酔い人「空太郎」の日本酒探検

酔い人「空太郎」の日本酒探検

意欲ある先進地酒蔵のお酒をいただき、その感想を報告します。
SAKETIMESにも連動して記事を載せます。

自宅の晩酌に三重県大台町の元坂酒造さんが醸しているお酒をまとめて取り寄せて、飲み比べをしました。

3本目はこれです。

 

 

酒屋八兵衛(さかやはちべえ)朔旦 純米吟醸」。

 

1&2本目に書いたお話の続きです。

 

元坂兄弟のこだわりは搾った後にもあります。

その一部を要約してご紹介します。

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全ての米を限定吸水で洗い、低温で仕込み、アルコール分16.0度前後で上槽します。

搾った直後でも全体の調和が取れた状態を狙っています。

火入れのお酒は常温での瓶貯蔵です。

1年をかけて熟成が進む事を考慮して酒質を設計しています。

厳密な冷蔵保管が求められる昨今の風潮に疑問を感じ、常温で美味しく飲める日本酒の本質的なバランスを探して、お客様にも地球にもストレスの無い、ものづくりを模索し続けています。

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一回火入れの瓶貯蔵は他の先進地酒蔵と同じですが、元坂酒造はあえて冷蔵庫保管しないということです。

蔵の中は冬場の寒さが残り、夏場でもひんやりと20度前半でしょうから、常温貯蔵と言っても熟成は適度で出荷できると考えているのでしょう。

確かに、近年の日本酒造りは電気の消費が多く、この点については、持続可能な社会という面では課題もあるので、元坂酒造の決断は選択肢の1つと言えそうです。

 

3本目のお酒は山田錦50%精米の純米吟醸規格の火入れ酒です。

 

 

上立ち香はシックな酒エキスの香りが仄かに。

玩味すると中程度の大きさの旨味の塊が、平滑になった表面に打ち粉を振って、気持ちザラザラな感触を強調しながら、淡々と滑り込んできます。

受け止めて保持すると、促されるままにキビキビとした態度で膨らみ、拡散して、適度な大きさの硬めの粒々を連射してきます。

粒から滲み出てくるのは甘味7割、旨味3割。

甘味は上白糖系のドライなタイプ、旨味は肌理の粗めな印象で、両者は大人しく、静かに淡い世界を画きます。

流れてくる含み香も穏やかな酒エキスの香りが薄化粧を付与。

後から酸味と渋味が少量現れて、クエン酸主体の酸味が甘旨味にしっかりとメリハリをつけながらサポートします。

味わいは地味ながらも、存在感を維持し、最後は反転縮退して、喉の奥へと吸い込まれていきました。

 

それでは、元坂酒造のお酒、最後の4本目をいただくことにします。

 

お酒の情報(24年92銘柄目)

銘柄名「酒屋八兵衛(さかやはちべえ)朔旦 2022BY」

酒蔵「元坂酒造(三重県大台町)」

分類「純米酒」

原料米「山田錦」

使用酵母「不明」

精米歩合「50%」

アルコール度数「16度」

日本酒度「不明」

酸度「不明」

情報公開度(瓶表示)「△」

標準小売価格(税込)「720ml=2000円」

評価「★★★★★(7.6点)」

 

自宅の晩酌に三重県大台町の元坂酒造さんが醸しているお酒をまとめて取り寄せて、飲み比べをしました。

2本目はこれです。

 

 

酒屋八兵衛(さかやはちべえ)八十八夜 純米生酒」。

 

1本目に書いたお話の続きです。

 

四季醸造へのアンチの姿勢を見せたのに続いて、こだわるのは麹造りです。

その一部を要約してご紹介します。

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太平洋側内陸部の大台町は冬季の湿度が低く、麹室が乾燥するので、しっかりと破精込みよく締まったキレのある麹になります。

本来、麹室の環境は各酒蔵によって違い、だからこそ麹に個性が現れ、それが酒質の核になると思っています。

機械製麹によって安定化された麹は、優秀ですが面白くない。

麹箱の温度を見るため、寒い夜中に炬燵を抜け出し、見て、嗅いで、味わって、麹づくりを体で感じる事。

麹室から出て汗を拭きながら見上げる星空が、毎晩違った美しさで輝くのを尊く感じるように。

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この機械製麹とは大手が使っている自動製麹機ではなく、ハクヨー5段に代表される麹造りの二日目から出麹までに使う製麹機を指していると思われます。

