自作PC不具合トラブルシューティング ~Qコード”A2”~ | きぬちゃん(姓名:絹笠幸久)の知恵

きぬちゃん(姓名:絹笠幸久)の知恵

東工大院卒、元Sonyのエンジニア、研究職。現在は作家&旅人。
学んだことを応用して、生活を楽しむのは、完全に自由です。
僕なりの応用の仕方や事例を徒然にまとめております。

■自作PC不具合トラブルシューティング ~Qコード”A2”~

◆PC構成
CPU:Intel core-i7 10700

HDD:TOSHIBA MN08ACA14T
SSD:WESTERN DIGITAL WD Blue SN550 NVMe WDS500G2B0C
                                    WD Blue SN550 NVMe WDS100T2B0C
電源:Seasonic FOCUS-PX-750
MB:ASUS ROG Maximus Hero XII
GB:ASUS ROG-Strix-RTX2070S-08G-Gaming(GeForce RTX 2070 SUPER OC Edition 8GB)
Memory:Crucial BL2L16G32C16U4B(DDR4 PC4-25600):16GB×4
Fan:Nocture NH-U12A
Case:Fractal Design Define 7 Black/White TG Clear Tint(FD-C-DEF7A-05)

◆発生した不具合
マザーボードのLEDインジケータのQコードで”A2”が表示されて、PCが起動しない。

◆原因
ASUSのマザーボードの仕様書から、Qコード”A2”はIDE検出エラー
HDDやSSDの記憶装置がマザーボードににつながっているけど、
検出できない
よというメッセージ。
BIOSすら起動できない。

◆対策
”A2"エラーでは、マザーボードのCMOSクリアで解決したり、
HDDを外してエラーを解消できる。
エラーが解消できれば、Biosを起動できて、
BIOS上で起動ディスクを選択することで、OSを起動できるようになる。

結果としては、HDDを外すことでOSを起動できたが、
何故、BIOSがHDDを認識できないのかの原因を調べる。

◆HDD認識不能の原因
HDDの東芝製MN08ACA14TのSataインターフェース規格がRevision 3.3になっていて、
Revision3.2で3.3V電源端子が廃止され、Revision3.3から3.3V電源端子のあった1番ピン~3番ピンが
NC,NC,PowerDisable機能端子になっていた。
それに対して、PCのATX電源のSata電源端子には3.3V端子があり、
電源とHDDをつなぐSata電源ケーブルが5本配線になっていて、
3.3V電源ラインがつながっている。

よって、HDDのPowerDisable端子に3.3V電源が給電されている状態になっていて、
HDDがInactive状態になり、不安定な状態になっていた。


このHDDはエンタープライズ用の製品であり、企業のサーバー管理者が使うものであり、
サーバーを止めずに一部HDDを取り換えるような状況がある場合、
PowerDisable端子の機能を使って、HDDを部分的に止めて交換できるようにしているものと推察される。

一般ユーザーが使うような機能ではないので、
ATX電源からの3.3V給電を停止して、当該端子はフローティング状態にすることで解決。

具体的には、Sata電源ケーブルにおいて、5本線のケーブルから、

4本線のケーブルに変更して問題解決。
4本線からは、3.3V電源(オレンジ色)が排除されている。

◆一般の認識
この問題は、世間ではHDDのsataの3.3V問題として認識されている模様。

◆Link
https://www.wdic.org/w/WDIC/%E3%82%B7%E3%83%AA%E3%82%A2%E3%83%ABATA
→シリアルATAの規格について、版数管理情報をまとめている。
sata3.3でPowerDisable対応の情報が記載されており、
給電用コネクターの標準コネクターにおいて、版数によって、
どのようにピンアサインが変更されてきているのかを
表でまとめている。

PowerDisable端子に、知らずに3.3Vを給電したら、HDDが止まるよねということが分かる

◆この先、動作が不安定になった場合の対処

電源~HDD間の電源配線のインピーダンス(抵抗)の見直しを行います。
具体的には、配線の低インピーダンス化を行うために、
現状配線に見えている直列成分を削減し、並列成分を増やすことを考えます。
HDDから、電源への結線において、電源に近い場所で結線し、
直列成分として見えている共通インピーダンスを削減します。
また、電源に近い場所からの分岐を増やすことを考えます。

今回は、電源配線のIRドロップが、
HDD内のLSIの電源電圧仕様範囲内のようなので、
HDDの動作は安定しています。