なんだかんだの石集めと与太話 -4ページ目

なんだかんだの石集めと与太話

鉱物を初めて手にしたのは、小学生の時。それからずっと中断。
2011年頃より、やっと暇になったので、また石の世界へと羽ばたき始めたけど。

 アマゾンで注文していた宮城県鉱山誌が届いた。封を開けたのは、丁度採集に出掛ける直前だったので、石の採集から帰ってきた後だ。

 

 それでゆっくり面白いだろうと思って、パラパラと目を通した。

 構成は、新岩手鉱山誌を参考にしているようで、以下のようになっている。

  第1章 宮城県の地質と鉱床について

  第2章 宮城県の鉱山史

  第3章 鉱山各論

 各論では、主に何を目的に稼働していたかが目次で鉱山名の後に書かれている。紹介されている鉱山は、151箇所。引用文献も各鉱山の記述の後にあって、よく調べたなあと。あまり使うことはないだろうけれど、将来資源の枯渇の問題が起こったときや再開発などの時には役に立つかな。鉱石関連を採集する人には探索で役に立つかもしれないなと感じた。

 

 アマゾンでは、中古品が新品よりも高い値段でもう出品されている。

 アマゾンではこちら → Amazon.co.jp: 宮城県鉱山誌 : 五十公野裕也: 本

なので、書店で注文した方が(税込4950円で)安いだろうなあ。

 

 ちなみに著者の名字は「五十公野」だが、「いずみの」と読むと。ATOKの漢字変換では一覧に出てくる。ATOK、流石、さすがあ。

 荷物は、昨日のうちに最初に届けられるはずだったけれど、私が出掛けていて帰ってきたのが、20時過ぎで受け取ることが出来なかった。配達は、普通配達の時間とし遅い遅い19時45分だったけれど。

 

 今日は寝坊して、またクロネコが届けてくれたらしいけれど、朝3時頃に一度、目が覚めてしまって、しばらく起きていたが、5時過ぎにまた眠くなったので、二度寝をしたので、また受け取れなかった。

 

 不在票を見てすぐ電話して、やっと手元に。運送屋も大変だなと思いながら、受け取ったときに箱が変形していて潰された感じ。受け取った箱を見て、「変形してひどいな」と言ったら、配達した人がビクッとした感じだった。まあ、大丈夫だろうと思って家の中に入って、すぐ箱を開封。

 

 開封して、えっと絶句。葡萄の房は三つ。一つの片面側の葡萄がない様が見える。あれって思ってもう一つ見ると、別な房を見るとポツポツとないところが。一つだけが何事もなく、正常だった。葡萄の房、三つを箱から出すと箱の底に房から外れた葡萄の粒が30粒以上。あーあッこれはひどい。それを皿に入れたら、ほぼ一房分の感じ。粒の房に付いていた部分を見ると茶色ぽくて、房から取れてから少し時間がかかっている感じ。折角田舎から送ってくれたけどだね。

 

 これでは気分がかなり悪いよ。送り主にはこういうことがあるからもう葡萄は送らないようにメール。それでも私は痛んだところを切り落として食べる。美味しいけれど、なんか気分が盛り上がらない。美味しいと評判のシャシンマスカットがこんな状態では気持ちよく食べられないよなあ。

 

 以下写真。

    

    箱を開けると、いきなりこんな様子で絶句。

    上にカバーとなるクッションが置いてなかったぞ。

    これでは振動で葡萄が上下して、粒が外れるだろうなあと。

 

    

    3つのうちの一つを箱から出してみるとこんな様子。

 

    

    もう一つを箱から出してみるとこんな様子。

 

    

    3房を箱から出して、箱の底を見るとこんなだったよ

 

    

    3つの房を箱から出して、箱の底に残った粒を皿に集めると

   これだけの数の粒が房から外れてた。

    この皿、深さ45mmもある深皿なのよ。

    どういうことをしたら、これだけの粒が房から外れるのかなあ。

    後で調べたら、保護の網シートクッションの中でも外れてたわ。

 

 シャシンマスカット、食べれば美味しいのだけれど、なんか品の悪いものを食べているみたいで、何か気分が盛り上がらないよな。それに粒の汚いところを取るので、面倒でかすがたくさん出る。シャインマスカットって、皮まで食べられるはずだと思うけど。傷んだ粒を食べてみると、傷んだところを切り捨てても、何か変な味が残った。やっぱり房に付いている、いいものだけ食べることにしたわ。

 

 箱を詰めた人が悪かったのか、箱を運んだトラックの人の扱いが悪かったのか、またまた箱を届けた配達員の扱いが悪かったのか、何処がどう悪かったのかは知らないけれど、最近ロジスティック関連の仕事の利用が世の中では富に多くなったから、食品関連の物を送るときには注意が必要だよな。なので、私は物理的な力で傷みやすい生ものは送ることはないな。

 

 ロジスティクス関連で働く人も大変だわ。物量が多くなって大変になっている上に取り扱いの難しい物も多くなって、体力は使うは注意も必要だから、相当疲れるよなあ。昔、佐川急便のトラック運転手の年収が1000万円を超えていると行った話が合ったが、今は昔の話なのかなあ。

 

 

 

 

千代子石って

 先日来、石の整理をしていて千代子石を見つける。あれ、いつからこんな石が手元にあるのかなと思ったが。

 

