酔い人「空太郎」の日本酒探検

酔い人「空太郎」の日本酒探検

意欲ある先進地酒蔵のお酒をいただき、その感想を報告します。
SAKETIMESにも連動して記事を載せます。

荒木町の銘酒居酒屋の「純ちゃん」にお邪魔しました。

今夜も30種類のお酒をすべていただきましたが、その中で2本、報告します。

 

1本目はこれです。

 

 

「塩竃 阿部勘(しおがま・あべかん)翠潮(すいちょう)」。

 

宮城県塩竃市の阿部勘酒造さんが醸しているお酒です。

 

阿部勘酒造は今年(2026)5月に主力銘柄「阿部勘」のリブランディングを実施しました。

銘柄名を「阿部勘」から、「塩竃 阿部勘」に変え、サブタイトルに「潮」を使うことにしたのです。

 

 

プレスリリースによると、その狙いは、以下のようです。

「国内外で和食への注目が高まるなか、今回の再構築では、“寿司の街・塩竃の酒”として、魚介料理との調和をこれまで以上に深く追求」し、

「鮮度の高い魚介を自然に心地よく食べ続けられる酒、料理を引き立て、自然と杯が進む酒」

を目指すようです。

 

寿司に合う酒といえば、宮城県石巻市の「日高見」を醸す平孝酒造がそれを極めて、圧倒的な支持を受けているわけですが、阿部勘酒造はあきらかにこの蔵を意識しての改革だと、空太郎は推測します。

すると、これまでの阿部勘よりも甘さを抑えた酒を目指すということになります。

 

今夜いただく「翠潮」はシリーズの中でも一番の食中酒狙いの酒のようです。

 

 

上立ち香は細くて淡い酒エキスの香りが。

玩味すると中程度の大きさの旨味の塊が、よく踏み固められて平滑になった表面に打ち粉を振って、サラサラな感触をアピールしながら、まっしぐらに駆け込んできます。

受け止めて保持すると、自律的にキビキビと膨らみ、拡散して、適度な大きさのガラス玉様の粒々を連射してきます。

 

粒から滲出してくるのは甘味6割、旨味4割。

甘味は上白糖系のドライで儚いタイプで次の瞬間には昇華して、旨味に主導権を委ねます。

複数のコクが織り上がった旨味は、鍛え上げられた筋肉質の舞いを披露します。

 

流れてくる含み香は地味な酒エキスの香りがわずかに。

後から酸味が僅少、渋味が適量現れて、旨味の舞いをさらに引き締めて、終盤になると早い段階で反転縮退して、そのまま喉の奥へと駆け去っていきました。

 

 

まさに「日高見」の味わいにじわりと近づいています。

果たして、蔵元の阿部昌弘さんの決断が吉と出るか。

今後の推移を見守ります。

 

お酒の情報(26年158銘柄目)

銘柄名「塩竃 阿部勘(しおがま・あべかん)翠潮(すいちょう)2025BY」

酒蔵「阿部勘酒造(宮城県塩竃市)」

分類「純米酒」

原料米「不明」

酵母「不明」

精米歩合「非公表」

アルコール度数「15度」

日本酒度「不明」

酸度「不明」

情報公開度(瓶表示)「×」

標準小売価格「1800ml=3465円」

評価「★★★★★(7.55点)」

 

自宅の晩酌に北海道蘭越町の森ノ醸造所さんが醸しているお酒を2本、取り寄せて、いただくことにしました。

 

2本目はこれです。

 

 

「森ノ酒(もりのさけ)」。

 

森ノ醸造所は蘭越町の自然と風土に委ねた酒造りをすることを基本とし、蔵の建物内は空調はなく、換気扇だけです。

最高気温が10度を下回る10月から4月の期間のみ酒造りをし、仕込みは総米600㌔で週1本のペースを厳守し、蔵人4人全員が週休二日体制。

酒造設備も道具もすべて新品。

建物は2階建て、延べ床面積が800㎡で、2階が麹室と販売所と事務所。

残りは1階に配置しています。

 

