僕の名前は暇山 尽。(ひまやま じん) まあ、変な名前と言われても仕方ないよね。何でこんな変な名前

つけたんだウチの親は。尽きてどうすんだって感じ。

まあ、名前の通り僕は暇。中学1年生。そして、若干13歳にして探偵。図々しいと思うかもしれないが、

他にやることがなかったんだ。しょうがない。めんどくさいから学校は行かない。だからこそ暇なんだ。

一応週2回ぐらいは行くけど。家族は一人としていない。小6の時父親は交通事故、母親は急性肺炎、そして妹は・・・・・・誘拐殺人にあって虐殺された。妹の死骸を見たときは背筋が凍った。

その時、誘拐殺人犯を推理して捕まえた時の大手柄で探偵として名をあげた。

その時から僕は自由に生活している。保険金のお陰で優雅(とまではいかないが)なのだ。

・・・・・・もう9時か。今日こそは学校行こうと思ってたのだが・・・まあいいや。どうせ暇だ。

さて、早速着替えて出かけるか。ん?何処へ行くかって?あーあー、いい忘れてた。僕は最近、戯戯王

(ざれぎおう、と読んでください)にハマっているんだ。カードのデータを読み込んで、パソコンに入力して、

対戦する。僕は出発した。都営大江戸線蔵前駅を出て右に400m歩くとローソンがある。

左には10歩でいけるローソンがあるのだが、店員の態度がウザいからいかない。

・・・お!良いのが入ってるね。「闇の封印剣」か。早速読み込もう。

・・・そんなことを呟きながら家に帰ると、郵便受けに朝刊の新聞と封筒が入っていた。

・・・・・・それには、「暇山 尽殿  招待状」 と書かれていた。何かここから起こるような気がする。

めんどくさそうだ。だが、これは6ヶ月ぶりの奇妙な出来事。とりあえず封筒を開けた。

・・・・・・誰もが驚くことが、書かれていた。


いよいよ対決の日。先攻の千川高校、1回表は得点は取れず、裏にまわった。

第1、第2打者は三振にして、第3打者はわざとフォアボールにした。一刻も早く英雄と対決するためだ。

第1球。幸助はおもいっきり投げた。・・・・・・ボール。若干上に上がった。

2球目。幸助はストレートから握りを変えた。そして投げた。英雄はチャンスだとおもったのか、バットを振った。・・・・・・空振った。フォークボールだった。が、普通のフォークじゃなかった。その謎は、また後で書くことにしよう。3球目、4球目も同じ球種で、英雄を三振にした。監督に「何だあの球種は?」と訊かれると、「フォークですが、若干違うんです。バッターがフォークだと見切れるゾーンがありますよね。あれよりも遅くに落ちるようになってるんです。だからバッターはストレートなのかフォークなのかがわからない。英雄には、普通のフォーク、スライダー、カーブ、などの変化球は通用しません。だからあの球を練習してたんです。去年甲子園で負けてからずっと。」と答えた。この調子で、打線も調子を上げて、幸助は相変わらず変化フォークを駆使し翻弄した。そして2-0で迎えた最終回。千川高校の攻撃は終え、最後の対決の時が来た。

第1、第2打者を翻弄し、英雄との直接対決が来た。実は幸助は直接対決を最後に持ってくるために英雄に

変化フォークをつかっていたのだ。1球目。ファール。ドンピシャのタイミング。2球目。打球は大きく空を飛んだ。しかし、神様の悪戯か、そのボールはファールだった。こうなったら勝ちに行くしかないと思った幸助は

持ち方をフォークに変えようとする。が、英雄のストレートしかないというような目をみて、ストレートに持ち替えた。・・・・・・英雄のバットは空を切った。どうやら英雄はフォークが来ると思っていたらしい。

こうして幸助の夏は終わった。甲子園優勝という有終の美を飾って・・・・・・


野球小説    完結

甲子園で負けてからは、特に何事も無く時が過ぎていった。ちなみに、学校の成績は片桐、幸助は学年でトップクラスだった。そして、いよいよ3年生になった。この年も進入部員が10人来た。

まずは実力を、見るために幸助の投げる棒球を何球打てるかを見た。

・・・・・・センスが良い。10人中8人が8球、残りの2人も6球は打っていた。そこで監督は、「ある程度の実力を夏までにつけていたらもしかしたら甲子園にスタメンで出場できるかもしれんぞ!皆頑張れ!」とエールを送った。これは、2年生、3年生にもやる気を出させるきっかけとなった。