 千代子石は、岡山県の布賀鉱山から産出した鉱物で、2020年にロシアの研究者によってその報告がされた、まだ新しい鉱物です。今のところ世界で布賀鉱山でしか見つかっていませんから、そういう意味では非常にレアな鉱物です。その名前は、岡山大で教鞭を執った故逸見(へんみ)千代子に因んで付けられたものです。逸見千代子は、備中石、布賀石、森本柘榴石や草地鉱などの報告者です。で、千代子石の化学式は、Ca3Si(CO3)[B(OH)4]O(OH)2・12H2Oと書かれるらしいが、実際にはSiの所にAlが入り込み、B(OH)4 やCO3の一部にAsO3が置き換わっているらしい。で結局千代子石にCa3(Si,Al)(CO3,AsO3)[B(OH)4,AsO3](OH)6·12H2Oが現実らしい。

 

 千代子石は、しばしばミネラルショーなどで見かけるが、本当にそうなのかと言えば、少し怪しいところがある。千代子石は、普通淡いピンクのところがそうだと言われるが、そのピンクはマンガン(Mn)に起因し、硫黄(S)を含むと黄色になるらしい。しかもそれは累帯構造をしていて複雑になっているらしいので、分析を困難にしている。私の知る限り、ホウ素の分析は化学分析に頼らざるを得ない。微小領域の元素を分析するには都合のいいEPMAでは、ホウ素などの軽元素(Li,Be,B,C,N,Oなど)は軽すぎて測定が難しい。石を見ると僅かながら色の違いも見て取れる。組成として、千代子石から外れる箇所もあってもおかしくない。累帯構造、軽元素と分析が難しい要件がそろっているので、扱われている物が千代子石かどうかは疑わしい。そんな疑問点があるものの、ピンク色の所は千代子石として扱われているようなのだ。

 

 私の、その千代子石もそんなところだろう。で、いつもながら傍に見える紫色ないしは黒紫色の鉱物は何かと言えば、これまた布賀鉱山では有名な逸見石なのだね。逸見石を持っている人は、千代子石が付いているかもしれない。私に知り合いには逸見石を改めてみたら、千代子石らしいピンクの箇所が見つかったという人も居る。なので、逸見石を持っている人は、もう一度石を見直してみるのもいいと思う。

 

千代子石の写真

 で、私の千代子石の写真を以下に。

 

    

写真1.千代子石(Ca3Si(CO3)[B(OH)4]O(OH)2・12H2O、

  岡山県布賀鉱山、購入品)

  薄ピンク色の部分が千代子石(矢印の先、赤矢印先横も)。

  千代子石の最大長(矢印先)は約2mmです。

  青かったり、黒紫色の部分は、逸見石です。

  写真では、Caがたくさん入り込んで逸見石は綺麗ではないけれど。

  きれいな逸見石は、以前の書き込みを見てください。

 

 

    

写真2a 千代子石拡大

 

    

写真2b 千代子石拡大

 

    

写真2c 千代子石拡大

 

    

写真2d 千代子石拡大

 

    

写真2e 千代子石拡大

 

 別途に逸見石(Ca2Cu[B(OH)4]2(OH)4)を持っているが、千代子石らしいところは見つからなかった。そういう意味では、写真の石には、逸見千代子の名字と名前が入った鉱物が存在する珍しい石と言うことになる。って、逸見石は、逸見吉之助逸見千代子の親子に因んで付けられたから、当たり前って言えば、当たり前か。

 それにしても、逸見石と千代子石、組成というか、構造というか、よく似ているところがあるなあ。B(OH)4OHCO3の所はどうやって分析したのかなあ、X線などの回折かなあ。それは無理だろうなあ。赤外線だろうかな。原論文を全部はネットで読めないのが残念だ。色の違いは、銅(Cu)があるかないかであることは明白だね。Siじゃ色付かないしね。

 逸見石 Ca2Cu[B(OH)4]2(OH)4

 千代子石 Ca3Si(CO3)[B(OH)4]O(OH)2・12H2O

 

 それにしても、千代子石、おそらくかなり前から認識されていたのだと思う。このピンク色の部分はなんだろうなとか。しかし、その組成と様相を見るとかなり分析が困難だったんだろうなあと想像されるし、逸見石の発見(1986年)から35年近く経って報告されるなんて、相当分析が困難だったんだろうなあと推測される。

 

 それにしても、岡山の布賀(ふか)鉱山、色々な鉱物が産出するよなあ。しかも目での区別が難しい石を。

 

 で、そんな奴がよくまあ、私の手元に来てくれたよ、ちょっと粗末にしてたけどネ。

 ここでは、書き忘れた物と、いい写真が撮れなかったので掲載しなかった鉱物について、やっぱり書いておこうと思います。

 まずは、変わった黄銅鉱についてです。若林標本の中には、非常に珍しい、変わった形の黄銅鉱があります。それが以下の写真です。


    
写真35 黄銅鉱(軍配形、CuFeS2、秋田県荒川鉱山産)

    双晶らしいですが、非常に珍しい形をしています。

    世界でただ一つじゃないのかな。
 

 この軍配形黄銅鉱については、若林標本を用いて、故須藤俊男が解析して1943年に報告している(参考5)。これを読むと、三角式の黄銅鉱が、荒川鉱山で特に多く見つかっており、世界的にも珍しいことがわかる。