この製麹機を使いこなすと、夜中の麹の世話がほとんど不要になり、蔵人の労働環境改善が図られるのです。

これもまた、どちらが優れているかは判定できず、酒屋萬流の世界だと空太郎は思っています。

 

3本目は山田錦を麹米、五百万石を掛米に使った60%精米の純米、生酒です。

 

 

上立ち香は生酒特有の麹バナがややとろりと。

口に含むと中程度の大きさの旨味の塊が、平滑になった表面に打ち粉を振って、サラサラな感触を振りまきながら、初々しく駆け込んできます。

受け止めて保持すると、促されるままに軽快に膨らみ、拡散して、適度な大きさのややウエットな粒々を次々と射掛けてきます。

粒から滲出してくるのは甘味7割、旨味3割。

甘味はザラメ糖系の気持ち肥えたタイプ、旨味はシンプルながら、肌理の粗い印象で、両者は元気良く健康的な舞いを披露します。

流れてくる含み香は酒エキスにプラスアルファが加わり、さらに、わずかに生ヒネも混じって、デコレート。

後から酸味は皆無、渋味がやや多めに現れて、味わいの輪郭をはっきりとさせます。

甘旨味は終盤になるといささか疲れを見せ、活力を徐々に落とし、最後はゆっくりと縮退して、喉の奥へと吸い込まれていきました。

 

 

それでは、元坂酒造のお酒、3本目をいただくことにします。

 

お酒の情報(24年91銘柄目)

銘柄名「酒屋八兵衛(さかやはちべえ)八十八夜 純米生酒 2022BY」

酒蔵「元坂酒造(三重県大台町)」

分類「純米酒」「生酒」

原料米「麹米=山田錦、掛米=五百万石」

使用酵母「不明」

精米歩合「60%」

アルコール度数「15度」

日本酒度「不明」

酸度「不明」

情報公開度(瓶表示)「△」

標準小売価格(税込)「720ml=1600円」

評価「★★★★(7.4点)」

自宅の晩酌に三重県大台町の元坂酒造さんが醸しているお酒をまとめて取り寄せて、飲み比べをしました。

1本目はこれです。

 

 

酒屋八兵衛(さかやはちべえ)純米吟醸」。

 

元坂酒造は数年前に6代目の元坂新さんから、息子の新平&彰太兄弟にバトンが渡って以後、改革に向けたスピードを加速しています。

酒質向上への動きだけでなく、情報発信もせっせと行われており、お酒の向こうにあるものがよく見えるようになってきました。

 

元坂酒造の酒造りと題して、いろいろな説明をしており、その一部を要約してご紹介します。

まずは酒造りにおける冷蔵・冷却設備についてです。

 

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日本酒の製造が冬季に行われるのは、新米が収穫されるのが秋で、その後の気温が低くなる冬が発酵管理がしやすいなどが理由です。

近年は冷蔵・冷却設備の導入などで品質管理が容易になり、製造時期に制限が無くなりましたが、設備では本当の冬を再現できないと考えます。

私たちは環境負荷への配慮から、大規模な冷蔵・冷却設備を導入する考えはありません。

自然の風と土蔵の中で仕込む酒は、その時の気候に応じて細かな品温操作が必要となります。

シーズン序盤の温暖な時期、年が明けてからの寒冷期、それぞれの瞬間にベストな状態を智恵を絞って工夫を凝らす。ボタン1つで解決できる設備の導入は、考えることを放棄することになってしまうような気がします。

ささいな失敗は減るかもしれませんが、「失敗しない」という「失敗」があるように思えてなりません。

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空太郎は元坂さんの説明に全面的には賛成はしません。

四季醸造にするか2~3季醸造に絞るかは、これもまた、酒屋萬流だと思っています。

 

1本目は酒米不明の55%精米の純米吟醸、火入れです。

 

 

