酔い人「空太郎」の日本酒探検

酔い人「空太郎」の日本酒探検

意欲ある先進地酒蔵のお酒をいただき、その感想を報告します。
SAKETIMESにも連動して記事を載せます。

取材で北海道函館市に参りました。夜は美味しい鮨を堪能しようと、以前から目を付けていた「すし蔵」さんにお邪魔しました。

美味しいつまみをいただきながら、早速、北海道の地酒を次々といただくことにしました。

 

2本目はこれです。

 

 

「国稀(くにまれ)特別純米」。

北海道増毛町の国稀酒造が醸しているお酒です。

 

「すし蔵」さんではお任せでいろいろなネタをだしてもらいましたが、やはり、印象的だったのは津軽海峡で獲れた本マグロでした。

その本マグロは青森県側の大間で水揚げされれば「大間のマグロ」となり、函館側の戸井で水揚げされれば「戸井のマグロ」と言われることは知っていましたが、大将によると「戸井のマグロの方が値段が高いことも多い」と聞き、びっくりしました。

 

 

調べてみると、戸井では大間のような一本釣りではなく延縄(はえなわ)漁法なのですが、その代わり、獲れたマグロを大型船上で多数の漁師が集まって、10~20分以内に血抜き&氷水漬けの処理を済ませてしまうそうです。

このため、鮨屋などは発色のよいマグロを求めて、戸井を指名するケースが多いとのことでした。

興味深い話でした。

 

さて、2本目は五百万石55%精米の特別純米、火入れです。

 

 

上立ち香は凡庸な酒エキスの香りが。

口に含むと中程度の大きさの旨味の塊が、平滑になった表面に薄っすらととろみ層を乗せて、ゆっくりと忍び入ってきます。

受け止めて保持すると、促されるままに素直に膨らみ、拡散して、適度なウエットな粒々を次々と射掛けてきます。

 

粒から現出してくるのは甘味7割、旨味3割。

甘味は上白糖系の乾いたタイプ、旨味も無垢で朴訥な印象で、両者は仲良く肩を並べて、緩い雰囲気で踊ります。

 

流れてくる含み香は酒エキスの香りに火冷め臭が加わって。

後から酸味は皆無、渋味がわずかに現れて、隠し味役に留まります。

甘旨味は終盤までのっそりと霞がかかった世界を描き、飲み下した後の余韻はいささか長く伸びるのでした。

 

 

それでは、「すし蔵」さんでいただいた北海道のお酒、最後の3本目を紹介することにします。

 

お酒の情報(26年73銘柄目)

銘柄名「国稀(くにまれ)特別純米 2024BY」

酒蔵「国稀酒造(北海道増毛町)」

分類「特別純米酒」

原料米「五百万石」

酵母「不明」

精米歩合「55%」

アルコール度数「15.5度」

日本酒度「不明」

酸度「不明」

情報公開度(瓶表示)「△」

標準小売価格(税込み720ml=1980円」

評価「★★★★(7.45点)」

 

取材で北海道函館市に参りました。

夜は美味しい鮨を堪能しようと、以前から目を付けていた「すし蔵」さんにお邪魔しました。

美味しいつまみをいただきながら、早速、北海道の地酒を次々といただくことにしました。

 

1本目はこれです。

 

 

「五稜(ごりょう)純米」。

函館市の函館五稜乃蔵さんが醸しているお酒です。

 

さて、「すし蔵」さんですが、大将の岸田秀夫さんは1967年生まれのもうすぐ60歳。

実家が寿司店を経営していたことから、自身も鮨の道を極めようと、札幌の寿司店で修業をし、30歳になった1996年に現在の地に「すし蔵」を開業。

30年が経過しますが、ずっと繁盛店です。

 

 

この日も噂を聞きつけた外国人旅行者のお客が結構な数、来店していました。

空太郎はカウンターに陣取ったので、美味しい食事を堪能しながら、大将のいろいろな話に耳を傾けることができたのです。

続きは明日以降に。

 

さて、1本目は2024年10月に函館に新たに誕生した函館五稜乃蔵さんが醸している純米酒です。

 

