岐阜県高山市の平田酒造場さんのお酒をまとめて取り寄せて、飲み比べをしました。
最後の3本目はこれです。
事業承継した平田酒造を高山の平凡な蔵から変身を図るため、新しい杜氏を招き入れた上島さんの総仕上げは老朽化した蔵からの決別でした。
古い蔵をリノベする方法もありましたが、幸いにも道路を挟んだ向かい側におあつらえの物件があったため、こちらを改造して新しい蔵にすることにしました。
このタイミングで小仕込みで付加価値の高い酒だけに集約するための設備を購入。
仕込みタンクは600㍑から1500㍑まで。
総米で言うと150㌔から最大500㌔と、大きな蔵なら大吟醸酒を造るサイズに絞っています。
まだ、蔵の中を公開された発信がありませんが、4月からは酒蔵見学も有料で始めたので、今後、どのような設備になっているかは追々わかることと思います。
いずれにしろ、高山の酒蔵は観光客も多く、造りよりも販売に気持ちが傾斜している酒蔵が大半な中にあって、平田酒造場の今後が楽しみです。
さて、最後の3本目は60%精米の純米吟醸は、1,2本目と同じですが、超辛口表記になっています。
上立ち香はチクチクとした刺激が主体の酒エキスの香りが。
玩味すると中程度の大きさの旨味の塊が平滑になった表面に棘混じりの粉を敷き詰めて、まっしぐらに転がり込んできます。
受け止めて保持すると、促されるままにキビキビとした態度で膨らみ、拡散して、適度な大きさの硬めのゴロゴロとした粒々を連射してきます。
粒から現出してくるのは甘味4割、旨味6割。
甘味は上白糖系の儚いタイプで現れた次の瞬間に消滅、旨味は凹凸の目立つモノトーンでシンプルな印象で、単独で淡々とハードボイルドな世界を描きます。
流れてくる含み香はか細くて硬い酒エキスの香りが微かに。
後から酸味は少量、渋味はそれよりも多めに現れて、淡い世界に拍車をかけるのです。
味わいは完璧な水墨画の世界が終盤まで続き、最後は反転縮退して昇華して行きました。
甘さを排除した旨口酒でした。
平田酒造場のお酒は今後に注目です。
お酒の情報(25年94銘柄目)
銘柄名「飛騨の華(ひだのはな)超辛口 純米吟醸 2024BY」
酒蔵「平田酒造場(岐阜県高山市)」
分類「純米吟醸酒」
原料米「不明」
酵母「不明」
精米歩合「60%」
アルコール度数「18度」
日本酒度「不明」
酸度「不明」
情報公開度(瓶表示)「△」
標準小売価格(税込み)「720ml=1870円」
評価「★★★★★(7.5点)」