上立ち香は凡庸な酒エキスの香りが。

玩味すると中程度の大きさの旨味の塊が、平滑になった表面に打ち粉を振って、サラサラな感触をアピールしながら、淡々とした態度で滑り込んできます。

受け止めて保持すると、促されるままに素直に膨らみ、拡散して、適度な大きさの硬めの粒々を連射してきます。

粒から滲み出てくるのは甘味6割、旨味4割。

甘味は上白糖系のドライで細めのタイプ、旨味はシンプルながら、肌理の粗い印象で、両者はおっとりとした態度で淡々と踊ります。

流れてくる含み香は酒エキスの地味な香りで薄化粧を付与。

後から酸味は皆無、渋味がやや多めに現れて、メリハリをはっきりと施します。

甘旨味はそれに動じること無く、ゆったりとしたペースでごくスタンダードで無難な世界を描き切るのでした。

 

 

蔵元が「突出した個性や力強さは出さず」と説明している通りの味わいでした。

それでは、元坂酒造のお酒、2本目をいただくことにします。

 

お酒の情報(24年90銘柄目)

銘柄名「酒屋八兵衛(さかやはちべえ)純米吟醸 2022BY」

酒蔵「元坂酒造(三重県大台町)」

分類「純米吟醸酒」

原料米「不明」

使用酵母「不明」

精米歩合「55%」

アルコール度数「16度」

日本酒度「不明」

酸度「不明」

情報公開度(瓶表示)「△」

標準小売価格(税込)「720ml=2000円」

評価「★★★★(7.4点)」

 

 

自宅の晩酌に奈良県の酒蔵が造った菩提酛のお酒を2本取り寄せて、飲み比べました。

「風の森」に続いて、2本目はこれです。

 

 

みむろ杉 菩提酛 純米」。

奈良県桜井市の今西酒造さんが醸しているお酒です。

 

1999年1月に初めての菩提酛造りが始まりましたが、当初は酒母の仕込み作業は関係者のみで行われ、非公開でした。

ところが、「室町時代の酒造りの再現」としての菩提酛の知名度が上がり、これは毎年の風物詩として観光資源にもなると考え、2005年1月からは「菩提酛清酒祭」として一般公開されています。

 

 

出来上がった酒母はそれぞれの蔵が引き取って、仕込みに活用しています。

ちなみにお酒に「菩提酛」と表記できるのは「菩提酛研究会」の会員のみに限定されており、同じ手法で酒母を造っても非会員は「水酛」と表示しています。

 

現在、菩提酛研究会のメンバーは奈良県の7蔵で、同じ県内の美吉野醸造(花巴蔵)は会員にならずに「水酛」表記で酒造りをしています。

奈良県外の酒蔵が会員になれずに「水酛」と表記するのはわかりますが、美吉野醸造はなぜ、菩提酛研究会に入らないのか、謎です。

 

さて、今西酒造は仕込みには奈良県産山田錦を使って純米、火入れで出しています。

 

 

上立ち香は非常に複雑系の甘い香りが漂ってきます。

口に含むと中程度の大きさの旨味の塊が、平滑になった表面に油膜を張って、ツルツルの感触を強調しながら、まっしぐらに転がり込んできます。

受け止めて保持すると、粛々とした態度で膨らみ、拡散して、適度な大きさの透き通った粒々を速射してきます。

粒から滲出してくるのは甘味7割、旨味3割。

甘味は上白糖系のからりとしたタイプ、旨味は非常に独創的な個性を秘めた印象で、旨味主導でキリリとしたスレンダーな世界を画くのです。

流れてくる含み香はシンプルな薄甘い香りでデコレート。

後から酸味と渋味が少量現れて、隠し味役を担います。

甘旨味は洗練された無駄の無い踊りを最後まで演じ、飲み下した後の余韻はすっきりと切れたものでした。

 

個性的な仕上がりでした。好感が持てました。

 

お酒の情報(24年89銘柄目)

銘柄名「みむろ杉 菩提酛 純米 2022BY」

酒蔵「今西酒造(奈良県桜井市)」

分類「純米酒」「原酒」

原料米「奈良県産山田錦」

使用酵母「正暦寺で造られた菩提酛」

精米歩合「不明」

アルコール度数「13度」

日本酒度「不明」

酸度「不明」

情報公開度(瓶表示)「△」

標準小売価格(税込)「720ml=2200円」

評価「★★★★★(7.6点)」

自宅の晩酌にお酒を選びました。

これです。

 

 