 

上立ち香はすっきりとした爽やかな薄甘い香りが。

玩味すると中程度の大きさの旨味の塊が、平滑になった表面に打ち粉を振って、サラサラな感触をアピールしながら、軽快なテンポで滑り込んできます。

受け止めて保持すると、自律的にグングンと膨らみ、拡散して、適度な大きさのガラス玉様の粒々を連射してきます。

 

粒から滲み出てくるのは甘味6割、旨味4割。

甘味は上白糖系のサラリとした乾いたタイプ、旨味もシンプル無垢で滑らかな印象で、両者は足並みを揃えて流麗な舞いを披露します。

 

流れてくる含み香も爽やかでフローラルな香り。

後から酸味が僅少、渋味が適量現れて、スリムな甘旨味を包み込んで、くっきりとしたピントを施します。

味わいは終盤まで崩れることなく、まとまったバランスのいい世界を描き切るのでした。

 

 

それでは、「すし蔵」さんでいただいたお酒、2本目を紹介することにします。

 

お酒の情報(26年72銘柄目)

銘柄名「五稜(ごりょう)純米 2025BY」

酒蔵「函館五稜乃蔵(北海道函館市)」

分類「純米酒」

原料米「不明」

酵母「不明」

精米歩合「70%」

アルコール度数「15度」

日本酒度「不明」

酸度「不明」

情報公開度(瓶表示)「△」

標準小売価格(税込み720ml=1500円」

評価「★★★★★(7.55点)」

自宅の晩酌にお酒を選びました。

これです。

 

 

「万齢(まんれい)冬の酒 山田錦」。

佐賀県唐津市の小松酒造さんが醸しているお酒です。

 

小松酒造は蔵元の息子の小松大祐さんが休造していた蔵に戻って、1998BYから8年ぶりに自醸を再開。

その後、地道な努力で350石ほどの地酒蔵として安定的に酒造りをしてきました。

あれから30年近くがたち、「小松さんも60歳近く。そろそろ後継者のことが気になるなあ」と思いながら、昨年(2025)10月に佐賀県のお酒イベントに出向いたところ、小松酒造のブースには若い男子が二人、並んで接客していたのです。

 

 

「ひょっとしたら大祐さんの息子さん?」と聞くと、「はい、長男と次男です」とのお答え。

二人は26歳と24歳で、長男の方が蔵元を継ぐことが決まっていたのでした。

父の大祐さんもブースの後方にいらっしゃったので、「小松さん!、良かったですね」と声をかけると、「おかげさまで、ほっとしました」と柔らかな笑顔でした。

 

ご同慶の至りです。

 

さて、いただくお酒は山田錦65%精米の“純米酒”ですが、未検定の山田錦のため、純米表示はできません。

 

 

上立ち香はセメダイン系の酢酸エチルの香りが。

口に含むと中程度の大きさの旨味の塊が、平滑になった表面に薄っすらととろみ層を乗せて、ゆったりとしたペースで転がり込んできます。

受け止めて保持すると、促されるままに素直に膨らみ、拡散して、適度な大きさの粘っこい粒々を次々と射掛けてきます。

 

粒から現出してくるのは甘味6割、旨味4割。

甘味は上白糖系のドライなタイプ、旨味は複数のコクが重層化した印象で、旨味主導で緩くのろのろとした徘徊が始まります。

 

流れてくる含み香も酢酸エチルの香りにわずかに火冷め臭も。

後から酸味が僅少、渋味が相当量現れて、甘旨味をつつくのです。

さらに終盤になると辛さが現れて、全体を一気にとりまとめて、喉の奥へと運び去っていきました。

 

 

なんとも評価が難しいお酒でした。

 

お酒の情報(26年71銘柄目)

銘柄名「万齢(まんれい)冬の酒 山田錦 2025BY」

酒蔵「小松酒造(佐賀県唐津市)」

分類「“純米酒”」

原料米「地元産山田錦」

酵母「協会9号」

精米歩合「65%」

アルコール度数「15度」

日本酒度「+6」

酸度「不明」

情報公開度(瓶表示)「◎」

標準小売価格(税込み720ml=1270円」

評価「★★★★★(7.5点)」

 

