シイタケのブログ
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「新春放談」が不愉快

 あるネット上の記事を見ていて、あまりにもひどいことが書かれているので我慢ならないと思った。
 「[新春放談]安倍政権は既得権益をぶっ壊せ 経済同友会の小林代表幹事VSアジア成長研究所の八田所長」という記事のことである。前にもこの人のことを書いたように記憶しているが、八田達夫氏の発言があまりにもひどいのである。

 八田氏いわく「今は、例えば仮に本当に優秀な人材がいて、中途採用したくても、年功序列でポジションが空いていないからできない。これでは何もできません。もちろん、解雇されないという条件で雇われた人を解雇してはまずいですが、高い給料を得る代わりに解雇されてもいいんだ、というような条件で人を雇うこともなかなかできないというのは問題だと思います」。

 「上が空いていないから上がれない」というのは、ヒラサラリーマンの愚痴であって、経営者が嘆いたり、国の政策で解決できるものでもない。若い優秀な人をリーダーにしたいのなら、経営者はそう判断して人事をするべきだし、まして政策として「お前の会社は年功序列をやめろ」という介入はできないはずである。もし国が企業に年功序列をやめるよう求めるなら、それこそ、この発言のちょっと前に小林喜光氏(経済同友会代表幹事)が批判している「いわば社会主義国のようなもの」そのものである。

 「解雇されないという条件で雇われた人を解雇してはまずいですが」って、そんな人はいるのだろうか。大企業の正社員のことを念頭に置いているのだろうか。もしそうだとすれば、彼らは法的にいうと「期間の定めがない雇用契約」を結んで働いているはずである。その場合、労働契約法で「客観的に合理的な理由があり、社会通念上相当である」とき、解雇はできることになっている。解雇されない条件で雇われる人など、存在しない。

 「高い給料を得る代わりに解雇されてもいいんだ、というような条件で人を雇うこともなかなかできない」というが、「なかなかできない」のは経営者の心の問題であって、できないことではない。優秀な人を期間限定(有期雇用)で特定プロジェクトのために破格の条件で採用することは経営者の自由で、法的な問題もない。

 八田氏「労働市場改革を、いったん退職した人や定年を過ぎた60歳以上の労働者を対象に先行させたらどうでしょうか。そこでは解雇も自由、優秀な人材であれば契約の継続も自由、という形にすれば、会社としては高齢者を雇う時のハードルが下がるのではないでしょうか」。

 またもやとんでもない発言が飛び出している。「改革」ということは、何か国が政策でやれということだろうか。だとすると、「いったん退職した人」とそうでない人を線引きして、現実に政策がとれるのだろうか。また、高年齢者は、今でもほとんどは有期雇用契約を結んでいるはずで、高年齢者を雇ったら解雇できなくて困っているという企業はほとんどないはずである。他方、65歳を過ぎても契約を継続することは、今でも何の問題もなくできる。八田氏は何か制約があるとほのめかしたいみたいだが、ウソである。「国が規制しているから自由がない」という被害妄想に取りつかれているといってもいい。

 八田氏「非正規雇用の改革についても言えるでしょう。例えば、非正規雇用者は5年間雇ったら、雇い止めになってしまう可能性があります。そういう制度は、やはり非正規雇用者にとっては非常に不利ですから、いくらでも再契約をしてもいいという仕組みが必要です。今の日本では、正規雇用者の利権を守るために、非正規雇用者に対して様々な不利な条件を強いています」。

 (曲がりなりにも)非正規労働者の雇用安定を図ろうとした「無期転換ルール」をねじ曲げて解釈している。無期転換ルールというのは、「5年も有期雇用で人を使い続けているということは、そもそもその企業でその仕事とその人が必要だということだから、有期雇用契約の濫用だ。だからそういう人とは無期契約を結びなさい」というものである。八田氏のいう「5年たったら雇止め」というのは、企業がそのルールから逃れようとする悪質行為にほかならない。それこそが責められるべきだし、今後裁判などで多くの悪質行為が明るみに出ることだろう。それに、5年も経験を積んだ労働者をほいほいと入れ替えるような企業は、優秀な人材を集められなくなるだろう。

 「いくらでも再契約をしてもいいという仕組みが必要です」って、それはつまり、無期転換ルールを廃止せよということだろうか。一生雇用不安を抱えたまま働いてね、というのが八田氏の主張なのか。