 若林鉱物標本の事を書いてきて、やっぱりベゼリ石の事も書いておかなくてはいけないなと思うようになってきました。書かなかったのはベゼリ石のきれいな写真が撮れなかったためですが。写真は、そのまま最後に掲載します。

 東京大学総合研究博物館のサイト(参考2)を見ると、「若林鉱物標本」のリストには、三角式黄銅鉱(秋田県荒川鉱山)の次にベゼリ石(秋田県日三市鉱山)が来ています。この二つは、若林標本の中でも大きな注目すべき点でしょう。次に挙げるとすれば、若林鉱物標本とは直接関係ありませんが、若林彌一郎にちなんだ若林鉱があることでしょう。

 三角式黄銅鉱については、既に書きましたので、今回は補足として、ベゼリ石についてです。

 若林彌一郎と言えば、古くから鉱物に興味ある人には、「荒川石」という鉱物を知っているでしょう。ベゼリ石は、当初砒素を含む鉱物として登録されたが、若林が発見した鉱物では砒素は含まないので、新鉱物として「荒川石」として報告されました。後に砒素が含まない物でも同じ結晶として産出が報告され、ベゼリ石の名は、砒素を含まない鉱物としてそのまま名を継承し、「荒川石」はベゼリ石とされることになった、そういう曰く付きの鉱物なのです。そのことが参考3のサイトに書かれています。分析技術が進み、普及が日本でもう少し進んでいたら、荒川石として登録されたはずだったかもしれません。

 そんなこともあって、古くからの鉱物マニアの方々には、日三市(ひさいち)鉱山のベゼリ石は、垂涎の的の鉱物になっています。

    
写真36a ベゼリ石((Cu,Zn)2Zn(PO4)(OH)3・2H2O、

         秋田県日三市鉱山産)

 床下にあったので、灰色の点がたくさん写り込んでいますが。

 

    

写真36b ベゼリ石((Cu,Zn)2Zn(PO4)(OH)3・2H2O、

         秋田県日三市鉱山産)

 (白い点は、部屋のライトが反射しているためです)

 

    

写真36c ベゼリ石((Cu,Zn)2Zn(PO4)(OH)3・2H2O、

          秋田県日三市鉱山産)

 この引き出しの鉱物全部がベゼリ石です。右下の二つが写真36bに写っています。


 日三市鉱山は、今でも二次鉱物は見つけられます。数年前に日三市鉱山に採集に行ったときには、紫水晶や緑色の鉱物があまり見かけなくなっていて、行ってもあまりいい物が採集できない状態になっていました。きれいな、目で見られるサイズの、二次鉱物(例えば、孔雀石、藍銅鉱、ベゼリ石など)の採集はほとんど無理、出来ないでしょう。
 
 参考に、若林彌一郎に関しては、アメブロにも書かれています(参考1)。
 また、荒川石とした鉱物に関する報告は、1921年地質学雑誌でした(参考4)。ちなみに、この文献は古いので縦書きで、文字使いが旧式なので読みにくいです。

参考
1.アメブロでの若林彌一郎の紹介
https://ameblo.jp/jjr1712/entry-11187356066.html
2.東京大学総合研究博物館のサイト
https://www.u-tokyo.ac.jp/focus/ja/events/z0301_00191.html
3.荒川石についてのいわくが書かれたサイト
https://lapisps.sakura.ne.jp/gallery4/275veszely.html
4.荒川石の発表文献
https://www.jstage.jst.go.jp/article/geosoc1893/28/332/28_332_191/_pdf

5.須藤俊男,日本岩石礦物礦床學會,v29,p23-26(1943)

 

 若林標本の写真の続きです。

 

 会場に行くと、最初の日本式双晶と輝安鉱は、博物館の入口正面のブースの中にあります。若林標本の会場とは別なところでした。ご注意ください。

 

 また、写真は見る順番ではありませんのでご注意ください。

 

 さて、若林標本の中で、めぼしい物と言えば、「黄銅鉱」です。黄銅鉱と言えば、砂川一郎氏の研究(参考1)が有名です。(下図参照)

     

図1 三角式黄銅鉱の種々の結晶についての説明図(参考1,p263より)

 この研究は、若林標本を参考にしてなされたとか。

 

 その黄銅鉱の結晶の大きさにビックリでした。黄銅鉱と言えば、普通採集できるとすれば、劈開性がないので概ね塊で、晶洞に結晶が見えたとしても、mmサイズ。cmに近い物なんて見当たらない。けれど、若林標本は違いました。5cmはあろうという物。別なところには、小さい三角黄銅鉱がたくさん。

     

写真6a.三角式黄銅鉱の写真

引き出しの中にあったが、引き出しの中はすべて黄銅鉱でした。

 

     

写真6b.黄銅鉱の引き出しの中

 

     

写真6c.別の引き出しの三角式黄銅鉱

 こちらは小さい物ばかりだけれど、たくさん。よくまあこんな小さい物たくさん集めましたねえ。

 

 さてさて別な鉱物の写真を。

     

写真7.孔雀石(Cu2(CO3)(OH)2、秋田県荒川鉱山産)

 後ろに私の右肩が映り込んでしまってますね。

 

     

写真8.青鉛鉱(PbCu(SO4)(OH)2、秋田県日三市鉱山産)

 

     