近年、飲み放題設定のある銘酒居酒屋で飲める日本酒のレベルが急ピッチで上昇しています。

どのぐらい飲み放題ができるお酒の質が上がっているかを、いろいろな店を巡り、散発的にご報告していきます。

 

第78弾は新宿の「とり卓忠(たくちゃん)」さんです。

 

 

とり卓忠は上質な焼き鳥が次々とでてくる魅力的な店です。

このタイプの店は飲み放題設定をすることはほとんどないのですが、それが、2時間、アルコールはフリーフローです。

これが込みで13000円(4月から14800円に値上げのようです)ということで試しにお邪魔したというわけです。

 

飲み放題できるお酒のリストはなく、店員の人にその都度、聞く仕組みだというのですが、それでは面倒なので、走り書きでいいから教えてくれとねだり、そのメモをもとに次々と日本酒を頼みました。

 

1本目はこれです。

 

 

「山本(やまもと)バタフライパープル 純米吟醸 生原酒」。

秋田県八峰町の山本酒造店さんが醸しているお酒です。

まさに典型的なフレッシュフルーティーのゴージャスな美酒でした。

7.65点。

 

2本目はこれです。

 

 

「まんさくの花 巡米酒 秋田酒こまち」。

秋田県横手市の日の丸醸造さんが醸しているお酒です。

均整の取れた甘旨味にフローラルな香りが適度にデコレートする味わいでした。

7.55点。

 

3本目はこれです。

 

 

「翠玉(すいぎょく)純米吟醸 生酒」。

秋田県湯沢市の両関酒造さんが醸しているお酒です。

太目でパワフルな甘味が旨味を抑え込んで主役を張るので、いささか甘すぎました。

7.55点。

 

4本目はこれです。

 

 

「よこやま SILVER 超辛7 純米吟醸 無濾過生原酒」。

長崎県壱岐市の重家酒造さんが醸しているお酒です。

 

均整の取れた甘旨味を適度な渋味がメリハリをつけて、最後までしっかりと芯のある舞いでした。

7.6点。

 

5本目はこれです。

 

 

「飛囀(ひてん)鵠(はくちょう)TypeA」。

秋田県にかほ市の飛良泉本舗さんが醸しているお酒です。

 

リンゴ酸多産性酵母を使った典型的な超甘酸っぱい味わいでした。

たくさんは飲めませんが、焼き鳥との相性は良かったです。

7.6点。

 

6本目はこれです。

 

 

「陸奥八仙(むつはっせん)ISARIBI 特別純米 生酒」。

青森県八戸市の八戸酒造さんが醸しているお酒です。

 

うぶでシャイな甘旨味の踊りにメロンの明快な香りがデコレートする素敵な仕上がりでした。

7.6点。

 

7本目はこれです。

 

 

「山川光男(やまかわみつお)2025 ふゆ」。

山形市の男山酒造さんが醸しているお酒です。

 

スタンダードな甘旨味が無駄なく、優等生の世界を描きました。

やや平凡でした。

7.55点。

 

8本目はこれです。

 

 

「大納川天花(だいながわてんか)特別純米 無濾過生原酒」。

秋田県横手市の大納川さんが醸しているお酒です。

 

7本目と同様に、可もなく不可もなく、没個性のスタンダードな味わいでした。

7.55点。

 

選べるお酒が残り少なくなり、9本目には空太郎でさえ飲んだことのないお酒にしました。

これです。

 

 

「嬉長(きちょう)純米 露葉風」。

奈良県生駒市の上田酒造さんが醸しているお酒です。

 

平凡な甘旨味が鈍く踊り、さらに強めの火冷め臭が足元にまとわりついて、停滞しながら終盤を迎えました。

予想通りのがっかりでした。

7.45点。

 

そして、最後の10本目はこれです。

 

 

「天穏(てんのん)純米原酒 新米初生酒」。

島根県出雲市の板倉酒造さんが醸しているお酒です。

 

