酔い人「空太郎」の日本酒探検

酔い人「空太郎」の日本酒探検

意欲ある先進地酒蔵のお酒をいただき、その感想を報告します。
SAKETIMESにも連動して記事を載せます。

自宅の晩酌にお酒を選びました。

これです。

 

 

「雪の茅舎(ゆきのぼうしゃ)美酒の設計 純米吟醸 生酒」。

秋田県由利本荘市の斎彌酒造店さんが醸しているお酒です。

 

斎彌酒造店では30年前から、酵母を外部から買わずに、自分の蔵で培養して保管し、使っています。

「協会酵母を使っていれば、他の酒蔵とのお酒の違いがなくなりかねない。優れた醪から回収した酵母を培養し、それを繰り返せば理想的な酵母がみつかるはず」

との高橋藤一杜氏の考えからだそうです。

長年探しているのは低温でもしっかり発酵する酵母で、そのスタートラインは10.5度以下の品温できっちり発酵すること。さらに、高橋さんの目標は5度でも発酵する酵母を見つけることだそうです。

 

 

30年かかって、この基準をクリアして15度台の原酒になる酵母を10点ほど見つけて、蔵に保管しているそうです。

蔵の3大方針が「櫂入れ無し」「加水無し」「炭濾過無し」なので、仕込みの途中に追い水をして低アルコール原酒を造るのには抵抗があるようなのです。

醪は酵母に委ねるという高橋哲学によるものですね。

すごいです。

 

さて、本日いただくのは、蔵の主力商品「雪の茅舎」よりは華やかな銘柄としてリリースしているお酒です。

山田錦55%精米の純米吟醸、無濾過生原酒です。

 

 

上立ち香はまさに正統派カプロン酸エチルの甘い香り。

玩味すると中程度の大きさの旨味の塊が、平滑になった表面に油膜を張って、ツルツルの感触をアピールしながら、軽やかなスピードで転がり込んできます。

受け止めて保持すると、促されるままに素直に膨らみ、拡散して、適度な大きさのガラス玉様の粒々を速射してきます。

 

粒から滲出してくるのは甘味8割、旨味2割。

甘味はザラメ糖系ながらもさらに洗練された印象、旨味はシンプル無垢で鏡面のようなタイプで、両者は足並みを揃えて半ば浮き上がりながら、ふわふわとした柔らかな舞いを披露します。

 

流れてくる含み香もカプロン酸エチルたっぷりのジューシーな香りでデコレート。

後から酸味と渋味が少量現れて、薄氷の輪郭を施します。甘旨味は心地よさそうに含み香とハーモニーを奏で、終盤になると都会的なコクがじわりと広がって余韻に加わるのでした。

 

 

まさに、正統派の甘くて吟な酒でした。

 

お酒の情報(26年149銘柄目)

銘柄名「雪の茅舎(ゆきのぼうしゃ)美酒の設計 純米吟醸 生酒 2025BY」

酒蔵「斎彌酒造店(秋田県由利本荘市)」

分類「純米吟醸酒」「無濾過酒」「生酒」「原酒」

原料米「山田錦」

酵母「自家培養」

精米歩合「55%」

アルコール度数「16度」

日本酒度「不明」

酸度「不明」

情報公開度(瓶表示)「△」

標準小売価格(税込み)「720ml=2090円」

評価「★★★★★(7.6点)」

自宅の晩酌にお酒を選びました。

これです。

 

 

「鳳凰美田(ほうおうびでん)酒未来 純米大吟醸 無濾過本生」。

栃木県小山市の小林酒造さんが醸しているお酒です。

 

小林酒造がジャパニーズウイスキー市場に参入します。日光市内に約25000㎡の土地を確保し、ここに「日光蒸溜所」を建設します。

総投資額16億円、今年(2026)秋に竣工し、10月から稼働させます。

シングルモルトウイスキーが発売されるのは2029年暮れになるでしょう。

小林酒造は日本酒の鳳凰美田の売り上げが好調で、小山市内に第二蔵を完成させていますし、それに先立って、大ヒットしたリキュールの新工場も作っています。

そして、いよいよウイスキーです。

 

