※埼玉県児玉郡神川町の松田さんの田んぼ
先週末は群馬県との県境にある埼玉県児玉郡神川町にて、以前にご紹介した「麻マヨネーズ」の製造元である「松田マヨネーズ」さんの田植えのお手伝いに参加してきました。
※中央左が松田社長、右が戸邊秀治さん
松田さんとのご縁を繋いで頂いたのは、現在日本一高いお米を生産することで有名な新潟の戸邊秀治さんであり、この日は戸邊さんも田植えのお手伝いに来られていました。
※松田マヨネーズさんの工場
ちなみに日本はマヨネーズの1日の消費量が世界で第2位であるほど、多くの日本人が「マヨラー」のようですが、一方で様々なタイプのマヨネーズが世の中には出回っているようです。
そして、すべてではありませんが、市販で大量生産されているマヨネーズの中には安全性が低いものも多くあり、特に原材料の卵にはエサのポストハーベスト農薬、遺伝子組み換え、飼料添加物、さらには動物医薬品などの問題があることが有名です。また、大手のマヨネーズ工場では大量に割卵するため、次亜塩素酸ソーダや合成洗剤を使用しているのもちょっと気になるところです。
また卵だけでなく、メインの成分である油にも原料のポストハーベスト農薬汚染、遺伝子組み換えや抽出法のトランス脂肪酸、n-ヘキサンなどの化学薬品の使用が問題ともなっています。
さらに酢はアルコールの製造原料段階に問題があり、また調味料としては、化学調味料であるグルタミン酸ソーダが基本的となっており、素材の持つ味が活かされず、人工的な味になっているマヨネーズが多いとも聞きます。
そんな中で、徹底的に素材にこだわり丁寧な製法で少量生産を続け、食に関心の高い人々から長年高く評価されているのが「松田マヨネーズ」さんとなります。
代表の松田さんは、見た目はマヨネーズ会社の社長というより、どこかの酋長のような日本人離れした彫りの深い端正な顔立ちをされており、その圧倒的なオーラに驚かされましたが、お話をするととても優しく人情溢れる素晴らしい方でした。
松田さんは、若い頃体調を崩した際に身体を作る食をもっとしっかり考えたいと思ったことから、自然食品店の仕事をスタートし、その時に質が高く安全な平飼い卵を取り扱っていたことがきっかけでマヨネーズ作りが始まったそうです。
それは、せっかく飼育から餌までこだわって健康的に育った卵なのに、どうしても卵だけで販売をしていると余ってしまうことが多くあり、そこで、このまま廃棄になってしまうのはもったいない、自然に近い状態で加工できて製品になるものはないかと考え思いついたのが“マヨネーズ”であったようです。
「作ると決めてから勉強をした」と本人も仰っているように、マヨネーズについては素人でありながらも、先に直感的に動いて後からマヨネーズ作りを学んだようです。
そして、卵も良質で安全なものをこだわっていますが、マヨネーズの全体の75%を占めるのは「油」であるため、その油についても松田さんはこわだりを持って選んだそうです。
前述しましたが、一般的には、なたね油なども薬剤をいれて油を採る「抽出法」が多いのですが、松田さんは、出来上がる量は減っても安心安全な「圧搾法」にこだわり、完全無添加のなたね油を使用することにしたようです。さらに甘味料は砂糖の代わりに蜂蜜を使い、そしてお酢や塩、芥子にもこだわり、そういった努力と試行錯誤の末に“松田マヨネーズ”は完成したようです。
このようにして、こわだりのマヨネーズを手作りで作って知り合いの自然食品店さんに販売するところから始まり、それが今では全国各地のデパ地下や高級志向の食品スーパーにも置かれているほど有名となっています。
しかし、田植えの日に工場も見学をさせて頂きましたが、正直、これほど有名なマヨネーズメーカーであるのに、工場全体が非常にコンパクトで、生産ラインも非常にシンプルであるのには驚かされました。
質にこだわった少量生産であるのもそうですが、特に手作りで始めた原点を大切にしているようであり、レシピも当時とほとんど変わっていないどころか、今でも卵を人の手で割ることは機械化をしていないようです。
この日は工場はお休みでしたが、翌日にはスタッフの方が朝5時から来て、1日に数千個もの卵を割る作業をすると仰ってました。