甘味も旨味も野太く、四方に艶を放ちまくりながら濃醇な世界を描き切りました。7.5点でした。

 

お酒は頼むとすみやかに出てきて、次々と楽しむことができました。

焼き鳥もおいしく、日本酒のラインナップも納得の水準でした。

ただし、この連載はコスパ重視なので、4.5点(★★★★)をつけさせていただきました。

ごちそうさまでした。

 

総合評価が4.8点以上の5つ星の秀逸飲み放題居酒屋は以下の通りです。

常笑(中野)、かぐら(神田)、フィッシュ・オン・ディッシュ・ロリー(板橋)、ししくら(池尻大橋)、炭火焼鳥煙(門前仲町)、八福寿家(恵比寿)、カミヤ酒場(小伝馬町)、鳥酎はなれ(飯田橋)、ナイン(船橋)、バルカミヤ(小伝馬町)、のすけ(明大前)、GASHUE(仲御徒町)、居酒屋純ちゃん(荒木町)、つくしのこ(池尻大橋)、サケラボトーキョー(十条)、日がさ雨がさ(四谷三丁目)、MrHappy(神保町)、オールザットジャズ(荒木町)、まき野(高田馬場)

 

自宅の晩酌にお酒を選びました。

これです。

 

 

「まるいし 純米吟醸 生酛 生原酒」。

愛知県岡崎市の丸石醸造さんが醸しているお酒です。

 

「二兎」が大ヒットした丸石醸造さんの蔵にはまだ足を運べることができていませんが、最近、丁寧な見学レポートが発信されたので、それをじっくりと読みました。

 

 

美酒造りのための基本の設備と造りの体制はほぼできあがっている印象でしたが、意外だったのは蒸しが甑ではなく、連続蒸米機を使っていることでした。

約1000石を造っている丸石醸造ですが、それを4人でこなしており、なおかつ週休二日、泊りなしで対応するとなると、蒸しも連続でやりたいのでしょう。

甑で蒸した方がいい仕上がりになると考える杜氏は多いかと思いますが、獺祭酒造も一部は甑で蒸すものの、過半は連続蒸米機を使っていますが、何の問題もなく美酒に仕上げています。

まさに酒屋萬流です。

 

さて、いただくお酒は生酛酒母の純米吟醸です。

速醸酒母で造る酒とは違う味わいになりがちなので、「二兎」ではなく、「まるいし」を使っています。

 

 

上立ち香から複雑なとろりとした甘い香りが。

玩味すると中程度の大きさの旨味の塊が、平滑になった表面に薄っすらととろみ層を乗せて、重厚な雰囲気で忍び入ってきます。受け止めて保持すると、促されるままに素直に膨らみ、拡散して、適度な大きさの粘性の強い粒々を次々と射掛けてきます。

 

粒から現出してくるのは甘味7割、旨味3割。

甘味はザラメ糖系の奥行きのあるタイプ、旨味はたくさんのタイプのコクが混じった複雑系の印象で、両者はやや鈍い動きで徘徊します。

 

流れてくる含み香は干しブドウを連想させる香り。

後から酸味と渋味が大量に現れて、クエン酸とリンゴ酸と乳酸がミックスした酸味は甘旨味に絡みつき、さらに渋味もそれをサポート。

 

全体が混じり合うことで、まだら模様となり、思わずレーズンバターを連想する世界が展開され、飲み下した後の余韻も深く長く伸びるのでした。

 

 

いささか飲み飽きしそうな仕上がりでした。

 

お酒の情報(26年70銘柄目)

銘柄名「まるいし 純米吟醸 生酛 生原酒 2025BY」

酒蔵「丸石醸造(愛知県岡崎市)」

分類「純米吟醸酒」「生酒」「原酒」「生酛酒」

原料米「不明」

酵母「不明」

精米歩合「55%」

アルコール度数「15度」

日本酒度「不明」

酸度「不明」

情報公開度(瓶表示)「△」

標準小売価格(税込み720ml=1980円」

評価「★★★★★(7.55点)」

 

自宅の晩酌に奈良県御所市の葛城山麓醸造所が醸したお酒を3本取り寄せて、飲み比べをしました。

 

