【タイトル】
イップ・マン 序章(原題:葉問/英題: Ip Man)
【概要】
2008年の香港映画
上映時間は108分
【あらすじ】
1935年の中国佛山は武術の町として知られ、イップ・マンは師匠として市民から崇められていた。ある日、道場荒らしのカムが各道場の師匠を次々になぎ倒し、イップ・マンのもとへ勝負を挑みに来る。
【スタッフ】
監督はウィルソン・イップ
音楽は川井憲次
撮影はオー・シンプイ
【キャスト】
ドニー・イェン(イップ・マン)
サイモン・ヤム(チョウ・チンチュン)
池内博之(三浦)
リン・ホン(ウィンシン)
【感想】
実在した武術家の葉問(イップ・マン)を主人公にした映画。香港で毎年開催される香港電影金像奨では、作品賞を受賞するなど大きな評価を得、後にシリーズ化され計4作品が作られるドニー・イェンの代表作となった。ただ、日本では当時劇場公開されず、続編「イップ・マン 葉問(2010)」の公開時に合わせて初公開された。
ブルース・リーをこよなく愛するドニー・イェンが、ブルース・リーの師匠にあたるイップ・マンを演じるという気合いの入った作品。ドニー・イェンの繰り出す詠春拳には気品と優雅さを兼ね備えており、まさに見るものを魅了するものがある。序盤からラストにかけて、彼の詠春拳が要所で披露されることになる。
ただ、実話ベースということもあってか、映画全体の構成はかなり歪である。道場荒らしのカムをやっつける序盤の展開から、盧溝橋事件を期に発生する日中戦争で困窮に陥る場面に展開し、日本軍の三浦を決闘でやっつけるというラストになる。序盤の道場荒らしのカムが終盤に再び現れる展開はちょっと無理があるように思える。序盤で敗れており、さらには日本軍という共通の敵がいながらまたイップ・マンに戦いを挑むというのも理解しがたいし、本作の展開なら終盤にイップ・マンの味方になるか、あるいはイップ・マンの実力を認めるような存在になってほしかったと思う(この展開は続編に出てくるのだが、本作でやるべきだったと思う)。
ちょっと弱いと感じるのはイップ・マンとその周囲にいる人物の描写である。イップ・マンは極力暴力を使いたくないと思っている人物だが、その背景描写はあっても良かったと思う。また、イップ・マンの妻のリンダやイップ・マンの仲間も、絆を深めたり、友情を重ねたりする場面がちょっと少ないし、イップ・マンの周囲のキャラクターに印象深いキャラクターがいなかったのも痛いところである。
ドラマ部分にやや物足りなさは感じるものの、21世紀に入ってからのカンフー映画では間違いなく良作。
【関連作品】
「イップ・マン 序章(2008)」…シリーズ第1作
「イップ・マン 葉問(2010)」…シリーズ第2作
「イップ・マン 継承(2015)」…シリーズ第3作
「イップ・マン 完結(2019)」…シリーズ第4作
「イップ・マン外伝 マスターZ(2018)」…シリーズ第3作のスピンオフ
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├インタビュー(ウィルソン・イップ監督/ドニー・イェン/池内博之)
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