【作品#0887】ブラック・ダイヤモンド(2003) | シネマーグチャンネル

【タイトル】

 

ブラック・ダイヤモンド(原題:Cradle 2 the Grave)

 

【概要】

 

2003年のアメリカ映画

上映時間は101分

 

【あらすじ】

 

宝石強盗のフェイトら3人組は宝石商クリストフからの依頼でブラック・ダイヤモンドと呼ばれる黒い石を盗み出したが、クリストフは裏切ったと思ったフェイトが彼の自宅を訪れると台湾の諜報員であるスーが待ち伏せしていた。

 

【スタッフ】

 

監督はアンジェイ・バートコウィアク

音楽はデイモン・グリース・ブラックスマン/ジョン・フリッゼル

撮影はダリン・オカダ

 

【キャスト】

 

ジェット・リー(ダンカン・スー)

DMX(フェイト)

ガブリエル・ユニオン(ダリア)

マーク・ダカスコス(ヤオ・リン)

アンソニー・アンダーソン(トミー)

トム・アーノルド(アーチー)

シャイ・マクブライド(ジャンプ・チェンバース)

 

【感想】

 

アンジェイ・バートコウィアク監督によるヒップホップ・カンフー三部作の三作目。ジェット・リーは一作目「ロミオ・マスト・ダイ(2000)」に続く主演で、DMXは全作品に出演。アンソニー・アンダーソンとトム・アーノルドは前作「DENGEKI 電撃(2001)」に続く出演となった。また、「ロミオ・マスト・ダイ(2000)」に出演したアリーヤは2002年の急逝まで本作に出演する予定だったようだ。

 

結論から言うとこのヒップホップ・カンフー三部作はどれも同じようなレベルの作品である。

 

一作目の「ロミオ・マスト・ダイ(2000)」でも言及したが、本作もジェット・リーらしさを生かしたアクションがちょっと少ない。クライマックスはジェットリー対マーク・ダカスコスになるのだが、彼らの戦いの合間にDMX対スキンヘッドの男、ガブリエル・ユニオン対ケリー・ヒューの戦いも見せている。別にDMXだってアクションができる俳優ではないし、まして女同士の戦いなんてここで見せる必要は全くない。しかも彼らのアクションはいわゆる普通のアクションでしかない。なぜちゃんとジェットリーのアクションを見せようとしないのか。これはやはり製作陣が分かっていないのだろう。

 

中盤にも地下核闘技場でジェット・リー対大勢、警察に捕まったDMXが盗んだバギーで逃走する場面も交互に描いている。ちなみに地下核闘技場にはUFCの現役選手が顔を見せているので彼らの見せ場という意味合いもあるだろうし、ジェット・リーと現役の格闘技選手の戦いを見せたかったのだろう。ただ、この格闘シーンは物語上ほぼ何の意味もなく、指輪さえ見つかれば良かった場面でしかない。もっとアクションシーンと物語の展開を交差させるべきであると思う。唯一良かったと思えるのはこのシリーズにおけるワイヤーアクションが一応意味を成していると思える場面があったことだ。格闘会場のフェンスが倒れ、そのフェンスがばねの役割を果たして宙に舞う場面はワイヤーアクションが意味を成していると感じる。ただそれだけなんだが。

 

また、バギーを使ったチェイスシーンも別になくたって成立する。なぜあんなところにキーのついた状態のバギーがあるのかはさておいて、DMXにバギーを盗まれた男はバイクに乗って警察とともにバギーを追跡する。パトカーが通れない場所に入るとバギーとバイクによるチェイスになる。もはやバイクに乗っている男はバギーを盗まれた男でしかなく、本作においてほぼ無関係の人物である。しかも、バイクに乗った男は命がけでバギーを追跡し、最後には危うく死にかけるが辛うじて助かるも、バイクは地上に落下してしまう。確かに商売道具を盗まれたんだから気持ちは分かるが、映画的にはもっとうまい筋書きを考えないと。

 

というか、映画的にはもっと早めにジェット・リーとDMXが協力する流れを用意すべきじゃなかったか。中盤はほとんど別行動だし、それ故にあっち描いてこっち描いてという不格好な感じになっている。しかも、犯罪集団のフェイトらは事実上お咎めなしで済むっぽいし、スーとフェイトが何か絆で結ばれたとかでもない。

 

エンドクレジットは前作と同様にアンソニー・アンダーソンとトム・アーノルドによる会話シーンである。彼らは本作で起こった出来事を映画化しようという妄想を繰り広げる楽屋オチみたいなものだが、あまり面白いとは思えない(英語のネイティブスピーカーにしか分からない笑いもあったのだろうが)。ラストに彼らを持ってくるってことは、やっぱりジェット・リー主演の映画としてちゃんと製作していないのがよくわかる。

 

本作唯一の見せ場はスーとフェイトがジャンプに会いに行く場面。ジャンプが持っている新聞の一面にはイチローの写真がでかでかと掲載されている。本作の舞台はロサンゼルスであり、イチローが当時所属していたマリナーズはロサンゼルスから遥か北にあるシアトルにあるチームだ。それでもロサンゼルスの新聞で一面に掲載されるくらいだからドジャースかエンゼルス相手に大活躍を見せたのだろうか。そんなくだらないことを考えてしまうほどの作品。

 

【関連作品】

 

ロミオ・マスト・ダイ(2000)」…ヒップ・ホップ・カンフー3部作の1作目

DENGEKI/電撃(2001)」…ヒップ・ホップ・カンフー3部作の2作目

「ブラック・ダイヤモンド(2003)」…ヒップ・ホップ・カンフー3部作の3作目

 

 

 

取り上げた作品の一覧はこちら

 

 

 

【配信関連】

 

<Amazon Prime Video>

 

言語

├オリジナル(英語/広東語/韓国語)

 

【ソフト関連】

 

<BD>

 

言語

├オリジナル(英語/広東語/韓国語)

映像特典

├“ブラック・ダイヤモンド"の世界

├ミュージック・クリップ X Gon' Give It To Ya by DMX

├オリジナル劇場予告編