頑張れ千葉酒①「峯の精 純米吟醸」細身の旨味を渋味と酸味がぶ厚く輪郭を作り、最後に旨味が踏ん張る | 酔い人「空太郎」の日本酒探検

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意欲ある先進地酒蔵のお酒をいただき、その感想を報告します。
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今年の9月9日に千葉市に上陸した台風15号は、房総半島に甚大な爪あとを残していきました。

大規模停電が長期化し、造りの真っ最中ではなかったものの、千葉県の酒蔵さんは対応に終われました。

そんな千葉の酒蔵を応援する目的で何本かを取り寄せて、晩酌にいただきました。1本目はこれです。

 

 

「峯の精(みねのせい)純米吟醸」。

千葉県君津市の宮崎酒造店さんが醸しているお酒です。

被害状況について蔵元さんは次のように話していました。

 

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台風が来たらすぐに停電しました。

通過後、周囲の様子を見に行ったのですが、恐ろしいほどの数の杉の倒木があって、これじゃあ、当分電気は来ないな、と。

 

日本酒を貯蔵していた冷蔵庫があり、これがじわじわと室温が上昇すれば、酒へのダメージもあると心配して、あらゆる伝手をたどって、ようやく5日後に発電機2台を調達することができました。

 

冷蔵庫は開けずにいたので、この時、室温は10度で、なんとか支障がないまま乗り切れました。

蔵の建物自身は比較的新しいので被害は軽微で、瓦数枚とトタン屋根がめくれただけでした。

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停電が解消したのは11日後でしたので、発電機の調達があって、本当によかったです。

 

さて、お酒は山田錦60%精米の純米吟醸、火入れです。いただきます。

 

 

上立ち香は酒エキスの香りが仄かに。

口に含むと中程度の大きさの旨味の塊が、平滑になった表面に打ち粉を振って、やや硬めのざらざら感をアピールしながら、まっしぐらに駆け込んできます。

 

受け止めて舌の上で転がすと、ゆったりとしたペースで膨らみ、拡散しながら、適度な硬いゴム様の粒粒を連射してきます。

粒から滲み出てくるのは甘味6割、旨味4割。

甘味は乾いた細身のサラリとしたタイプで、ぱっと広がった直後に昇華して消え、シンプルでとろっとした旨味が主役になります。

 

流れてくる含み香は地味で淡白な香りで微かな飾り立てに留まります。

その後から渋味が相当量、酸味も微量加わって、味わいにぶ厚い輪郭を形成するのです。

封じ込まれた旨味は抵抗するものの、無駄骨で、終盤にむけてわずかに旨味が最後の抵抗を見せるものの、渋味の支配力が増し、飲み下した後の余韻もくすんだ渋味でした。

 

 

それでは千葉応援酒、2本目に参ります。

 

お酒の情報(19年285銘柄目)

銘柄名「峯の精(みねのせい)純米吟醸 2018BY」

酒蔵「宮崎酒造店(千葉県君津市)」

分類「純米吟醸酒」

原料米「山田錦」

使用酵母「不明」

精米歩合「60%」

アルコール度数「15.5度」

日本酒度「+3」

酸度「1.6」

情報公開度(瓶表示)「△」

標準小売価格(税抜)「720ml=1430円」

評価「★★★★(4.1点)」