そんな松田さんのマヨネーズの道も、決して順調に歩んできたわけでなく、途中に大きな壁にもぶつかったようです。
特に1985年の発売以来18年間も“究極のマヨーズ”として少しずつ人々に認知されて来た頃、2002年のある日に突然「JAS規格で定められたマヨネーズの原材料には、蜂蜜は入っていない」という理由で、“マヨネーズとは名乗れない”という通達が届いたそうです。
このJAS法に違反すると「1年以下の懲役または1億円以下の罰金」が科せられようで、松田さんはやむをえず18年間使い続けていた「松田のマヨネーズ」の商品名を「松田のマヨネーズタイプ」に変更し、名称を「半固体状ドレッシング」としたそうです。
それでも松田さんは、品質を守るため、原材料をJASにあわせて変えるのではなく、あくまでJAS規格の見直しを農林水産省に求め、その後も一貫して現品質の維持とマヨネーズのJAS規格の見直しを訴えたようですが、いくら訴え続けても行政側は、明確な論拠もなくこれらをことごとく退け続けていたそうです。
ところが、この松田さんが信念を持って農水省と折衝を続ける姿を見ていつの間にか周囲の人々が動きだし、消費者も含めて皆が松田さんを応援しようと「松田のマヨネーズは『マヨネーズだ』!の会」というのが発足したそうです。
※3000名以上の署名を提出
そして、すぐに3000名以上の署名を集め、それを農水省へ提出した結果、マヨネーズのJAS規格及び品質表示基準についての再審議を勝ち取ったそうです。
それでもすぐにJAS規格は変更されなかったようですが、やがて、この理不尽な話がテレビで放映され、新聞や雑誌でも報道されるようになり、そこで年々応援してくれるファンが増えていき、とうとう2009年春にはJAS規格が変更され、晴れて元通り“マヨネーズ”と名乗れることになったのです。
最初に“マヨネーズとは名乗れない”という通達が届いてから6年以上もの歳月が経ってしまったようですが、自分のスタンスを崩さないで信念を貫き通すことの大切さ、そして自分がブレなければ周囲は必ず応援してついてきてくれることを身を持って証明されたと思います。
また、何よりも“最大のピンチこそ最大のチャンス”の言葉がピッタリの物語であり、何か大きなトラブルがあった時こそ、世間も注目するタイミングで、こういったピンチを逆手にとって上手く乗り越えると、思わぬ展開が待っているのだと希望を感じさせてくれます。
その際たるものが、現在も続いている原発事故と放射能問題でもあり、あれだけの大惨事があったからこそ、世界中で原発に対する注目度が上がり、世の中の人々も本気で原発の必要性について考えるようにもなりました。残念ながら、今はその気運も世間一般では下がってきてはいますが、それでもあの事故がきっかけで大きく世の中全体が方向転換しようとしています。
これは現在、松田さんも「麻マヨネーズ」で関わっている「大麻」も同じであり、最近は中山康直さんの逮捕と有罪判決によって大きな転換期を迎えていますが、一方でこの逆境の中、世間の注目度はますます上がっており、これから様々な意味で大逆転が起こるかもしれません。
ちなみに、この日も大麻の話題が少しありましたが、先日の鳥取県智頭町のケースのように自治体がバックアップしてくれることが、やはり何よりも免許取得においては重要になってくるようです。
というのも、窓口となる県の薬務課は、誰かにいとも簡単にうっかりと免許を出してしまうと、他の人から申請を断る理由がなくなってしまうのを恐れいるようなので、逆にいえば、同じ県でも他の地域との違いを上手く提案すれば免許取得には有利になる可能性が高いようです。
それが各市町村などの自治体の支援であり、特に元々栽培をしていた地域などであれば、それを理由に自治体がバックアップしてくれる可能性があるので、県の方も「あの地域は、元々大麻栽培が盛んであり、それに自治体も復活を応援しているから免許を出した」と、後からの申請者に対して“免許を出さないための”良い言い訳ができるので、自治体のバックアップのある申請者には免許を出しやすくなります。
大麻は免許取得時においても、また、免許取得後においても行政からの理不尽な言いがかりが多い世界のようなので、ここでも自分達のスタンスを変えず、信念を貫き通すことが重要だと思います。
【松田マヨネーズ】