1.はじめに
八雲鉱山に行ったのはいつだったかなあ。最近書き留めておいても、その書き留めておいたのを忘れて、なかなか見つけ出せないので、すぐあきらめて忘れてしまう。なんてことの繰り返しで。
まだ、書きたいことの続きを書いてないし、先日行った時のことも書いてないしで、さぼりまくってますが、ときおり家にたまった石を眺めています。
今回は、ぼーっとしながら部屋の掃除をしていたら、邪魔な箱が.....、以前に採集した石の箱で、箱の中の石を手に取ると何やら見た覚えのない石がきらきらと光っているのが見えた。うーん、閃亜鉛鉱かなあと思ったが、なんか銀白色にも見える。方鉛鉱かなあと思いながら、顕微鏡で見るとどうも両方の細かな結晶が混じった感じ。
石を顔を合わせていると、ピンク色の菱マンガン鉱の中に小さい晶洞が見える。更に中を覗き込むと、アッあるわ!四面銅鉱。
ここの四面銅鉱は、大きくてもせいぜい1㎜で、小さいのが普通。四面銅鉱はそう矢鱈と結晶が素直に見えないものが多い。別子銅山や稲倉山鉱山などでは昔に綺麗な大きな結晶のものや塊の上に結晶が見えるものが産出したらしいが、実物をお目にかかったことがない。とにかく結晶が見えるものでは、茂浦鉱山と八雲鉱山のもので四面体の結晶のものを採集している。まだよく見ていない石の中から、見つかったので少しうれしかった。
2.観察した石の写真
八雲鉱山では、閃亜鉛鉱、方鉛鉱、菱マンガン鉱がしばしばみられる。他に、重晶石、安四面銅鉱なども採集できる。今回、いずれも採集できていたことが確認できた。
観察できた四面銅鉱は、一番大きいもので1㎜。概して八雲鉱山で採集できる四面銅鉱には3㎜以上のような大きいものは見られない。よく観察した石を以下に示す。(他の石の写真は、後日追加する予定)
写真1 観察した八雲鉱山の石
閃亜鉛鉱、方鉛鉱、菱マンガン鉱が目視できる
この石を採集してから8年も経つというのにキラキラと輝いているのに驚く。
背景の円い黒い板の直径は12㎝
写真1a 写真1の一部拡大(四面銅鉱)1
母岩の薄ピンクは、菱マンガン鉱です。
黄鉄鉱が腐食して鉄分が出て一部黄ばんでますが。
写真1b 写真1の一部拡大(四面銅鉱)2
写真1c 写真1の一部拡大(四面銅鉱)3
五角十二面体の黄鉄鉱の結晶に囲まれて黒っぽく表面酸化した四面銅鉱が見える。
3.八雲鉱山での採集場所の位置
八雲鉱山をネットで検索すると結構出てくる。参考1のサイトには古い地図が掲載されている。あまり参考にならないが。
写真2 八雲鉱山付近の航空写真(Google Mapより引用)
八雲鉱山に行くには、八雲町から雲石峠を目指し、国道277
号線を進み、峠のはるか手前で「おぼこ荘」のある道に入る。宿はおぼこ荘にとった。鉱山はその先にある。宿の玄関には鉱山の菱マンガン鉱が並べられていた。おぼこは漢字では「雄鉾」と書くらしいです。
採集には、宿からさらに奥に進み、「オボコ山の家」の手前まで車で行ける。川に渡した橋を渡ってオボコ山の家の前に行く。オボコ山の家は、今は山小屋として管理されているらしい(参考3)。昔は郵便局だったようだ。建物前にはポストがある。
この建物の前から人の背丈よりも高い草藪の中を進み、途中で川を渡るが橋脚だけしかないところを渡り、さらにまた草藪を漕いで、川の合流地点に到着する。図2の中央下にある川の合流点だと思う。そこから図2で東西に流れる川の中には目的の石がたくさん転がっている。その付近での採集の様子が水晶(鉱物同志会会誌)(参考2)に紹介されている。
図1 おぼこ荘付近の地図(国土地理院の地図を引用)
ちなみに、地図中には八雲温泉があるかのように書かれていますが実際には少し違います。それはおぼこ荘に該当します。
この図は、下の図2に続き、一部重複しているので注意
合流地点の右の川は急流で覚悟しないとは進んではいけない感じだが、左の川は広幅で川も浅い。その合流地点で渡渉し、そこからすぐ広幅の川の中の石を叩くと閃亜鉛鉱や菱マンガン鉱がよく見つかる。時にはそれらが層状になって非常にきれいなものを見つけることができる。菱マンガン鉱の表面には五角十二面体の黄鉄鉱を見つけることもできるが、それらは非常に小さい。また黄鉄鉱と一緒に四面体の安四面銅鉱も見つかる。たたいた石の中から現れた閃亜鉛鉱は鼈甲色の個所もあり、きらりと輝いていることも多い。
川を遡ると途中で小さい滝のようなとこに出くわすが、脇を通ってさらに上流に行くことができる。その上流部でも石の採集は可能だ。そちらには方鉛鉱が多い感じだった。渡渉した合流地点から300mほど登ると川は分岐し、左上方にはずりのような場所が見えたが、川幅が狭くなり流れも急にもなってきており、時間も無くなってきたので、先には進まず折り返した。
4.おまけ
北海道には、たくさんのヒグマがいます。八雲鉱山付近も例外ではありません。熊は昼間はあまり行動しないとは言われますが、現地には人の背丈ほどもある藪を漕がないと辿り着けません。結構広葉樹があるので、熊が出ないとも限りません。なので熊対策(熊避けの鈴、熊スプレーなど)の用意を忘れないように。また絶対一人では行かないようにしてください。
5.参考
1.八雲鉱山の紹介例
八雲鉱山と鉱山街 北海道の学芸員 (hk-curators.jp)
2.鈴木俊一,水晶(鉱物同志会会誌),v29,p50-61(2016)
3.オボコ山の家については以下を参考
→ こちら
4.おぼこ荘については以下を参考に。
→ おぼこ荘


















































