4か国語総合TV番組EURO24。全96回中78回を視聴済みです。
今回はEURO24のフレーズ12「時間を聞く(正確には”時刻を尋ねる”)」を題材に話を進めます。
まずは<何時ですか?>の各国語での表現です:
ドイツ語Wie spät ist es?
スペイン語¿Qué hora es?
ロマンス語であるイタリア語・フランス語・スペイン語の『何の』を示すche, que, que'は同根(同一語源)の疑問詞。これらは本ブログ「5W1H(第2外国語への手引き 第30回)」http://ameblo.jp/prof-hiroyuki/entry-10626558483.html でも触れた通りですが、フランス語のみ『どちらの』を示すquelleを使う上に仮主語構文です。(←下線部を修正しました。)
それから、ドイツ語の時間表現の特殊性につきましては、本ブログ「第2外国語への手引き 第36回」http://ameblo.jp/prof-hiroyuki/entry-10626558483.html でも紹介しました。
ここでも「どれだけ遅いのですか?」というやや風変わりな表現です。
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ここまでで終われば、ただの二番煎じ。では、その答え方についてはどうでしょうか?
さっそく「1時です。」/「3時です。」の両方で比較してみます:
<イタリア語>E' L'una. / Sono le tre.
<ドイツ語> Es ist ein Uhr./Es ist drei Uhr.
<フランス語>Il est une heure. /Il est trois heures.
<スペイン語>Es la una. / Son las tres.
ここで、下線部が「1」と「3」、青が単数表現で赤が複数表現。
「3時」の表現の方に着目すれば、言語によって「単数」「複数」の扱いが異なる事が分かると思います。
まず、イタリア語とスペイン語ではそれぞれora/oreとhora/horas(~時)が省略されているという事もあって、複数扱い。3時の方は英語で言う「They are」の表現になっている事が分かります。
一方、ドイツ語は~時を意味するUhrにどんな数が来ても複数形Uhrenにはなりません。単数扱いです。これは、英語が時刻表現に決して"They are"を用いないのと同様です。
そして、フランス語は両者を混ぜた形になっています。フランス語はロマンス語なので本来はイタリア語・スペイン語と同形態の筈なのですが・・・
やはりこれは、本ブログの「仮主語構文」http://ameblo.jp/prof-hiroyuki/entry-10623508672.html で示した様に
仮主語表現の(英)It is~,(独)Es ist~,(仏)Il est~が定型化、俗に言う「決まり文句」になっているからと推察が出来ます。