自宅に福島県本宮市の大天狗酒造さんのお酒をまとめて購入し、飲み比べをしました。
2本目はこれです。
20年ぶりに自醸を再開しようとしたものの、主要な酒造設備はあらかた売り払ってしまっており、新たな設備投資が相当必要になることがわかりました。
しかし、伊藤滋敏さんは最小限の投資で済ませたく、福島県ハイテクプラザの指導員と相談をします。
そして、麹造りのための室は作らず、コンパクトな温蔵庫に加湿器と除湿機を置いて麹造りに挑んでいます。
種切りもここでやり、盛りや仲仕事、仕舞い仕事も温蔵庫の中でやり、出麹までは48時間と平均的な麹造りをしているようです。
端から乾燥麹を外部から購入してもいいのに、それは酒蔵のプライドが許さなかったのでしょう。
ただし、酵素力価が足らない時は酵素剤を追加しているものと想像します。
さて、2本目は1本目と同じ60%精米の純米吟醸酒、一回火入れです。
上立ち香は吟醸香ではなく、旨味主導の酒エキスの香りが。
玩味すると中程度の大きさの旨味の塊が平滑になった表面に打ち粉を振って、サラサラな感触を振りまきながら、軽快なテンポで滑り込んできます。
受け止めて保持すると、促されるままに素直に膨らみ、拡散して、適度な大きさのガラス玉様の粒々を連射してきます。
粒から滲出してくるのは甘味7割、旨味3割。
甘味は上白糖系のライトなタイプ、旨味はシンプル無垢で滑らかな印象で、両者は足並みを揃えて、洗練された折り目正しいハーモニーを奏でます。
流れてくる含み香は上立ち香同様、酒エキスの香りで薄化粧を付与。
後から酸味と渋味が僅少現れて、効果的なアクセントに貢献します。
味わいは終盤までオーソドックスな薄甘い世界が続くのでした。
それでは、大天狗酒造のお酒、3本目をいただくことにします。
お酒の情報(25年102銘柄目)
銘柄名「大天狗(だいてんぐ)純米吟醸 2024BY」
酒蔵「大天狗酒造(福島県本宮市)」
分類「純米吟醸酒」
原料米「不明」
酵母「不明」
精米歩合「60%」
アルコール度数「15度」
日本酒度「不明」
酸度「不明」
情報公開度(瓶表示)「△」
標準小売価格(税込み)「720ml=1870円」
評価「★★★★★(7.5点)」