写真9.白鉛鉱(PbCO3、秋田県亀山盛鉱山産)

 

     

写真10.ブロシャン銅鉱(Cu₄SO₄(OH)₆、秋田県荒川鉱山産)

 

     

写真11.黄銅鉱(CuFeS2、秋田県荒川鉱山産)

 後ろに私の右肩が映り込んでしまってるわね。

 

     

写真12.閃亜鉛鉱(ZnS、秋田県阿仁鉱山産)

 

     

写真13.斧石(Ca2(Mn,Fe)Al2BO3[Si4O12]OH、

               大分県尾平鉱山産)

 

    

写真14.あられ石(CaCO3、島根県松代鉱山産)

 

    

写真15 方解石(CaCO3、兵庫県生野鉱山産)

     

    

写真16 輝安鉱(Sb2S3、愛媛県市ノ川鉱山産)

 

    

写真17 輝安鉱(Sb2S3、愛媛県市ノ川鉱山産)

 

    

写真18 輝安鉱(Sb2S3、愛媛県市ノ川鉱山産)

 

    

写真19 輝安鉱(Sb2S3、岐阜県中瀬鉱山)

 実物は全然輝安鉱に見えませんでしたね。

 

    

写真20 輝安鉱(Sb2S3、愛知県津具鉱山産)

 

    

写真21 パイロクスマンガン石((Mn,Fe)7Si7O21

                愛知県田口鉱山産)

 

    

写真22 蛍石(CaF2、岐阜県中津川産)

 

    

写真23 紫水晶(SiO2、栃木県日光鉱山産)

 

    

写真24 輝水鉛鉱(MoS2、岐阜県中瀬鉱山産)

 

    

写真25 日本式双晶(SiO2、山梨県乙女鉱山産)

 

    

写真26 方解石(蝶型双晶、CaCO3、鹿児島県串木野金山産)

 

    

写真27 方解石(CaCO3、栃木県足尾鉱山産)

 

    

写真28 紅柱石(Al2SiO5、福島県須賀川市産)

 

    

写真29 微斜長石(KAlSi3O8、山梨県甲府市産)

 

    

写真30 自然蒼鉛(Bi、兵庫県生野鉱山産)

 

    

写真31 鉄礬柘榴石(Fe3Al2(SiO4)3、福島県石川町産)

 一つの大きさが5cm以上あるぅ!

 

    

写真32 方鉛鉱(PbS、秋田県太良(たいら)鉱山産)

 銘柄品ですね。方鉛鉱の結晶が凄く大きくて。

 

    

写真33 黄銅鉱(三角式、CuFeS2、秋田県荒川鉱山産)

 

写真34 若林鉱(As, Sb)₁₁S₁₈、群馬県西ノ牧鉱山産)

 

 たくさん写真を貼りましたが、私のデジカメでは色の再現が悪くて、色の修正をしました。どうもあまり再現がよくありませんが、まあまあ再現されたかと。ひとまずアップしておきます。参考に。

 

 若林標本の写真集が発行される予定ですが、延び延びになっています。そちらで色などは確認してください。

 

参考

1.砂川一郎,地質調査所月報,v2,p253-267(1951)

 

 

いざ、東京大学総合研究博物館へ

 もう随分前から本郷にある東大総合研究博物館で開催されている若林鉱物標本」展を見に漸く行ってきました。行こう行こうと思いつつ、どんどん先延ばしにしていて、終了が間際のこの時期になってやっと決断しました。3月末頃からの開催であるというのに。あと1週間を切りました、9/1(金)までです。

 

     


 で、東大の総合研究博物館ってどこにあるのという感じだったので、googleで検索して行きましたが。私のところ(佐倉)からは京成電鉄に乗り、蔵前で降りて、5分ほど歩いて、大江戸線に乗り換えて本郷三丁目で降りる、という具合で比較的容易に行くことが出来ましたね。

 本郷三丁目の交差点は、学生時代に何回か来たし、東大の校内はその後も30回くらい入ったことはあるんですが、ほとんど北の工学部とか農学部とかの弥生町方面で、こちらはもうすっかりご無沙汰でしたので、付近の様子がすっかり変わったようで新鮮な感じでした。

 交差点では、南北に本郷通り、東西に春日通りが走り交差しますが、私は大通りを避け、交差点の北東側にある、本郷通りと並行する裏道(?)を北上して東大の懐徳門から入って右方へ。すんなりと目的の場所に着きました。入るときには私の前後に人が誰も居ないので、中は人が全然居ないのかと思いましたが、館内にはそこそこの人が居ました。鉱物を見に来た人だけではないようでした。

 

若林コレクションを見る

 いやもう驚きました。さすがだなあと言う標本ばかり。展示してあるのは2部屋ですが、引き出し、床下など開いていない箇所がほとんどで、開いていたらどれだけあるのかと思うくらい。特に私が知っている、荒川、亀山盛(きさもり)、日三市(ひさいち)の各鉱山の標本が多いのに感激してしまいましたね。この鉱山の鉱石が多いのは、本人が三菱鉱業(現三菱マテリアルか)の鉱山長などをしていた関係もありますが。

 

 総合研究博物館に入ってすぐ正面左下を見ると、ええーっと驚くサイズ(幅30cmはあるかな)の日本式双晶がドンと置かれていてビックリ、色々な展示に混じってその後ろ側の、200cmx20cm位の所にはにょきにょきと林立する輝安鉱があ!いきなりビックリでした。