風の森(かぜのもり)ALPHA1 菩提酛 純米 無濾過生原酒」。

奈良県御所市の油長酒造さんが醸しているお酒です。

 

菩提酛は古くは「菩提性」と呼ばれ、暖かい時季でも比較的安全にお酒ができる酒母の製法で、原点は奈良市にある正暦寺が造っていた「菩提泉」と言われています。

室町時代から始まっていたとされ、江戸時代以降は全国に普及した製法でしたが、明治末期に速醸酒母が考案されてからは廃れて、昭和初期には姿を消しました。

 

 

それを1980年代以降、復活させる試みが現れ、奈良県では1996年に県内の酒造会社15蔵で「菩提酛研究会」が結成されました。

復活に当たってストーリー性を重視して、菩提酛を共同で造る場所を正暦寺に決め、正暦寺は1998年に酒母製造免許を取得し、1999年1月に寺で初めての酒母造りが行われ、その年、県内の有志の酒蔵が酒を造り上げています。

以後、現在まで有志が菩提酛の酒を細々と造ってきましたが、近年、全国区の人気蔵が菩提酛を奈良県の酒の売りにしようと力を入れてきています。

その一軒が油長酒造というわけです。

 

秋津穂70%精米の純米、無濾過無加水生酒です。

 

 

上立ち香は冴え冴えとした薄甘い香りが鼻腔をくすぐります。

玩味すると中程度の大きさの旨味の塊が、平滑になった表面に微細な気泡を多めに包含したとろみ層を乗せて、まっしぐらに滑り込んできます。

受け止めて保持すると、気泡のシュワシュワとした破裂をBGMにして、軽やかに膨らみ、拡散しながら、適度な大きさのガラス玉様の粒々を連射してきます。

粒から滲み出てくるのは甘味7割、旨味3割。

甘味は上白糖系のドライなタイプ、旨味はシンプル無垢な印象で、両者は足並みを揃えて、爽やかで柔らかなハーモニーを奏でるのです。

流れてくる含み香も生らしい初々しさに健康的な甘い香りがミックスしてデコレート。

後から酸味と渋味が少量現れて、鮮明なメリハリを付与します。

甘旨味は活力を失わず、伸び伸びとした舞いを披露し続けるのでした。

 

いつもの風の森ワールドでした。

それでは、奈良の菩提酛のお酒をもう1本いただくことにします。

 

お酒の情報(24年88銘柄目)

銘柄名「風の森(かぜのもり)ALPHA1 菩提酛 

純米 無濾過生原酒 2023BY」

酒蔵「油長酒造(奈良県御所市)」

分類「純米酒」「無濾過酒」「生酒」「原酒」

原料米「秋津穂」

使用酵母「正暦寺で造られた菩提酛」

精米歩合「70%」

アルコール度数「14度」

日本酒度「不明」

酸度「不明」

情報公開度(瓶表示)「△」

標準小売価格(税込)「720ml=1500円」

評価「★★★★★★(7.8点)」

自宅の晩酌にお酒を選びました。

これです。

 

 

東鶴(あづまつる)MOVIN‘ 純米吟醸生酒」。

1本前と同じ、佐賀県多久市の東鶴酒造さんが醸しているお酒です。

 

東鶴酒造は2019年8月の九州北部の豪雨で蔵の脇を流れる別府川が氾濫し、蔵は床上浸水の被害を受けました。

麹室にも水が入り、せっかく堀ったばかりの井戸もやられてしまいました。

 

その後、応急処置をして酒造りは続行してきましたが、最近、井戸を再度掘り直しました。

これまでの井戸が深さ10㍍だったのが、今回は100㍍まで掘り下げて、軟質で良質な水を獲得できたそうです。

さらに、麹室も一新。

銘柄の見直しやラベルの変更なども、こうした造りの体制の充実も背景にあるようです。

 

 

このお酒のサイド名の「MOVIN‘(ムービン)」には、「蔵として前向きに動くこと」と「躍動感あふれる味わい」の2つの意味を込めているそうです。

 

50%精米の純米吟醸生酒です。

 

 