3本目はこれです。

 

 

「S風の森(エス・かぜのもり)北地区 無濾過生加水生酒」。

 

さて、葛城山麓醸造所の蔵を実地見学してきました。

油長酒造の本蔵から車で15分ほど。標高400メートルにある蔵は大きく広がる棚田を一望できる高台にありました。

広大な奈良盆地を南から眺められる素晴らしい立地でした。

建物は間伐材を活用したユニークな外観が目を引きます。

内部の壁や天井、梁などもすべて木材ですが、醸造機器などはほとんどがステンレス製。

 

仕込みタンクは1000㍑で総米も200~300㌔。

これは、棚田で収穫された秋津穂米を「風の森」の特約店が農家から買取り、醸造を葛城山麓醸造所に委託し、できたお酒は全量、その特約店が引き取って販売するスタイルを採用しているため、小仕込みに限定しているのです(複数の特約店が組んでもOKのよう)。

 

 

棚田を救うという趣旨もわかりやすく、しかも、棚田を目の前に見ることができる立地に醸造所を建てたことで話題性にも富んでいて、当初から注目されています。

まずはそろりと発進していますが、おそらく、酒蔵ツーリズム関連でいろいろな企画やイベントが展開されるだろうと確信します。

日本酒と棚田は親和性があり、すでに、他の酒蔵もいろいろと動いていますが、これはさらに広がるに違いありません。

 

 

三本目は対象の田んぼのうちの北地区から収穫した米です。

裏貼りでは次のような説明書きがあります。

**************

山麓蔵の目の前に広がる地区、天然の山水のみで農業が行われ、パートナー農家さんによって徐々に減農薬での秋津穂の栽培に切り替えられている。

環境負荷の少ない農法によって、土中の微生物の多様性が回復しつつあり、土地の個性が栽培される秋津穂へ引き出され、造られるS風の森には力強いエネルギーが宿り、豊かな複雑味が特徴となる。

************

いただきます。

 

 

上立ち香は酢酸エチルの香りとメロンの香りがミックスして。

玩味すると中程度の大きさの旨味の塊が、平滑になった表面にわずかに微細な気泡を纏って、軽やかに滑り込んできます。

受け止めて保持すると、気泡のわずかな破裂を背景にして、リズミカルに膨らみ、拡散して、適度な大きさのガラス玉様のクリアな粒々を連射してきます。

 

粒から滲み出てくるのは甘味7割、旨味3割。

甘味は上白糖系の乾いたタイプ、旨味はシンプル無垢で細身の印象で、両者は足並みを揃えて流麗で精緻な舞いを見せるのです。

 

流れてくる含み香は酢酸エチルにメロンの香りが混じって、華やかな世界を描きます。

後から酸味が適量、渋味が少量現れて、味わいに明快なメリハリを施します。

終盤まで活力は落ちず、甘旨味と含み香の完璧なハーモニーが続くのでした。

 

 

極上の3本でした。

S風の森も今後、定期的にいただくことにします。

 

お酒の情報(26年69銘柄目)

銘柄名「S風の森(エス・かぜのもり)北地区 無濾過生加水生酒 2024BY」

酒蔵「葛城山麓醸造所(奈良県御所市)」

分類「純米酒」

原料米「秋津穂」

酵母「不明」

精米歩合「不明」

アルコール度数「14度」

日本酒度「不明」

酸度「不明」

情報公開度(瓶表示)「×」

標準小売価格(税込み720ml=3850円」

評価「★★★★★★(7.65点)」

自宅の晩酌に奈良県御所市の葛城山麓醸造所が醸したお酒を3本取り寄せて、飲み比べをしました。

2本目はこれです。

 

 

「S風の森(エス・かぜのもり)南地区 無濾過生加水生酒」。

 

棚田の脇に第二蔵を作った油長酒造ですが、清酒の免許をどうしたか、ですが、第二蔵として酒造免許を申請するのではなく、既存の酒蔵を買収(事業譲渡)する手法を選択したようです。

