キューブ:ホワイト
【オススメ対象】
・カナダ版キューブとは無関係を最初から認識
・ソリッドシチュエーションスリラーではないことを認識
・変わりものの映画が見たい
・原題は「ホワイトチェンバー」
この評価を読む前に
映画の嗜好について
を一読してください。
レンタルは劇場での上映時期とはズレてます。
ジャンル・・・サスペンス
1)オススメ・・・6
2)ツボ・・・6
3)脚本・・・7
4)映像美・・・5
5)特殊効果・・・5
6)俳優・・・8
7)監督・・・6
8)音楽・・・6
9)独自性・・・8
10)キャラ・・・7
合計・・・64点
【概要】
上映時間:89分
Amazonプライムにて鑑賞。
2019年公開のイギリス映画。
監督・脚本:ポール・ラシッド
出演:ショーナ・マクドナルド、オテッド・フェール ほか
【ストーリー紹介】Amazonプライムサイトより引用
目覚めると、ルースは見知らぬ“真っ白な立方体”の中にいた。無機質な白い光を放つ壁と、小さな穴が無数に開いた鉄板の天井と床。出口はどこにもなく、頭を打ったせいか記憶はあいまいだ。「ようこそ、“白い部屋”へ。」謎の声が空間内に響き、答えられない難解な質問が繰り返される。「君には生きる価値があるのか--?」するとその時、突然室温が摂氏33度まで急上昇。かと思えば、次の瞬間マイナス15度まで急下降する。一体誰が、何のために…。なぜ、ここにいるのか…。床を流れる電流。充満するガス。天井から流れ落ちる酸。次々と繰り出される“死の仕掛け”。生き残るには、謎の声が繰り返す問いの答えを導き出すしかない。自らの頭脳と想像力だけが頼りの、究極のサバイバルが始まる!
【トレーラー】
【総評】ややネタバレあり
下記の項目でまとめてみた。
1)邦題詐欺
2)ストーリー紹介
3)作品の真の姿 ※ややネタバレあり
4)結局どうなの?
1)邦題詐欺
映画作品自体には全く罪はない。日本公開の際につけられた原題「ホワイトチェンバー」と違う邦題が大問題。はっきりいって詐欺。邦題詐欺。「キューブ:ホワイト」とタイトルがつけられていて、まるでソリッドシチュエーションスリラーの原点であり頂点の「CUBE」の一連の作品群のひとつを連想させるタイトルだけど、まったく関係がなく、そもそもソリッドシチュエーションスリラーですらない。これはダメだよ。こんな売り方は詐欺で、作品自体に罪はないのに批判の対象になるし、なにより作品を一番侮辱している。
日本で公開版権を買った会社の「立方体みたいなものが出てくるからキューブってつけておけばそれなりに売れるだろう、じゃなきゃこんな作品、誰もみないよ」って言ってるようなものだから。配給元の日本の会社を徹底的に批判すべき。
もう一度言う。これは邦題詐欺だから。
2)ストーリー紹介
イギリスは国内の紛争により疲弊していた。そんななか、約2m四方のガラス壁で囲まれた立方体の部屋でひとりの白人女性が目覚めた。頭部に少し負傷している。外部からの声で尋問が始まる。
視聴者である我々は戸惑う。
ここはどこ?
彼女は何者?
だれがなんのために彼女を尋問しているのか。
それが少しずつ判明していくとき、最初に見ていた風景の印象が劇的に変わっていく。
Amazonプライムの紹介文は、かなり「CUBE」に寄せており、「CUBE」のようなソリッドシチュエーションスリラーを連想させるというか、そちら方向へ誘っている悪意を感じたので、自分なりの簡単なストーリー紹介文を書いてみた。
3)作品の真の姿 ※ややネタバレあり
「CUBE」という映画好きには強い意味を持つタイトルゆえに、連想されるソリッドシチュエーションスリラーの要素は今作には微塵もない。出だしこそ、ソリッドシチュエーションスリラー的なつかみなので期待させるが、ほんとに最初だけで、すぐに、あ、これは違うわ、って気づく。
邦題詐欺の罪で、ソリッドシチュエーションスリラーを期待して見だして、違うことに気づくと、かなりがっかりさせられる。このがっかりは結構尾を引くので、この作品自体に罪はないのに、評価自体も下がっていく。自分もそうだった。だけど見終わって、がっかり感を払しょくしてから思い返してみると、それほど悪い作品ではなかったと思いなおす。
最初に収監されている白人女性と室外から尋問する男性。拷問を受け続ける女性。何も知らないと言い続ける。この構図が序盤に張る大前提の伏線。その伏線が効果的に発揮する5日前からのエピソードの中盤。そして5日前から戻る前の時間軸に物語の進行が重なり、すべての事実が判明し、終盤の大オチに結実するラスト。
構成力で見せるサスペンスではないかと。オチにイギリス映画らしさが発揮されてる。
4)結局どうなの?