結局、夏の甲子園にスタメンで出場できる1年生は1人だけだった。

そして、いよいよ甲子園関東予選が始まった。始まる前日に、幸助と英雄は甲子園で戦うことを誓った。

・・・・・・千川高校は順調だった。幸助のナイスピッチングのお陰で決勝戦を突破し、明和第一高校も英雄の

ホームランの連続のお陰で危なげなく決勝を突破した。

そしてトーナメント表が配られ、千川高校と明和第一高校は順調に勝ち進んでいけば準決勝であたることが

分かった。そして、とうとう甲子園が開幕した。両校とも準々決勝を突破し、対決が決まった。

試合は3日後。とうとう、念願の対決の時がやってきた・・・・・・


第10章  完

予選決勝戦に勝利した千川高校は、翌日のスポーツ紙の一面になっていた。

それは、幸助のピッチングが鋭かったからだ。準決勝までノーヒットノーランの完封、決勝では(もう見たと思いますが)ソーアウト満塁の状態から3者連続三振という神業をやってのけたからだ。

実は決勝が終わってから、マスコミに取り囲まれた幸助の姿がテレビに映った。それをみて、幸助の両親は

1分間ほど抱き合って(相当キモい光景だが。)から、早速ごちそうの買出しに行った。

幸助は、夜の8時に家に帰った。(決勝戦が終わったのが3時半なのだが、終わってからマスコミにこれでもか、これでもかというほどの質問責めを喰らって、ヘトヘトになっていたのだ。)

すると、幸助は家に両親がいないことに気付く。机の上には「高級フレンチレストランに行ってまぁ~す」

と書かれた紙が置いてあった。いくらなんでも飯ぐらいは炊いてるだろうと思って炊飯器を開けたら、

「晩御飯は雨宮さんちでたべてねぇ~」とかかれた紙が貼ってあった。

「んだあのババァとジジィのやろぉ。勝手に主役置いて飯食いに行きやがって。覚悟してろ。」

と小声で呟いてから結局コンビニで飯は済ませた。そして、ここからは特に何事も無く、着々と甲子園に

向けての練習が重ねられていた。準備万端の状態で臨んだ1回戦。相手は昨年優勝の福岡工業高校だ。

・・・・・・かなりの強豪だということもあって、勝ちを目指さずに全力を出し切ろうと皆で円陣を組み、誓った。

千川高校の先攻。相手のピッチャーは、変幻自在の変化球使い。強敵だ。結局、7回表まで双方得点無しで8回に行った。ここで、幸助のピッチングに乱れが見えてきた。ストレートが若干外れるようになってきた。