 「正規雇用者の利権を守るために」という発言については、誰が守っているのかという主語が肝心である。正社員を中心とする労働組合が自分の利権を守るための行動は、たしかに全体のためによくない面がある。世の中の正社員(労働組合)が非正規を受け入れることで、労働者がより階層化してしまったことは否めない。だから、主語が正社員労働組合ならば、それはある意味正しい。しかし八田氏は、そうではなく、「国が政策として正社員の利権を守っている」といいたいのだろう。
 しかし仮にそうだとして、正社員の「利権」とやらを、政策としてどうやって破壊するというのだろうか。労働契約法では、「解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする」と定められているが、これを削除すべきというのだろうか。しかしこの規定は解雇権濫用禁止法理という判例がルーツだから、判例まで変えていくにはもっと踏み込んだ法改正が必要になる。そうすると八田氏としては、「労働契約は『無期契約禁止』と法改正すべきだ」と訴えるべきだろう。八田氏のように責任ある立場の人は、その程度まで具体的に発言して、批判に応えるべきである。

 八田氏は上のほかにも「日本の大学も、賃金設定を自由にしなければならないと感じましたね。つまり、しょうもない研究をしている人の給料は余り上げない。実力のある人の給料は実力に応じて上げる。その自由は大学にあるという形にすることが必要だと思いましたね。」など、突っ込みどころ満載の発言を繰り広げているが、さすがに全部は取り上げられない。

 結局のところ、この「放談」とやらが言いたいのは、自分自身をリスクのない高みに置きつつ、「企業がもうからないのは働かない労働者のせいだ」「でもそいつらをクビにするのはいろいろ面倒だから国がもっと口出ししてよ」ということであろう。しかし繰り返すが、法律はごく常識的なことを定めているだけで、経営者の手足を縛ってはいない。

 この放談も含めて、日経全般には「中年正社員は役立たずだからクビにできたらいいのに」というトーンが漂っている。日経には、そういう役立たずの中年社員が多いのだろうか。そうでないと、ここまで正社員たたきはできないはずである。

 八田氏は国家戦略特区諮問会議議員も務める。加計学園問題もあったように、国家戦略特区は新たな利権を生み出す装置である。国会提出が予定されているカジノ法案も同じである。カジノ法案反対派は、ギャンブル依存症の問題をよく取り上げるが、問題はそこではなく、補助金をはじめ数々の利権が生まれることが実は問題なのではないか。本当にカジノが盛り上がるというのなら、一定の区域だけ賭博の例外のみを認めて、あとは一切、企業に任せておいてもよいはずだ。


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誤誘導の社説

 朝日新聞に「配偶者控除 働く『壁』を残す罪深さ」という見出しの社説があって、この内容があまりにも読者に誤解を与える恐れがあるので驚いた。「103万円の壁」と聞くとなんとなく、年収103万円以上働くと税金が増えてかえって損をする=手取りが逆転する、というイメージを持ってしまうが、これはすでにあちこちで指摘されているように、そのような制度の不備は今はもうない。もし税控除の点だけを気にしてパート主婦が労働時間を抑えているのであれば、それは誤解に基づくものだから、もっと周知しないといけないだろう。問題の社説も、手取り逆転はないことを前提に書かれているようだが、今回、配偶者控除を受けられる要件を年収150万円以下に拡大する方向が打ち出された点について、妙にかみついている。「安倍政権が言う『だれもが活躍できる社会』は、『パートがもう少し働ける社会』なのか」とまでいって締めくくっている。おかしい点をまとめよう。
 ・配偶者控除を受けていることが、企業の家族手当支給の要件となっていることが多く、この点で「壁」が存在することは確かだが、それは税制度の問題ではない。
 ・「女性活躍」を表向きの理由にして、配偶者控除を廃止して税金をもっと取り立てようとしたことが、今回の議論の本質である。にもかかわらず、朝日はその表向きの理由の土俵の上に乗っかってしまっている。だから説得力がない。税制を変えたからといって、女性が急に活躍したくなるのか。そんなことはありえない。常識を疑う。
 ・この社説を書いた人は、「正社員になってもっと活躍したいのに103万円の壁が立ちはだかってできないんですぅ」というパート女性の声を聞いたことがあるのだろうか。まあないだろう。なぜならそんな実態はないから。正社員にするかどうかはふつう雇用主のほうが決めることだし、仮に活躍して年収がぐっと上がれば配偶者控除の有無など関係なくなるからである。
 日経でも、この朝日の社説のような、女性活躍と配偶者控除を結びつけたような記事がしばしばみられる。読者を誤解させるこのような記事は慎んでほしい。