上立ち香は芳醇なカプロン酸エチルの優雅な香りが鼻腔をくすぐります。

口に含むと中程度の大きさの旨味の塊が、平滑になった表面に微細な気泡を包含したとろみ層を乗せて、まっしぐらに転がり込んできます。

受け止めて保持すると、気泡の微かな破裂を背後に聞きながら、テンポ良く膨らみ、拡散して、適度な大きさのガラス玉様の粒々を速射してきます。

粒から滲出してくるのは甘味7割、旨味3割。

甘味は上白糖系のさらりとしたタイプ、旨味はシンプルで滑らかな印象で、両者は仲良くタイミングを合わせて、軽く跳びはねるようにして踊るのです。

流れてくる含み香も華やかな甘い香りでデコレート。

後から酸味が適量、渋味が少量現れて甘旨味を粛々と囃すのです。

甘旨味は終盤まで和やかに舞い、最後は反転縮退して、喉の奥へと吸い込まれて行きました。

 

これもまた、1本目と同様、上出来でした。

 

お酒の情報(24年87銘柄目)

銘柄名「東鶴(あづまつる)MOVIN‘ 純米吟醸生酒 2023BY」

酒蔵「東鶴酒造(佐賀県多久市)」

分類「純米吟醸酒」「生酒」

原料米「雄山錦」

使用酵母「不明」

精米歩合「50%」

アルコール度数「16度」

日本酒度「不明」

酸度「不明」

情報公開度(瓶表示)「△」

標準小売価格(税込)「1800ml=3520円」

評価「★★★★★(7.7点)」

 

自宅の晩酌にお酒を選びました。

これです。

 

 

東鶴(あづまつる)THE ORIGIN」。

佐賀県多久市の東鶴酒造さんが醸しているお酒です。

 

このオリジンは昨年(2023年)春に新たに登場したお酒になります。

蔵元杜氏の野中保斉さんはその狙いについて次の様に話しています。

 

 

それまで定番として販売していた純米酒の影が薄くなってきたので、もう一度原点回帰をした酒を造ろうと決めました。

そこで、あまり大きく宣伝はしていませんが、生酛酒母に挑戦することにしました。

生酛を丁寧に造ろうとしてあれこれやってみたところ、当初は失敗続きで。何回か試みてようやく納得のいく酒母ができたのですが、そうしたら、完成までに40日間もかかってしまいました。

いい酒ができたと思います。

今後はこの酒をうちの蔵の看板商品にしようと思います。

 

山田錦60%精米の純米酒、一回火入れです。

 

 

上立ち香は非常にバランスの取れたフルーティーな香りが。

玩味すると中程度の大きさの旨味の塊が、平滑になった表面に微細な気泡を包含したとろみ層を薄らと乗せて、軽やかに滑り込んできます。

受け止めて保持すると、気泡の微かな破裂をBGMにして膨らみ、拡散しながら、適度な大きさのガラス玉様の粒々を連射してきます。

粒から滲み出てくるのは甘味8割、旨味2割。

甘味は上白糖系のさらりとしたタイプ、旨味はシンプル無垢で、両者は足並を揃えて、流麗な舞いを披露します。

流れてくる含み香もバランスの良い甘い香りでデコレート。

後から酸味が適量、渋味が少量現れて明快なメリハリを付与します。

甘旨味は気持ちよさげに生き生きと踊り、最後は反転縮退して昇華して行きました。

 

 

看板商品にする蔵元の意欲を感じる美酒でした。

 

お酒の情報(24年86銘柄目)

銘柄名「東鶴(あづまつる)THE ORIGIN 2022BY」

酒蔵「東鶴酒造(佐賀県多久市)」

分類「純米酒」

原料米「山田錦」

使用酵母「不明」

精米歩合「60%」

アルコール度数「15度」

日本酒度「不明」

酸度「不明」

情報公開度(瓶表示)「△」

標準小売価格(税込)「1800ml=3575円」

評価「★★★★★★(7.8点)」

荒木町の人気居酒屋「純ちゃん」にお邪魔しました。

今夜も極上のつまみと共に25種類のお酒を堪能しましたが、その中から3つご紹介します。

3本目はこれです。

 

 

信州亀齢(しんしゅうきれい)純米吟醸 ひとごこち 無濾過生原酒」。

長野県上田市の岡崎酒造さんが醸しているお酒です。

 