     

写真1 日本式双晶

 玄関入ってのすぐの左端下にドンと双晶が寝そべって置かれていた。赤ちゃんが寝ているように見えたのは私だけでしょうか。        この石の幅は60cmくらいあるかな、双晶幅は30cmあるのかなあ

 

      

写真2 輝安鉱 幅20cmくらい、奥行き200cmくらいにニョキニョキと正面のいろんな標本の後方にあった。他の標本で正面からは全体像が見えず、隠れているので注意。右横に回って撮影。

 

若林標本の部屋に入る

 博物館の展示のいくつかは、館内が暗くてよく見えない物もありましたが、若林コレクションの最初の部屋は、壁一面、床下にも収納されて、さすがだなあと思わせる標本が所狭しと並んでいました。棚の引き出しは一部見えるように出されていて、開いていない引き出しにはどんな物があるのか見たいものだと思いましたが。

 

  会場の入口すぐ左の壁には、「若林鉱」が説明と共にありました。標本が本当に小さいので、拡大鏡を付けてほしいと思いましたが。

      

写真3a 若林鉱の標本

写真3b 上の写真の拡大

 多くの人がこれを見過ごして、中へと入ってましたが。

 

 まあ、とにかく最初の部屋を見ただけで、圧倒された感じがあって、これを見落としてしまうのでしょう。以下は、会場の入口と最初の部屋への場所での写真です。

      

写真4 館内の若林標本展示の入口

 入口に入ってすぐ右に曲がると、手前すぐ左側に若林鉱の展示で、その先が下の写真の部屋です。

      

写真5 若林標本の最初の部屋

                          (つづく)

朝顔について

 先日、千葉県佐倉市にある国立歴史民族博物館(通称、歴博)の付属の植物園「くらしの植物苑」で開催されている朝顔展に行ってきました。毎年ながら、今年も結構楽しめました。

 

 朝顔と言えば、小学生の時に多くの人が夏休みの宿題として朝顔の成長を書いたり、学校で育てたりしたなどで、記憶に残っている人も多いはず。

 朝顔は日本において江戸時代に突然変異種がたくさん輩出し、その後明治の中期から昭和の初めに、そして2000年頃からまた朝顔の育成が盛んになっています。

 佐倉市にある歴博では、毎年朝顔を展示しています、特に変化朝顔を。変化朝顔(または「変わり種朝顔」などとも言う)の詳細については、以下をご覧ください。
  → 九州大学の変化朝顔のサイト

 

 変化朝顔の基本として、以下の2系統があることを知らないと理解が進みません。

 A.正木(花が咲けば、種が取れる種類)

 B.出物(花が咲いても、種が取れない花がある種類)

 

 次に、出物では、以下の4種類が各系統番号の朝顔毎に発現する。

 1.牡丹出物(めしべ、おしべが花びらに変化して、種が取れない、鑑賞価値高い)

 2.一重出物(花びらが一重の物)

 3.親牡丹(花びらが八重の物、朝顔では八重と言わず牡丹と言う)

 4.親木(種が取れるが、この種の中に、1の牡丹出物の遺伝子を持つ種が

     あるから保存する。もちろん、2(一重出物)、3(親牡丹)の種も含まれる。)

 

 出物朝顔では、2,3の種は通常捨てる。2,3の種では絶対に1の牡丹出物が出てこないので、捨てないと1の牡丹出物の出現確率が下がって、なかなか見つけられないことになる。また、朝顔の種ってたくさん取れるので。

 

 出物の特徴として、出物が発芽したすぐの子葉の時に、出物かどうか判断できる  ので、そのときに親木と分け、苗ごとに育てる。また出物は、苗ごとに種を保存するなどのこともしないと牡丹出物の花を見る確率が下がってしまうので、出物朝顔の栽培は結構面倒で難しい。

 

 また、基本として出物の出現確率は、メンデルの法則に従い、上の番号順に

  1(牡丹出物):2(一重出物):3(親牡丹):4(親木)=1:3:3:9

なので、1(牡丹出物)の出現は(16個中)1個だけ。メンデルの法則が確立されたのは、明治に入ってからです。このようなことが、法則が確立以前の江戸時代末期の日本で、なんとはなしに理解されていたのは驚きですね。

 

 も一つ、変化朝顔はその名称を言うと、どのような物かわかるようになっています。出物では、同じ兄弟なのに名前が違ったりもしますので注意が必要です。

 

朝顔の名前の付け方

 朝顔の名前は、基本、花びら2つに関して付けらています。以下の項目を順番に選んでいくだけです。(一部は省略されますが。)

 

 葉の色(青、黄、萌黄など、ほとんどが前の2種)

 葉の質(渦葉、顰葉など、特徴なしは省略する)

 葉の模様(斑入、水晶斑入りなど、模様なしの時には省略する)

 葉の形(常葉、蜻蛉葉、蝉葉、乱菊葉、笹葉、爪龍葉、州浜葉、立田葉など)

 花の色(紺、青、、白、紅、藤など)

 花の模様(覆輪、縞、車絞、曜白、染分、吹掛絞など、模様なしは省略する)

 花筒の色(筒白、筒紅など)

 花弁の形(撫子、細切、風鈴、鳥兜など、特徴なしは省略する)