邦題詐欺は見過ごせないが、作品自体は可もなく不可もなく。初めから「これはソリッドシチュエーションスリラーではございません」とわかった上で見始めれば、赤点の作品ではない。
特に驚愕するようなエピソードは全くないが、面白い構成の映画を見たければぜひ。自分は1回見れば十分。
短い尺なので気軽に見やすいと思う。
ラストにひねったオチをつけてくれたらかなり面白くなったのではないかと。
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CUBE 一度入ったら、最後
この評価を読む前に
映画の嗜好について
を一読してください。
レンタルは劇場での上映時期とはズレてます。
ジャンル・・・SF
1)オススメ・・・4
2)ツボ・・・2
3)脚本・・・2
4)映像美・・・6
5)特殊効果・・・6
6)俳優・・・7
7)監督・・・2
8)音楽・・・6
9)独自性・・・4
10)キャラ・・・3
合計・・・42点
【概要】
上映時間:108分
Amazonプライムにて鑑賞。
2021年公開の邦画。
原案:ヴィンチェンゾ・ナタリ
監督:清水康彦
脚本:徳尾浩司
出演:菅田将暉、杏、岡田将生、斎藤工、田代輝、吉田鋼太郎
【ストーリー紹介】Amazonプライムサイトより引用
目が覚めるとそこは謎の立方体=CUBEの中だったー。 突然閉じ込められた男女6人。エンジニア、団体職員、フリーター、中学生、整備士、会社役員。彼らには何の接点もつながりもない。理由もわからないまま、脱出を試みる彼らを、熱感知式レーザー、ワイヤースライサーや火炎噴射など、殺人的なトラップが次々と襲う。仕掛けられた暗号を解明しなくては、そこから抜け出すことは絶対にできない。体力と精神力の限界、極度の緊張と不安、そして徐々に表れていく人間の本性… 恐怖と不信感の中、終わりが見えない道のりを、それでも「生きる」ためにひたすら進んでいく。果たして彼らは無事に脱出することはできるのか?!
【トレーラー】
【総評】最下記にネタバレあり
このレビュー記事は、今作に対して非常に否定的な内容になります。
今作が好きな方には不快な内容です。
ご注意ください。
下記の項目でまとめてみた。
1)なんてことをしてくれたんだ
2)ダメな部分(会話劇)
3)ダメな部分(演出)
4)ダメな部分(人物設定)
5)結局どうなの?
6)ツッコミどころ ※ネタバレあり
7)ダメなところのまとめ
1)なんてことをしてくれたんだ
ソリッドシチュエーションスリラーの元祖であるカナダ版「CUBE」のリメイク日本版。
簡単に言ってしまうと、元になった映画の大事な部分が欠落した劣化版。こんなに素晴らしい6人の演者を出演させて、製作側はなんてことをしてくれたんだっていう、怒りの感情が沸き上がった映画。
ストーリーの全体のおおまかな流れはほぼ元の映画と同じだが、元の映画の面白かった部分をなぜか簡素にしてしまって、的外れで面白くないエピソードを無理矢理挿入して、中身のないスカスカの作品になってしまった印象。
元となった映画を未鑑賞の人が見たら面白いと思うのかは全くわからないが、傑作と言われた元の映画をなんども見た自分からしたら、これはあらゆる面でダメだと思った。なんども言わせてもらうが、こんなに素晴らしい6人の演者を出演させて、なんてことをしてくれたんだよ、マジで。
一般レビューの大半が酷評してるのがよくわかる。自分も一般の酷評と全く同意見。
元の映画が好きなら、絶対に見ない方がいい。
好きな演者が出演していても見ない方がいい。
2)ダメな部分(会話劇)
たくさんあるダメな部分のなかでも、まずはソリッドシチュエーションスリラーの肝である会話劇について触れてみる。
今作のダメな部分の象徴であるのが会話劇。元の映画の面白かった「キャラ同士の心理的駆け引き」は会話劇に凝縮されていたと思うが、それは少ない登場キャラと限定された空間と生死を常に伴うサバイバルという極限状態に追い詰められた状況のなかで、それぞれが生き残るために、時に協力し、時に対立しつつ、誰が陣頭指揮を執るかなど、目まぐるしく変わるパワーバランスが巧妙に展開していてそれが面白さにつながっていた。今作はそのキャラの駆け引きが激減していて、それぞれの行動に至るエピソードの盛り込み方が少なく薄すぎて、駆け引きが全く面白くなくなってしまっている。ていうか駆け引きそのものが激減している。