 

小林酒造の2023年度の年間売上高は12億円ですが、ウイスキー市場への参入と日本酒とリキュールのさらなる拡販で、10年後の年間売上高を45億円まで押し上げるとしています。

野心的な計画です。

頑張ってほしいです。

 

さて、いただくお酒は山形・高木酒造の協力のもと、入手した酒未来50%精米の純米大吟醸、無濾過生原酒です。

 

 

上立ち香はまさにカプカプのフルーティーな香りがたっぷりと。

口に含むと中程度の大きさの旨味の塊が、平滑になった表面に油膜を張って、すべすべの感触を振りまきながら、ワルツを踊るようにして忍び入ってきます。

受け止めて保持すると、促されるままに素直に膨らみ、拡散して、適度な大きさのクリスタル様の粒々を連射してきます。

 

粒から滲み出てくるのは甘味8割、旨味2割。

甘味は99.9%純度の高品位なタイプ、旨味はシンプル無垢で、超滑らかなテクスチャーで、両者は足並みを揃えて無駄のない、流れるような舞いを見せます。

 

やってくる含み香もカプロン酸エチルたっぷりのジューシーな色香でデコレート。

後から酸味と渋味が僅少現れて、薄氷の輪郭を施します。

甘旨味は心地よさそうに含み香とハーモニーを奏で、飲み下した後の余韻も爽やかな甘い香りと味わいでした。

 

 

美しい純米大吟醸でした。

 

お酒の情報(26年148銘柄目)

銘柄名「鳳凰美田(ほうおうびでん)酒未来 純米大吟醸 無濾過本生 2025BY」

酒蔵「小林酒造(栃木県小山市)」

分類「純米大吟醸酒」「無濾過酒」「生酒」「原酒」

原料米「酒未来」

酵母「不明」

精米歩合「50%」

アルコール度数「16~17度」

日本酒度「不明」

酸度「不明」

情報公開度(瓶表示)「△」

標準小売価格(税込み)「720ml=2200円」

評価「★★★★★(7.6点)」

 

自宅の晩酌にお酒を選びました。

これです。

 

 

「宝山浪の音(ほうせんなみのおと)純米 無濾過生原酒」。

宮城県名取市の佐々木酒造店さんが醸しているお酒です。

 

佐々木酒造店の新しい蔵に久しぶりにお邪魔しました。

蔵元の佐々木洋さんの案内で、蔵の中を見学し、その後、販売店に移って、いろいろなお酒をテイスティングさせてもらいました。

その間もお酒を買いに来る人がひきもきらない状態でした。

 

 

津波で流された佐々木酒造店の新しい蔵があるのは震災後、国が大量の土砂を入れてかさ上げした閖上地区にあります。

道路を挟んで反対側には「閖上かわまちテラス」という複合商業施設ができて、これが復興のシンボルになっています。

名取川の堤防の脇にあって、眺めも素晴らしく、施設の半分以上が飲食店ということもあって、週末はとってもたくさんの客でにぎわいます。

そうしたお客の一部が佐々木酒造店にも流れてきており、これがお酒の売り上げ増に貢献しているようでした。

ご同慶の至りです。

 

さて、その時、いろいろテイスティングをした中で一番気になって、購入したのがこのお酒です。

 

名取市産蔵の華、90%精米の純米酒、無濾過生原酒です。

 

 

上立ち香は原色系のカラフルな酒エキスの香りがどっしりと。

玩味すると中程度の大きさの旨味の塊が、平滑になった表面に厚めにとろみ層を乗せて、その表面を波立たせながら駆け込んできます。

受け止めて保持すると、とろみ層が一気に飛び散って、無数の粘っこい粒々となって四散してきます。

 

粒から現出してくるのは甘味6割、旨味4割。

甘味はザラメ糖系の湿潤なタイプ、旨味は個性的で多彩なコクが重層化した印象で、両者は足並みを揃えて、賑やかで熱帯系の原色の踊りを見せます。

 