 花の形(丸咲、桔梗咲、切咲、石畳咲、采咲、撫子采咲、風鈴獅子咲など)

 花の大きさ(小輪、大輪など)

 

以下は名前付けの例です。

写真0.黄・蝉葉・栗皮茶・丸咲・大輪(114,正木、通称”団十郎”、筒白ですが省略)

 

 ちなみに花の色に関して、色の花を持つ植物は、朝顔エビネだけです。茶色の花を持つ朝顔は、歌舞伎役者の団十郎(茶の服装を好んだ)にちなみ「団十郎」系と呼ばれます。

 

朝顔とその近縁種である「さつまいも」について
 朝顔とさつまいもは同じ属で、親類に近い近縁種です。朝顔は東京など東日本でも普通に花を見ることが出来る。しかし、さつまいもとなるとこれはほとんど見られない。九州南部や沖縄など気候の暑めの土地に限られる。

 しかし、さつまいもの苗を朝顔に接ぎ木をすると関東でも花が見られる(参考5)。やってみたい人は是非どうぞ。

 余計なことだが、里芋の花も関東ではほとんど見ることが出来ない。が、昨年私は友人の畑でたまたま見ることが出来た。写真は撮ってないが。里芋は、座禅草とか水芭蕉、マムシ草、浦島草などの近縁で花はそれらと同様に包状に咲く。こんにゃく芋もまたしかり。

変化朝顔の写真
 さて、朝顔にもいろいろあるよということを私が知ったのは、千葉県佐倉市にある国立歴史民族博物館の「くらしの植物苑」で朝顔展が20年ほど前に開催されたことからです。以来、ほぼ毎年8月前後の時期、1ヶ月ほどの期間に朝顔展が開催されるので、今年も鑑賞しに行ってきた。

 以下は千葉県佐倉市にある国立民俗歴史博物館での今年見られた変化朝顔から少し(系統番号で6種)だけ、その写真です。(番号は、朝顔の系統番号です、)


写真1.黄弱渦柳葉白撫子采咲(Q1608,一重出物)

 

写真2.青笹葉黒鳩切石畳咲(X766.1,正木)

 

 

写真3a.黄抱常葉紫丸咲牡丹(419,親牡丹)

 

写真3b 黄抱常葉燕紫丸小咲(419,燕出物)

 

写真3c 黄抱常葉紫丸咲(419,親木)

 

 

写真4a. 青打込弱渦柳葉青采咲牡丹(605,牡丹出物)

 

写真4b. 青打込弱渦柳葉青采咲(605,一重出物)

 

写真4c. 青打込弱渦柳葉青丸咲牡丹(605,親牡丹)

 

写真4d. 青打込弱渦柳葉青丸咲(605,親木)

 

 

写真5a.青斑入海松(みる)葉茶覆輪細切采咲牡丹(666,牡丹出物)

 

写真5b.青斑入海松(みる)葉茶覆輪細切采咲(666,一重出物)

 

写真5c.青斑入笹葉茶覆輪車絞切咲牡丹(666,親牡丹)


写真5d.青斑入笹葉茶覆輪車絞切咲(666,親木)

    覆輪(花びらの先が白い)


写真6.黄・斑入・州浜葉-青紫・曜白・丸咲・大輪かな?(富士の桜,正木)

 

 大輪系の朝顔は、曜(花びらと花びらのつなぎの間)が通常より多い。これは6つある。大輪系以外の朝顔では、曜は5つが普通。また、大輪朝顔では、大きな物は花の直径25cmなんて物もある。


朝顔の本
 朝顔の本は、私は凝り性なためか、20冊ほど持っています。その中で、いくつか紹介しておきましょう。

お子さん向け(小学生向けかな)
1.中山周平,新装版 アサガオ-たねからたねまで-,あかね書房(2005)

 朝顔の基本を抑えて書かれています。大人でもお薦め。


2.わたなべよしたか編,アサガオの絵本,農文協(2001)

 絵本と言いながら、変化朝顔が中心に書かれているので、大人向け。

大人向け
3.田口秀丸,アサガオ,誠文堂新光社(1998)

 大輪朝顔の写真がたくさん。アサガオの科学、育て方など丁寧に書かれている。アサガオ関連では、特にお薦めの本。


4.仁田坂英二,変化朝顔図鑑,(株)化学同人(2014)

 朝顔研究の第一人者が書いた本。タイトル通りの変化朝顔について。変化朝顔の名の付け方から、葉の色、形、花の色、模様、花筒の色、花弁の形、花形など系統的に書かれている。写真も豊富でわかりやすい。


5.米田芳秋,色分け花図鑑 朝顔,学習研究社(2006)

 朝顔研究者が書いた本。大輪朝顔、変化朝顔の写真が豊富。また朝顔の類縁種などの記述があり、育て方まできちんと書かれている。でも、この本はアマゾンでは扱っていないみたい。


6.朝顔百科編集委員会編,朝顔百科,誠文堂新光社(2012)

 朝顔についてはほとんど網羅している一般向けであるが、専門書の感じ。類縁種については少ししか書かれていない。朝顔の栽培法、育種、採種、同好会などについても書かれている。これがあれば、朝顔については万事OKで、他の本はいらない感じもある。

参考
1.九州大学の朝顔のホームページ
  → http://mg.biology.kyushu-u.ac.jp/

2.佐倉にある国立歴史民族博物館付属「暮らしの植物園」
  → https://www.rekihaku.ac.jp/exhibitions/plant/project/index.html

