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観劇所感/「オペラ座の怪人」(2011年8月16日・ソワレ)

・劇場:京都劇場/劇団四季
・座席:1階S席下手辺り
・観劇回数:15回目



・佐野ファントム

観劇の余韻を思い浮かべつつ記事を書き始めます。
となると、どうしたってまずはここから。

佐野ファントムにブラボー!

今日ほどのスタオベ率の高さは自分が観てきた中で初めてだったと思います。
佐野さんへの拍手が本当にすごかったです。もちろんクリスとラウルにも拍手があったのですが、ファントムへの拍手は段違い。
まさにタイトルロール!の貫禄でした。

いつも通り、波立つ感情と葛藤がストレートに伝わってくる佐野ファントム。
ただ今日の佐野さんは、初っ端からトバしていらっしゃいました。「♪私の宝物に~」から、アクセル全開の印象。
クリスを地下に連れて来てからは、紳士的に微笑みかけたかと思うとクリスの歌声に打たれたように急に顔をそむけたり、幻に手を伸ばすようにクリスに近寄ったり……。
自分自身でコントロールが効かないくらいの葛藤の中でクリスに相対している、つまり、ファントムにとってどれだけクリスの存在が大きいかが、圧倒されるくらい伝わってきました。

ポイント・オブ・ノー・リターンは格別です。
ファントムの存在に気圧されて、ほとんど情緒不安定に近い状態で見つめていました。
クリスが「♪迷いに迷って、いつの日かあなたと~」と歌う辺りのファントムは強烈な印象が残っています。
後ろから抱きついてくるクリスの手を、ファントムはすがるようにがっちりとつかみます。沼尾さんの手が赤くなっちゃうよ!と心配になるくらいの強さ。
力の加減をしていられる状態じゃないんだろうなぁ…と思うと胸がつまります。

ところで、佐野ファントムはこの場面でクリスにフードをはがされた後、顔を覆いますよね。
実は前回観た時も不思議に思いました。フードをはがされたと言っても、素顔は仮面に隠れた状態なのに、どうして顔を隠すのか。
この仕草が、仮面をはがされた後だったら分かるのですが…。
そこの部分がずっと引っかかっていて、今回、はっとしました。佐野ファントムにとっては、素顔も仮面もフードも、多少のフィルター効果の違いはあっても同列なのかもしれないなあ、と。
佐野ファントムにとって、コンプレックスの源は「醜い顔」に違いないのでしょうが、それは歳月を重ねる中でどんどん歪んで膨らんでいって、最終的には顔だけじゃなくて、「自分そのもの」がものすごく恥じるべき存在になってしまったのかな、と感じました。
だからこそ、フードという膜が一枚はがされて「自分そのもの」に一歩近づいただけで、あの反応になる。とてもさみしい反応ですよね。

さらに、それを踏まえてもう一度ポイント・オブ・ノー・リターンの場面を見直したら、またひとつはっとしました。
佐野ファントムが、「自分そのもの」に強い嫌悪感とも取れるコンプレックスを持っているとしたら、たとえフードをかぶっているとしても、舞台に立つことはものすごく苦痛を感じる事のはず。
それでもファントムは舞台にやって来る。ピアンジを殺して成り代わってまで…。
「ドンファンの勝利」という舞台はどの登場人物にとっても大きな転換点ですが、ファントムにとってのこの舞台の意味の大きさ、そこにかける想いというか…改めて感じさせられた思いです。



・中井ラウル

前回観た、ハッキリした感じの冒頭の中井老ラウルが好きだったのですが、今日はわりとしおらしい老ラウルでした。
ただ代わりに…というか、オルゴールの登場後、今にも泣きそうな様子を醸し出すラウルは前回とはまた違った切迫感があって、良かったです!

