船橋の銘酒居酒屋「ナイン」さんにお邪魔しました。
2時間飲み放題でいろいろな美酒をいただきましたが、気になったお酒をいくつかご紹介します。
1本目はこれです。
愛知県半田市の伊東(株)さんが醸しているお酒です。
21年ぶりに創業の地、半田市で酒造りを復活させた伊東(株)の蔵元の伊東優さんは、酒造りに自ら取り組む一方で、地域おこしのために駆け回っています。
自分たちの蔵で使っていなかった古い建物を改装して、売店やレストランなども作ってきていますが、さらには昨年(2024)秋には、最寄りのJR亀崎駅の駅舎の空きスペースを利用して、立ち飲みイベント「亀崎駅おとなり酒場」を約1ヶ月間実施しました。
「敷嶋」のお酒が飲めるだけでなく、つまみも提供されて、角打ちとして大いに盛り上がったようです。
このため、アンコールの声が高まり、今年(2025)2月に再び開催。
しかも、今回は隣駅の半田駅でも同じ角打ちを準備し、半田駅では「敷嶋」だけでなく、中埜酒造と盛田金しゃち酒造のお酒も提供することとし、伊東(株)のひとりよがりではなく、半田市全体の盛り上がりに貢献しようとしています。
偉いです。
伊東さんの今後の動きにも目が離せません。
さて、いただくお酒は協会酵母の中でもレア物の8号酵母を使った特別純米、無濾過生原酒です。
上立ち香はフルーティーというよりは濃い目の酒エキスの香りが。
口に含むと中程度の大きさの旨味の塊が平滑になった表面に厚めにとろみ層を乗せて、ゆったりとした雰囲気で忍び入ってきます。
受け止めて保持すると、催促を受けてのろのろと膨らみ、拡散して、適度な大きさの粘っこい粒々を速射してきます。
粒から現出してくるのは甘味8割、旨味2割。
甘味は水飴系のどろりとしたタイプ、旨味も無数のコクが複層化した印象で、両者は一緒にゆっくりと這い回るように徘徊します。
流れてくる含み香は上立ち香同様、濃霧のような酒エキスの香り。
後から酸味が多めに渋味が少量現れるものの、甘旨味のヘビーさになんとかメリハリをつけるに留まります。
味わいは終盤までどんよりとした曇天の世界でした。
8号酵母のお酒は最近、いろいろな酒蔵が挑戦していますが、敷嶋のお酒はまだ使いこなせていないステージだと感じました。
お酒の情報(25年97銘柄目)
銘柄名「敷嶋(しきしま)特別純米 無濾過生原酒 8号酵母 2024BY」
酒蔵「伊東(愛知県半田市)」
分類「特別純米酒」「無濾過酒」「生酒」「原酒」
原料米「山田錦」
酵母「協会8号酵母」
精米歩合「60%」
アルコール度数「18度」
日本酒度「不明」
酸度「不明」
情報公開度(瓶表示)「△」
標準小売価格(税込み)「1800ml=3740円」
評価「★★★★★(7.5点)」