 

麹室は日東工業のオール秋田杉。

仕込みのペースが緩いので、室は1部屋で出麹部屋が隣接。

洗米機はフジワラテクノアート製、甑は小型で最大の蒸しで230㌔まで。

放冷機はなく、全量手運び。

仕込みは容量2000㍑の木桶5本(ウッドワーク製)で対応。

搾り機は薮田製。

火入れはキクプランドゥのヒートリード。

総投資額は推定10億円です。

 

 

造るのは町内限定販売の純米酒1本を例外に、残るは全量、瓶内二次発酵のスパークリング日本酒です。

まさに、日本に初登場したスパークリング日本酒の専業蔵です。

 

2本目はひと冬に一本しか造らない、地元向けの“泡無し純米酒”です。

 

 

上立ち香は爽快な薄甘い香りが仄かに。

口に含むと中程度の大きさの旨味の塊が、平滑になった表面に微細な気泡をわずかに乗せて、軽やかに滑り込んできます。

受け止めて保持すると、自律的に膨らみ、拡散して、適度な大きさのガラス玉様の粒々を速射してきます。

 

粒から滲み出てくるのは甘味7割、旨味3割。

甘味は上白糖系の乾いたタイプ、旨味はシンプル無垢で素朴な印象で、両者は足並みを揃えて、軽快な舞いを披露します。

 

流れてくる含み香は酢酸イソアミルのスレンダーな香りで薄化粧を付与。

後から酸味が適量、渋味が少量現れて、酸味は透き通った甘旨味と競演しながら、フレッシュオレンジジュースの世界を局地的に描きます。

追随する渋味が全体の輪郭をくっきりとさせ、味わいは最後まで活力のある世界で幕を閉じました。

 

 

こちらも上々の出来でした。

森ノ醸造所の行方が楽しみです。

 

お酒の情報(26年157銘柄目)

銘柄名「森ノ酒(もりのさけ) 2025BY」

酒蔵「森ノ醸造所(北海道蘭越町)」

分類「純米酒」「一回火入れ酒」

原料米「地元産有機栽培ななつぼし」

酵母「不明」

精米歩合「非公表」

アルコール度数「13度」

日本酒度「不明」

酸度「不明」

情報公開度(瓶表示)「△」

標準小売価格「720ml=4400円」

評価「★★★★★★(7.65点)」

 

自宅の晩酌にお酒を選びました。

これです。

 

 

「森のスパークリングサケ UPAS(ウパシ)」

北海道蘭越町の森ノ醸造所さんが醸しているお酒です。

 

「七賢」を造る山梨銘醸の製造責任者だった北原亮庫さんが、スパークリング日本酒(瓶内二次発酵)の専業の蔵を蘭越町に作り、2025年秋から酒造りを始めています。

そのいきさつについては、空太郎がSAKEStreetに記事を書きましたので、そちらをお読みください。

ここでは書き切れなかったことを語ります。

 

 

新しい蔵を作るとなると真っ先に課題になるのが清酒免許をどうするかでした。

新規取得は困難なので、一番の選択肢は清酒免許を持っている酒蔵の買収です。

が、これには相手があるので時間もかかるし、お金もかかる。

第三者の出資を募って買収すれば、今度は会社がスタートしてからの自由度が落ちる(株主の声に耳を傾けなければならなくなる)。

 

 

そこで北原さんは山梨銘醸の第二蔵として免許を取得する道を選びます。

2023年に山梨銘醸からの企業分割の形で森ノ醸造所を設立し、蘭越町での清酒造りの免許を申請。

2025年11月に免許が認可されています。

2024年に三輪伝承蔵を第二蔵として免許を取得した奈良県の今西酒造と同類の手続きかと思います。

 