もうひとつ、前回観た中井ラウルはクリスのスィンク・オブ・ミーの後、ブラボーを二回言っていた気がしていました。
今回、耳をそばだててスィンク・オブ・ミー後のラウルをうかがっていましたが、やっぱり二回言っていました(笑)。
他のラウルも実は二回言ってるのか、それとも中井ラウル独自のものなのか分かりませんが、ラウルのはしゃいだ感じが伝わってくるあのブラボーはとっても好きです。



・沼尾クリス

この三人の組み合わせで前回観た時も感じたことですが、沼尾クリスが心置きなくふわふわしてる感じがしました。
どちらかに偏ることはないけど、そのかわり留まることもありません。

ところで沼尾さん、墓場の歌い方ちょっと変わったでしょうか?
どことは限定できないのですが、間の取り方が少し長くなったように思います。
雰囲気もわずかに変わったような?
墓場での沼尾クリスは、以前は疲弊している印象が強かった気がします。でも今日は、疲弊といった人間らしい感覚をすっ飛ばして、もういない父親に直接的話しかけているような…。切実な感じは同じなんですが。
もう一度観たい墓場でした。一段とクリスタルボイスが冴え渡っていたことも付け加えておきます。



・その他

永井ピアンジ→初見でした。ナルシスト寄りなピアンジだなあという印象。カルロッタのキャラクターとのバランスが良い感じです。
カルロッタの事を好きなのが色々な場面で伝わってきました。

増田アンドレ→今まで観た中で1番かも、というくらい絶好調な増田さんだった気がします。
「♪ダンスはひどくてダメ!」の所が妙に印象に残るぐらいすごーく良いお声でした。



・オペラ座

久しぶりのオペラ座ソワレでした。
個人的に、オペラ座の怪人はソワレがぴったりだと思っています。観劇後、思う存分余韻にひたれるので…。余韻も含めての観劇ですよね!

さて京都公演も千秋楽を迎え、次は東京ですね!
気軽には行けないですが、また機会を作って東京まで観に行きたいと思います。

観劇所感/「夢から醒めた夢」(2011年8月7日・マチネ)

・劇場:新名古屋ミュージカル劇場/劇団四季
・座席:2階C席下手寄り
・観劇回数:2回目



・ロビーパフォーマンス

今回は、ロビー外でのパフォーマンスをメインに見ました。
万華鏡とオルゴールと、ダーツです。
ダーツは挑戦してみました!めでたく真ん中に当たったので、お姉さんが褒めてくれました。
夢から醒めた夢のハガキも貰えてとっても嬉しかったです。
最後に少しだけ、ハンドベルとタップをちらっと。
ハンドベルは小人さんたちがすごく可愛いですね!タップは、参加していた女の子がリトルマコのような格好をしていてとても可愛らしかったです。

千秋楽に観劇予定が入っているので、次はあやつり人形をメインに見たいと思っています。


・「夢から醒めた夢」原作版

宣言通り、今回は原作版「夢から醒めた夢」を読了しての観劇です。小説ではなく絵本なので、さらっと読めました。
ミュージカル版を頭に浮かべて読むと、印象に残る点は色々あります。
ピコ(原作版ではピコタン)のことが、日常生活が感じられるくらいに詳しく描かれてることが一番、私的に大きな違いでしょうか(霊界空港やパスポートが登場しないのも大きな違いではあるのですが)。

これは舞台と小説、という媒体による違いなんだろうなあと感じました。


・マコについて

ピコとマコは二人とも、キャラクターとして出来すぎなくらいの良い子だと思います。
原作版に沿うなら二人とも、九歳(ミュージカル版では、年齢はあえて曖昧にしている部分は大きいと思いますが)。
ピコは初対面の幽霊の身代わりを引き受けて、更にメソをかばって、自分はずっと霊界にいると宣言します。
マコはお母さんの為だけにピコに代わってもらって、しかも迷うことなくピコとの約束を守ります。
二人ともが、心優しいキャラクターですよね。

でも、(前にも書きましたが)優しいキャラクターというのは嘘くさくなりがちだと思います。現実ではまた別ですが、舞台の上での「心優しいキャラクター」というのは、一歩間違うと「結局は作り物だから、そんな行動が取れる」と感じてしまう、難しい役どころだと考えています。
演じる人によっても変わるのでしょうが、ピコとマコの二人には嘘くささは感じません。

ピコの場合は、自分でもすぐに、何故嘘くさく感じないかを見つけられます。
観客の代理人という特殊な立場である、ということ。
「人を信じすぎるかしら?」とピコ自身でも自分の性格を思い悩む部分があること。
マコに身代わりを頼まれる所や、最後のマコとお母さんを見つめる場面などで迷う姿があること。
…などなど。ピコは舞台に出ずっぱりなこともあり、様々な面を見せてくれる、というのも大きいですね。