それに比べて主人公後藤(菅田将暉)の過去映像をしつこいくらいに差込み、最後の驚きの展開へと導きたかったんだろうけど、大したオチでもないのでまるわかりで、だからなに?ってくらいの、そんなことはもうわかってるんだよって感じに陥っていて、全く驚き要素でなくなってしまっている。あんまりにもまるわかりすぎたので、驚愕のひねり展開の前のフリだと思ってたくらい。だけどフリではなくただのまるわかり映像で、このエピソードの配置や演出はひどいし、盛り上げる方法がまるで機能していない。
もっと言うと、その面白くなくなった会話劇の大きな要素として説明調のセリフが多く、そこまで説明しなくていいことまで説明していてうざい。そこまで説明されなくてもわかるっての。なんとなく察するようなこととか、あとになってあのセリフにはこんな意味があったのかとか、そういう練りこみや伏線としての散りばめ方が全く不足していて、限定された空間で展開するソリッドシチュエーションスリラーの醍醐味が根本的に欠落している。はっきり言ってしまうが、脚本の完成度が低すぎる。会話劇を構築できるレベルに達していない。
3)ダメな部分(演出)
脚本的にダメな部分のウエイトが大きいが、演出面でもダメな部分が目立つ。似たような空間の連続だからこそ、カメラワークにこだわって、様々な見せ方で緊張感を演出してほしかったのだが、カメラワークのこだわりを全く感じさせてくれなかった。全体的に迫力がなく緊張感が薄い。
あと主人公後藤の過去映像の差し込む量の多さ。あのしつこさはなんなのか。なんであんなにしつこくやるのだろう。視聴者はバカじゃない。あんなにしつこく差し込まなくてもわかるっての。それにその過去映像も、同じ映像の使いまわしばかりで、徐々に判明するのはいいんだが、見せ方を毎回変えないと、いい加減うざいだけ。演出が全体的に稚拙で、不慣れというか経験不足感を強く感じた。演出的にも今作のようなソリッドシチュエーション作品を手掛けるレベルに達していない。
4)ダメな部分(人物設定)
全登場人物の設定が薄い。悪く言うと厨二病が思いついたような、ありふれた底の浅い設定で、全登場人物の掘り下げが不足しており、意外性がほとんどないってのが見ていてきつい。はっきりいってサイコ設定もバレバレだぞ。こういう元の映画があるアレンジ映画なんだから、良い意味で裏切る展開にしないと。悪い意味でいろいろと裏切ってくれたけど。
世界設定でも杜撰なところが多々あるが、それらも含めてツッコミどころとして、最下記にネタバレありで連記する。
5)結局どうなの?
かなり評判が悪かったが、好きな演者が多数出演してるので、自分のように怖いもの見たさで見る人もいるだろう。結局、評判通りの作品であることを確認するだけ。元の映画を期待すると、がっかり感が半端ない。
強力で個性的な演者を集めても、脚本と演出がダメなら、どうしようもない。なんにも期待しないで見れば、がっかり感は少なくともないかな。自分は二度と見ない。
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6)ツッコミどころ ※ネタバレあり
ツッコミどころはたくさんありすぎるのだが、特に気になった部分について触れてみる。
■途中からトラップの発動に時間差が生じる
トラップが当初はその部屋に入るとすぐ発動していたのに、終盤になってくると部屋に入って少したってから発動する。理由は不明のままで、その伏線もない(その部屋に入った人間の数が一定数になると発動するという見解の人もいたがそれにはまったく賛同しないし、終盤の人数が減った状態になるとその条件では発動しない部屋ばかりになるのでゴールが近くなるほど簡単になるという理屈になるのでバランス的におかしい)。おそらくただの映画的な見せ場の演出と思われる。各トラップに対し命がけで挑んでいる設定で、途中からトラップ発動のルール変更をするなら、ちゃんと伏線を伴った設定をしろ。つまらない人物設定はしつこく説明をするくせに、大事な部分は説明調のうざいセリフすらなしか。トラップが入室してからある程度経過したあとに発動するって、かなり対応を変えなくてはならない事象だってわかってるのか?この途中の設定変更は説得力が伴わないならアウトだぞ。
■主人公後藤に運営側が固執する理由
主人公後藤しか知り得ない情報を運営者側がなぜ知っているのか。後藤のトラウマを終盤の一番の見せ場に持ってくるのはいいが、運営者側がどうやってそのトラウマを知り得たのか。あるいはどうやってでも知りたいとする理由はなんなのか。なぜ運営者側は後藤に固執するのか。そのへんのなぜ?なぜ?が一切明かされないまま終わるのはいかがなものかと。しつこいくらいに後藤の過去映像を流したのに、そのへんの大事な部分をまったく描かないのは無責任すぎやしないか?
