大阪「千利休 特別純米 五味からくち」アルコールが浮き、甘旨味に火冷め臭が絡まる | 酔い人「空太郎」の日本酒探検

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意欲ある先進地酒蔵のお酒をいただき、その感想を報告します。
SAKETIMESにも連動して記事を載せます。

自宅の晩酌に大阪・堺の唯一の酒蔵、利休蔵のお酒を2本取り寄せて、いただきました。

1本目のしぼりたて生酒に続いて、2本目にいただいたのはこれです。

「千利休(せんのりきゅう)特別純米 五味からくち」。

 

支援の要請を受けてオーナーとなった加藤堅さんですが、酒のことはまったくの素人なので、当面は社長には就かず、蔵主として一歩離れた立場からいろいろ学んでいく構えです。

 

ただし、「小さな蔵が日本酒だけで食べていくのは難しい。いろいろな酒類に手を広げるべきだ」との考えから、日本酒ベースのリキュールを商品化しています。

また、加藤さんが経営する医療用品卸は仕入れ先が中国であることから、そのつながりを活かして、今後は中国への輸出にも力を入れていく構えです。お手並みを拝見させていただきます。

 

さて、2本目は60%精米の特別純米酒、火入れ(多分、2回)です。

上立ち香はやや刺々しいアルコールの香りが鼻腔を刺激します。

玩味すると中程度の大きさの旨味の塊が、平滑になった表面に気持ち粘っこいヌメリを乗せて、のそりと忍び入ってきます。

 

受け止めて舌の上で転がすと、促されるままにのろのろと膨らみ、拡散しながら適度な大きさの平凡な粒々を次々と射掛けてきます。

粒から現出してくるのは甘味6割、旨味4割。

甘味は上白糖系の乾いたタイプ、旨味は朴訥で平板な印象で、両者は緩慢なテンポで余り広がらずに踊ります。

 

流れてくる含み香は鈍い火冷め臭がたっぷりで、甘旨味の足下に絡みつきます。

追随するのは少量の渋味で、同じように甘旨味に絡み、甘旨味は引きずられるようにして舞いのスピードを落とし、最後はアルコールを浮かしながらほぼ停滞してしまいます。

飲み下した後の余韻も鈍重なものでした。

商品展開も大切ですが、まずは火入れの改善が喫緊の課題と思いました。

 

お酒の情報(21年59銘柄目)

銘柄名「千利休(せんのりきゅう)特別純米 五味からくち 2019BY」

酒蔵「利休蔵(大阪府堺市)」

分類「特別純米酒」

原料米「不明」

使用酵母「不明」

精米歩合「60%」

アルコール度数「16度」

日本酒度「不明」

酸度「不明」

情報公開度(瓶表示)「△」

標準小売価格(税込)「1800ml=3300円」

評価「★★★(4.1点=83点)」