さて、それで、森ノ醸造所は順次、いろいろなタイプの瓶内二次発酵の日本酒を出していく方針です。

その第一弾がこの「UPAS(ウパシ)」です。

アイヌ語で雪を意味するのだそうです。

精米歩合は非公表ですが、蘭越町産の有機栽培のななつぼしを使った純米酒です。

 

 

上立ち香は爽快な細身の薄甘い香りが。

玩味すると中程度よりもひと回り小さな旨味の塊が、平滑になった表面にびっしりと気泡を乗せて、軽快なスピードで転がり込んできます。

受け止めて保持すると、気泡がプチプチと跳ね、それらをBGMにして膨らみ、拡散して、適度な大きさの透き通った粒々を連射してきます。

 

粒から現出してくるのは甘味6割、旨味4割。

甘味は上白糖系の上品でドライなタイプ、旨味もシンプル無垢な印象で、両者は足並みを揃えて、鋭角的なダンスを踊るのです。

 

流れてくる含み香も爽快な薄甘い香り。

後から酸味が適量、渋味が少量現れて、セミドライな世界へといざなうのです。

終盤になると気泡の破裂も大人しくなり、飲み下した後の余韻は短く、すっきりしたものでした。

 

 

するっと飲める素敵なスパークリング日本酒でした。

実は森ノ醸造所は、地元向けにごく限定的に瓶内二次ではない、ノーマルな日本酒を出しています。

それを次にいただくことにします。

 

お酒の情報(26年156銘柄目)

銘柄名「森のスパークリングサケ UPAS(ウパシ) 2025BY」

酒蔵「森ノ醸造所(北海道蘭越町)」

分類「純米酒」「瓶内二次発酵酒」「一回火入れ酒」

原料米「地元産有機栽培ななつぼし」

酵母「不明」

精米歩合「非公表」

アルコール度数「12度」

日本酒度「不明」

酸度「不明」

情報公開度(瓶表示)「△」

標準小売価格「720ml=4950円」

評価「★★★★★(7.6点)」

 

自宅の晩酌に宮城県栗原市の萩野酒造さんのお酒をまとめて取り寄せて、飲み比べをしました。

 

最後の4本目はこれです。

 

 

「日輪田(ひわた)生酛 純米」。

 

さて、萩野酒造は栗原市に日本酒蔵が6蔵もあることから、「栗原市の日本酒」を地域の人たちにも知ってもらい、地酒として地域の支持を得ようと、活動を主導しています。

市内には萩野酒造のほか、「綿屋」を醸す金の井酒造、「栗駒山」を醸す千田酒造、それに一ノ蔵の第二醸造蔵である金龍蔵の4蔵が日本酒を醸していますが、さらに、「はさまや酒造店」と「門傳醸造」が営業を続けています。

 

この2蔵は萩野酒造や金の井酒造に醸造委託を中心に酒を販売していますが、どちらも自醸の本格再開を目指しており、萩野酒造はそれを全面的に支援して、栗原市の地酒がより盛り上がるよう、尽力しているのです。是非、頑張ってほしいです。

 

 

さて、お酒ですが、萩野酒造は速醸酒母の酒は「萩の鶴」で、山廃&生酛酒母の酒は「日輪田」で販売しています。

いただくのは生酛酒母の純米酒、火入れです。

 

 

上立ち香は速醸の「萩の鶴」と変わらないスタンダードな酒エキスの香りが。

口に含むと中程度の大きさの旨味の塊が、平滑になった表面に薄っすらととろみ層を乗せて、おっとりとした雰囲気で忍び入ってきます。

受け止めて保持すると、促されるままに素直に膨らみ、拡散して、適度な大きさのガラス玉様の粒々を速射してきます。

 

粒から滲出してくるのは甘味7割、旨味3割。

甘味はザラメ糖系にプラスαを加えたタイプ、旨味はクリアなコクが複数織り上がった印象で、両者は足並みを揃えて、無駄の無い滑らかな舞いを披露します。

 