また、若干球速も落ちてきた。これがチャンスだとばかりに、福岡工業高校は猛攻を仕掛けてきた。

・・・・・・幸助は耐え切れなかった。結局7回表だけで3点取られてしまい、劣勢となった。

・・・・・・8回表、9回表と得点を挙げられず、3-0の敗北となった・・・・・・


第9章  完

その計画とは、五月雨または竹島の方向にフライを加藤が打ち、その球をわざととりにいかずに、

幸助に取りに行かせ、その時に故意にぶつかってなんらかの怪我をさせようというもの。

ちなみに五月雨はファースト、竹島はサードだ。

そして、とうとう試合の日が来た。千川高校の後攻で、5回裏まで0-2で千川高校が優勢だった。

加藤はピッチャーなのだが、投げるたびに肘の痛みが増していき、結構ミス投球をしていた。

そこで6回表、とうとうその時が来た。加藤が打った球が五月雨の方にフライが飛んでいった。

取りに行かない五月雨を見て、幸助は走った。

・・・・・・計画通りだった。幸助は左目の上に大きなあざをつくってしまっていた。

そのまま投球を続けると、たちまちノーアウト満塁になってしまっていた。

・・・・・・といっても、全てフォアボール。そこで、キャッチャーの渋谷が心配して審判にタイムをとった。

ベンチに戻った幸助は、早速氷を入れた巾着をあざのところにあてた。

が、どんどん怪我は酷くなるばかり。この光景を見て、五月雨は「その怪我、治しましょうか」と言って来た。

その時に五月雨が手に持っていたのは・・・なんと小型のナイフだった。

このナイフで怪我の所を切ってしまうというのだ。

幸助は若干恐ろしかったが、一応頼むことにした。

・・・・・・・・・・・・幸助の怪我は一応治った。そこで、投球練習に入った。

・・・・・・しかし、まだ幸助の投球はストレートはなかった。

五月雨が「まだ見えないんですか?」と訊きにくる。「あたりめぇだろ。目つむって投げてんだから。投球練習

だと思わせとくんだよ」と言った。そして、試合再開。ここからの幸助の投球は素晴らしかった。

そこからなんと9回まで全く打者を出さずに完封。

念願の甲子園のキップを手にしたのだ。


第8章  完

2年生になってから、野球部に新しく10人の1年生が入った。

その中でも際立って下手くそだったのが、五月雨和樹(さみだれかずき)と、竹島隼人だ。

この二人は何故かいつも一緒にいる。キャッチボールでは昔の野球愛好会と同レベルで、バッティングでは

幸助が棒球(打者にわざと打たせる球)を投げているにも関わらず、空振りばかりなのだ。

しかし、その二人は、夏になるまでには着々と実力をつけていき、甲子園の予選にはスタメンで出場できる

までに成長した。しかし、この二人には秘密があったのだ。まあ、ここでは触れないでおこう。

そして、とうとう甲子園北関東予選が始まった。ちなみに、英雄のいる明和第一校は南関東予選なので、

対決までにはまだ時間があった。第1戦目、相手は無名の豊洲川高校。

・・・・・・幸助がノーヒットノーランの完封でおさめ、初戦を飾った。しかし、ここで吃驚する話を小耳に

はさんだ。なんと、英雄が試合に出ていないというのだ。この話を聞いて、幸助と渋谷は英雄の家を訪ねる。

すると、英雄の左目の上に青いこぶができていた。幸助が「どうしたんだ、その傷。」と聞くと、英雄は

「あ、ああこれか。これはな、普通に道歩いてたら電信柱にぶつけちまってさ。」と言ってくる。

渋谷が「大丈夫なのか?」と訊くと「ああ、大丈夫だ。俺が予選に出てないのはただの作戦さ。」と言ってくる。まあ、ここは信じておこうと思って、幸助と渋谷は英雄の家をあとにした。

千川高校は第2戦、第3戦と勝ち進み、あと2回勝てば夢の甲子園出場となっている。明和第一校は、

第2戦は勝ったものの、第3戦で敗退してしまい、結局幸助と英雄の対決はまた来年、という形になった。

幸助は、英雄が相当悔しがっているかもしれない、と思って、あえて英雄の家に行くのをやめた。

千川高校は、準決勝も勝利し、とうとうあとは決勝を残すのみとなった。決勝の相手は、信濃川第二校だ。

ここで、五月雨と竹島の秘密がだんだん明らかになってゆく。信濃川第二校のピッチャー、加藤悟司は、

実は竹島の親戚なのだ。五月雨は竹島の大親友である。加藤と竹島と五月雨は、試合の時に、ある

とんでもない冷酷無情な計画をたてていたのだ・・・・・・


第7章  完



その夏、千川高校は甲子園に出場しなかった。というかできなかった。

ようやく怪我が治りかけたところで、幸助が無理してピッチングの練習をしたため、完治するまでに余計に

時間がかかるようになってしまったのだ。まあ、それなしでも特訓もメンバーも足りなかったが。

丁度夏休みが終わったころ、野球部の監督が決まった。

・・・・・・新監督の姿を見て片桐は腰をぬかした。片桐の実の兄、片桐富士夫(25歳)が監督になったのだ。

外見は年齢に比べて大分オヤジくさく見えるが、結構優しい。まあ、練習には厳しいのは当然だが。

秋にはグラウンドでバッティング(幸助が全力で投球するため誰一人として打てないが)と、守備の練習を

して、冬にはトレーニングジムを貸切にして(意外と片桐家は金持ちなのだ。)筋力トレーニングをした。

流石の小久保もここまでハードな練習となると合間に飯を食ってる暇も殆ど無く、相当痩せた。

(しかし105kg→85kgまで減ったのはかなり意外だった。)