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国家戦略特区ワーキンググループの座長のこと

 八田達夫という大阪大学の先生がいて、この人が安倍政権の国家戦略特区ワーキンググループで座長を務めている。この教授がよく口にする言葉のひとつに、「岩盤規制」という言葉があって、その岩盤のようなカタいカタい規制のひとつが、雇用法制のことなのだそうである。したがってこの雇用法制を打ち破れば、日本は経済成長するのだそうである。

 八田教授の持論がまとめられている記事を、八田教授のブログの中に見つけた( http://tatsuohatta.blogspot.jp/p/blog-page_20.html )。ちょっとつまみ食いしてコメントしてみたい。

 「【八田教授いわく】(打破すべき岩盤のひとつとして)第二は、労働の流動性を極端に下げている日本の雇用法制である。年功序列と終身雇用の組み合わせという戦後日本に独特の雇用制度の下では、若い人は自身の生産性よりも低い賃金をもらい、年配者は自身の生産性よりもはるかに高い賃金をもらう。若い人には、賃金が生産性を超える年齢に達するまで企業を去るインセンティブがない。一方で年配者をその賃金水準で雇おうとする他社はない。このため日本では労働の流動性が低く、自社にしがみつく。そのような従業員を抱えた日本企業には、競争的な新企業が参入することを防ごうとする強い動機が発生する。」

 最初の数行ですでに論理のすり替えが行われているのではないだろうか。「労働の流動性を極端に下げている日本の雇用『法制』」を批判しているように見えて、実は「年功序列と終身雇用の組み合わせという戦後日本に独特の雇用『制度』」を批判している。年功序列も終身雇用も、法律で「そうしなさい」とはどこにも書いていない。もちろんそのような実情を前提とした別の法制はあるが、賃金や昇進に関して年功序列にせよとか、一度雇ったら定年まで雇い続けなさいとか、日本の法制はそこまで労働契約に口出ししていない。年功序列も終身雇用も、日本の労使双方とも、そのほうが利点があると考えてきた結果なのであり、打破したい企業があれば勝手にそれぞれ打破すればよいだけのことである。もちろん、労使で交渉したうえでだが。それに、年功序列と終身雇用が、今の日本の大多数の企業の象徴なのだろうか。

 八田教授は、「若い人は自身の生産性よりも低い賃金をもらい、年配者は自身の生産性よりもはるかに高い賃金をもらう」ことを嘆いているようだが、そうならないように、どう法律を改正すればよいと考えているのだろうか。差別規制ならともかく、給与の配分に法律で口出しするとは、それこそネオリベ族の毛嫌いする大規制なのではないだろうか。

 「【八田教授いわく】しかし終身雇用と年功序列の組み合わせは、若い労働者が少なく年配の労働者が多い現在では持続しようがない。このため、有期雇用の比率が急速に増加しつつある。それにもかかわらず、人的資本を蓄積した労働者の流動性は低いままだ。」

 有期雇用の比率が急速に増加してきているということは、労働法制の規制緩和と相まって、労働者の流動性が高まってきたということではないのか? 八田教授の立場からすれば喜ばしいということではないのか?

 「【八田教授いわく】これは有期労働者が終身雇用労働者に比べて極めて不利に扱われているからである。すなわち、企業は、有期雇用で5年間雇った人を終身雇用に切り替えない限り、雇い止めしなければならないという雇用法制になっているためだ。これでは企業は人に投資しない。十数年の間、有期雇用を繰り返すことができるようになれば、企業は人的な投資を大々的に行うから、給与が大幅に高まるだろう。有期雇用に雇い止めを強制していることは、人的資本蓄積を生まず、結果として有期雇用の賃金を不当に低くしている。これが、有能な人材の流動性を妨げている主因である。」

 …ここまでくるともうわけがわからなくなってしまう。

 まず「【八田教授いわく】有期労働者が終身雇用労働者に比べて極めて不利に扱われている」。終身雇用労働者なんていうのはこの世の中になくて(そんなのがあったらどれだけハッピーか)、終身雇用ではなく無期雇用(正社員)のことを揶揄的に言っていると思われるが、正社員と有期雇用労働者の間に格差があるのはその通り。