流れてくる含み香は甘い麗しい香りでデコレート。

後から酸味は多めに、渋味は適量現れて、乳酸ニュアンスの酸味が甘旨味とカラフルな世界を描き、渋味は全体にメリハリを付与して、最後まで飽きることのないスレンダーな甘旨味の世界が描かれるのでした。

 

 

トラディショナルでも、モダンでもない、個性的な生酛酒でした。

 

お酒の情報(26年155銘柄目)

銘柄名「日輪田(ひわた)生酛 純米 2025BY」

酒蔵「萩野酒造(宮城県栗原市)」

分類「純米酒」「生酛酒」

原料米「不明」

酵母「不明」

精米歩合「60%」

アルコール度数「16度」

日本酒度「不明」

酸度「不明」

情報公開度(瓶表示)「×」

標準小売価格(税込み)「720ml=1600円」

評価「★★★★★(7.6点)」

 

自宅の晩酌に宮城県栗原市の萩野酒造さんのお酒をまとめて取り寄せて、飲み比べをしました。

3本目はこれです。

 

 

「メガネ専用 生原酒」。

 

このお酒にはいろいろエピソードがあります。

 

萩野酒造の蔵元の佐藤曜平さんが、「10月1日はメガネの日」というのを知った時に、ひらめいたのです。

「自分も含めて、蔵で働いているメンバーのほとんどがメガネをかけている。じゃあ、そんなメガネのかけている蔵が造った酒をメガネがらみで売ることは面白いのではないか」。

それを面白がって、ウエブメディアに記事にしたのが空太郎です。

 

 

2017年の秋に記事にしたのですが、すでに知っているのはごく一部の特約店だけで、空太郎の記事を読んだ人が拡散してくださって、メガネのお酒はヒット商品になったのです。

萩野酒造にとっても、年間仕込み50本のうち、3本がメガネ酒になっています。

 

そして、さらには昨年(2025)年には、やはり、蔵元がメガネを愛用している6蔵が趣旨に賛同して、メガネ専用酒を7蔵が統一デザインでリリースしたのです。

 

さて、3本目にいただくお酒は、そのメガネ専用の春先の限定品である生原酒です。

 

 

上立ち香は生酒らしい麹バナの香りが。

玩味すると中程度の大きさの旨味の塊が、平滑になった表面に薄っすらととろみ層を乗せて、ゆったりとしたムードで忍び入ってきます。

受け止めて保持すると、促されるままに素直に膨らみ、拡散して、適度な大きさのウエットな粒々を連射してきます。

 

粒から滲み出てくるのは甘味8割、旨味2割。

甘味は水飴をやや薄めたタイプで、旨味はシンプルながらもいろいろなコクが織り上がった印象で、両者は足並みを揃えて、流麗なムードで踊ります。

 

流れてくる含み香は素朴なジューシーな甘い香りでデコレート。

後から酸味は多めに、渋味は適量現れて、青リンゴ主体の酸味は甘旨味に溶け込んでクリアな甘酸っぱい、ジュースの世界を描き、渋味は全体を引き締めて、終盤まで全体がダレることなく続き、飲み下した後の余韻も細く短い甘酸の世界でした。

 

 

それでは、萩野酒造のお酒、最後の4本目をいただくことにします。

 

お酒の情報(26年154銘柄目)

銘柄名「メガネ専用 生原酒 2025BY」

酒蔵「萩野酒造(宮城県栗原市)」

分類「純米酒」「生酒」

原料米「不明」

酵母「不明」

精米歩合「不明」

アルコール度数「15度」

日本酒度「不明」

酸度「不明」

情報公開度(瓶表示)「×」

標準小売価格(税込み)「720ml=1750円」

評価「★★★★★(7.6点)」

 

自宅の晩酌に宮城県栗原市の萩野酒造さんのお酒をまとめて取り寄せて、飲み比べをしました。

 

2本目はこれです。

 

 

「萩の鶴(はぎのつる)純米吟醸 辛口」。

 