流れてくる含み香も濃醇なエキスの香りで派手めにデコレート。

後から酸味と渋味も相当量現れて、これが多彩でややブヨブヨとした味わいを強く引き締めるのです。

甘旨味は刺激を受けて、活力を維持しつつ、終盤まで熱気のこもったカーニバルの世界を描き切るのでした。

 

 

90%精米の純米酒としては、予想以上の仕上がりでした。

 

お酒の情報(26年147銘柄目)

銘柄名「宝山浪の音(ほうせんなみのおと)純米 無濾過生原酒 2025BY」

酒蔵「佐々木酒造店(宮城県名取市)」

分類「純米酒」「無濾過酒」「生酒」「原酒」

原料米「名取市産蔵の華」

酵母「不明」

精米歩合「90%」

アルコール度数「17度」

日本酒度「不明」

酸度「不明」

情報公開度(瓶表示)「△」

標準小売価格(税込み)「720ml=1540円」

評価「★★★★★(7.55点)」

自宅の晩酌にお酒を選びました。

これです。

 

 

「酒米 菊水(さかまい・きくすい)純米大吟醸」。

新潟県新発田市の菊水酒造さんが醸しているお酒です。

 

菊水酒造は酒などの直売所、イベントスペース、カフェからなる新施設「KIKUSUI蔵GARDEN」を本社事務所の隣に完成させました。

このほど、現地に足を運びました。

 

 

建物に入ると広がるのが販売所。

日本酒のほか、地域の産物も揃えてあり、常時6種類の日本酒がコインで試飲できるサーバーもあります。

店の人によると、菊水酒造が自社精米で出た米ぬかから引き取り先の油脂会社が造った米ぬか油で作ったポテトチップスが限定販売されていますが、これがSNSで話題になり、毎日、朝並べると数時間で売り切れになるそうです。

 

 

販売所の奥にあるのがラボ。

日本酒に限らず発酵全般をテーマにして、日本酒になじみのない若い世代も呼び込めるような体験型イベントやワークショップを開くスペースです。

地元の業者と組んで、酢飯、地ビール、発酵茶などのワークショップ、酒器を使ってコーヒーを味わう教室、味覚センサーを使って鮨と日本酒のペアリングを楽しむ企画、野菜ソムリエを講師に招いて粕床づくり教室などを開いています。

子供向けには地元パン屋と組んで酒粕スコーン作り教室を開催しているようです。

 

 

そして、販売所&ラボの奥に別の部屋でカフェがあります。

枯山水の日本庭園が眺められるように一面ガラス張り。メニューには発酵食材を中心にして、昼食や喫茶の客を集められるようにしている。

日本酒飲み比べセットも。

 

 

旧事務所棟を取り壊した新施設は移転した事務所棟建設と合わせて、総工費は15億円と驚きの金額です。

さすが、日本酒のアルミ缶市場の過半を握る菊水酒造だけあります。 

オープンして約1年になりますが、来場者は3万人を超えて、蔵の目標(15000人)を大幅にクリアしました。

隣接した土蔵に手を入れて、トークショーやミニコンサートなども実施しており、2年目以降も集客に力を入れていく構えです。頑張ってください。

 

さて、いただくお酒は販売所に売っていたお酒です。

使っている酒米は偶然、蔵の名前と同じ菊水ですが、一度廃れた米を菊水酒造が種籾から復活させたものです。

40%精米の純米大吟醸、火入れです。

 

 

上立ち香は削った純米大吟醸にしては、甘さを抑えた香りが微かに。

玩味すると中程度の大きさの旨味の塊が、平滑になった表面に打ち粉を振って、サラサラな感触を振りまきながら、淡々としたムードで忍び入ってきます。

受け止めて保持すると、促されるままに素直に膨らみ、拡散して、適度な大きさのガラス玉様の粒々を連射してきます。

 

粒から滲出してくるのは甘味6割、旨味4割。

甘味はザラメ糖系のトロっとしたタイプ、旨味は不思議なコクが織り上がっていて、両者は足並みを揃えて、静かでモノトーンの世界を描きます。

 