2020年6月に御所市内にあった中川酒造を買収し、同年12月に社名を株式会社葛城山麓醸造所に変更するとともに、御所市伏見に醸造場所を移転しています。

そして、棚田を上から一望できる場所を確保して建設に着手。

2024年8月に完成しました。

建物は平屋建て約500㎡。

醸造能力は最大で150石。

杜氏は本蔵の蔵人だった中川悠奈氏が抜擢されています。

 

 

二本目は対象の田んぼのうちの南地区から収穫した米です。

裏貼りでは次のような説明書きがあります。

**************

南地区の田んぼは細く小さく、生産性は低いものの、南向きで日当たりが良い温暖な土地。

山水のみで秋津穂を栽培し、無農薬の田と今後減農薬に取り組む田が混在する。

育まれる秋津穂でのS風の森は豊かな香りと果実味が特徴となる。

*************

いただきます。

 

 

上立ち香は酢酸エチルの香りが細めに。

口に含むと中程度の大きさの旨味の塊が、平滑になった表面にわずかに微細な気泡を纏って、軽快に滑り込んできます。

受け止めて保持すると、気泡のプチプチとした破裂をBGMにして、すいすいと膨らみ、拡散して、適度な大きさのガラス玉様の清澄な粒々を速射してきます。

 

粒から滲出してくるのは甘味7割、旨味3割。

甘味は上白糖系に加えて、ぷくりとした独特のタイプが加わっており、旨味はシンプル無垢で滑らかな印象で、両者は足並みを揃えて流れるようなワルツを踊ります。

 

流れてくる含み香は酢酸エチルにメロンのチャーミングな香りでデコレート。

後から酸味と渋味が適量現れて、甘旨味と拮抗しながら、味わいをカラフルでリッチな世界を描くのです。

終盤になると全体が息を合わせて反転縮退して、昇華していきました。

 

 

こちらが西地区よりもさらに素敵でした。

それでは、S風の森、もう1本いただくことにします。

 

お酒の情報(26年68銘柄目)

銘柄名「S風の森(エス・かぜのもり)南地区 無濾過生加水生酒 2024BY」

酒蔵「葛城山麓醸造所(奈良県御所市)」

分類「純米酒」

原料米「秋津穂」

酵母「不明」

精米歩合「不明」

アルコール度数「14度」

日本酒度「不明」

酸度「不明」

情報公開度(瓶表示)「×」

標準小売価格(税込み720ml=3850円」

評価「★★★★★★(7.75点!)」

自宅の晩酌に奈良県御所市の葛城山麓醸造所が醸したお酒を3本取り寄せて、飲み比べをしました。

1本目はこれです。

 

 

「S風の森(エス・かぜのもり)西地区 無濾過生加水生酒」。

 

銘柄の名前の通り、葛城山麓醸造所は、「風の森」を醸す油長酒造が設立した子会社です。

その趣旨について、油長酒造の蔵元社長の山本長兵衛氏は次のように話しています。

*******

「風の森」が生まれた頃から共に歩み続けてきた秋津穂米。

このたび、新たに誕生した「葛城山麓醸造所」、通称“山麓蔵”は、この秋津穂が育てられる葛城山麓の棚田の真ん中に位置(御所市伏見)します。

この地は標高約400mと高く、灌漑用水が届かないため、山から湧き出た山水のみで良質の秋津穂が育つ環境です。

しかし、この地の里山は農家の高齢化や農産物の生産性の低さゆえ、近年耕作放棄地なども見られ、その持続性に問題を抱えています。

この問題をお酒の力でなんとかしたいという思いで、2019年より準備開始。

ついに2024年“山麓蔵”を立ち上げることができました。

 

この“山麓蔵”では、農家、酒蔵、酒屋、消費者が共に共生する「風の森里山コミュニティ」を創設することで、「里山を100年先へつなぐ」を実現したいと考えています。

“山麓蔵”では、この地に醸造家自身が共生し、葛城山麓の地の力を感じながら感覚を研ぎ澄ませ、この地で収穫された秋津穂米で大地の魅力を余すことなく表現する風の森の新シリーズ【S(エス)風の森】を造ります。

