大阪「千利休 しぼりたて 純米吟醸生酒」素朴な旨味と清純な甘味が馥郁とした世界を描く | 酔い人「空太郎」の日本酒探検

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意欲ある先進地酒蔵のお酒をいただき、その感想を報告します。
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自宅の晩酌にお酒を選びました。これです。

「千利休(せんのりきゅう)しぼりたて 純米吟醸生酒」。

大阪府堺市の利休蔵さんが醸しているお酒です。

 

明治初期には100軒近い酒蔵がひしめいていた堺の最後に残った蔵が消えたのが1971年。

そんな元銘醸地に酒蔵を復活させようとして「千利休」のお酒が登場したのが2015年です。

その辺のお話は前回、「千利休」を飲んだ時にブログに書きました。

その後、蔵の経営は順調かと思っていたのですが、実はお酒の売り上げが伸び悩み、苦境に立った蔵元が伝手をたどって立て直しをしてくれる人を探し、その要請に応じたのが堺市で医療用品卸を経営している加藤堅さんでした。

 

昨年(2020)秋に旧堺泉酒造の株式を買い取ってオーナーとなり、年明けに社名を「利休蔵」にしたというわけです。

復活したばかりの酒蔵ですから、なんとしても存続に向けて踏ん張ってほしいものです。

 

さて、いただくのは今季の新酒、山田錦55%精米の純米吟醸、無濾過生原酒です。

上立ち香は初々しい薄甘い香りがほんのりと。

口に含むと中程度の大きさの旨味の塊が、平滑になった表面にとろみ層を適度に乗せて、ウキウキとした雰囲気を放ちながら忍び入ってきます。

 

受け止めて舌の上で転がすと、促されるままに素直にまっしぐらに膨らみ、拡散しながら適度な大きさのガラス玉様の粒々を連射してきます。

粒から滲出してくるのは甘味8割、旨味2割。

甘味はザラメ糖系の清純なイメージ、旨味はシンプルで素朴なタイプで、両者は仲良く手を取り合ってワルツを踊ります。

 

流れてくる含み香は初々し甘い香りで華やかに飾り付け。後から渋味が適量現れて、甘旨味が描く馥郁とした世界に効果的なアクセントをつけるのです。

終盤になると全体が活性度を落として、そのままリズミカルに縮退して、一気に昇華していきました。

それでは利休蔵のお酒、もう1本いただくことにします。

 

お酒の情報(21年58銘柄目)

銘柄名「千利休(せんのりきゅう)しぼりたて 純米吟醸生酒 2020BY」

酒蔵「利休蔵(大阪府堺市)」

分類「純米吟醸酒」「無濾過酒」「生酒」「原酒」

原料米「山田錦」

使用酵母「不明」

精米歩合「55%」

アルコール度数「17度」

日本酒度「不明」

酸度「不明」

情報公開度(瓶表示)「△」

標準小売価格(税込)「1800ml=3520円」

評価「★★★★★(4.4点=93点)」