最近の酒造りの状況について、蔵元杜氏の佐藤善之さんは次のように話してくれました。

*************

数年前から高温障害で米が異様に硬くなり、溶けなくて、苦味が出るようになりました。

これに対応するにはより甘くするか、あるいはより濃くしなければなりません。

うちのすっきりした甘旨味の酒とは違う方向になってしまうので、苦労しています。

使っている米は山田錦、雄町、美山錦、吟のいろは、蔵の華と一般米です。

 

 

高温障害でどの米も溶けにくくなっているのですが、山田錦だけは後溶けして、切れが悪くなるので、細心の注意を払っています。

あと、最近は酒母造りに中温速醸を取り入れる蔵が増えていますが、うちでは、仕込み計画の進行をにらんで、8~9日の中温か、12~13日の普通かを決めています。

***************

 

さて、2本目にいただくお酒は55%精米の純米吟醸、甘さを切った辛口の火入れです。

 

 

上立ち香は細めの酒エキスの香り。

口に含むと中程度の大きさの旨味の塊が、よく踏み固められた表面に打ち粉を振って、サラサラな感触を振りまきながら、軽快に駆け込んできます。

受け止めて保持すると、促されるままにキビキビとした態度で膨らみ、拡散して、適度な大きさのガラス玉様の粒々を速射してきます。

 

粒から滲出してくるのは甘味5割、旨味5割。

甘味は上白糖系の儚いタイプで、登場した次の瞬間に昇華して、取り残された旨味が、鋭角的に駆け回ります。

 

流れてくる含み香はモノトーンの酒エキスの香りで薄化粧を付与。

後から酸味は少量、渋味はそれよりも多めに現れて、渋味がきっちりとメリハリを施します。

味わいは終盤まで凪のような状態で、淡々と旨味の世界が続くのでした。

 

 

これまた、食中酒のお手本でした。

それでは、萩野酒造のお酒、3本目をいただくことにします。

 

お酒の情報(26年153銘柄目)

銘柄名「萩の鶴(はぎのつる)純米吟醸 辛口 2025BY」

酒蔵「萩野酒造(宮城県栗原市)」

分類「純米吟醸酒」

原料米「不明」

酵母「不明」

精米歩合「55%」

アルコール度数「15度」

日本酒度「不明」

酸度「不明」

情報公開度(瓶表示)「○」

標準小売価格(税込み)「720ml=1980円」

評価「★★★★★(7.6点)」

自宅の晩酌に宮城県栗原市の萩野酒造さんのお酒をまとめて取り寄せて、飲み比べをしました。

1本目はこれです。

 

 

「萩の鶴(はぎのつる)特別純米 吟のいろは」。

 

先日、萩野酒造が主催する「きき酒会」に参加した時の報告をしましたが、実はその前日、佐藤善之専務(杜氏)と会って、じっくりとお話を聞くことができました。

彼と話をするのは2020年1月以来、6年ぶりでした。

前回蔵にお邪魔した目的はSAKECOMPETITION2019において、40歳以下の若手杜氏のナンバーワンとなる「若手奨励賞」を佐藤さんが獲得したからでした。

 

 

当時の佐藤さんは37歳で、2006BYに杜氏になって10年余り。

酒造りにも安定感が出てきた頃でした。

あれから6年が経ち、佐藤さんも44歳になり、再会して感じたのは、やはり、貫禄のような安定感でした。

この間、売り上げも順調に増え、コロナ禍の影響は最小限で済み、2025BYは仕込み50本で、あと少し増やすと蔵の能力の上限になるそうです。

ご同慶の至りです。

 

さて、いただくお酒は吟のいろは60%精米の特別純米、火入れです。

 

 

上立ち香はオーソドックスな酒エキスの香り。

玩味すると中程度の大きさの旨味の塊が、平滑になった表面に打ち粉を振って、サラサラな感触をアピールしながら、まっしぐらに滑り込んできます。

受け止めて保持すると、促されるままに素直に膨らみ、拡散して、適度な大きさのガラス玉様の粒々を連射してきます。

 