御所市伏見に根差し、100年先にこの地の里山をつなぎ、村の方々にも喜んでいただける酒蔵を目指します。

***********

 

 

一本目は対象の田んぼのうちの西地区から収穫した米です。

裏貼りでは次のような説明書きがあります。

********

西地区は標高が400m超と高く、森林に囲まれた冷涼な地区。

田んぼは小さく、生産性は厳しいものの、天然の山水が最初に入るため、農薬の影響を受けず、杉浦さんが長年無農薬栽培を行う。

育まれる秋津穂によるS風の森は瑞々しくシャープな味わいとなる。

**********

いただきます。

 

 

上立ち香は酢酸エチルの香りが細めに。

玩味すると中程度の大きさの旨味の塊が、平滑になった表面にわずかに微細な気泡を纏って、軽快なスピードで駆け込んできます。

受け止めて保持すると、気泡のプチプチとした静かな破裂を背後に聞きながら、テンポ良く膨らみ、拡散して、適度な大きさのガラス玉様の透き通った粒々を連射してきます。

 

粒から滲み出てくるのは甘味7割、旨味3割。

甘味は上白糖系のサラリとしたタイプ、旨味はシンプル無垢で素直な印象で、両者は足並みを揃えて、流麗で無駄のない舞いを披露します。

 

流れてくる含み香は酢酸エチルにフルーティーな甘い香りがミックスしてデコレート。

後から酸味と渋味が適量現れて、甘旨味と主役の舞台でせめぎ合いを見せます。

両者は溶け合わずにずっと拮抗し、最後は一緒にタイミングを合わせて反転縮退して、昇華していきました。

 

 

極上の「風の森」でした。

それでは、葛城山麓醸造所のお酒、2本目をいただくことにします。

 

お酒の情報(26年67銘柄目)

銘柄名「S風の森(エス・かぜのもり)西地区 無濾過生加水生酒 2024BY」

酒蔵「葛城山麓醸造所(奈良県御所市)」

分類「純米酒」

原料米「秋津穂」

酵母「不明」

精米歩合「不明」

アルコール度数「14度」

日本酒度「不明」

酸度「不明」

情報公開度(瓶表示)「×」

標準小売価格(税込み720ml=3850円」

評価「★★★★★★(7.7点)」

 

自宅の晩酌にお酒を選びました。

これです。

 

 

「十石(じっこく)純米吟醸 祝」。

京都市伏見区の松山酒造さんが醸しているお酒です。

 

月桂冠の子会社の松山酒造が小さな地酒蔵として再スタートしたのが2023年春でした。

その後も、まずまず順調に酒造りが続いているようで、この3月には通りを挟んで向かいで酒造りをしている玉乃光酒造と合同の蔵開きをするなど、親会社とは一線を画した活動を展開しています。

 

 

裏ラベルでは次のような説明書きもありました。

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伏見の水運を江戸時代から支えた小さな舟「十石舟」から名付けた「十石(じっこく)」は2023年にデビュー。

京都府産の酒造好適米「祝(いわい)」、京都伏見の銘水、京都市産業技術研究所が開発した「京都酵母」、京都で長い歴史を持つ麹屋「菱六」の種もやしと、京都府産の素材のみを使用。

熟練の杜氏が、温度管理を徹底した小さなタンクで1本ずつ丁寧に仕込んでいます。

穏やかな香りが祝のやわらかな旨味・キレと調和する、食事と合うお酒です。

 

使用酵母:京の琴=5種類ある「京都酵母」の一つ。

青りんごや洋なしのような果実香を多くつくるのが特徴で、甘・酸・辛・苦・渋のバランスの良いお酒ができあがります。

*****************

60%精米の純米吟醸、火入れです。

 

 

上立ち香はか細い酒エキスの香りが。

口に含むと中程度の大きさの旨味の塊が、平滑になった表面に薄っすらととろみ層を乗せて、ゆったりとしたムードで忍び入ってきます。

受け止めて保持すると、促されるままに素直に膨らみ、拡散して、適度な大きさの硬めの粒々を速射してきます。

 