でも、マコの場合は少し考え込んでしまいます。
マコはピコと違って、舞台に出ている時間がそもそも少ないですよね。判断材料も少ないはずなのに、どうして自分がマコを嘘くさく感じないのか…。
前回の観劇から、不思議に感じていたことでした。

マコは最後にお母さんと別れる場面で、「私を見送らないで」とお願いします。
これも実は、「何故見送らないで欲しいんだろう?」と感じていたポイントでしたが、今回、自分なりにその理由が見えてきました。
マコが事故で死んだ時、マコのお母さんは言わば受動的に、失われていくマコを見つめるだけでした。奪われた、という感覚ですね。
ですが、マコのお母さんがマコを見送らない、イコール、マコを「失っていく」姿を見ないという事は、能動的にマコを失うという事でしょう。
喪失が受動的なのかそれとも能動的なのかは、その後の気持ちの整理をつけていく点から見ても、とっても大きな違いですよね。
マコが見送らないで、とお母さんに願う理由は、(マコ自身の心情的なものももちろんあるとは思うのですが)、お母さんの為、なのかなあと。
となると、また更にわからなくなってきます。こんなにも出来すぎなくらい「お母さん思いで心優しい」マコを、どうして嘘くさく感じないのか。

帰宅後パンフレットを眺めていたら、すとんとその理由が見えてきました(これもあくまで自分なり、なのですが)。
ピコは、お人好しにも初対面の幽霊の頼みを引き受けて、マコと入れ代わります。逆に言えば、マコは初対面の「人間」に入れ代わりを頼み込むわけです。
よく考えたらマコのこの頼みは、最大級のわがままなんですよね。
本来、死んでしまえばもう二度と、生きてる人と言葉を交わすことはできない。誰かが亡くなれば誰かが傷ついて塞ぎこむけど、どれだけ励ましたいと願ってもみんな、その人を励ますことはもう絶対にできない。
その絶対にできないことをねじ曲げてでも、お母さんを慰めたい。それはわがままでしょう。お母さんの為に願う、マコのとても優しいわがままです。
しかもそれを、まだ生きている、その上初対面のピコに頼む。どこにどうリスクが転がってるかなんて分からないのに、です(実際、ピコの自業自得もあるとはいえ、ピコは霊界から戻れなくなるかもしれない所でした)。

ここまで考えて、ああだからマコは、迷いなく約束を守るんだなあとふっと納得しました。
身勝手なわがままをピコに頼んだことは、マコも重々理解しているのでしょう。だからこそマコは、そのわがままに応えてくれたピコとの約束を、誇りを持って守る。
「♪振り向けば思い出が…けれどもう戻らない」と歌い上げるマコの心情が、少し分かった気がしました。


・二人の世界

ここの岡村ピコと勝田マコのハモりは、本当に綺麗です。
今回、このお二人の「二人の世界」を観るために来たと言っても過言じゃないくらい楽しみにしていました。

わりと身長差のあるお二人。
岡村さんが前に来る時は目一杯かがまないと勝田さんが見えないぐらいなのですが、勝田さんが前に来る時は、ほとんどかがまなくても大丈夫なのが、ちょっと微笑ましいです(笑)。

広げる手のひら一本一本の指先まで神経を使っていることは、二階席の後方からもハッキリ感じられました。

一番好きな箇所は、「♪花開く」の部分。足上げ後、互いに手のひらを向け合うところです。
ビシッとキマる感じも最高!なのですが、何より岡村ピコと勝田マコが、二人の心を触れ合わせて素敵なことが「花開いた」、というよりも、二人の心を触れ合わせて素敵なことを「花開かせてみせる!」といういたずらっ子のような楽しそうな様子で「♪花開く!」と歌う、あの調子が好きなのです。


・二階C席

今日はほぼ満席だったようです。
久しぶりの二階C席で劇場内全体を見渡せたのですが、客席がびっしり埋まっていて、わくわくする眺めでした。

二階席ということで、照明などの効果をたっぷり堪能できました。
マコの足がほとんど照らされないとか、前回観た時も気づいてはいましたが、やっぱり遠方からみるとその効果はより感じられます。
マコの魂が身体から抜け出る所や、ロケットが到着する時の光、霊界が遠ざかっていく感じなどなど…。

