【タイトル】
モリコーネ 映画が恋した音楽家(原題:Ennio)
【Podcast】
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【概要】
2021年のイタリア/ベルギー/オランダ/日本合作映画
上映時間は156分
【あらすじ】
映画音楽家として活躍し、2020年に91歳で逝去したエンニオ・モリコーネの生涯を描く。
【スタッフ】
監督はジュゼッペ・トルナトーレ
【感想】
監督2作目の「ニュー・シネマ・パラダイス(1989)」から「ある天文学者の恋文(2016)」まで長年に渡りエンニオ・モリコーネとタッグを組んできたジュゼッペ・トルナトーレが監督したドキュメンタリー映画。
エンニオ・モリコーネ本人の語る映像や当時の資料映像と、彼に関わった人物や影響を受けた人物がエンニオ・モリコーネについて語る映像を織り交ぜた156分。ドキュメンタリーで2時間半以上となると「長いのかな」という印象こそあったが、映画が始まればエンニオ・モリコーネを少年時代から時系列を追いながら流れるように映画は終わってしまった。1960年代までは割と1年ごとに映画音楽も紹介されていたが、1970年代以降は代表作くらいしか触れられることがなく、やや駆け足にも映ったくらいである。
セルジオ・レオーネ監督、クリント・イーストウッドと共にマカロニウエスタンの代表的人物として世界的に有名になったエンニオ・モリコーネ。それまでの父との話、音楽学校や恩師、妻との出会い、なかなか音楽家として仕事に就けなかった話などは全く知らなかったので興味深かった。中でも、イタリア人歌手向けに作曲した楽曲のポップで印象に残りながら古びていない感じはとても新鮮であった。
「荒野の用心棒(1964)」以前にもマカロニウエスタンの音楽を担当していたエンニオ・モリコーネだが、やはり世界的な名声を得たのは「荒野の用心棒(1964)」であろう。これほどの成功を収めた作品でも、セルジオ・レオーネ監督もエンニオ・モリコーネもこの作品を決して好んでおらず、セルジオ・レオーネ監督から「もう忘れよう」と一時は言われた話は大変興味深かった。結局、すぐに翌年「夕陽のガンマン(1965)」の音楽を再び手掛けて、以降はセルジオ・レオーネ監督の遺作となった「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ(1984)」まで彼らの関係は続くことになる。その「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ(1984)」は企画されながらなかなか撮影に至らず、すでに作曲依頼されたエンニオ・モリコーネは楽曲を完成させ、ついに始まった撮影現場で彼の音楽を流しながら演者は演技し、ロバート・デ・ニーロは彼の音楽が演技の助けになったとまで語っている。
マカロニウエスタンの音楽を天命だと感じたエンニオ・モリコーネはセルジオ・コルブッチ監督の「殺しが静かにやって来る(1968)」など多くのマカロニウエスタンの音楽を担当しつつ、ベルナルド・ベルトルッチ、ダリオ・アルジェントなどイタリア人監督作品を中心にその音楽の幅を広げていく。中でも、エリオ・ペトリが監督したイタリア映画「殺人捜査(1970)」に関する逸話は大変面白かった。
そして、アカデミー賞作曲賞の受賞が確実視されていた「ミッション(1986)」だったが、「ラウンド・ミッドナイト(1986)」のハービー・ハンコックに敗れ、また翌年「アンタッチャブル(1984)」でもアカデミー賞作曲賞にノミネートされたが、「ラストエンペラー(1987)」の坂本龍一/デヴィッド・バーン/スー・ソンに敗れた。
それから、1989年には当時まだ20代だった若手監督ジュゼッペ・トルナトーレ監督の「ニュー・シネマ・パラダイス(1989)」の音楽を担当することになる。この時の仕事はとても楽しかったと語っており、ジュゼッペ・トルナトーレ監督の映画音楽は「ある天文学者の恋文(2016)」まで続いた。
以降、「バグジー(1991)」「マレーナ(2000)」でもアカデミー賞作曲賞にノミネートされながら無冠に終わっていたエンニオ・モリコーネに対して、アカデミーは2006年にその功績を称えてアカデミー賞名誉賞を授与した。そして、エンニオ・モリコーネのファンを公言するクエンティン・タランティーノは「ヘイトフル・エイト(2015)」でエンニオ・モリコーネに作曲を依頼し、エンニオ・モリコーネはついにアカデミー賞作曲賞を受賞した。
そして、エンニオ・モリコーネは2020年7月6日、91歳でこの世を去った。映画の終盤には、メタリカをはじめ多くの歌手や作曲家らが彼から影響を受けて楽曲の中に組み入れるなどエンニオ・モリコーネの音楽が語り継がれる様子を映していた。
映画内では取り上げられなかった音楽も多数あり、「狼の挽歌(1970)」「エクソシスト2(1977)」「遊星からの物体X(1982)」「ハムレット(1990)」「ザ・シークレット・サービス(1993)」など生涯にわたって500作品以上の映画やテレビ番組の音楽を手掛けた。実験音楽、ポップミュージック、1978年にはFIFAワールドカップのテーマソングなど、幅広いジャンルの音楽も作曲した。そう考えると、やはり1作品当たりの音楽についての話は薄かったとも言える。
取り上げた作品の一覧はこちら
【予告編】
【配信関連】
<Amazon Prime Video>
言語
├オリジナル(英語/イタリア語/フランス語/ポルトガル語/中国語)
【ソフト関連】
<BD>
言語
├オリジナル(英語/イタリア語/フランス語/ポルトガル語/中国語)
映像特典
├メイキング
├エンニオ・モリコーネ インタビュー
├予告編集(オリジナル予告編、日本版予告編)
├プロフィール
【音楽関連】
<映画音楽の巨匠エンニオ・モリコーネ作品集(CD4枚組)>
収録内容
├CD4枚/46曲/189分
<ニュー・シネマ・パラダイス公開30周年記念リマスター完全版>
収録内容
├23曲/55分
<「海の上のピアニスト」オリジナル・サウンドトラック>
収録内容
├21曲/58分
<「アンタッチャブル」サウンドトラック>
収録内容
├13曲/40分
<ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ」サウンドドラック>
収録内容
├15曲/75分
【書籍関連】
<あの音を求めて モリコーネ、音楽・映画・人生を語る>
形態
├紙のみ
著者
├エンニオ・モリコーネ/アレッサンドロ・デ・ローザ
翻訳者
├石田聖子/岡部源蔵
長さ
├536ページ
<エンニオ・モリコーネ 映画音楽術 マエストロの創作の秘密>
形態
├紙/電子
著者
├エンニオ・モリコーネ/ジュゼッペ・トルナトーレ
翻訳者
├真壁邦夫
長さ
├432ページ