カモン・フィール・ザ・ノイズ
4月30日(日)
ハノイへは列車で行く予定だったので、朝9時にホテルをチェックアウトするとバイクタクシーでドンダン駅へ向かうことにしました。
その辺にいるバイクタクシーを捕まえて「ドンダン駅まで。」と英語で言うと、兄ちゃんは「OK。」と言ってドンダン駅に到着、するはずだったのですが、着いたのは全然違う別の場所です。
「いや、ドンダン駅へ行ってくれ、と言ったんだが。」と文句を言うも、どうやらこの兄ちゃんは全く英語を理解していない様子です。
で、2人でバイクに乗って英語のわかりそうな人に声をかけていくことにしましたw
3人目に声をかけた女の子が英語のわかる子だったので、5分ほど走ってようやくドンダン駅に到着しました。バイクタクシーを捕まえた時から30分以上が経過していました。
で、そのドンダン駅ですが、誰もいません。
駅の構内や窓口には駅員の姿すらありません。
改札も閉まったままです。
どうしたものかと思案していると、一人のおっさんがオレに近寄ってきて、「ノー・トレイン。トゥデイ、ノー・トレイン。」と言ってきました。
今日は列車がない、と言ってます。
どうやら今日は休みのようです。
っていうか鉄道に休日あるんですか?
ひょっとして日曜日だからですか?
おっさんに理由を聞いたのですが、おっさんはノー・トレインを繰り返すだけです。
ハノイに行きたいという旨をおっさんに伝えると、「ランソンからはハノイ行きのバスが出てる。ランソンまではオレのバイクで送ってやる。」と言います。そのおっさんもバイクタクシーの運ちゃんでしたとさ。
ランソンのバス乗り場までは20分くらいかかりました。
移動途中の風景は、田んぼと大して高くない山が続いて日本の田舎の風景のようでした。
ランソンのバス乗り場に着くなり、何人かがわらわらとオレに近づいて来て、オレがハノイに行きたい、というと、わかった、じゃあこれに乗れ、とバスに乗せられました。
バスのどこにもハノイ行きとは書いてないんですけど。
料金もいくらなのかもわからないんですけど。
いつ出発するのかもわからないんですけど。
バスがやけにボロいんですけど。
バイクも乗ってるんですけど。
不安になったオレは、何人かの乗客に話しかけ、筆談で何とかこのバスはハノイ行きだということ、10時半に出発すること、料金は50,000ドンということがわかりました。
1時半頃に何の感動もなくハノイに到着。
バイクタクシーでハノイの中心街まで行ってもらい、ホテルにチェックインして、街をふらつきました。
あちこち歩き回ったんですけど、もうそれだけでハノイはお腹いっぱいになりましたw
ハノイは騒々しい街です。
街を歩いているだけでいろんな人が声をかけてきます。
店先の人、バイクタクシーの運ちゃん、果物売りのおばちゃん等々。
特にバイクタクシーの運ちゃんは本当に鬱陶しいです。
目が合うと後部シートをポンポンと叩いて乗れという仕草を見せて声をかけ、時にはクラクションを鳴らしたり大声を出したりして観光者の注意を引こうとします。
そのくせ、いざ乗ろうとすると値段を吹っかけてくるし、簡単な英語がわからなかったりするので始末に終えません。
夜はオープンテーブルの店でラーメンを食べました。
フォーを食べようと思ったのですが、客が食ってるラーメンがおいしそうだったので。
ホテルに戻ると今後の旅の予定について考えました。
ハノイには長く滞在してもあまり意味がないような気がしたのです。
オン・ザ・ボーダー
4月29日(土)
夜の1時を過ぎたあたりから座席にも空席が目立つようになり、カップ麺を買って食べた後、空いてるシートに移動して横になってしばらく寝ることが出来ました。
南寧に到着したのは朝の4時半でした。
外は未だ真っ暗です。
駅を出ると早速、憑祥(ピンシャン)行きの列車の切符を購入しました。
こんな時間でも窓口が開いてるのには驚きましたが、さすがにこの時間は並んでる人も少なく、5分ほどで切符は買えました。
出発時間は朝の8時だったので近くのメシ屋で朝食をとり、その後駅の階段に腰掛けて今日の予定について考えました。
憑祥までは列車で4時間です。憑祥に着いて天気が良ければベトナム入りしよう、雨が降っていたらそこで一泊してそれから考えよう、と取り敢えず決めました。
地図を見ながら行き先や行動予定をその時の気分で考える、これはツアーなどでは決して味わうことのない一人旅ならではの醍醐味だとオレは思います。
憑祥についたのは12時半でした。
いい天気でした。
駅を出ると三輪バイクタクシーの呼び込みが激しく、それらをかわして昼食をとることにしました。
さすがに憑祥までくるとベトナムっぽいというか中国とはちょっと雰囲気が異なるように見えます。
昼に食べたラーメンも、ベトナムのフォーに近い感じです。っていうかこの地点でオレはまだフォーを食べたことがなかったんですけどね。
ラーメンを食べたあと、駅を出た時に見たバイクタクシーの呼び込みの兄ちゃんに再び会う。
どうやらオレを探していたようで、オレに会うなり彼は、「オマエを探していたんだ。ベトナムまで行くんだろう、乗れよ。」というので、この兄ちゃんの心意気を買うことにした。
ま、実は日本人は金もってるから、という理由なんでしょうけどw
国境の友誼関(ゆういせき)までの距離は15kmくらいだったと思います。
友誼関に着くと兄ちゃんは、「ベトナムドン持ってないだろう?両替するよ。」というので、1万円両替してもらいました。
まあレートの交渉に電卓を叩いたり筆談したりで、両替するのに20分くらい揉めたんですけどね。
1万円で125万ドンでした。
このレートが相場なのかボラれたのかはよく分かりません。
で、遂に国境です。
国境キタ━━━(゚∀゚)━━━ !!!!!