・・・・・・そして、2年生になり、後輩が入ってきた。結構野球部は人気があった。

監督も、幸助も、渋谷も、片桐も、今年こそは甲子園に行けるという自信があった。


第6章  完

試合は1週間後。幸助は絶対に英雄と戦えると信じ込んでいて、ひたすら特訓をした。

野球愛好会のメンバー達も、いつか甲子園にでるという夢を叶える為に一生懸命特訓した。

・・・・・・まあ、小久保がずっと甘いものを食っていたのは例外とするが。

そんな感じで試合前日になって、幸助は英雄の家を訪ねた。

「よう。英雄。とうとう明日だな。」と幸助が言うと、英雄はそんな話は知らないという顔で、

「・・・?何いってんだ幸助。俺は明日は学校休みだぞ。何かあるのか?」と言ってきた。

・・・・・・幸助はこのとき、まだ英雄とは戦えないということを初めて知った。

「あ・・・俺の勘違いか・・・じゃあ、帰るよ・・・・・・」と言って、英雄の家を出た。

”あ・・・・・そういやウチの後輩が明日千川高校と試合だって言ってたな・・・・・・”と英雄は思った。

まあ、後の祭りだったが。

そして、運命の試合の日。プレイボールだ。先攻は明和第一高校だ。

1回表。幸助の鋭いピッチングにより無失点。1回裏、明和第一校のピッチングが甘くなり、ツーアウト1,3塁

になった。しかし、1塁にいるのは小久保。しかもまたしても鈍足なくせに「リー、リー」とか言ってる。

打席には渋谷が立った。前回の幸助と同じようにアイコンタクトを送った。そこで、少しは学習したのだろうか。小久保は若干グチを言いながらにしても1塁に戻った。これは絶好のチャンスだった。

一球目。ボール。2球目、ど真ん中のストレート。”キタキタキタ!”と思った渋谷はバットを振った。

・・・・・・レフトフライ。しかし、エラーをしてくれたおかげでなんとか3塁にいた大竹がホームに帰って来た。

この回の得点は1点に終わった。・・・・・・急にピッチングが鋭くなったのだ。

この後7回裏までどっちも無得点だった。8回表、ランナーは1塁。ツーアウトだ。

しかし、ここでハプニングが起こる。打者が打った球が幸助の足に当たったのだ。幸助はなんともない表情

を見せるが、その足は引きずっていた。そしてツーアウト1,2塁、幸助は投げた。

・・・・・・・・・・・・カッキーーーン・・・・・・打球は見事にレフトスタンドに入ってしまった。

一気に2点差にされた千川高校は、1点を返したものの、1点差には変わりなかった。

そして9回表、一点も与えずに守りきり、9回裏、千川高校は、ツーアウト満塁と言う絶好のチャンスを

作った。打者は幸助。1球目・・・ファーストゴロ。しかし、3塁には渋谷がいたため、相手もそこまでのんびり

している暇はなく、おもいっきりホームへとボールを投げた。

・・・・・・一応セーフのはずだった。しかし、審判の誤審により、アウトになってしまった。

・・・・・・本当ならキャッチャーの足はホームベースにはついていなかった。

ここで観戦しに来ていた校長は、「ラッキーでしたな。私は生まれつき目だけは良かったんでね。」と、

明和第一高校の監督に言ってからその場を去った。

・・・・・・次の日、校長先生から直々に、「野球愛好会を野球部に変更する」と言われ、皆は歓喜の声を

あげた。しかし、幸助は病院で診察されていた。・・・・・・全治2週間の怪我だったが、幸助も喜びの声を

あげた。・・・・・・怪我のことは忘れているようだった。



次の日、幸助と渋谷と片桐は、学校中に野球愛好会の勧誘のポスターを貼った。

一通り貼り終わってから3人でコーラを飲んで休憩していると、いきなり片桐が大声をあげた。

「あーっ!そうだったー!」この大声に吃驚してコウすけと渋谷は吹き出しそうになった。落ち着いてから

幸助が「・・・・・・ブハッ!どうしたんだよいきなり・・・」と言って再びコーラを飲もうとすると、片桐はこう答えた。「そもそも野球愛好会は、野球嫌いの校長先生に一生懸命頼み込んでやっと作って貰えた、いわば

おまけのようなものなんです。」そこで幸助は、「あれ?確かウチの校長って野球好きじゃなかったけ?」と、

渋谷に問い掛けて、コーラを口に含んだ。渋谷は大きく頷いてからコーラを口に含んだ。すると片桐は、

「はい。確かに好きだったんですけど、昨シーズンに大ファンだった広島カープがリーグの最下位になって、

それがきっかけで野球を毛嫌いするようになったんです。」と答える。この話を聞いて、幸助は咳き込んでしまい、渋谷は腹痛を起こしたのか、トイレに駆け込んでいった。「・・・普通そんなことで嫌いになるか?」

