女装子(じょそこ)のゲイを只今必死に探しています
だが精神医学による同性愛の研究も、正常と異常との峻別にこだわり、同性愛者を病人扱いにする限りにおいて、結局は、国家と社会による抑圧を補完する役割を演じるものでしかなかった。 なかには、マグヌスーヒルシュフェルトのように一八九七年、「科学的人道主義委員会」を作って同性愛の正しい理解に努めようとした人もいた。 しかしそんな彼も、同性愛者を「第三の性」として一般人と別個に考える立場に変わりはないのだ。 ポールーブルーアルデルはパリ大学での講義で、狂人を扱うのと同じやり方で同性愛者に接するように学生に勧めた。 その同僚で、今日までつづく偏見の元祖の観さえあるアンブロワーズータルデュー教授は、外見や身体つきで「おかま」を見分けられるとした。 彼が列挙するリストは有名である。 「カールした髪、メイクを施した顔、形を浮き立たせるようきつく締め付けた腰、この上もなく強力な香水の匂いを発散する全身、(……)そして手には、ハンカチか花か針仕事。 同性愛者が示す、奇怪で不愉快な、そしてうさんくさい相貌はこのようである」。