流れてくる含み香はオーソドックスな酒エキスの香り。

後から酸味は無く、渋味が結構な量現れて、さらに全体を強く引き締めるのです。

ただし、ユニークなコクは終盤に向けて存在感を増し、飲み下した後の余韻も、この不思議なコクでした。

 

 

純米大吟醸としては、型破りの味わいでした。

 

お酒の情報(26年146銘柄目)

銘柄名「酒米 菊水(さかまい・きくすい)純米大吟醸 2025BY」

酒蔵「菊水酒造(新潟県新発田市)」

分類「純米大吟醸酒」

原料米「菊水」

酵母「不明」

精米歩合「40%」

アルコール度数「15度」

日本酒度「不明」

酸度「不明」

情報公開度(瓶表示)「△」

標準小売価格(税込み)「720ml=3070円」

評価「★★★★★(7.5点)」

船橋の魅力的な飲み放題居酒屋の「ナイン」さんにお邪魔しました。

今夜も美味しい酒をたくさんいただきましたが、気になったお酒を紹介します。

 

2本目はこれです。

 

 

「常山(じょうざん)極 芳醇辛口 純米大吟醸」

福井市の常山酒造(とこやましゅぞう)さんが醸しているお酒です。

 

常山酒造は9代目蔵元の常山晋平さんが2022年から社長兼杜氏になっています。

常山さんは1985年生まれ。関西学院大学在学中に父上が亡くなり、急遽、母が“中継ぎ”として蔵元社長になりました。

このため、大学卒業後は大関で営業職として4年働き、2011年に帰蔵。

前任杜氏の下で修業し、酒類総合研究所の長期研修も受けて、2014BYから杜氏になりました。

 

 

空太郎はある程度の技術を習得して自信を持ってバトンを受け継いだと当時は思っていましたが、実はまだ修行の期間は短く、杜氏1年目は不安で仕方がなかったようです。

そこに手を差し伸べたのが、父上の時代から交流のあった長野・大信州酒造だったそうです。

杜氏1年目は頻繁に大信州の製造責任者であった田中勝巳さんに電話で相談をしてなんとか乗り切りました。

 

 

田中さんはその後、長野の新しい酒蔵、甍酒蔵の杜氏に移っていますが、空太郎が取材した時も、田中さんは「常山君は大事な教え子。いまでも造りのオフの時は会って、あれこれアドバイスをしています」と話していました。

頼もしい先輩がいるのですね。

 

さて、今夜いただくお酒は、地元産五百万石、50%精米の純米大吟醸、火入れです。

 

 

上立ち香からやや硬めの酒エキスの香りが。

口に含むと中程度の大きさの旨味の塊が、平滑になった表面に打ち粉を振って、サラサラな感触をアピールしながら、キビキビとした態度で駆け込んできます。

受け止めて保持すると、自主的に膨らみ、拡散して、適度な大きさのガラス玉様の粒々を速射してきます。

 

粒から滲み出てくるのは甘味6割、旨味4割。

甘味は上白糖系の儚いタイプで次の瞬間には昇華して、主役を旨味に委ねます。

鍛え上げられた筋肉質の旨味は鋭く弾みながらモノトーンの世界を描きます。

 

流れてくる含み香はオーソドックスな酒エキスの香り。

後から酸味は僅少、渋味が多めに現れて、さらに味わいを淡く、ハードボイルドの世界へといざない、そのまま終盤を迎えて、一気に反転縮退して昇華していきました。

 

 

芳醇辛口の表示らしい仕上がりでした。

 

お酒の情報(26年145銘柄目)

銘柄名「常山(じょうざん)極 芳醇辛口 純米大吟醸 2025BY」

酒蔵「常山酒造(福井市)」

分類「純米大吟醸酒」

原料米「地元産五百万石」

酵母「不明」

精米歩合「50%」

アルコール度数「16度」

日本酒度「不明」

酸度「不明」

情報公開度(瓶表示)「△」

標準小売価格(税込み)「1800ml=4620円」

評価「★★★★★(7.55点)」

 