2本目の高木酒造と同様、今年(2024)2月に発売された「dancyu(ダンチュウ)」3月号の日本酒特集において、「王道の道を駆け上がる3蔵」の1つに紹介された岡崎酒造。

これでますます「信州亀齢」は買いにくくなるだろうなあ、とひとりごちる空太郎です。

本の発売以後、上田に行く用事があって、ついでに岡崎酒造に寄ると、上手い具合に蔵元杜氏の岡崎美都里さんがいらっしゃいました。

 

 

「ダンチュウ見ましたよ」と話題を振ると、彼女はむっとした顔をしながら、

「聞いてくださいよ。あの記事の取材は旦那だけにして、私にはインタビューはなかったんです。なのに、記事では私が言ったかのような書き方をした部分が複数あって、私は不機嫌です」。

確かに例えば

“2019年に改装した杉張りの麹室が「夫婦で会話する唯一の場所」と笑う美都里さん。”

とありますが、「私は言っていません」でした。

 

 

旦那の謙一さんにだけインタビューして、謙一さんが「美都里がこう言っている」というのをそのままもらって、さも本人から聞いたように書くというのは、ライターが苦し紛れにやったのでしょうが、これは禁じ手です。

猛省していただきたく思います。

 

さて、いただくのは蔵の看板商品であるひとごこちを使った55%精米の純米吟醸、無濾過生原酒です。

 

 

上立ち香は芳醇でフルーティーな甘い香りがしっかりと。

口に含むと中程度の大きさの均整の取れた旨味の塊が、平滑になった表面に微細な気泡を包含したとろみ層を薄らと乗せて、軽快なテンポで滑り込んできます。

受け止めて保持すると、気泡の微かな破裂を背景にリズミカルに膨らみ、拡散して、適度な大きさのガラス玉様の粒々を速射してきます。

粒から滲出してくるのは甘味7割、旨味3割。

甘味はザラメ糖系の湿潤なタイプ、旨味はシルキータッチでツルツルな肌触りの印象で、両者は足並みを揃えて、絶妙なバランスで踊ります。

流れてくる含み香も色香たっぷりの甘い香りでデコレート。

後から酸味と渋味が少量現れて明快なアクセントを施します。

甘旨味は終盤まで乱れなく、流麗なワルツを踊りきるのでした。

 

王道を目指す風格を感じました。

 

お酒の情報(24年85銘柄目)

銘柄名「信州亀齢(しんしゅうきれい)純米吟醸 ひとごこち 

無濾過生原酒 2023BY」

酒蔵「岡崎酒造(長野県上田市)」

分類「純米吟醸酒」「無濾過酒」「生酒」「原酒」

原料米「ひとごこち」

使用酵母「不明」

精米歩合「55%」

アルコール度数「15度」

日本酒度「不明」

酸度「不明」

情報公開度(瓶表示)「△」

標準小売価格(税込)「1800ml=3410円」

評価「★★★★★★(7.8点)」

荒木町の人気居酒屋「純ちゃん」にお邪魔しました。今夜も極上のつまみと共に25種類のお酒を堪能しましたが、その中から3つご紹介します。

2本目はこれです。

 

 

十四代(じゅうよんだい)本丸」。

山形県村山市の高木酒造さんが醸しているお酒です。

 

高木酒造は今年(2024)2月に発売された「dancyu(ダンチュウ)」3月号の日本酒特集において、トップを飾って紹介されました。

Dancyuの日本酒特集は、まだあまり有名でないが、今後さらに人気になるお酒を紹介する傾向が強かったので、今回は「いまさらなにを」という気持ちを持ちながら読ませていただきました。

その大半が「ふむふむ」ぐらいの内容でしたが、空太郎が一番驚いたのが、蔵の生産石数が2500石だということでした。

 

 

近年第二蔵を作ったという話を聞いていたので、てっきり4000石近くを造っているものだと思っていたので、意外に感じるとともに、「それでは需要と供給のギャップが広がるわけだ」とやたら納得したのです。

しかも、文中で蔵元の高木顕統さんは「豪雪地帯の特性を生かして寒期に造りを集中したいので、仕込み本数を減らす」と言っているのです。

まあ、空太郎は十四代がさらに入手困難になっても構いませんが、すごい判断です。

 

さて、いただくのは蔵の看板商品の本醸造酒です。

 

