ワイヤレス給電を操るためのパワエレ技術講座|コイルの位置ずれ対策 -2ページ目

ワイヤレス給電を操るためのパワエレ技術講座|コイルの位置ずれ対策

ワイヤレス給電の開発課題
・コイルの位置ずれ対策
・電力伝送距離の延長
・安定した充放電制御
がパワエレ技術でどのように解決できるのか。
ワイヤレス給電とパワエレの両面から、双方向ワイヤレス電源の開発実績に基づいたノウハウを解説します。

2つのコイルの相互誘導を使ったワイヤレス給電について、

様々な回路で伝送可能な最大電力を理論的に計算してきました。

 

今回は、下の図のような1次側電源の出力にコンデンサがある場合を計算します。

 

 

 

 

1次側コイルの自己インダクタンス:

2次側コイルの自己インダクタンス:

結合係数をとして、

    

 

コンデンサの静電容量:

 

電源  の角周波数を  として、

負荷抵抗  で消費される電力  は

 

 

となります。

 

そして、この消費電力は、

 

 

 

のときに最大となり

最大電力は次式で表されます。

 

 

 

 

 

前回の記事と同様に、この式から最大電力が無限大となる条件が

存在することがわかります。

 

 

抵抗が、限りなく大きい(無限大)の場合は、

 

 

 または

 

 

のときに、最大電力が無限大となります。

 

ワイヤレス給電の理論解析では、結合係数(結合条件)を無視できないのですが、

この式だけは結合係数と無関係になります。

 

 

逆に、抵抗が限りなく小さい場合は、

 

 

または

 

 

のときに、最大電力が無限大となります。

 

 

前回の記事とまったく同じ結論として、以下にまとめると

 

理論的には、コンデンサの容量や電源周波数を

適切に選ぶことで、ワイヤレス給電でも

無限大の電力伝送できるということです。

 

これが、ワイヤレス給電の回路構成でコンデンサが注目される本当の理由でしょう。

 

無限大というのは理論上の話ですが、このような理論的な基礎を理解しておくとは、実際の設計開発においても大切だと思います。

 

 

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前回に続いて、2つのコイルの相互誘導を使ったワイヤレス給電おいて、

伝送できる最大電力を、T型等価回路モデルを使って理論的に計算します。

 

ただし、今回はコンデンサを追加します。

 

なぜ、ワイヤレス給電の回路において、コンデンサが注目されるのか

その理由を明らかにします。

 

なお、回路方程式を解いて最大電力を計算するだけなので

共振(共鳴)やQ値などを考える必要はありません。

 

 

下の図が今回解析する回路モデルです。

 

 

 

 

 

 

1次側コイルの自己インダクタンス:

2次側コイルの自己インダクタンス:

結合係数をとして、

    

 

コンデンサの静電容量:

 

電源  の角周波数を  として、

負荷抵抗  で消費される電力  は

 

 

となります。

 

そして、この消費電力は、

 

 

のときに最大となり

最大電力は次式で表されます。

 

 

これ以上の電力を伝送することはできません。

 

しかし、この式から重要なことがわかります。

 

 

それは、

 

 

または

 

 

のときに、最大電力が無限大となります。

 

つまり、

理論的には、コンデンサの容量や電源周波数を

適切に選ぶことで、ワイヤレス給電でも

無限大の電力伝送できるということです。

 

これが、ワイヤレス給電の回路構成でコンデンサが注目される本当の理由でしょう。

 

無限大というのは理論上の話ですが、このような理論的な基礎を理解しておくとは、実際の設計開発においても大切だと思います。

 

 

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前回の記事では、LR直列回路の例で最大電力を算出しました。

 

今回は、2つのコイルの相互誘導を使ったワイヤレス給電おいて

伝送できる最大電力を、T型等価回路モデルを使って理論的に計算します。

 

共振(共鳴)やQ値などを考える必要はありません。

 

 

下の図が今回解析するT型等価回路モデルです。

 

 

 

1次側コイルの自己インダクタンス:

2次側コイルの自己インダクタンス:

結合係数をとして、

    

 

 

電源  の角周波数を  として、

負荷抵抗  で消費される電力  は

 

 

となります。

 

そして、この消費電力は、

 

 

のときに最大となり、

最大電力は次式で表されます。

 

 

負荷が抵抗の場合は、これ以上の電力を消費することはできません。

 

ワイヤレス給電の受電回路は、ダイオードを使った全波整流回路で

構成されている場合が多いですが、

ダイオード整流でも最大電力は、ほぼ同じになります。

 

つまり、整流したあとにどれだけ昇圧しても伝送できる最大電力は変わりません。

 

今回はここまでとして、次回はコンデンサを追加して解析します。

 

なぜワイヤレス給電回路でコンデンサが注目されるのか、

その理由がわかると思います。

 

 

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2つのコイルの相互誘導を使ったワイヤレス給電において

伝送できる最大電力に注目した文献が多数あります。

 

この最大電力は、回路モデルが明確であれば

回路方程式から理論的に算出できます。

 

この記事では、回路方程式を解くという手法で最大電力を求めます。

 

まず、どのようなアプローチで考えるのかについて

LR直列回路の簡単な例で説明しましょう。

 

 

 

 

この図のように、電源の出力インピーダンスをLとして、

負荷抵抗Rを変化させた場合の最大電力を計算します。

 

電源V1の角周波数をωとして、

負荷抵抗Rに流れる電流Iは、回路方程式を解けば

 

 

抵抗で消費される電力Pは

 

 

となります。

 

そして、この消費電力は、

 

 

のときに最大となり、

最大電力は次式で表されます。

 

 

負荷が抵抗の場合は、これ以上の電力を消費することはできません。

 

シミュレーションで簡単に確認できますね。

 

 

次の記事では、ワイヤレス給電の最大電力を、

同様のアプローチで理論的に算出していきます。

 

 

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ワイヤレス給電の方式分類を説明していると、

 

「電磁誘導方式は近傍界を使っているのですか?」

 

という質問を受けることがあります。


あなたは、どう思いますか?

 


答えは、

 

「電磁誘導方式と近傍界とは関係ありません。」


どういうことかを説明する前に、
ワイヤレス給電の方式分類には、誘導結合方式と電磁波放射方式があり、
電磁誘導方式は誘導結合方式の1つということを理解しておいてください。
(方式分類の解説はこちら → 電磁理論で分類したワイヤレス給電の2つの方式とは

 

 

それでは、近傍界について説明します。


近傍界遠方界と対比される用語であり、電磁波の放射源(送信アンテナ)から距離が近いか遠いかで区別されます。

そして、「近い/遠い」の判定は電磁波の波長を基準とします。

 

 

誘導結合方式(電磁誘導方式)には、波長という概念がないため近傍界も存在しません。
集中定数回路モデルで扱う誘導結合方式に近いも遠いもない、という言い方もできます。

 

 

つまり、近傍界/遠方界という考え方ができるのは電磁波放射方式の場合であって、
誘導結合方式の説明や設計において、近傍界という用語を使うことは一切ありません。

 

集中定数回路モデルと分布定数回路モデルとの関係を理解していれば、特に難しい話ではないと思います。

 

 

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