船橋の魅力的な飲み放題居酒屋の「ナイン」さんにお邪魔しました。

今夜も美味しい酒をたくさんいただきましたが、気になったお酒を紹介します。

 

1本目はこれです。

 

 

「宗玄(そうげん)初しぼり 純米生原酒」。

石川県珠洲市の宗玄酒造さんが醸しているお酒です。

 

宗玄酒造は2024年1月に発生した能登半島地震では、蔵は鉄筋コンクリートで被害はなかったものの、停電と断水に見舞われて、酒造りがストップしました。

搾る寸前だった醪がありましたが、停電で圧搾機が使えず、どうするか思案した結果、蔵人からの提案で全量を袋吊りすることにしたのです。

 

 

仕込み単位が大きいので袋吊りする作業も大変だったと推察しますが、これを「復興の酒」として発売しました。

四合瓶2本セットで税込み25000円には仰天しましたが、そのうち1万円は地元珠洲市の復興資金として寄付するということで、さすがだなと思いました。

その後、酒造りは2024BYから平常通りに戻っています。

 

さて、いただくお酒は地元産石川門、65%精米の純米、生原酒です。

 

 

上立ち香からチクチクとしたセメダインの香りが仄かに。

玩味すると中程度の大きさの旨味の塊が、平滑になった表面に薄っすらととろみ層を乗せて、エネルギッシュな態度で駆け込んできます。

受け止めて保持すると、自律的にぐんぐんと膨らみ、拡散して、適度な大きさのガラス玉様の粒々を連射してきます。

 

粒から滲出してくるのは甘味7割、旨味3割。

甘味はとろりとした粘っこいタイプ、旨味も多彩なコクが重層化した印象で、両者は足並みを揃えて、重々しくクラシカルな舞いを披露します。

 

そこに流れてくる含み香は酢酸エチルのセメダイン系の香りがたっぷりで、甘旨味の重厚な舞いを囃します。

後から酸味と渋味が少量現れて薄氷の輪郭を付与します。

甘旨味は終盤までへたれることなく、元気よく艶を放ち続け、最後に飲み下した後の余韻は短く、鋭角的でした。

 

 

搾りたて生酒でよく出会う仕上がりでした。

 

お酒の情報(26年144銘柄目)

銘柄名「宗玄(そうげん)初しぼり 純米生原酒 2025BY」

酒蔵「宗玄酒造(石川県珠洲市)」

分類「純米酒」「生酒」「原酒」

原料米「地元産石川門」

酵母「不明」

精米歩合「65%」

アルコール度数「18度」

日本酒度「不明」

酸度「不明」

情報公開度(瓶表示)「△」

標準小売価格(税込み)「720ml=1705円」

評価「★★★★★(7.5点)」

自宅の晩酌にお酒を選びました。

これです。

 

 

「高尾の天狗(たかおのてんぐ)純米吟醸」。

長野県諏訪市の舞姫さんが醸しているお酒です。

 

酒蔵が市内から消滅した東京都八王子市の有志が、

「八王子にもう一度酒蔵を復活させよう。それにはまず、全量八王子産の米で酒を造らなければ」

と動き出したのが2010年を回ってから。

そして、有志の一人の西仲鎌司さんが長野の舞姫の事業を引き継ぎ、2014BYに誕生したのが「高尾の天狗」です。

 

 

その後、西仲さんは八王子市内に清酒醸造拠点を作る方針を固め、晴れて2022年暮れに東京八王子酒造が誕生しました。

そうなれば、八王子で作った米で八王子で酒を造るという有志の最終目標も近いのではないかと期待していたのですが、4造りが過ぎた現在も醸造拠点の移転は果たされていません。

当初は八王子が超ミニプラントのうえ、蔵人の習熟が必要というのが理由だったはずですが、4年も経過すれば、そろそろ切り替えてもいいような気がするのですが、いかがでしょうか。

 

さて、いただくお酒は55%精米の純米吟醸、一回火入れです。

 

 

