せて、飲み比べることにしました。
1本目はこれです。
山本酒造店はこの2月、蔵の敷地内に新たに醸造所併設のカフェ「LABO and CAFE YAMAMOTO(ラボ・アンド・カフェ・ヤマモト)」をオープンしました。
その趣旨については空太郎が「SAKEStreet」に記事を書きましたので、そちらをお読み下さい。
そこに書き切れなかったお話を紹介していきます。
蔵のある八峰町は人口が6500人弱の過疎の町で、人が立ち寄るような施設がほとんどありません。
このため、男鹿半島辺りを観光した人たちは次の目的地として白神山地の麓にある十二湖や津軽半島を目指して八峰町はスルーしてしまいます。
そのことが気になる蔵元の山本友文さんですが、「かといって、観光バスが立ち寄るような観光蔵にはしたくない」と言います。
その理由は、
「酒蔵とかに余り興味のない人たちが、観光バスでトイレ休憩を主な目的でやってきて、がやがやと騒がしくするだけで、ろくにお酒も買っていかない、というのでは蔵としても意義を感じない。だから蔵見学も蔵直の酒販売も一切やらずに来ました」
と話しています。
そこで、今回の施設も普通乗用車でやってくる個人か少人数を対象に、駐車場もバスが停められないように、あえてコンパクトにしてあります。
そんな山本さんの思いが伝わるといいなあと空太郎も願っています。
さて、1本目は山本の看板商品です。
裏貼りでの山本さんの語りをそのまま紹介します。
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この商品は2007年に6代目蔵元の山本友文が製造責任者として酒造りを始めた際に、主力の純米吟醸は自身の勉強も兼ねて一連の作業工程を手掛ける!というコンセプトのもと立ち上げたブランドです。
その後、年月が経ち、山本の体力も落ちたため、作業は若い蔵人が行い、本人は司令塔として酒造りに携わっています。
香りは敢えて控え目に抑え、柑橘系のフルーツを連想させるジューシーな酸味と、日本刀のようなキレ味をイメージして造りました。
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麹米50%&掛米55%精米の純米吟醸、火入れです。
上立ち香は芳しいマスカットの仄かな香りが。
口に含むと中程度の大きさの旨味の塊が、平滑になった表面に打ち粉を振って、サラサラな感触をアピールしながら、伸びやかな雰囲気で忍び入ってきます。
受け止めて保持すると、自律的に流麗に膨らみ、拡散しながら適度な大きさのガラス球様の粒々を速射してきます。
粒から滲出してくるのは甘味7割、旨味3割。
甘味は上白糖系のすっきりとしたタイプ、旨味はシンプル無垢で絹ごし豆腐のような印象で、両者は足並みを揃えて、健やかな踊りを披露します。
流れてくる含み香もマスカットの香りで薄化粧を付与。
後から酸味と渋味が適量現れて、特にリンゴ酸が全体をリードして味わいのピントをはっきりとさせるのです。
甘旨味は終盤までおおらかにジューシーな世界を描き続け、最後は反転縮退して昇華して行きました。
安心な逸品でした。
それでは山本酒造店のお酒、2本目をいただくことにします。
お酒の情報(23年55銘柄目)
銘柄名「山本(やまもと)ピュアブラック 純米吟醸 2022BY」
酒蔵「山本酒造店(秋田県八峰町)」
分類「純米吟醸酒」
原料米「不明」
使用酵母「不明」
精米歩合「麹米=50%、掛米=55%」
アルコール度数「16度」
日本酒度「不明」
酸度「不明」
情報公開度(瓶表示)「△」
標準小売価格(税込)「1800ml=3380円」
評価「★★★★★(98点)」