頑張れ千葉酒②「寿萬亀 碧海 純米吟醸」甘旨味が長閑な田園風景を描き、渋味がそこに降り掛かる | 酔い人「空太郎」の日本酒探検

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意欲ある先進地酒蔵のお酒をいただき、その感想を報告します。
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今年の9月9日に千葉市に上陸した台風15号は、房総半島に甚大な爪あとを残していきました。

大規模停電が長期化し、造りの真っ最中ではなかったものの、千葉県の酒蔵さんは対応に終われました。

そんな千葉の酒蔵を応援する目的で何本かを取り寄せて、晩酌にいただきました。2本目はこれです。

 

 

「寿萬亀(じゅまんがめ)碧海(へきかい)純米吟醸」。

千葉県鴨川市の亀田酒造さんが醸しているお酒です。

被害状況について蔵元さんは次のように話していました。

 

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台風の猛烈な風で、外にあった空のタンクが倒れ、屋根が剥がれ、ガラスが割れ、最後には停電になりました。

うちはサーマルタンクを使ってすでに仕込みを始めていて、醪が3本立っていました。

 

内訳は山田錦の40%精米の純米大吟醸が2本と、山田錦60%精米の純米吟醸酒が1本でした。

電気が途絶えて冷やすことができなくなり、醪の暴走も懸念されましたが、すぐに知り合いを頼って、発電機を数台確保でき、なんとか最悪の状況は回避できました。

一時期、温度管理ができなかったことで、搾ったお酒は100点ではなく90点の仕上がりでした。

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今夜いただくお酒は千葉県産米60%精米の純米吟醸酒、火入れです。いただきます。

 

 

上立ち香は酒エキスの香りが仄かに。

玩味すると中程度の大きさの旨味の塊が、平滑になった表面に打ち粉を振って、サラサラと流れる小川を連想させながら、まっしぐらに滑り込んできます。

 

受け止めて保持すると、自律的にゆったりとしたテンポで膨らみ、拡散しながら、適度な硬いゴム様の粒粒を速射してきます。

粒から滲出してくるのは甘味7割、旨味3割。

甘味はドライで淡白な印象、旨味は2Bの鉛筆を思わせる濃さで、両者は目立たないように静かに舞い始めます。

 

流れてくる含み香は柔らかい甘い香りに、老成した熟香が加わって、複雑なデコレートを施します。

後から来るのは渋味が適量で、これが粉になって甘旨味の上部から降り注ぐのです。

味わいは後半の早い段階で疲れを見せ始め、最後は鋭角的な辛さが全体を取り纏めて、喉の奥へと吸い込まれていきました。

 

 

それでは千葉応援酒、3本目に参ります。

 

お酒の情報(19年286銘柄目)

銘柄名「寿萬亀(じゅまんがめ)碧海(へきかい)純米吟醸 2019BY」

酒蔵「亀田酒造(千葉県鴨川市)」

分類「純米吟醸酒」

原料米「不明」

使用酵母「不明」

精米歩合「60%」

アルコール度数「15度」

日本酒度「+2」

酸度「1.6」

情報公開度(瓶表示)「△」

標準小売価格(税抜)「720ml=1514円」

評価「★★★★(4.1点)」