上立ち香はバランスの取れた芳醇な香りが。

口に含むと中程度の大きさの旨味の塊が、平滑になった表面に打ち粉を振って、サラサラな感触をアピールしながら、軽快に滑り込んできます。

受け止めて保持すると、促されるままに流れるように膨らみ、拡散して、適度な大きさのガラス玉様の粒々を速射してきます。

 

粒から滲み出てくるのは甘味7割、旨味3割。

甘味はザラメ糖系の幅のあるタイプ、旨味はシンプル無垢でうぶなコクが織り上がった印象で、両者は足並みを揃えて、滑らかなワルツを踊ります。

 

流れてくる含み香は可憐で高品質な甘い香りでデコレート。

後から酸味が適量、渋味が少量現れて、クリアでナチュラルなメリハリを施します。

甘旨味は無駄に広がらずに、鍛え上げられた筋肉質の踊りで終幕を迎えるのでした。

 

 

極上の仕上がりでした。

 

お酒の情報(26年143銘柄目)

銘柄名「高尾の天狗(たかおのてんぐ)純米吟醸 2025BY」

酒蔵「舞姫(長野県諏訪市)」

分類「純米吟醸酒」

原料米「不明」

酵母「不明」

精米歩合「55%」

アルコール度数「16度」

日本酒度「不明」

酸度「不明」

情報公開度(瓶表示)「△」

標準小売価格「720ml=1925円」

評価「★★★★★★(7.65点)」

 

自宅の晩酌に神奈川県相模原市の久保田酒造さんのお酒をまとめて取り寄せて、飲み比べをしました。

最後の3本目はこれです。

 

 

「相模灘(さがみなだ)酒蔵学校 タンク54号 直汲み」。

 

久保田酒造が冬場に実施している酒造り体験企画「相模灘 酒蔵学校」の参加報告の続きです。

 

昼食後はまず、仲麹の出麹作業でした。

箱の中に布で包まれた麹を崩して細かくする。

これも素手で。

3箱(25㌔)あったので、2人1組になって、手を入れて、二つに小分けして、包んで、重量を測定したうえで、出麹部屋に運んで枯らします。

薄く均して専用の道具で凹凸をつけて完成でした。

 

 

次に仕込み蔵に移動して、酒母を観察。

これは700㌔仕込みなので、酒母タンクがそのまま添え仕込みに使われるそうです。

この櫂入れを各自が実施(記念写真目的)。

 

続いて貯蔵蔵に移動。

久保田酒造は搾り行程の最初の荒走りと最後の責めを除いた中取りのみを通常商品とし、除いた酒はタンクにためて、適宜、別の商品として出荷しています。

純米大吟醸と純米吟醸、特別純米、本醸造の荒走りと責めが混ざって貯めてあるタンクから、自分で柄杓と漏斗を使って、720ml瓶に直詰めをしました。

直汲み生原酒というわけです。

最後に栓をして、ラベルを自身で貼って完成させ、これを土産として受け取りました。

 

 

ここで記念撮影して、体験企画は終了。

 

着替え後、別の場所に移動して、相模灘のお酒をたっぷりと試飲してから、橋本駅まで送ってもらいました。

 

そういうわけで、3本目にいただくのは、自分で直汲みしたブレンド酒になります。

 

 

上立ち香は多彩な酒エキスの香りが。

玩味すると中程度の大きさの旨味の塊が、平滑になった表面に油膜を張って、ツルツル、マロマロな感触を振りまきながら、優雅な雰囲気で滑り込んできます。

受け止めて保持すると、促されるままに素直に膨らみ、拡散して、適度な大きさのガラス玉様の粒々を連射してきます。

 

粒から現出してくるのは甘味7割、旨味3割。

甘味はとろりとしたまろやかなタイプ、旨味もいろいろなコクが溶けあった印象で、両者はゆったりとした余裕を見せながら、艶を放ちながら踊ります。

 

流れてくる含み香はこれまた多彩で可憐な香りがミックスしており、ゴージャスにデコレート。

後から酸味と渋味がほんの少し現れて、隠し味役に徹し、カラフルな甘旨味が終盤までおっとりとした雰囲気で踊りきるのでした。

 