と片桐に問い掛けると、案の定首を横に振った。

次の日、片桐、幸助、渋谷を含んだ野球愛好会のメンバーは、校長先生に、「愛好会から部にして下さい。」

と頼んだ。すると校長は、「もしも部にしてほしいんだったら、これから言う学校との試合に勝って貰う。」と

条件をつけてきた。「それはどこですか?」と片桐が聞く。すると校長は、「明和第一高校だ。」と言う。

幸助は内心かなり嬉しかった。明和第一高校は、幸助のライバルであり、親友でもある橘英雄がいる高校

だ。ひかるも同じ学校である。すると片桐が無茶苦茶な事を言い始めた。「はい!絶対に勝ってみせます!」・・・・・・なんということだ。そんなこと勝手に約束するなよ、と全員が思った。

皆の冷たい目線が片桐に向けられる。片桐は殺気を感じて、「・・・・・・まあ、さっきのは気合だけです。」と、

ごまかそうとしてきた。まあ、幸助にとっては大した問題じゃなかったが。

しかし、言ってしまったものはしょうがない。結局対戦することになった。

・・・・・・幸助は内心ワクワクしていた。しかし、その反面、ちょっと不安を隠せなかったのも事実だった・・・


第4章   完



サッカー部チームとの試合に負けた後、幸助と渋谷は学校の屋上でチュッパチャップスを食べていた。

ちなみに、幸助と渋谷はチュッパチャップスが好物である。

そこへ、片桐がやってきた。「どうしてそんなに落ち込んでるんですか?」と尋ねてくる。

勿論幸助は「・・・・・・試合に負けたから・・・・・・」と答えた。

すると片桐は、「いいじゃないですか。12点差から1点差まで追い詰めたんですよ。」と、

何故かは分からないが敬語で答えてくる。そこで、幸助が言った。

「絶対勝つっていう約束・・・・・・守れなかった・・・・・・」と。

この瞬間、屋上の雰囲気が暗くなった。この雰囲気を明るくしようとして、片桐はちょっとだけ

話題を変えた。「じゃあ、お二人さんは野球愛好会に入会して頂けるんですね。」と・・・・・・

猛烈に雰囲気が悪くなった。幸助はとうとう頭を抱え込んでしまった。代わりに渋谷が、

「あの・・・実は・・・さっきの試合、俺たちは引退試合だったんだ。医者にドクターストップを宣告

されていて・・・・・・申し訳ないけど、入会することは出来ないんだ・・・・・・ごめんね。」と言った。

すると、流石に片桐も諦めて、「じゃあ、今日はこれで失礼します。今日は本当に有難うございましたっ!」

と、深々と頭を下げてから去っていった。

・・・・・・長い沈黙が続いた。10分ぐらいだろうか。渋谷が未だに頭を抱え込んでいる幸助に、

「じゃあ・・・・・・俺もう帰るわ。じゃあな。」と言って、渋谷も家路に着いた。

幸助はその後間もなく頭を上げて、食べきったチュッパチャップスの棒を屋上から投げ捨ててから家路に

着いた。

次の日の昼食休憩の時間、幸助と渋谷は一緒に食堂でカレーライスの大盛を食べながらニュースを

見ていた。すると、大事件が発生したのを知った。まあ、幸助と渋谷にとっては嬉しい知らせだったが。

なんと、幸助と渋谷にドクターストップを宣告した医者が、実は無免許医だったのだ。

これで、幸助と渋谷は改めて病院に行って確かめることにした。

・・・・・・幸助も渋谷も全くもって異常が無いことが発覚した。これには珍しく幸助も歓喜の声をあげた。

そのまた次の日、幸助と渋谷は野球愛好会の練習場所に行った。片桐を見つけ、報告しに行った。

「おう、片桐。俺達、体に異常は無かったらしいんだ。だから、野球愛好会に入るよ。」と、幸助と渋谷が

ハモって言った。すると片桐は、「え!ホントですか!!じゃあ、宜しくお願いします!!」と、これまた

深々と頭を下げた。

ここから、新しい幸助の人生が始まる・・・


第3章    完