 「【八田教授いわく】企業は、有期雇用で5年間雇った人を終身雇用に切り替えない限り、雇い止めしなければならないという雇用法制になっているためだ」。このねじ曲がった解釈は、いくら煽動を狙っているとしても、あまりにもひどいのではないか。法律が専門でなくても、厚労省が出している法改正のポイントを読めば、こんな解釈にならないだろう。法制としては、5年以上雇っているのに有期雇用で雇い続けるのは合理性がないから、あくまで労働者の申し出によって、無期に転換できるというものである。無期というのは解雇権濫用がなければいつでも契約終了するのであり、決して終身雇用に転換するものではない。しかも、有期雇用を無期雇用に転換したからといって、いわゆる正社員と待遇を同じにせよとは、法律のどこにも書いていない。

 「【八田教授いわく】(無期転換ルールがあると)これでは企業は人に投資しない。十数年の間、有期雇用を繰り返すことができるようになれば、企業は人的な投資を大々的に行うから、給与が大幅に高まるだろう」。…八田教授は日本のどこのどういう実例を見てこのように考えるのだろうか。さて、この文章には2通りの解釈があって、「企業が人的投資を大々的に行う」対象は無期雇用者なのか有期雇用者なのかはっきりしない。

 人的投資を有期雇用者に行うことは普通考えられないだろう。流動性の高い労働者に人的投資をしても企業にとって無駄だし、労働者本人もいつ解雇してくるかわからない会社に対して投資に見合った努力をするわけがない。だいたい経団連自身が、その当否はともかくとして、コア人材は長期雇用、業績に連動してクビを切るのは有期雇用労働者、と使い分けを考えているのではないのか。

 八田教授は、有期雇用を繰り返すことができるようになれば、企業は(そういう有期労働者とは別の)いわゆる正社員に対し、人的投資を行うようになる、と言いたいのだろうか。ものすごく論理の飛躍はあるが考えられないでもない。つまり、労働者のほとんどは有期雇用にしてしまっていつでも採用/クビ切りできるようにする、そして、企業にとってのコア人材だけを長期雇用すべく人的投資をする、と。しかしこんな社会が明るい未来だろうか? 少なくとも有期雇用者について「給与が大幅に高まるだろう」なんていうことはありえない。

 「【八田教授いわく】有期雇用に雇い止めを強制していることは、人的資本蓄積を生まず、結果として有期雇用の賃金を不当に低くしている。これが、有能な人材の流動性を妨げている主因である」。法律は有期雇用の雇止めを「強制」などしていない。たしかに今の無期転換ルールは、雇止めを誘発するという欠陥はあるかもしれない。しかしそういうのは悪質な企業のやることだ。そんな脱法行為をしているブラック(まがい)企業があったら、労基署が指導や企業名公表などをできるようにすればよい。しかも、この無期転換ルールが実際に社会的影響を与え始めるのは施行から5年後の平成30年前後からであって、「有期雇用の賃金を不当に低くしている」という結果が、今の時点で表れているはずがない。無期転換ルールが、有期雇用労働者の賃金水準を押し下げてしかも有能な人材の流動性を妨げている主因なのだとすれば、無期転換という規制がなく、有期雇用を更新し続けることができたこれまでは、有期雇用労働者の賃金が上昇し、有能な人材が流動していたとでもいうのだろうか。

 八田教授は経済学者であり、物事を合理的に考えることのできる人であるはずなのだから、ここまで法律の解釈をねじ曲げて、しかも現実を無視した考えを披露しているところをみると、この教授の意見表明の背後に大きな利権が存在しているか、あるいは強烈に歪んだ人生観があると感じざるを得ない。

 つまりは、八田教授が言いたいのは、いつでもクビ切りができ、使い続けたいときは更新し続けられる有期雇用労働者の割合をもっと高めて、企業のコストを削減すれば、企業の収益は(短期的に)上がるということであろう。しかしこんなことでは企業の収益は高まっても、一部の富裕層と大多数の低所得層が構成する社会になって、国民全体の生活水準は低下してしまう。

 政治家は、この八田教授のような扇動的な意見を利用すべきではないと思う。

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