 

楽しい蔵人体験企画の素敵なお土産でした。

 

お酒の情報(26年142銘柄目)

銘柄名「相模灘(さがみなだ)酒蔵学校 タンク54号 直汲み 2025BY」

酒蔵「久保田酒造(神奈川県相模原市)」

分類「不明」

原料米「不明」

酵母「不明」

精米歩合「60%(一番高い精米歩合を表示)」

アルコール度数「17度」

日本酒度「不明」

酸度「不明」

情報公開度(瓶表示)「△」

標準小売価格「720ml=非売品」

評価「★★★★★(7.55点)」

 

自宅の晩酌に神奈川県相模原市の久保田酒造さんのお酒をまとめて取り寄せて、飲み比べをしました。

2本目はこれです。

 

 

「相模灘(さがみなだ)純米吟醸 雄町」。

 

久保田酒造が冬場に実施している酒造り体験企画「相模灘 酒蔵学校」の参加報告の続きです。

 

 

10時の休憩が終わった後は洗米作業です。

長靴の代わりに透明のプラスチックの袋に足を突っ込み膝の部分でゴム輪を固定。

前掛けはやる時に交代で使います。

洗うのは翌日の掛米用の美山錦60%精米(330㌔)と山田錦65%精米の麹米(60㌔)でした。

洗米(1分)&シャワー(1分)はウッドソンで蔵人がやって、浸漬桶につけます。

 

 

浸漬後(12分前後)に脱水するのですが、それを天井の梁からぶら下げたゴム紐の先にある網製の金属の籠に浸漬を終えた米の袋を入れて、ぐるぐる巻きにして限界まで巻き上げたところで手を放します。

洗濯機の脱水機の要領で脱水し、籠が回り切ったらその勢いのままさらに反対方向に巻き上げて、もう一度回転脱水をさせて、終わり。

そのまま米を入れた袋を計量(目標吸水率32%)したうえで、甑に投入します。

 

 

この作業を6人が順番でやりました。

10キロごとの洗米で、40回以上繰り返すので、一人が4~5回体験。

多くの酒蔵はバキュームを使って脱水をするのでこの作業はなく、貴重な体験になりました。

 

1200に終了し、休憩室で昼食。

粕汁とおにぎりが出ました。

蔵元の久保田徹さんと奥様の加奈さんと一緒にいただきました。

2,3年常温で熟成させた酒粕を使った粕汁が美味かった。

 

午後の作業は明日。

 

2本目にいただくのは雄町50%精米の純米吟醸、一回火入れです。

 

 

上立ち香はイソアミルの遠慮がちな香りが。

口に含むと中程度の大きさの旨味の塊が、平滑になった表面に打ち粉を振って、サラサラな感触をアピールしながら、軽やかに滑り込んできます。

受け止めて保持すると、自律的に膨らみ、拡散して、適度な大きさのガラス玉様の粒々を速射してきます。

 

粒から滲出してくるのは甘味7割、旨味3割。

甘味はとろりとした水飴様、旨味はややざらついたテクスチャーの複数のコクが混ざり合った印象で、両者はいささかバランスが悪いのが、ギクシャクとした舞いを見せるのです。

 

流れてくる含み香はイソアミルの細い香りにとろりとした甘い香りが加わってデコレート。

後から酸味が少量、渋味が適量現れて、明快なメリハリを付与します。

甘旨味は終盤までマイペースを守りながら踊り続け、最後は反転縮退して、一気に昇華してスピードは1本目と同じでした。

 

 

それでは、久保田酒造のお酒、最後の3本目をいただくことにします。

 

お酒の情報(26年141銘柄目)

銘柄名「相模灘(さがみなだ)純米吟醸 雄町 2025BY」

酒蔵「久保田酒造(神奈川県相模原市)」

分類「純米吟醸酒」

原料米「雄町」

酵母「不明」

精米歩合「50%」

アルコール度数「16度」

日本酒度「不明」

酸度「不明」

情報公開度(瓶表示)「△」

標準小売価格「1800ml=3820円」

評価「★★★★★(7.55点)」

 

