【作品#0793】マーベラス(2021) | シネマーグチャンネル

【タイトル】

マーベラス(原題:The Protégé)

【概要】

2021年のアメリカ/イギリス合作映画
上映時間は109分

【あらすじ】

殺し屋ムーディがベトナムで少女を救って30年。その少女アンナはムーディの片腕として立派な殺し屋になっていた。ムーディはルーカス・ヘイズという男の捜索をアンナに任せた後にムディは何者かによって殺されてしまう。

【スタッフ】

監督はマーティン・キャンベル
音楽はルパート・パークス
撮影はデヴィッド・タッターサル

【キャスト】

マギー・Q(アンナ)
マイケル・キートン(マイケル)
サミュエル・L・ジャクソン(ムーディ)
ロバート・パトリック(ビリー・ボーイ)

【感想】

原題の「Protégé」はフランス語で「保護を受けている人」という意味である。

主演したマギー・Qといえばジャッキー・チェンの事務所に誘われ、「ラッシュアワー2(2001)」でハリウッドデビューを果たした女優であり、その後は「M:i:lll(2006)」や「ダイ・ハード4.0(2007)」などのハリウッドの大作アクション映画に立て続けに出演した。以降はリュック・ベッソン監督の「ニキータ(1990)」のアメリカ製作のテレビドラマ「NIKITA/ニキータ(2010-2013)」まで4シーズン主演を果たすなどキャリアを築いてきた。

そんな彼女にとってアクション映画の主演を務めるのはかなり久しぶりであろう。とはいえ40代に入ったとは思わせない身のこなしでアクション映画の主演であることに違和感は全くない。ちなみに本作のスタントの98%をマギー・Q本人がやっているそうだ(監督談)。また、美人でスタイルが良くて知的でアクションができるという何でもできるタイプの女性キャラクターが主演するある種のジャンル映画としても楽しむことができる。

本作のキャラクター設定を崩壊させかねない箇所が一か所ある。ベトナムに乗り込んで追われる身となったアンナは建物内で次々に敵をやっつけ、1階に辿り着いてドアを出て道路に飛び出して車に轢かれてしまう。せっかく敵をやっつけたのに道路に飛び出して車に轢かれて捕まってしまうとは。仕方なく捕まるにしてももう少し良い設定はなかったかな。これでは注意力がないキャラクターになってしまう。

とはいえ、ジャンル映画として最低限の面白さは担保されている。序盤で退場したと思ったサミュエル・L・ジャクソン演じるムーディが終盤前に何食わぬ顔で再登場する。仮に元気に再登場するならアンナが撃たれる前に出て来いよと言いたい。アンナがバスタブの死体を見てムーディが死んだと判断しており、ムーディも自分が死んだと偽装している(殺した男の顔をショットガンで何発も撃ちこみ、自分の服をその場に置いている)。仮に偽装していたとしてもアンナはその偽装程度なら見破れないとダメだろう。

そんな彼女を少女時代に助けたのがサミュエル・L・ジャクソン演じるムーディである。こういう役どころにサミュエル・L・ジャクソンがいるという安心感と説得力。ギターを弾く姿は「ブラック・スネーク・モーン(2006)」を思い出させる。彼が演じたムーディは序盤で退場して終盤に再登場するという形だが、本作には終始彼らのバディものとして登場しても良かったようには思う。

また、一番の敵となりえるのがマイケル・キートン演じるマイケルである。この手のジャンル映画なら最後にアンナがマイケルを殺して映画が終わるところだが、彼らの関係はちょっと意外性はある。何度も激しく殺し合う二人がその末に体の関係を持つところまでいってしまう。「Mr.&Mrs.スミス(2005)」みたいな展開である。ただ、彼らが激しく愛し合う描写は省略して事が終わった後のベッドシーンに映ってしまうのは残念。激しい殺し合いの末に体の関係まで結ぶことになるなら描くべきだとは思う。

そして、激しい殺し合いの末、アンナとマイケルは銃を向ける。カメラが建物の外からスモークガラス越しにその様子を見守っていると、二発の銃声が鳴り響く。どうやらマイケルは銃弾に倒れ、手前のドアからアンナが出てきて映画が終わる。当初のエンディングではどちらが生き残ったのかを伏せたそうだが、試写の際の観客の反応が悪かったために現在のエンディングに変えられたそうだ。当初は結末を伏せた意図は分かりかねる。この手の映画はシンプルが一番。できればアンナとマイケルの関係性はもう少し描いても良かったと思う(描いているものの途中からの描写は関係性の進展を描いていない)。

ジェシカ・チャスティン主演のアクション映画「AVA/エヴァ(2020)」なんかでも言及したが、40代を過ぎた女優主演によるアクション映画はまだまだブルーオーシャン。マギー・Qにはまたアクション映画に出演してもらいたいものだ。




取り上げた作品の一覧はこちら



【予告編】
 


【配信関連】

<Amazon Prime Video>

言語
├オリジナル(英語/ベトナム語/フランス語/ルーマニア語)


<Amazon Prime Video>

言語
├日本語吹き替え


【ソフト関連】

<BD>

言語
├オリジナル(英語/ベトナム語/フランス語/ルーマニア語)
├日本語吹き替え
映像特典
├予告編集