粒から滲み出てくるのは甘味7割、旨味3割。

甘味はザラメ糖系の潤いのあるタイプ、旨味はシンプル無垢でうぶなコクが細く織り上がった印象で、両者は足並みを揃えて、ちょうどよいバランスで踊ります。

 

流れてくる含み香はうっすらとしたメロンの香りで薄化粧を付与。

後から酸味は少量、渋味はそれよりも多めに現れて、味わい全体を適度に包み込んで引き締めます。

終盤まで甘旨味の活力は維持され、最後に反転縮退して、一気に昇華していきました。

 

 

食事と共にいくらでも飲める仕上がりでした。

それでは、萩野酒造のお酒、2本目をいただくことにします。

 

お酒の情報(26年152銘柄目)

銘柄名「萩の鶴(はぎのつる)特別純米 吟のいろは 2025BY」

酒蔵「萩野酒造(宮城県栗原市)」

分類「特別純米酒」

原料米「吟のいろは」

酵母「不明」

精米歩合「60%」

アルコール度数「15度」

日本酒度「不明」

酸度「不明」

情報公開度(瓶表示)「○」

標準小売価格(税込み)「1800ml=3300円」

評価「★★★★★(7.6点)」

近年、飲み放題設定のある銘酒居酒屋で飲める日本酒のレベルが急ピッチで上昇しています。

どのぐらい飲み放題ができるお酒の質が上がっているかを、いろいろな店を巡り、散発的にご報告していきます。

 

第82弾は神楽坂の「のいえ」さんです。

 

 

のいえの飲み放題は50種類の日本酒を2時間半(LO2時間)で2999円とかなりお得です。

しかも、食事はアラカルトでOKなのです。

さらに、ランチタイム(1130~1400)でも飲み放題が可能でした。

このため、昼飲みを楽しもうと、友人と昼時にお邪魔しました。

日本酒が収容されている冷蔵庫の真正面のカウンターに陣取りました。

 

1本目にいただいたのはこれです。

 

 

「町田酒造(まちだしゅぞう)純米吟醸55」。

群馬県前橋市の町田酒造店さんが醸しているお酒です。

 

直汲みなのでガス感がたっぷりあって,爽快。1杯目には最適でした。

7.7点.

 

2本目はこれです。

 

 

「ん 純米」。

青森県弘前市の三浦酒造さんが醸しているお酒です。

 

甘さをしっかり押さえて、旨味がじっくりと舌に絡まりました。

7.6点.

 

3本目はこれです。

 

 

「本金(ほんきん)純米 山恵錦」。

長野県諏訪市の酒ぬのや本金酒造さんが醸しているお酒です。

 

とろみの強い甘味が旨味と共に、濃厚な亜熱帯の世界を描きました。

7.55点。

 

4本目はこれです。

 

 

「杉勇(すぎいさみ)生もと純米吟醸 生酒」。

山形県遊佐町の杉勇蕨岡酒造場さんが醸しているお酒です。

 

濃醇な甘旨味の踊りをたっぷりの酸味がしっかりと引き締めて、最後の切れ味も文句なしでした。

7.6点.

 

5本目はこれです。

 

 

「清嘹(せいりょう)純米吟醸」。

群馬県前橋市の町田酒造店さんが醸しているお酒です。

 

五味のバランスが良く、いくらでも飲めるタイプでした。

7.6点.

 

6本目はこれです。

 

 

「長珍(ちょうちん)純米65」。

愛知県津島市の長珍酒造さんが醸しているお酒です。

 

太めでたっぷりのサシの入った甘旨味が穏やかな雰囲気でゆったりと舞う雰囲気でした。

7.55点。

 

7本目はこれです。

 

 

「越生梅林(おごせばいりん)純米 生貯蔵酒」。

埼玉県越生町の佐藤酒造店さんが醸しているお酒です。

 

スタンダードな甘旨味が無駄なく、奇麗に舞いますが、メリハリが不足して、終盤に疲れが見えました。

7.5点.