3.変化朝顔研究会
  → http://henkaasagao.tumabeni.com/index.html

4.東京朝顔研究会
  → https://www.tokyoasagao.com/

5.新潟大学のサイト
  (サツマイモを朝顔に接ぎ木する実験紹介サイト)
  → https://www.sc.niigata-u.ac.jp/biologyindex/wada/p13/p13-2-1.html#:~:text=%E4%BA%92%E3%81%84%E3%81%AB%E8%BF%91%E7%B8%81%E7%A8%AE%E3%81%A7,%E3%81%99%E3%82%8B%E3%81%93%E3%81%A8%E3%82%92%E7%A4%BA%E5%94%86%E3%81%99%E3%82%8B%E3%80%82

 

 先日、アマゾンを見ていたら、まだ発売していない本をポチッとしてしまった。一応予約という形になったんだと思うが。

 → Amazon.co.jp: 宮城県鉱山誌 : 五十公野裕也: 本

 

 鉱山誌とか、鉱物誌とかでは、北海道鉱物誌、秋田県鉱山誌、新岩手県鉱山誌、宮城県鉱物誌、長崎県鉱物誌やら日本金山誌、日本の鉱床総覧なんていうのも、本としてやPDFデータとして所有している。本には、PDF化してあるので持っていない物もあるが。

 

 鉱物採集の時に、時折調べたりはするが、持っている割に調べない。どんどん増えてきて、本棚を占めて場所ばかり取って部屋がどんどん狭くなる。実は、PDF化も比較的進んでいて、結構な本がPDFファイルとしてパソコンで見られるようにしてあるが、パソコンのHDの中が倉庫代わりになっているが、やっぱりあまり使わない。困ったもんだなと思っているのに。

 

 そういえば、宮城県の以前の本は、鉱物誌だったのが、今回は鉱山誌なんだわ。何が違うのかなあって、以前の物は県内で産出した鉱物を一つ一つ説明して鉱物の説明を多くしていたのだから、今度は鉱山誌、鉱山について説明すんだろ。大いに違うだろうなと想像しているが。

 

 石部屋が狭くなってきたので、石の整理を始めているが、遅々として進みません。整理が進んでほんのちょっとだけ部屋が広くなったけど、部屋の中で動きづらいのはあまり変わりません。整理癖があまりないからなあっていうよりも、石を置いておく場所がないわね。それが一番問題で。

 

 石の整理をしながら、石を眺めています。って、反対だろ、石を見て整理をしてくんだろ、普通。その普通が出来ません。いつも途中で止めて、何処までやったか忘れて放置が繰り返されます。その途中でまた次の石がって具合だものな。諦め気味ながらもちょっとずつ進めていますが。果てしなく続きそう。

 

 で、以前に秋田・阿仁鉱山の閃亜鉛鉱、四面体の比較的綺麗なものをアップしたけれど、今回も閃亜鉛鉱で、しかもやっぱりこれも自ら阿仁鉱山で採集した物で。

 

   

   写真1 閃亜鉛鉱(ZnS、秋田・阿仁鉱山)

       黒の円盤の直径は12cm。

       写真2の箇所は上の黄色矢印の先にある。

 

 この石には、黄銅鉱もたくさん付いていて、方鉛鉱も一部に付いている。綺麗な閃亜鉛鉱の部分は、ルーペだと見落としやすいが、実体顕微鏡などで丁寧に見ていくとなかなか綺麗な結晶が見つかった。それは、小さな晶洞中にひょっこり現れるので、そういうところがとても面白い。今回の石にも黄銅鉱の三角も散見するが、それはそのうちに。

 

 以下の写真は、中心にあるのは皆同じもので、試料の角度を変えて写してみた。結晶は、かなり綺麗な鼈甲色。周囲には、四面体の閃亜鉛鉱もあるし、方鉛鉱が銀光りしている。黄銅鉱も映っている。中心の結晶サイズは約0.3mm。目で見るのはかなり無理。今までは、光はサイドから当てていたので、時折結晶面にライトのリングが映っていたりしたが、今回はデジタル顕微鏡の落射光だけ当てて写してみた。これだけで結構きれいに写真が撮れることがわかったので、今後はこの方法で写すことが多くなるかな。問題は試料の固定を考えなくては。

 

   

   写真2a 閃亜鉛鉱(ZnS、秋田・阿仁鉱山、)

       

   

   写真2b 閃亜鉛鉱(ZnS、秋田・阿仁鉱山)

 

   

   写真2c 閃亜鉛鉱(ZnS、秋田・阿仁鉱山)

 

   

   写真2d 閃亜鉛鉱(ZnS、秋田・阿仁鉱山)

 

   

   写真2e 閃亜鉛鉱(ZnS、秋田・阿仁鉱山)

 

 そうそう、使用しているデジタル顕微鏡は、アマゾンで探すと、下の物と同じ形の物です。

 

 これには最大1000倍と書いてあるけど、それは画像のドットから計算され、画面上に表示されたものから計算されたものと思う。実際はどのくらいなのだろう。画面で見る限り、今回は60倍くらいか。また、倍率は試料との距離とズームの加減で変わってしまうので注意が必要。光は落射でこの顕微鏡が自前で持っているので、余計なライトを用意する必要もない。もちろん画像の保存はマイクロSDカードに保存できる。これの高さが20cmもなく、重さも500gもないので、簡単に持ち運びできる。などの特徴を持っている。

