ひまわり / 大貫妙子
本日紹介する名曲は、1997年の大貫妙子の「ひまわり」です。
この曲は、竹中直人監督の映画「東京日和」の主題歌です。
映画のほうは、ノスタルジックで純粋なラヴ・ストーリーで、柳川の風景が印象的な素晴らしい作品なのですが、この曲はそれと同じくらいに切なく美しい曲です。
大貫妙子は、山下達郎が中心となって結成された「シュガーベイブ」というバンドでヴォーカルをしていた人です。
その昔、ビートたけしや明石家さんまが出ていたバラエティ番組「オレたちひょうきん族」のエンディング・テーマの「ダウンタウン」 という曲をEPOという人が歌っていたのですが、その曲のオリジナルが上述の「シュガーベイブ」です。
ソロになってからの活動はもうかなり長いと思うんですが、彼女の歌はあまり知りません。
この曲は、ノスタルジックなラヴ・ソングです。
主人公は、かつて慕っていた人のことを回想する詩です。
そしてその人の微笑みをひまわりに例えて歌っています。
そうした内容が、ゆったりとしたアコースティック・ギターとピアノを基調に奏でられます。
綺麗なのですが、どことなく寂しげで懐かしいようなメロディーです。
彼女のヴォーカルは上手いともいい声だとも思いませんが、味わい深いものがあります。
チン、という鈴の音が効果的に使われ、風鈴のような情緒ある雰囲気を作り出しています。
ひまわりの花というのは、夏の明るくて健康的なイメージがある一方で、ちょっと寂しげな印象があります。
夏の終わりでも花が咲いていて、暑さの下、一様にぐったりとしているのを何度か目にしてるからでしょうか。
ソフィア・ローレンの映画「ひまわり」や、ゴッホの描いた「ひまわり」も、夏の明るく開放的なイメージものとは程遠いです。
ひまわり
遠くで聞こえるひぐらしの声が
どこかで呼んでる懐かしい声が
眩しい微笑みはあの夏のひまわり
振り向くその髪を風になびかせ
いつまでもそばで
見つめ続けていた
肌に触れるよりも近くで
心に降り続く雨音のように
あなたのつぶやきを抱きしめていた
追いかけるように
あなたといた日々を
愛と呼ぶことさえできずに
いつまでもそばで
見つめ続けていた
心に触れるよりも近くで
ゲッツ / ジルベルト / スタン・ゲッツ & ジョアン・ジルベルト
GETZ / GILBERTO / STAN GETZ & JOAO GILBERTO
①THE GIRL FROM IPANEMA イパネマの娘
②DORALICE ドラリセ
③P'RA MACHUCAR MEU CORACAO (TO HURT MY HEART) プラ・マシュカー・メウ・コラソン
④DESAFINADO デサフィナード
⑤CORCOVADO コルコヴァード
⑥SO DANCO SAMBA (JAZZ SAMBA) ソ・ダンソ・サンバ
⑦O GRANDE AMOR オ・グランジ・アモール
⑧VIVO SONHANDO ヴィヴォ・ソニャンド
本日紹介するのは、1964年のスタン・ゲッツとジョアン・ジルベルトのアルバム「ゲッツ/ジルベルト」です。
ジャズ・シーンのテナー・サックス奏者スタン・ゲッツとボサノヴァのリズムを創り上げたジョアン・ジルベルトの邂逅によるボサノヴァの大傑作です。
まさに奇跡と至福の34分です。
また、このアルバムにはアントニオ・カルロス・ジョビンがピアノで、アストラッド・ジルベルトがヴォーカルで参加しており、何とも豪華です。
①からすでに名曲&ハイライトです。
ジョアン・ジルベルトがギターの弾き語りで静かに最初のワン・コーラスを歌うのですが、さりげなく入ってくるジョビンのピアノが実に(・∀・)イイ!!