 

 

この後も、「亀泉」「七冠馬」「雅山流」などをいただきましたが、感想をメモするのを忘れてしまいましたが、いずれも合格点の美酒でした。

 

のいえさんは店が2階建てになっていて、日本酒の冷蔵庫は2階にもあって、しかも、銘柄が異なるので、選ぶのが大変でした。自分で好きなだけ、注げるし、酒肴は自分で選べるので、自由度が高く、非常に満足します。

4.8点(★★★★★)をつけさせていただきました。

ごちそうさまでした。

 

総合評価が4.8点以上の5つ星の秀逸飲み放題居酒屋は以下の通りです。

常笑(中野)、かぐら(神田)、フィッシュ・オン・ディッシュ・ロリー(板橋)、ししくら(池尻大橋)、炭火焼鳥煙(門前仲町)、八福寿家(恵比寿)、カミヤ酒場(小伝馬町)、鳥酎はなれ(飯田橋)、ナイン(船橋)、バルカミヤ(小伝馬町)、のすけ(明大前)、GASHUE(仲御徒町)、居酒屋純ちゃん(荒木町)、つくしのこ(池尻大橋)、サケラボトーキョー(十条)、日がさ雨がさ(四谷三丁目)、MrHappy(神保町)、のいえ(神楽坂)、オールザットジャズ(荒木町)、まき野(高田馬場)

自宅の晩酌にお酒を選びました。

これです。

 

 

「祥雲金龍(しょううん・きんりゅう)純米吟醸」。

宮城県大崎市の一ノ蔵さんが醸しているお酒です。

 

一ノ蔵には本社蔵のほかに、栗原市に金龍蔵があって、このお酒は金龍蔵で造られています。

 

金龍蔵は幕末の1862年に現地で創業。

糀屋酒造店が小規模の酒造りをしてきました。

それを1991年に一ノ蔵が事業を引き継ぎ、本社蔵とは別に手造り・小仕込みの酒造りを続けています。

このため、本社蔵と金龍蔵には長年、異なる杜氏と蔵人たちが酒造りをし、全国新酒鑑評会や南部杜氏自醸清酒鑑評会には蔵がそれぞれ出品しています。

 

 

全国新酒鑑評会の方は両蔵がほぼ同じ数だけ金賞を獲得しています。

杜氏は本蔵が門脇豊彦氏、金龍蔵が照井丸実氏で長年、切磋琢磨をしてきましたが、照井さんが80歳を超えて引退したため、現在は両蔵ともに門脇さんが杜氏をしています。

ただ、二つの蔵は車で1時間ほどの距離なので、いずれ、どちらかの杜氏が別の人になるのではないかと思います。

 

さて、いただくお酒は蔵の華60%精米の純米吟醸酒、火入れです。

 

 

上立ち香はオーソドックスな酒エキスの香りが。

口に含むと中程度の大きさの旨味の塊が、平滑になった表面に油膜を張って、つるりとした感触を強調しながら、しなやかな態度で滑り込んできます。

受け止めて保持すると、促されるままに素直に膨らみ、拡散して、適度な大きさのガラス玉様の粒々を速射してきます。

 

粒から滲出してくるのは甘味6割、旨味4割。

甘味はザラメ糖系の幅のあるタイプ、旨味は複数のコクが織り上がった印象で、両者はお互いに遠慮がちな雰囲気でそれぞれが独自に踊る雰囲気なのです。

流れてくる含み香も地味めな酒エキスの香り。後から酸味は皆無、渋味が少量現れて隠し味役に留まります。

甘旨味は無駄のない優等生的な舞いを淡々と展開し、終盤にはやや緩くなりながら、喉の奥へと吸い込まれていきました。

 

 

もうすこしメリハリが欲しかったです。

 

お酒の情報(26年151銘柄目)