粒から滲出してくるのは甘味8割、旨味2割。

甘味はザラメ糖系の奥行きのあるタイプ、旨味は複数のやや風変わりなコクが織り上がった印象で、両者はやや足取り重く、徘徊を始めます。

 

流れてくる含み香はいろいろな果実の香りに奇妙な薬っぽい香りも加わってデコレート。

後から酸味は僅少、渋味が多めに現れて、ともすれば緩くなりそうな味わいをぎゅっと引き締めるのです。

不思議なコクと香りが主役のまま終盤を迎え、最後は反転縮退して、そのままのスピードで駆け去っていきました。

 

 

含み香があと少しに感じました。

 

お酒の情報(26年66銘柄目)

銘柄名「十石(じっこく)純米吟醸 祝 2024BY」

酒蔵「松山酒造(京都市伏見区)」

分類「純米酒」

原料米「京都産祝」

酵母「京の琴」

精米歩合「60%」

アルコール度数「16度」

日本酒度「不明」

酸度「不明」

情報公開度(瓶表示)「△」

標準小売価格(税込み720ml=1900円」

評価「★★★★★(7.5点)」

自宅の晩酌にお酒を選びました。

これです。

 

 

「日高見(ひたかみ)純米生酒 初しぼり」。

宮城県石巻市の平孝酒造(ひらこうしゅぞう)さんが醸しているお酒です。

 

日高見は和食の中でも鮨との相性が抜群という評判を獲得している美酒で、空太郎も外で飲むときには頻繁にいただきます。

ところが、そんな時、空太郎が「次はヒタカミください」と言うと、店の人が「はい、ヒダカミですね」と答えるシーンが相変わらず、多いのです。

体感的に言うと4回に3回は濁った返事が来てしまいます。

日本酒はどぶろくとは違って、しっかり搾って、澄んだ酒に仕上げていることを強調するために、多くの酒蔵が銘柄の読みから濁点を除去しています。

その辺のことを、日本酒の知識が多少たまったら、気を付けてほしいものです。

 

 

ちなみに、日高見は日本書紀に書かれている日高見国から来ており、どこに存在していたかは諸説ありますが、石巻市を含む宮城北部から岩手南部にかけてあったと考えられています。

そして、そこを流れる大河も今は北上川と呼ばれていますが、もとはヒタカミ川と呼ばれていて、それがキタカミ川と変化して現在に至っていると言われています。

 

日高見を好きになったら、是非、この辺りまで知っておいてほしいです。

 

さて、いただくお酒は今季の新酒、60%精米の純米生酒、かすみ酒です。

 

 

上立ち香はフレッシュな麹バナの香りが鼻腔を撫でます。

玩味すると中程度の大きさの旨味の塊が、平滑になった表面に微細な気泡を纏って、元気よく駆け込んできます。

受け止めて保持すると、気泡のプチプチとした破裂をBGMにして、心地よさそうに膨らみ、拡散して、適度な大きさのガラス玉様の粒々を連射してきます。

 

粒から滲み出てくるのは甘味7割、旨味3割。

甘味は上白糖系の乾いたタイプ、旨味はシンプル無垢で、やや粗目な感触で、両者はエネルギッシュに一緒に駆け回ります。

 

流れてくる含み香は生の良さだけが残るジューシーな香りで賑やかにデコレート。

後から酸味と渋味がたっぷりと現れて、酸味は甘旨味に溶け込み、渋味は全体のメリハリ付けに従事して、味わいは活力を維持しつつ、五味がそれぞれの役割を果たして、終幕を迎えるのでした。

 

 

文句ない美酒でした。

 

お酒の情報(26年65銘柄目)

銘柄名「日高見(ひたかみ)純米生酒 初しぼり 2025BY」

酒蔵「平孝酒造(宮城県石巻市)」

分類「純米酒」「生酒」「かすみ酒」

原料米「蔵の華」

酵母「不明」

精米歩合「60%」

アルコール度数「16度」

日本酒度「不明」

酸度「不明」

情報公開度(瓶表示)「△」

標準小売価格(税込み1800ml=3300円」

評価「★★★★★★(7.7点)」