 

上立ち香はほっそりとした品の良い甘い香りが。

玩味すると中程度の大きさの旨味の塊が、平滑になった表面に油膜を張って、ツルツルの感触をアピールしながら、まっしぐらに転がり込んできます。

受け止めて保持すると、自律的に軽快に浮き上がるようにして膨らみ、拡散して、適度な大きさのガラス玉様の粒々を連射してきます。

粒から滲み出てくるのは甘味8割、旨味2割。

甘味は上質で純度の高いタイプ、旨味はシルキータッチで肌理の細かな印象で、両者は足並みを揃えて、流れるようなワルツを踊ります。

流れてくる含み香も上質な砂糖の甘い香りでデコレート。

後から酸味と渋味は僅少現れて、わずかにメリハリを付与。

あくまでも主役は高貴な甘味で、終盤まで潤い溢れる甘い世界を描き切るのでした。

 

本丸の完成度の高さを改めて感じました。

 

お酒の情報(24年84銘柄目)

銘柄名「十四代(じゅうよんだい)本丸 2023BY」

酒蔵「高木酒造(山形県村山市)」

分類「本醸造酒」

原料米「不明」

使用酵母「不明」

精米歩合「55%」

アルコール度数「15度」

日本酒度「不明」

酸度「不明」

情報公開度(瓶表示)「△」

標準小売価格(税込)「1800ml=不明(多分3000円前後)」

評価「★★★★★(7.6点)」

荒木町の人気居酒屋「純ちゃん」にお邪魔しました。

今夜も極上のつまみと共に25種類のお酒を堪能しましたが、その中から3つご紹介します。

1本目はこれです。

 

 

球春(きゅうしゅん)純米」。

茨城県筑西市の来福酒造さんが醸しているお酒です。

 

見たことも聞いたこともないお酒なので、瓶の裏貼りを見て、造っている蔵が来福酒造であることを知りました。

春の高校野球とプロ野球のシーズン開始にひっかけた企画品だろうなあ、と思ったらその通りでした。

蔵のブログでは次の様な案内が3月4日付けでありました。

 

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企画商品として、「来福 純米酒 球春」をリリースしました。

3月28日よりプロ野球も開幕となりますね。

テレビの前やスポーツバー、居酒屋などでこの一本とともに乾杯しませんか。自分で飲むのもよし!、野球好きの方への贈りものでもよし!。

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こういう安易な(失礼!)企画品というのは誰でも考えつくものなので、空太郎が驚いたのは「球春」という商標が登録されていなかったことです。

びっくりです。

蔵元の藤村俊文さんはほくそ笑んでいることでしょう。

ただ、旬は4月上旬まででしょうから、仕入れた酒販店もすみやかに売り切ってしまわなければならないので、大変だったかも知れません。

 

70%精米の純米酒、火入れです。

 

 

上立ち香は大人しめの穏やかな薄甘い香りが。

口に含むと中程度の大きさの旨味の塊が、平滑になった表面に微細な気泡をわずかに内包したとろみ層をうっすらと乗せて、ゆったりとした雰囲気で忍び入ってきます。

受け止めて舌の上で転がすと、促されるままに素直に膨らみ、拡散して、適度な大きさの硬めの粒々を速射してきます。

粒から現出してくるのは甘味7割、旨味3割。

甘味はザラメ糖系の肥えたタイプ、旨味はややブヨブヨとした印象で、両者はごくごく平凡に踊ります。

流れてくる含み香も地味な薄甘い香り。

後から酸味は皆無、渋味がわずかに現れて、アクセントをかろうじてつけるのです。

甘旨味は終盤まで単調な舞いを続け、飲み下した後の余韻も気持ち残渣のようでした。

 

 

やはり、企画品の域をでない味わいでした(すみません)。

 

お酒の情報(24年83銘柄目)

銘柄名「球春(きゅうしゅん)純米 2023BY」

酒蔵「来福酒造(茨城県筑西市)」

分類「純米酒」

原料米「不明」

使用酵母「不明」

精米歩合「70%」

アルコール度数「15度」

日本酒度「不明」

酸度「不明」

情報公開度(瓶表示)「△」

標準小売価格(税込)「1800ml=2800円」

評価「★★★★(7.5点)」