銘柄名「祥雲金龍(しょううん・きんりゅう)純米吟醸 2025BY」

酒蔵「一ノ蔵(宮城県大崎市)」

分類「純米吟醸酒」

原料米「蔵の華」

酵母「不明」

精米歩合「60%」

アルコール度数「15度」

日本酒度「不明」

酸度「不明」

情報公開度(瓶表示)「○」

標準小売価格(税込み)「720ml=1980円」

評価「★★★★★(7.5点)」

自宅の晩酌にお酒を選びました。

これです。

 

 

「鳴海(なるか)YK66 純米 直詰生酒」。

千葉県勝浦市の東灘醸造さんが醸しているお酒です。

 

先日、東灘醸造に関する驚きのニュースが飛び込んできました。

近年、「鳴海」を千葉の地酒のトップグループ群に押し上げた菊池譲杜氏が、2025BYを最後に蔵を去ることになったのです。

菊池さんの酒造りのキャリアは神奈川県の大矢孝酒造から始まります。

ここでは、蔵元の大矢俊介さんが同世代で仲が良く、もう一人の蔵人の三人で、新しい銘柄の「残草蓬莱」を育て上げ、2015年頃には「大矢孝の三銃士」と呼ばれたこともあったのです。

 

 

その菊池さんは、おそらく杜氏として声をかけられたためでしょう、茨城県の明利酒類の杜氏に2016BYに転出しました。

明利酒類では「水府自慢10号」という新しい銘柄を立ち上げて話題を呼んだのですが、なぜか3造りで明利酒類を去り、2019BYには栃木県の杉田酒造へ移籍。

ところが、杉田酒造には1造りしかおらず、2020BYに東灘醸造に移ってきたのでした。

こちらでも、菊池さんの好奇心と腕前で「鳴海」シリーズの商品ラインナップは活性化し、今度こそはずっと東灘醸造にいるのではと思っていたので、空太郎としても驚愕です。

しかも、今回は移籍先が決まらないままの退職なので、首をかしげる次第です。

 

 

ちなみに、東灘醸造の来季の杜氏は、菊池さんの下にいた蔵人の堀部修一さんが就くそうです。

堀部さんは秋鹿酒造から移ってきて3年が経過しています。

秋鹿酒造は蔵として自力での米栽培に力を入れており、堀部さんも勝浦で山田錦の栽培に挑戦中です。

 

さて、お酒ですが、秋田酒こまち66%精米の、純米酒、直汲み生酒です。

 

 

上立ち香はキャラメルの甘い香り。

玩味すると中程度の大きさの旨味の塊が、平滑になった表面に気泡入りのとろみ層を乗せて、前後左右に揺れながら転がり込んできます。

受け止めて保持すると、自律的に軽快に膨らみ、拡散して、適度な大きさのガラス玉様の粒々を連射してきます。

 

粒から滲み出てくるのは甘味8割、旨味2割。

甘味はカラメル系のどろりとしたタイプ、旨味はシンプル無垢ながらも個性的なコクを秘めており、両者は足並みを揃えて、端から艶っぽい賑やかな舞いを披露します。

 

流れてくる含み香もカラメルの押しの強い香り。

後から酸味が大量に、渋味が少量現れて、酸味はすぐに甘旨味の舞いに加わって、甘酸っぱいジュースの世界へといざないます。

渋味も加わり、暑さと涼しさがまだら模様となったカーニバルが続き、そのまま終幕を迎えるのでした。

 

 

菊池さんが去っても、この味わいは継承できるのでしょうか。

心配です。

 

お酒の情報(26年150銘柄目)

銘柄名「鳴海(なるか)YK66 純米 直詰生酒 2025BY」

酒蔵「東灘醸造(千葉県勝浦市)」

分類「純米酒」「無濾過酒」「生酒」「原酒」「直汲み酒」

原料米「秋田酒こまち」

酵母「協会6号」

精米歩合「66%」

アルコール度数「11度!」

日本酒度「不明」

酸度「不明」

情報公開度(瓶表示)「○」

標準小売価格(税込み)「720ml=1980円」

評価「★★★★★(7.6点)」