でもね、この友誼関を越えると、普通にイミグレーションの建物がありました(´・ω・`)ショボーン
そこで中国出国の手続きをしたのですが、その横が中国の入国手続きするところになってるんです。
そこでピコーンときたオレは、
まず中国出国→中国入国→再び中国出国
というヒマなことをわざわざ時間かけてやりました。
さすがに2回目の出国の時は、出国管理の局員もオレの顔を覚えていて、「ん?オマエはさっき出国したではないか!」みたいなことを言い、トランシーバーで別の局員を呼んで二人で何やら話しています。
で、オレは聞かれてもいないのに、「いやーベトナムに行こうとしたら間違えて中国入国の手続きをしてしまったんですよ、すいません。」と言って、再び出国しました。
というワケで、オレのパスポートにはこの日の中国出国のスタンプが2つ押されてます。
国境を陸路で越えるという目的の達成は非常にあっけないものでした。
で、当然ベトナム側にも入国管理局があり、そこで入国の手続きをしてタクシーでダンドンへ。
初めて訪れるベトナムの町を歩き回りながらその辺の適当なホテルを見つけてチェックインして、クーラーの効いた部屋で昼寝をしました。
ベッドで横になるのがこんなに気持ちいいとは!
夜7時頃目を覚まし、食事をしに外へ出て、その辺のメシ屋でフォーとビールを頼みました。
フォーは普通においしかったです。
疲れていたので冷えたビールが最高にうまかったです。
これで18,000ドンでした。
フォーの店を出てその辺をふらついてると、屋台の焼き鳥屋を発見。
そこで再びビールですよ。
ビールは冷えてるのがなく、焼き鳥もまあまあでしたが、フランスパンを串に刺して焼いて中に焼き鳥をはさんで食べるヤツがあって、それがむっちゃおいしかったです。
このドンダンではなぜか放し飼いの犬が多く、この焼き鳥屋の周りにもおこぼれを与ろうと2、3匹の犬がうろうろしていて、オレは犬の頭をなでながらぬるいビールを飲んでました。
焼き鳥屋台からホテルへの帰り道に、オープンテーブルで飲んでいる若者たちに声をかけられました。
どうやらこっちに来て一緒に飲もうぜ!と言ってる様子です。
10人くらいいたのですが、みんなだいぶ飲んでるみたいで実に楽しそうです。
というワケで同席することにしましたw
彼らが飲んでいたのは焼酎で、お猪口のようなショットグラスにその焼酎を注がれ、飲み干せ、というジェスチャーをするので一気にやりました。
ワァー!パチパチ!と歓声と拍手の嵐です。
で、そっからみんなで乾杯しまくりでムチャクチャ盛り上がりました。
12時頃、そろそろホテルに帰る、と言ってお金を置いていこうとすると、彼らは「お金なんかいらないよ。」と言います。
オレは、自分の飲んだ分くらいは払うよ、と言ったのですが、彼らは言うことを聞かず、結局彼らはオレのお金を受け取りませんでした。
最高に楽しいひとときでした。
夜汽車よ!南寧へ
4月28日(金)
9時過ぎにホテルをチェックアウトして、タクシーを捕まえて広州駅へ。
昨日買った切符を確認したら、出発が広州東駅ではなくて広州駅だったんですよ。
駅に着くと、近くのホテルの1Fにあるカフェでコーヒーを飲みながら旅の計画を立て、昼メシは弁当を買ってその辺に座って食べました。
ご飯の上に菜の花の葉っぱの炒めもの・目玉焼き・豚肉の甘辛炒めが乗って5元でした。
おいしかったです。
外はめっちゃ暑かったので、駅の構内で日本から持ってきた小説を読んで時間を潰すことにしました。
出発時間の30分前に案内があり、指定の列車の指定の座席に座りました。
ちなみに中国の列車の座席は、硬座・軟座・硬臥・軟臥、の4種類があります。
硬はクッションなし、軟はクッションありを、座は座席、臥は寝台を意味します。
当然運賃が最も安いのは硬座で、オレが買った切符はまさにこの硬座です。
しかも、南寧まで約12時間かかるらしいです。
しかも座りっぱなしですよ。
硬座で12時間。
これは相当疲れるな、と覚悟していたのですが、実際は座席はクッションが効いていて、しかも車内はエアコンも効いていて割と快適です。
弁当やインスタント・ラーメン、飲み物や酒の肴、土産物までワゴンで売ってます。
座席は2人掛けのベンチシートが向かい合って配置され、ちっちゃなテーブルもあります。
各車両にひとつずつトイレと洗面所と喫煙所、熱湯の出るでっかい入れ物があります。
そして時間通りに出発。
中国は変わったなー、と痛感しました。
乗客の絶え間ない話し声や笑い声を聞きながら、オレの頭の中ではグラディス・ナイト&ザ・ヒップスの「夜汽車よ!ジョージアへ(Midnight train to Georgia)」が鳴っていました。