【作品#0812】メン・イン・ブラック3(2012) | シネマーグチャンネル

【タイトル】

メン・イン・ブラック3(原題:Men In Black3)

【概要】

2012年のアメリカ/UAE合作映画
上映時間は106分

【あらすじ】

エージェントJは、脱獄した凶悪犯ボリスが逮捕される原因となったエージェントKを過去にさかのぼって殺害するのを防ぐため1969年にタイムトラベルする。

【スタッフ】

監督はバリー・ソネンフェルド
音楽はダニー・エルフマン
撮影はビル・ポープ

【キャスト】

ウィル・スミス(J)
トミー・リー・ジョーンズ(K)
ジョシュ・ブローリン(若き日のK)
エマ・トンプソン(O)
マイケル・スタールバーグ(グリフィン)

【感想】

シリーズ10年ぶりの3作目は2億1,500万ドルという「アベンジャーズ(2012)」並みの製作費がつぎ込まれ、全世界で6億5千万ドルのヒットを記録した(ちなみに、「アベンジャーズ(2012)」は15億2千万ドル…)。

エマ・トンプソン演じるOによる宇宙人語を使ったボケは見ていてちょっとキツいな。エマ・トンプソンがこんなことやりそうにないからこそ生じるギャップを利用したかったんだろうが、明らかに笑いを取りにきていますというのは特に映画だと笑いづらいものだ。宇宙人語は前2作品でも出てきたが、ここまであからさまに笑いを取りにいく必要はなかったように思うな。

中華料理屋に行ってそこにいるエイリアンを全部やっつける場面がある。そういえばシリーズ1作目の冒頭はメキシコからのバスに乗る不法移民からエイリアンを発見する場面であった。そこでエイリアン以外の不法移民は見逃すという展開であった。ところが本作の中華料理屋では登場するのがすべてエイリアンである。ここには明確な違いを感じる。ちょっと意地悪かもしれないが、1作目と本作の冒頭を並べると、メキシコ人は一部を除いて問題ないが、中国人は全員問題ありだと言わんばかりに聞こえる。

タイムスリップして1960年代に行くというのは後の「X-MEN:フューチャー&パスト(2014)」や「インディ・ジョーンズと運命のダイヤル(2023)」あたりを思い起こさせる。ただ、1960年代らしさを感じるのは車を盗んだJが警察に捕まり、「黒人がこんな車に乗れるはずがない」と言った偏見を口にされる場面くらいではないだろうか。タイムトラベルの機械を持つジェームズが1960年代に送り出す前に「今よりも黒人差別がキツい」というようなことを言っている。そこにテーマ性を持たせようという意気込みは感じるのに上述のシーン以降にJが黒人差別で困る描写なんて全くない。

ラストで判明するJ(ジェームズ)の父親はアポロ11号の発射台の護衛にあたるアメリカ陸軍の大佐である。ここでJの父親が黒人ながら陸軍の大佐という高い地位にいたとなると、上述の黒人差別の話が益々弱くなる。やはり本作の元はエイリアンを不法移民やマイノリティに重ねていたところにあったと思う。問題のないエイリアンは人間社会に馴染んでいたという設定だった。せっかく1960年代という時代に行くんだったらそういったテーマをさりげなく設定に落とし込むべきだと思うが、それっぽい言動や人物配置だけに感じてしまう。

シリーズのメインキャストの一人であるトミー・リー・ジョーンズは序盤と終盤にちょこっと顔を出すだけ。あとは若き日の(といっても40代前半のジョシュ・ブローリンが演じる29歳の)Kがメインである。ただ、この若き日のKもすでにシリーズ1作目に出てくるKと見た目を除けば同じ人間である。すでにエージェントとしてキャリアを積んできたJが若き日のKを導くとかそういう物語でもない。結局のところ現代のJがタイムスリップして事情を知らないKを説得するお話でもある。これは前作「メン・イン・ブラック2(2002)」でJが記憶をなくしたKを説得する物語の焼き直しのような気もする。

それなりの好評を得たようだが、これならまだ現代のKとJがエイリアン退治をするお話で良かったんじゃないのか。

【関連作品】

メン・イン・ブラック(1997)」…シリーズ1作目
メン・イン・ブラック2(2002)」…シリーズ2作目
「メン・イン・ブラック3(2012)」…シリーズ3作目
「メン・イン・ブラック:インターナショナル(2019)」…シリーズ4作目



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【予告編】
 


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