自宅の晩酌に神奈川県相模原市の久保田酒造さんのお酒をまとめて取り寄せて、飲み比べをしました。

1本目はこれです。

 

 

「相模灘(さがみなだ)純米吟醸 山田錦」。

 

久保田酒造は冬場に酒造り体験企画「相模灘 酒蔵学校」を開催しています。

日帰りですが、なかなかに中身の濃い内容と聞いていたので、空太郎も今回初めて参加をしました。

そのご報告です。

 

朝7時にJR橋本駅に集まったのは6人。

蔵の営業部長の運転で蔵まで30分弱。準備をして8時から仕事が始まりました。

 

 

まずは蔵のメンバーも全員集まって自己紹介と挨拶。

それから作業前の手洗い。石鹸とアルコールで消毒をしました。

8時に米が蒸し上がり、作業に加わります。甑には下の段に美山錦の掛米、上に山田錦の麹米が。

上の山田錦を自然放冷して麹室まで入れる作業に加わります。

蒸した米のひねりもちを各自がやって、食べてもOKでした。

 

 

麴室前の場所で放冷作業をします。

作業台の高さがしっかりあって、腰をかがめる必要がないので楽ちんでした。

室に入れるのは45度ぐらいで。

通常は40度を切って入れるが、人数が多いので、45度で入れるという。(人間の体温が36度だから?)。

二人一組で冷めた米を室に運び込む。

 

 

室に入れたら、ほぐして、均一の厚さにならす。

しっかり手を洗い、アルコール消毒をして、素手で作業でした。

種切りは杜氏と、参加が2回目という女性が担当。

散布量は60グラム(100㌔換算)で、半分に分けて、2回種切りをしました。

その後、包むまでに品温を30度まで下げようとしましたが、33度ぐらいからなかなか下がりません。

室が1部屋方式で出麹を待つ麹があって、室内の温度を大きく下げられないためと、体温が36度の人間が8人もいることも原因だということでした。

このため、米を集めて崩すを繰り返すこと7,8回。最終的に1時間以上、室で作業をしたので、しっかり汗をかきました。

 

ここで休憩時間になり、蔵元夫妻と一緒にお茶。酒に関する質問に気さくに答えてくれました。

 

続きは明日。

 

さて、1本目にいただくのは山田錦50%精米の純米吟醸、一回火入れです。

 

 

上立ち香はイソアミルの控えめな香りが遠慮がちに。

玩味すると中程度の大きさの旨味の塊が、平滑になった表面に打ち粉を振って、サラサラな感触をアピールしながら、軽快に転がり込んできます。

受け止めて保持すると、自律的に軽快に膨らみ、拡散して、適度な大きさのガラス玉様の粒々を連射してきます。

 

粒から滲み出てくるのは甘味7割、旨味3割。

甘味はとろりとした水飴様、旨味はややざらついたテクスチャーの木綿豆腐様で、両者は足並みを揃えて、キビキビとした鋭角的なダンスを踊ります。

 

流れてくる含み香は立ち香同様、イソアミルの細い香りで薄化粧を付与。

後から酸味が少量、渋味が適量現れて、味わいにしっかりをメリハリを施します。

甘旨味は終盤まで疲れを見せずにキビキビと踊り、最後は反転縮退して、一気に昇華していきました。

 

 

安心の相模灘でした。

それでは、久保田酒造のお酒、2本目をいただくことにします。

 

お酒の情報(26年140銘柄目)

銘柄名「相模灘(さがみなだ)純米吟醸 山田錦 2025BY」

酒蔵「久保田酒造(神奈川県相模原市)」

分類「純米吟醸酒」

原料米「山田錦」

酵母「不明」

精米歩合「50%」

アルコール度数「16度」

日本酒度「不明」

酸度「不明」

情報公開度(瓶表示)「△」

標準小売価格「1800ml=4060円」

評価「★★★★★(7.55点)」