ベアなゲイと恋愛中!
また『ソドムとゴモラー』の冒頭を飾る、有名なヴィニーの詩句「女はゴモラを持つであろう、男はソドムを持つであろう」のように、彼のなかには男女両性間の対立と敵意にこだわる部分が確かにある。 だがプルーストの人間観において、性の境界はさほど強固な障壁ではない。 眠ってしまえば、人は「原初の人類のように」両性具有に戻る(m、三七〇)。 現に、男性である話者は、眠りぎわのおぽろげな意識のなかで女を産んだように錯覚し(I、四)、スワンの夢のなかでヴェルデュラン夫人は口ひげを生やしている(I、三七二)。 十三、四歳ころのプルーストは「質問帳」の問い、「文学作品で、あなたの好きなヒロインは?」に答えて、「女性の範囲を出なくても女以上である人たち」と書いた。 彼が二十歳を過ぎてから行なわれたとおぼしい同種のアンケート、「彼自身によるマルセループルースト」には、こんな問答もある。
また『ソドムとゴモラー』の冒頭を飾る、有名なヴィニーの詩句「女はゴモラを持つであろう、男はソドムを持つであろう」のように、彼のなかには男女両性間の対立と敵意にこだわる部分が確かにある。 だがプルーストの人間観において、性の境界はさほど強固な障壁ではない。 眠ってしまえば、人は「原初の人類のように」両性具有に戻る(m、三七〇)。 現に、男性である話者は、眠りぎわのおぽろげな意識のなかで女を産んだように錯覚し(I、四)、スワンの夢のなかでヴェルデュラン夫人は口ひげを生やしている(I、三七二)。 十三、四歳ころのプルーストは「質問帳」の問い、「文学作品で、あなたの好きなヒロインは?」に答えて、「女性の範囲を出なくても女以上である人たち」と書いた。 彼が二十歳を過ぎてから行なわれたとおぼしい同種のアンケート、「彼自身によるマルセループルースト」には、こんな問答もある。