そしてその後にアストラッド・ジルベルトのヴォーカル、ゲッツのサックス・ソロ、ジョビンのピアノ・ソロ、と続くところは圧巻です。
その他、名曲④⑤を含めどれも素晴らしい出来映えです。
なんというんですか、これだけ豪華なミュージシャン達による演奏にもかかわらず、どの楽器・ヴォーカルもさりげないというかでしゃばってないんですよ。
非常に抑制されたトーンで、柔らかで優しい演奏です。
このアルバムを聴くと本当に落ち着きます。
まさに名盤中の名盤です。
コルコヴァード
星のきれいな静かな夜には
私達を包む静寂の中に
ギターの優しい音色が
流れていきます
静かで滑らかな夢
小川のほとりの散策
コルコヴァードに向いた窓
なんて素敵なんでしょう
部屋の片隅でギターが
この愛の歌を奏で
愛し合う者を幸せにする
思いを巡らすための静けさ
夢見る時間もあるし
窓からはコルコヴァードが
なんて素晴らしい
いつまでもこんな風に
君をそばにおいて暮らしたい
ふたりの命の灯が消えるまで
この世に諦めを感じ
やるせない思いの僕は
君と出逢って初めて知った
幸せの本当の意味を
バットマン / プリンス
BATMAN / PRINCE
①THE FUTURE ザ・フューチャー
②ELECTRIC CHAIR エレクトリック・チェア
③THE ARMS OF ORION アームズ・オブ・オライオン
④PARTYMAN パーティーマン
⑤VICKI WAITING ヴィッキー・ウェイティング
⑥TRUST トラスト
⑦LEMON CRUSH レモン・クラッシュ
⑧SCANDALOUS スキャンダラス
⑨BATDANCE バットダンス
本日紹介するのは、1989年のプリンスのアルバム「バットマン」です。
これは映画「バットマン」のサントラなのですが、全9曲がプリンスのオリジナルですので、映画に触発されて作ったプリンスのアルバム、と言っても差し支えないと思います。
もちろん映画ではこれらの曲は使われてます。
このアルバムがリリースされるまでの数年間、奇跡のような名盤を世に送り出してきたプリンスですが、ここで聴かれる音楽は一転してわかりやすくてポップです。
そしてその中にも、驚異の数年間のような楽曲クオリティの残り香も随所に感じられます。
また、この頃出てきたハウスの影響を受けたような音作りも見られ、何やらひとつの時代の終わりを感じさせます。
この1989年は、オレにとっては学生最後の年であり、80年代の最後の年でもあったのでいろいろとその辺で思うことがあったのでしょうw
アルバムの内容はポップで聴き易いのですが、ダークでシリアスです。
おそらく映画もそうした内容なのでしょう。
観たことありますが、全く憶えてませんw
オープニングの①は予言的です。
陰鬱な雰囲気がこのアルバムの内容を示唆しているようです。
「オレは未来を見たことがある ホントにそうなるのさ」
クールでタイトなビートがカッコイイ名曲です。
②もカッコイイファンク・ロック。
「不純な考えが罪だというのなら オレに電気椅子をよこせ」
③はポップなバラードで、シーナ・イーストンとのデュエットです。
④はタイトル通りのパーティー・ファンクです。
⑤は軽めのミドル・ファンクで、地味な曲ですがオレは大好きです。
歌詞に出てくる男女の性器に関するジョークが面白いです。
「あなたのオルガンはどうしてそんなに小さいの?」
「ここが大聖堂とは知らなかったな」
⑥⑦はテンポのノリのいいポップ・ソングです。
⑧はプリンスお得意のエロティック・バラードです。
⑨はこのアルバムのハイライトで、それに相応しい名曲です。
ジョーカー役を演じるジャック・ニコルソンの高笑いでこの曲は始まります。
ノリのいいリズムと炸裂するプリンスのギター・ソロ。
もう最高です。
そして映画の台詞やこのアルバムの曲のフレーズがコラージュされ、そこに聖歌隊のコーラスも加わり、混沌と展開されていきます。
アルバム「ラヴセクシー」 でひとつのピークを迎えた(と、今から振り返ればそう言えますが)プリンスにとって、この時期のこうしたアルバムの制作は良かったことだと思います。
このまま突っ走って燃え尽きることより、立ち止まって延命することを選んだような形ですが、現在も良質のアルバムをリリースしている状況を考えると、やはり良かったことなのでしょう。
箸休め的なアルバムですが、非常に出来の良いアルバムです。
バットダンス
さて ミス・ヴェイル
青白い月の光の下で悪魔と踊ったことは?
餌食にはいつも訊くことにしているんだよ
音が気に入ってるんでね