自宅の晩酌に、長野県安曇野市のEH酒造さんが醸しているお酒をまとめて購入して、飲み比べました。
4本目はこれです。
2003年に新しい建物と新しい醸造設備を導入したEH酒造ですが、その造りの体制は、2000年ごろの純米酒造りを念頭に置いたもので、20年経過した現在では、美酒造りにはやや残念な設備になっています。
洗米はまとめて米を大型洗米機で洗って浸漬します。
蒸しは連続蒸米機です。ただし、大吟醸だけは手洗いで、かつ甑で蒸します。
仕込みタンクはすべてサーマルですが、サイズは大きく、総米は2.5㌧で小仕込みなのは大吟醸だけ。
さらに搾ったお酒は貯蔵タンクに生のまま入れて3月ごろに火入れをして再度貯蔵タンクに。
勢い、出荷前に再度火入れをするので、大吟醸を除くとすべて2回火入れとなる体制です。
唯一目を見張ったのは木製の麹室で、内部は3部屋に分かれて、それぞれ温度と湿度を別々にコントロールできるようになっており、2003年の頃ではもっとも進化した麹室だったと思います。
おそらく、杜氏が「麹室だけは金をかけていいものを」との要望に応えたものだと思います。
さて、4本目はアイガモ農法で作られたひとごこちを使っていることから、漢字を当てて「逢醸(あいがも)」としています。
上立ち香はとろりとした酒エキスの香りが漂ってきます。
玩味すると中程度の大きさの旨味の塊が、平滑になった表面に適度なとろみ層を乗せて、ゆらゆらと揺れながら、忍び入ってきます。
受け止めて舌の上で転がすと、促されるままにゆったりとしたテンポで膨らみ、拡散しながら、適度な大きさのウエットな粒々を次々と射掛けてきます。
粒から滲出してくるのは甘味7割、旨味3割。
甘味はとろりとした濃醇なタイプ、旨味も複数のサシの入ったコクを重ね合わせており、両者は鷹揚な態度でよく肥えた太めの舞いを展開します。
流れてくる含み香もとろりとした酒エキスの香り。
後から酸味と渋味は現れず、甘旨味ののっそりとした独演が終盤まで続くのです。
飲み下した後の余韻も長く伸びるのでした。
それでは、EH酒造のお酒、最後の5本目をいただくことにします。
お酒の情報(22年57銘柄目)
銘柄名「逢醸(あいがも)純米吟醸原酒 2020BY」
酒蔵「EH酒造(長野県安曇野市)」
分類「純米吟醸酒」「原酒」
原料米「あいがも農法ひとごこち」
使用酵母「不明」
精米歩合「59%」
アルコール度数「18度」
日本酒度「不明」
酸度「不明」
情報公開度(瓶表示)「△」
標準小売価格(税込)「1800ml=3960円」
評価「★★★★(95点)」