予選決勝戦に勝利した千川高校は、翌日のスポーツ紙の一面になっていた。

それは、幸助のピッチングが鋭かったからだ。準決勝までノーヒットノーランの完封、決勝では(もう見たと思いますが)ソーアウト満塁の状態から3者連続三振という神業をやってのけたからだ。

実は決勝が終わってから、マスコミに取り囲まれた幸助の姿がテレビに映った。それをみて、幸助の両親は

1分間ほど抱き合って(相当キモい光景だが。)から、早速ごちそうの買出しに行った。

幸助は、夜の8時に家に帰った。(決勝戦が終わったのが3時半なのだが、終わってからマスコミにこれでもか、これでもかというほどの質問責めを喰らって、ヘトヘトになっていたのだ。)

すると、幸助は家に両親がいないことに気付く。机の上には「高級フレンチレストランに行ってまぁ~す」

と書かれた紙が置いてあった。いくらなんでも飯ぐらいは炊いてるだろうと思って炊飯器を開けたら、

「晩御飯は雨宮さんちでたべてねぇ~」とかかれた紙が貼ってあった。

「んだあのババァとジジィのやろぉ。勝手に主役置いて飯食いに行きやがって。覚悟してろ。」

と小声で呟いてから結局コンビニで飯は済ませた。そして、ここからは特に何事も無く、着々と甲子園に

向けての練習が重ねられていた。準備万端の状態で臨んだ1回戦。相手は昨年優勝の福岡工業高校だ。

・・・・・・かなりの強豪だということもあって、勝ちを目指さずに全力を出し切ろうと皆で円陣を組み、誓った。

千川高校の先攻。相手のピッチャーは、変幻自在の変化球使い。強敵だ。結局、7回表まで双方得点無しで8回に行った。ここで、幸助のピッチングに乱れが見えてきた。ストレートが若干外れるようになってきた。

また、若干球速も落ちてきた。これがチャンスだとばかりに、福岡工業高校は猛攻を仕掛けてきた。

・・・・・・幸助は耐え切れなかった。結局7回表だけで3点取られてしまい、劣勢となった。

・・・・・・8回表、9回表と得点を挙げられず、3-0の敗北となった・・・・・・


第9章  完