【作品#0876】ロミオ・マスト・ダイ(2000) | シネマーグチャンネル

【タイトル】

 

ロミオ・マスト・ダイ(原題:Romeo Must Die)

 

【概要】

 

2000年のアメリカ映画

上映時間は115分

 

【あらすじ】

 

黒人ギャングと中国系マフィアが激しい構想を繰り広げるロサンゼルス。中国系マフィアのポーが何者かによって殺され、彼の兄ハンは服役中の香港の刑務所から脱獄しロサンゼルスにやってくる。

 

【スタッフ】

 

監督はアンジェイ・バートコウィアク

音楽はスタンリー・クラーク/ティンバランド

撮影はグレン・マクファーソン

 

【キャスト】

 

ジェット・リー(ハン)

アリーア(トリシュ)

イザイア・ワシントン(マック)

ラッセル・ウォン(カイ)

デルロイ・リンドー(アイザック)

DMX(シルク)

 

【感想】

 

「リーサル・ウェポン4(1998)」のプロデューサーを務めたジョエル・シルバーはジェット・リーの演技を認め本作で主役を与えることにしたようだ。また、撮影監督として長いキャリアを歩んできたアンジェイ・バートコウィアクにとって初の監督作であり、歌手として人気だったアリーアにとって初の映画出演ともなった。

 

本作で致命的なのは上映時間の長さだろう。なぜこうも登場人物が多く、まどろっこしい話にしてしまったのか。主人公ハンの登場シーンが少なくなる中盤はかなり退屈である。登場人物が多いために、物語を整理するためのセリフやシーンも多い気がする。似たような見た目の俳優同士がダラダラと話すシーンばかりである。もっとシンプルなストーリーで、ジェット・リーのアクションを見せる90分くらいの映画で良かったはず。

 

ハンとトリシュの物語としてもかなり微妙である。共に兄弟を亡くした者同士である以外に彼らが共に行動する理由はあまり見当たらない。

 

ハンは弟が殺されたことを知ってわざわざ服役中の刑務所を脱獄してまでアメリカにやってきた。なのに妙に明るく、本作のヒロインであるトリシュとの場面では弟が殺されたことなんて全く覚えていないくらいに楽しそうだ。これならちょっとしたトラブルに巻き込まれた弟のために兄がアメリカにやってくるとかで良かったじゃないか。さらに、黒幕がハンの父親であることもマイナスポイントだ。香港からやってきた外国人がアメリカ人を悪役として殺すわけにもいかず同胞でしかも父親を殺す(父親は自殺だが)物語にしたのではないかと勘繰ってしまうほどだ。こんな結末を用意するくらいなら香港映画でやっていれば良いじゃないかという話である。どうも作品のテイストに対して物語が重すぎる。

 

ではジェット・リーのアクションシーンは素晴らしいのかというとそうでもない。要所で使用されるワイヤーアクションはやはり必要だと思えない。ジェット・リー自身も香港時代にワイヤーアクションはいくつもやっているが、本作公開の2000年となれば当然「マトリックス(1999)」の影響は大きい。本作でも見せ場となるアクションシーンには必ずワイヤーアクションが登場する。宙に浮いた状態で5~6人連続で蹴り倒すシーンや、クライマックスはとんでもなく高いジャンプをして蹴りを見舞うシーンはかなり現実離れしている。ワイヤーアクションは「マトリックス(1999)」のようなSF映画や、「チャーリーズ・エンジェル(2000)」のようなコメディ映画ならワイヤーアクションであっても違和感はそこまでない。ただ、本作のようなテイストの作品で、しかもアクションがちゃんとできるジェット・リーが主演である。「普通に」ジェット・リーがアクションをやるだけでも見せ場になるのに、そこへワイヤーアクションを持ち込むのはもったいないと感じる。

 

また、細かい指摘になるが、ハンとトリシュが二人で反の弟が残した住所を当たっていく場面。たどり着いた車の修理場では男たちが殺された後だったが、葉巻にまだ火が付いていたことからまだ犯人が近くにいるとハンは気付く。そしてバイクのエンジン音が聞こえてハンは裏口を開けるとバイクに乗った奴らから銃撃される。あんなに堂々とドアを開けるかな。普通はバレないように確認するはずだが、アクションシーンに移行させるためにはもう少し自然でかつ主人公が間抜けに見えないような工夫をすべきだと思う。

 

妙に込み入った話にした挙句、アクションシーンはジェット・リーの良さを殺している(公園でフットボールをするシーンなんて必要か⁉)。「リーサル・ウェポン4(1998)」で印象を残したジェット・リーを見込んだジョエル・シルバーによる起用のようだが、そのジョエル・シルバーに才がなかったのかもしれない。

 

【関連作品】

 

ロミオ・マスト・ダイ(2000)」…ヒップ・ホップ・カンフー3部作の1作目

DENGEKI/電撃(2001)」…ヒップ・ホップ・カンフー3部作の2作目

「ブラック・ダイヤモンド(2003)」…ヒップ・ホップ・カンフー3部作の3作目

 

 

 

取り上げた作品の一覧はこちら

 

 

 

【配信関連】

 

<Amazon Prime Video>

 

言語

├オリジナル(英語/中国語)

 

【ソフト関連】

 

<BD>

 

言語

├オリジナル(英語/中国語)

├日本語吹き替え

映像特典

├プロダクション・クリップ集(メイキング/VFXについて/特殊効果について/スタントについて/音声について)

├ミュージック・ビデオクリップ集(“トライ・アゲイン" by アリーヤ/“カム・バック・イン・ワン・ピース" by アリーヤ feat. DMX/メイキング・オブ・“トライ・アゲイン")

├アクション・クリップ集(階段アクション/カンフー・フットボール/カーチェイス~アリーヤ・アクション/ホース・アクション/炎のアクション/インタビュー集)