自宅サロンを開きつつ、新しいリラクゼーションサロンのスタッフとしても勤めることとなった私。
ところが、ちょうどコロナ禍の始まりとタイミングがぶつかる形で、お客様の流れが途切れてきました。
お客様のいない時間帯にスタッフ同士で練習し合う日が続く中、男性客のご予約が入り、私が担当することになりました。
その方は服の上からのもみほぐしをご希望されたため、カーテンで仕切られたスペースにご案内し、手順通りに進めていったのですが……
『もうちょっと、こっち』
とうつ伏せのお客様が自らの手で示すのは、内腿のさらに内側…お尻の割れ目に近い部分。
えっ、無理。キモい。ムリムリムリムリ!
もちろん健全なお店ですから、そんなプライベートゾーンには触れない形でもみほぐしを行いましたが、お客様も時間を延長して食い下がってくるので、最終的には拳でお尻の肉の真下あたりをグリグリして終了。
店内には他のスタッフもいましたが、自分の店じゃないのであまり事を荒立てるわけにもいかず、何とも言えない吐き気を催しつつお茶を運びに行ったら、そのお茶をひっくり返しそうなほど驚きの一言が!
『指名ってできるの?』
『出張で来てるんだけど、夜とかホテルまで来てくれたりしないの?』
……はぁ???
正直今すぐ蹴っ飛ばしたい気持ちを抑えつつ、なんとかお会計とお見送りまで済ませましたが、腹立たしいことこの上ない。
私自身もさることながら、万が一そういう類のお店だと勘違いされたら、お店にも申し訳ない。
てか、私どう考えても、そんな勘違いさせるような振る舞いはしてないんだけど……
もちろん、この件はすぐオーナーに報告しましたが、まぁそんなの大したことないでしょ的な反応で終わってしまいました。
帰宅する道すがら、体が重くて気持ち悪く、家に帰ってすぐシャワーを浴びました。
でも、気持ち悪さはその後も続き、食いしん坊な私が夕食も普段の半分しか食べられない始末。
こんなことくらいでこんなに凹んで体調も崩す私には、男女問わずお迎えするマッサージ系のお店でこれ以上働くのは難しい。
だけど、私は自分が望まぬ相手から少しでも性的対象に見られるのは、マジで具合悪くなるほどイヤ。
たとえお金と引き換えでも、無理なもんは無理。
自分を守れるのは、自分だけだもんね!
というわけで、約1ヶ月という短い勤務ではありましたが、そのお店を辞めることにしました。
お店はね、決して悪くないんです。
ただ、私がこのお店の方針に無理してまでは合わせられなかっただけの話なので、誤解のないようお願いいたします。
そんなこんなで、時はコロナ禍に突入。
ちいさな自宅サロンにも、その波は少なからず試練を与えてくることとなるのでした……
〜⑫につづく〜
【香りと色の癒し処 ふわりあん】