【作品#0875】コブラ(1986) | シネマーグチャンネル

【タイトル】

 

コブラ(原題:Cobra)

 

【概要】

 

1986年のアメリカ/イスラエル合作映画

上映時間は87分

 

【あらすじ】

 

ロス市警のコブレッティは優秀だがその強引な仕事ぶりで周囲から煙たがられていた。「ナイト・スラッシャー」と呼ばれる殺人集団が次々に殺人を犯し、犯人の顔を見たイングリットは命を狙われることになり、コブラがその警護に当たることになる。

 

【スタッフ】

 

監督はジョルジ・パン・コスマトス

音楽はシルヴェスター・リーヴァイ

撮影はリック・ウェイト

 

【キャスト】

 

シルヴェスター・スタローン(マリオン・コブレッティ)

ブリジット・ニールセン(イングリット・ヌードセン)

レオ・サントーニ(トニー・ゴンザレス巡査部長)

アンドリュー・ロビンソン(モンテ警部補)

 

【感想】

 

当初は「ビバリーヒルズ・コップ(1984)」用の脚本を呼んだスタローンが脚本を書き直し、コメディ要素を排したアクション映画にするつもりだったが、プロデューサーから却下されてオリジナルの脚本を書きあげることになった。ちなみに、本作に出演したブリジット・ニールセンは「ビバリーヒルズ・コップ2(1987)」に出演している。

 

「ダーティハリー(1971)」を意識したのは明らかで、同じくロス市警で、主人公が警察の標準装備と異なる銃器を扱い、「ダーティハリー(1971)」に出演していたレオ・サントーニとアンドリュー・ロビンソンが本作に出演している。さらに、犯人を殺した主人公に記者が犯人の基本的人権を説き、主人公がそれを犠牲者の家族に言うように促す場面は「ダーティハリー(1971)」とまんま同じである。ここまでまんま同じような設定の映画を製作する意図は伝わってこない。

 

また、主人公に女関係があまり描かれなかった「ダーティハリー(1971)」と異なり、本作では私生活でスタローンの妻になったばかりのブリジット・ニールセンと結ばれる物語になっている。これはクリント・イーストウッド演じる主人公の刑事が検察側の証人となる女性を護送する「ガントレット(1977)」の影響かと思われる。主人公が命を狙われる女性と関係を持ち、主人公がその女性をバイクに乗せる場面も同じである。しかも主人公と守られる対象が実生活で男女の仲であることも一緒だ。なので、本作はクリント・イーストウッドの「ダーティハリー(1971)」と「ガントレット(1977)」を合わせたような作品ということだろう。

 

で、このイングリットというモデルは殺人現場を目撃したことで口封じのために命を狙われることになる。もし仮にそれが目的なのだとしたらこの「ナイト・スラッシャー」の連中はもっと人目を気にすべきだ。いくら夜の地下駐車場とはいえあれだけ大暴れしたらそりゃ目撃されるわ。しかもこれだけ被害者が出ているのに警察は動かなさすぎ。

 

なんやかんやあって警察が用意した隠れ家にイングリットを移送することになる。その直前あたりから怪しい女性刑事ナンシーが「ナイト・スラッシャー」と通じる裏切り者である。彼女がなぜ裏切ったのかなどの説明は一切なくただの裏切り者である。コブラは警察が用意した隠れ家にイングリットを連れていき、相棒らとともに警備にあたる。そして朝になるとナンシーはこの隠れ家におらず、外を見ると怪しげな男が乗る車に近づき話し込んでおり、彼女が裏切り者であると分かることになる(その直前から彼女が怪しいですよ~という描写は何度かあるのですぐに気付くと思うが)。

 

ナンシーは前の晩に部屋の電話が壊れているとして公衆電話で電話しているところをコブラに見られている。おそらくこの時に「ナイト・スラッシャー」の連中に隠れ家の場所を連絡したのだろう。すぐに来たら良いのに「ナイト・スラッシャー」の連中が現れるのは翌朝である(当初のクライマックスは夜だったそうだが蚊の問題により昼の場面になったそうだ)。しかもナンシーは隠れ家の外で「ナイト・スラッシャー」の連中と何やら話し込んでいるらしく、それを見られたことでナンシーが裏切り者であると気付くという感じになっている。別に話すことなんてないだろうに。コブラ側はたったの3人で、「ナイト・スラッシャー」の連中は何十人といるわけだからとっとと急襲をかければいいのに。しかも隠れ家内に戻ったコブラらによる銃撃によってバイクでただ突っ込んでくる「ナイト・スラッシャー」の連中は次々に殺されてしまう。

 

そして銃撃戦がひと段落すると、イングリットは家の外の車に乗り込み荷台にコブラを載せて逃走することになる。コブラの車を先に潰しておくなりしておけば隠れ家に足止めできたのに、なんともどんくさい連中である。さらにイングリットが運転する車を追いかける「ナイト・スラッシャー」の連中は荷台からサブマシンガンをぶっ放すコブラによって次々に殺されていく。事実上たった一人のコブラに対して何十人という人数で襲い掛かる「ナイト・スラッシャー」の連中は全く歯が立っていない。「ナイト・スラッシャー」ってやばい殺人集団だったんじゃなかったっけ。アクションシーンの撮り方も相まって非常に単調で凄さを感じないシークエンスになっている。

 

まだ走れそうな感じもするのに車を捨てて走って逃げることを選択したコブラとイングリットは工場に逃げ込む(もしかして「ターミネーター(1984)」の影響か)。そこでコブラは残党とナイト・スラッシャーをやっつけることに成功する(イングリットは近くでただ見ているだけ)。それが終わると工場の外に出て、厭味ったらしいモンテ警部補に一発ぶちかまし、コブラはバイクの後ろにイングリットを載せて走り去って映画は終わる。

 

興行成績はそこまで悪くなかったようだが、当初は考えていたシリーズ化は実現はしなかった。後のスタローンのコメディ映画進出を見て思うのは本作のわずかなコメディ描写が良かったのだと思う。格好をつけた型破りな刑事だがマリオンという女性のような名前を少し気にしているというのは本作のテイストなら全然ありだと思う。この路線で成功したかは分からないが、少なくともこの作品の中にのちのコメディ進出を占うヒントはあったのだと思う。

 

 

 

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