 欠点を上げておくと、①ステージは軽いので、シャッターを押すときにカメラが動いて、試料が動いてしまって画面がぶれることもある。もう一つ、②大きな試料の場合、カメラを動かすときのストロークが小さいために、カメラの下に置けない。それで写せないことがある。

 が、値段が6000円もしない割に、小さい物を写す私には、比較的きれいに撮れるのでまあこれでいいかなと。

 

 本当は、実体顕微鏡にデジタルカメラを取り付けたいんだけど。いや付いているんだけれど、色調整が面倒など含め、ソフト(かなり古くて)が使いにくいなどで使用していないだけだけど。実体顕微鏡と顕微鏡用のデジタルカメラのメーカーが異なるのが面倒さを作り出している理由だろうなあ。ソフトがwinXPまでの対応であるためもあるな。

 

 

 

 

 

 

はじめに

 秩父鉱山の石灰沢で採れる鉱物と言えば、スピネルクリントン石がよく知られている。もちろん柘榴石ベスブ石なども採集できるようだが、私は採集していない。なので、ひとまず、石灰沢で採集したスピネルとクリントン石を探す。

 

 整理癖があまりないので、採集しても整理して取捨選択してラベル付けなどをしなくてはいけないが、ちっとも整理しない。いつまでも箱の中に入ったままで、このままうち捨てられてしまう物もあるかもしれない。そんなことがないようにしたい物だが、ともかく採集した物は一度は顕微鏡などを使ってじっくり見ることにはしている。見るのだけれど、その後の整理にまで行かない。一度だけだと見落としがあるかもしれないといつも思っているので、なかなか捨てられないのだ。私の場合、標本となる鉱物が小さい物が多い。0.1mm位の物でも全然平気なので。

 

 

 30年以上前から採集、収集している人の標本ではかなり立派で、顕微鏡など使わずともすぐその良さ、立派さがわかる物が多い。最近の標本は、外国の物でない限り、見栄えする物は入手できないからねえ。と少し不満が残る。残っても仕方ないことだが。

 

 という訳でもないが、今回は秩父鉱山石灰沢のスピネルとクリントン石の写真を撮った。石灰沢には2度ほど行ったきり。最初は、全くわからず、沢の中をウロウロ。誰もおらず、誰も来なかったので、がっかりして帰ってきた。以来あまり近寄らなかった。自分の中では石灰沢はガッカリ沢と思っていたので。が、2年ほど前に友人に誘われて行った。もうすっかり忘れていて、奥の奥まで探検したが、奥では何も採れなかった。

 

 戻ってきて、奥に行く前に出会った女性2人を含む集団が入れ違いに採集を終えて下りていった。何も採れなかったと言っていたが、何もないと言っていたのは、鉱物が非常に小さいために、ルーペでしっかり観察しなかったためだろうと思う。スピネルやクリントン石は概してそれほど小さいので。

 奥の探検から戻ってきて、何も取れないと集団の人が言ったその辺りで採集したのが今回の石。採集場所の崖の上の方にも登ったが、結構採れるじゃないかと思った。しかし、いずれも小さい物ばかりで。

 

で、以下採集した石の写真です。

 

採集した石の写真

1.最初はスピネル

 いずれのスピネルもサイズは0.5mm程度です。

    

写真1 スピネル(MgAl2O4、秩父鉱山、石灰沢)

 

 石灰沢のスピネルは、亜鉛が含まれていて、亜鉛スピネルだと言われる。区別しろと言っても私にはその区別は難しい。なのでそのままスピネルと。

 

    

写真2 スピネル(MgAl2O4、秩父鉱山、石灰沢)

 こちらのスピネルは、水色で、八面体っぽくて、きれい。でも、この色のスピネルをいくら探してもほとんど見かけない。

 

    

写真3 スピネル(MgAl2O4、秩父鉱山、石灰沢)

 これが一番八面体っぽくていい感じだ。色はちょっと写真2のものよりくすんだ感じに。なにしろ、これが普通だ。が、透明感があるのがいい。

 

2.クリントン石

 スピネルが付いている石を眺めているとクリントン石も見つかる。六角、薄片状で雲母のように見えるから、クリントン雲母などと言うこともあるようだ。

 

    

写真4 クリントン石(CaAlMg2(Al3Si)O10(OH)、

          秩父鉱山、石灰沢産)

 これでは、淡い緑色で、六角で、少し厚みがある板状で見つかった。

 

 そう言えば、友人から岐阜のどこかのスピネルを頂戴したなあ。先日眺めていたのだが、どこへやったかなあ。

 

 また、石灰沢では数年前に柘榴石系の新鉱物が見つかったのではなかったかなあと。調べたら、2019年に「ホルツタム柘榴石(Ca3Al2(SiO4)2[□(OH)4])」でした。

これは、茶褐色で、柘榴石とは微妙に違うようです。灰礬柘榴石のSiO4の一つが後ろのカギ括弧の中と入れ替わった構造になっています。

cf.灰礬柘榴石:(Ca3Al2(SiO4)3)

 

 確かに、薄茶色の箇所が石灰沢では多い感じですな。そこがこの新鉱物かは知りませんが。