はじめに
秩父鉱山の石灰沢で採れる鉱物と言えば、スピネルとクリントン石がよく知られている。もちろん柘榴石やベスブ石なども採集できるようだが、私は採集していない。なので、ひとまず、石灰沢で採集したスピネルとクリントン石を探す。
整理癖があまりないので、採集しても整理して取捨選択してラベル付けなどをしなくてはいけないが、ちっとも整理しない。いつまでも箱の中に入ったままで、このままうち捨てられてしまう物もあるかもしれない。そんなことがないようにしたい物だが、ともかく採集した物は一度は顕微鏡などを使ってじっくり見ることにはしている。見るのだけれど、その後の整理にまで行かない。一度だけだと見落としがあるかもしれないといつも思っているので、なかなか捨てられないのだ。私の場合、標本となる鉱物が小さい物が多い。0.1mm位の物でも全然平気なので。
30年以上前から採集、収集している人の標本ではかなり立派で、顕微鏡など使わずともすぐその良さ、立派さがわかる物が多い。最近の標本は、外国の物でない限り、見栄えする物は入手できないからねえ。と少し不満が残る。残っても仕方ないことだが。
という訳でもないが、今回は秩父鉱山石灰沢のスピネルとクリントン石の写真を撮った。石灰沢には2度ほど行ったきり。最初は、全くわからず、沢の中をウロウロ。誰もおらず、誰も来なかったので、がっかりして帰ってきた。以来あまり近寄らなかった。自分の中では石灰沢はガッカリ沢と思っていたので。が、2年ほど前に友人に誘われて行った。もうすっかり忘れていて、奥の奥まで探検したが、奥では何も採れなかった。
戻ってきて、奥に行く前に出会った女性2人を含む集団が入れ違いに採集を終えて下りていった。何も採れなかったと言っていたが、何もないと言っていたのは、鉱物が非常に小さいために、ルーペでしっかり観察しなかったためだろうと思う。スピネルやクリントン石は概してそれほど小さいので。
奥の探検から戻ってきて、何も取れないと集団の人が言ったその辺りで採集したのが今回の石。採集場所の崖の上の方にも登ったが、結構採れるじゃないかと思った。しかし、いずれも小さい物ばかりで。
で、以下採集した石の写真です。
採集した石の写真
1.最初はスピネル
いずれのスピネルもサイズは0.5mm程度です。
写真1 スピネル(MgAl2O4、秩父鉱山、石灰沢)
石灰沢のスピネルは、亜鉛が含まれていて、亜鉛スピネルだと言われる。区別しろと言っても私にはその区別は難しい。なのでそのままスピネルと。
写真2 スピネル(MgAl2O4、秩父鉱山、石灰沢)
こちらのスピネルは、水色で、八面体っぽくて、きれい。でも、この色のスピネルをいくら探してもほとんど見かけない。
写真3 スピネル(MgAl2O4、秩父鉱山、石灰沢)
これが一番八面体っぽくていい感じだ。色はちょっと写真2のものよりくすんだ感じに。なにしろ、これが普通だ。が、透明感があるのがいい。
2.クリントン石
スピネルが付いている石を眺めているとクリントン石も見つかる。六角、薄片状で雲母のように見えるから、クリントン雲母などと言うこともあるようだ。
写真4 クリントン石(CaAlMg2(Al3Si)O10(OH)、
秩父鉱山、石灰沢産)
これでは、淡い緑色で、六角で、少し厚みがある板状で見つかった。
そう言えば、友人から岐阜のどこかのスピネルを頂戴したなあ。先日眺めていたのだが、どこへやったかなあ。
また、石灰沢では数年前に柘榴石系の新鉱物が見つかったのではなかったかなあと。調べたら、2019年に「ホルツタム柘榴石(Ca3Al2(SiO4)2[□(OH)4])」でした。
これは、茶褐色で、柘榴石とは微妙に違うようです。灰礬柘榴石のSiO4の一つが後ろのカギ括弧の中と入れ替わった構造になっています。
cf.灰礬柘榴石:(Ca3Al2(SiO4)3)
確かに、薄茶色の箇所が石灰沢では多い感じですな。そこがこの新鉱物かは知りませんが。