自宅の晩酌に、長野県安曇野市のEH酒造さんが醸しているお酒をまとめて購入して、飲み比べました。
最後の5本目はこれです。
2003年に新しい建物と醸造設備による酒造りを始めたEH酒造ですが、造り手は酔園銘醸時代と変わらず、秋になると、南部杜氏と蔵人がやってきて、造りの期間中、泊まり込みで酒造りをするスタイルを続けました。
杜氏は南部杜氏の北條勝一さんで、EH酒造になっても、毎年、全国新酒鑑評会では金賞や入賞を獲得していました。
ところが、その後、高齢を理由に北條さんが引退をすると、そのタイミングで長野県内の杜氏&蔵人に切り替わり、現在は藤井久光さんが杜氏をしています。
藤井さんも農家で、残る3人の蔵人も農家なので、EH酒造の酒造りは11月下旬から3月中旬までに限定されています。
さて、最後の5本目の「ふかえ」は親会社のエクセルヒューマンの創業者で社長であった深江今朝夫氏から命名したお酒です。
以前は「深江蔵」と呼んでいたものを、ひらがなに変えたようです。
ひとごこち59%精米の純米吟醸、無濾過の生貯蔵酒です。
上立ち香はとろりとした酒エキスの香りが適度に。
口に含むと中程度の大きさの旨味の塊が、平滑になった表面に適度なとろみ層を乗せて、おっとりとした雰囲気を漂わせながら、忍び入ってきます。
受け止めて舌の上で転がすと、促されるままにスローなテンポで膨らみ、拡散しながら、適度な大きさのウエットな粒々を連射してきます。
粒から滲み出てくるのは甘味7割、旨味3割。
甘味はとろりとした水飴っぽいタイプ、旨味も多彩なコクが複雑に入り混じった印象で、両者はむっちりとした中トロの世界を描くのです。
流れてくる含み香もとろりとした酒エキスの香り。
後から酸味と渋味は極少現れるも、アクセントを付与するまでの力は無く、終盤まで甘旨味のやや単調な舞いが続き、終盤を迎えるのでした。
買収して20年、やはり親会社には美味しい酒造りに必要な投資を決断して欲しいものです。
お酒の情報(22年58銘柄目)
銘柄名「ふかえ 純米吟醸無濾過 2020BY」
酒蔵「EH酒造(長野県安曇野市)」
分類「純米吟醸酒」「無濾過酒」「生貯蔵酒」
原料米「ひとごこち」
使用酵母「不明」
精米歩合「59%」
アルコール度数「16度」
日本酒度「+4」
酸度「不明」
情報公開度(瓶表示)「○」
標準小売価格(税込)「1800ml=4180円」
評価「★★★★(95点)」