■主人公後藤視点の映像の記録がなぜあるのか
これが一番あり得ないんだが、主人公後藤の一人称視点の映像をなぜ第三者が見れるのか。これはあまりにも無理すぎやしないか?一人称視点の映像を第三者が映像記録として残すのはいくらなんでも無理すぎる。主人公の脳内の映像を視聴者に見せるところまでで抑えればいいのに、なぜ主人公以外の登場人物に映像で見せることまでしたのか。絶対にありえないんだよ、このカメラアングルの映像を第三者が見るのは。
■甲斐麻子(杏)の立ち位置
運営者側だったことが最後にわかる甲斐麻子だが、入場者たちを自力で攻略させていたのに、なぜ最後に甲斐が出口のヒントを与えたのか。これは全ての入場者がある程度のところまで攻略すると、出口へ促すということ?いまひとつ甲斐の役割と運営者側の意図がわからなすぎる。まぁ運営者側の意図は元の映画でもわからないまま終わったんでそこはいいとしても、運営者側の人間?がトラップ攻略者メンバーのうちにいるには、それなりの強い理由が必要。それさえもはっきりしないまま終わっちゃうのか。
7)ダメなところのまとめ
結局のところ、オリジナルがまず大前提にあって、今作の面白さを加味するために、いろいろなアイディアを付け足して、なんとか作品の独創性を膨らませようとしたのは痛いほどわかる。しかしその付け足したアイディアが、元からある世界観設定とちゃんと適合し、上乗せの効果に結びついたのかの検証が全く足りていない。また自分らで新たに作ったキャラクター設定やキャラクターたちの相関図がストーリーの面白さに結びついていない。
メンバー内に管理者側の人間を最初から加えて最後にネタを明かしたらびっくりするんじゃないか。
メンバー内にサイコさんを入れたら物語がスリリングに展開するんじゃないか。
主人公に強烈なトラウマを設定してそれが逆転する事実を加えたら刺激的な物語になるんじゃないか。
たぶんちゃんと上記のアイディアを生かせていたなら、それなりに面白くなったと思う。でも脚本・演出ともに技量がまったく足りていなかった。ソリッドシチュエーションスリラーの何が面白いのかを整理してから制作してくれよ。
一番の罪はこんな素晴らしい演者に黒歴史を加えたことだ。
バレリーナ
【オススメ対象】
・NETFLIXオリジナル映画が見たい
・韓国製のアクション映画が見たい
・女性が活躍するアクション映画が見たい
この評価を読む前に
映画の嗜好について
を一読してください。
レンタルは劇場での上映時期とはズレてます。
ジャンル・・・アクション
1)オススメ・・・9
2)ツボ・・・9
3)脚本・・・8
4)映像美・・・8
5)特殊効果・・・8
6)俳優・・・9
7)監督・・・8
8)音楽・・・8
9)独自性・・・9
10)キャラ・・・9
合計・・・85点
【概要】
上映時間:93分
NETFLIXオリジナル映画(吹替版)
2023年配信の韓国映画。
監督・脚本:イ・チュンヒョン
出演:チョン・ジョンソ、キム・ジフン、パク・ユリム ほか
【ストーリー紹介】NETFLIX公式サイトより引用
例え相手が何人だろうと、目の前の敵は倒すのみ。親友の恨みを晴らすため、たったひとりで犯罪組織に立ち向かう女性の美しい復讐劇がいま幕を開ける。
【総評】ネタバレなし
下記の項目でまとめてみた。
1)作品概要
2)アクション
3)結局どうなの?
1)作品概要
親友を自殺に追い込んだ連中に復讐をする元SP?傭兵?(ここがはっきりいていない)の活躍を描いた映画。
ストーリー展開はシンプルにまとめていてテンポがいいしエッジが効いててキレがある。さらに絶妙なタイミングで、思い出シーンを差し込んだり、変なキャラが登場したりして、飽きさせない工夫が好み。
2)アクション
アクションシーンがこの映画の肝であり、一番の見せ場なので、箇条書きにしてみた。
・無双ではなく痛みを感じさせるアクション
・単身女性vs複数おじさんの死闘
・こだわりを感じる趣向を凝らしたカメラワーク
・韓国俳優陣の鍛えこまれた肉体
・格闘アクションしかない
・カーチェイスとかド派手な爆発シーンはない
・女性主人公だがセクシーシーンはない
・アクションシーンはいいんだけど知的駆け引きは少ない
3)結局どうなの?
尺が93分で気軽に見やすく、映画自体もテンポがよく飽きさせない工夫が素晴らしく、エンターテインメント作品として高いレベルでまとまっている。グロいシーンとかはないので、万人にオススメできる映画。
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