何より、夢の配達人登場シーンです!
前回は素で、「いつどこから来たんですか??」と驚かされたので、今回は!とばかりに着席後はずっと、一階FGH列31番あたりをチラチラ。
努力の甲斐あって?高井配達人が、青マントを頭からかぶった状態でご着席になる所を目撃できました(笑)。
どの座席だったかまではちょっと分からなかったのですが(F列31番くらい??)、ちょっと得した気分でした。


・フォトコンテスト

観劇後、前回・今回と撮った写真を色々見比べて、応募してみました。
自分的にベストショット!な写真が一枚あったのですが、思い切り親子連れで来ていた女の子の顔が映っていたので、さすがにどうかと思い断念&削除。
親御さんにデータをお渡ししたいくらいイイ笑顔だったのですが(笑)。

でも、写真は詳しくないですが、良いアングルで撮るのって難しいですねー。
携帯のカメラで撮ってるのもあるんでしょうが…どこかしらブレてしまうし、何となくうまくおさまらないし。

表彰式後、何点かはロビーなどで飾られたりするんでしょうか?
ラ・アルプに今月号載っていたものも楽しかったですが、一眼レフなどの本格的な装いで撮られていた方も見えましたし、他の方が撮られた作品をもっと見れたら嬉しいですよねー。

観劇所感/「夢から醒めた夢」(2011年7月24日・マチネ)

・劇場:新名古屋ミュージカル劇場/劇団四季
・座席:1階S席中央辺り
・観劇回数:1回目



・ロビーパフォーマンス

まずはロビーパフォーマンスです。
どんなものなのか全然想像つかないまま行きましたが、あれは嬉しいパフォーマンスですねー。
最初に見かけたのは悪魔です。子どもが真剣に怖がっていました。大人もわりと怖がっていました(笑)。

じっくり見れたのはタップダンス。飛び入り参加有りのタップダンスをすごーく間近で見られて嬉しかったです。
俳優さんたちは基本しゃべりませんが、それで飛び入り参加者にきちんとレクチャーできるのがすごいなあと思います。

色んなパフォーマンスがありますが、一度で全部は見られません。観客席内でも何かやっている?し、会場外でも色々やっているし…
全部見たくなりますねー。


・開演

正直、びっくりしました。
ロビーパフォーマンスと開演の境がほとんど無いんですねー。
ロビーで見かけた俳優さんたちが劇場に戻ってくるように姿をあらわしつつ、客席参加の輪投げゲームをしてるうちに、はっと気づいたら夢の配達人登場。
えっ、開演前アナウンスは?と思う間も無く本格的に舞台上でプロローグが始まって。
とても念入りに繰り広げられるプロローグ(遊園地シーン)は、「現実」と「劇場という夢」の境を徐々に塗りつぶしていきます。お見事です。
配達人が客席から登場して、かつ観客に直接話しかける、という構造なのもニクい演出。
すっかり夢に入り込んだ心地で、一幕がスタートしました。


・印象的な場面

まずはプロローグ後に、ピコが扉を開ける場面。華やかで、きらびやかな背景・道具が使われてプロローグが繰り広げられた直後だったので余計に、対照的にしんとした雰囲気がとても良かったです。
あの扉の向こうに何が待ってるんだろう!と、直前の遊園地の雰囲気もあいまってわくわくしました。

続いてはマコの事故シーン。
配達人が煽るような勢いのナレーションをつけながら再現されるシーンは、「危ない!」と思う間も無くフラッシュのように終わってしまいます。
本当に事故を目撃してしまったような印象を受けました。
舞台装置にああいう仕掛けがあるとは思わなかったので、結構真剣にびっくりしました。マコとマコのお母さんにとっては本当に突然のことだったんだなあ、と切なくなります。

それから、霊界空港でのチェックインシーン。
舞台背景に写真が投影される…という演出は、正直なところを言うと、あまり好みではありません。
なぜかと言うと、特にパレスチナの子ども役の方の歌を聞いて思いましたが、歌だけで充分伝わるからです。
でも、観劇している子どもたちにもはっきり伝わるように…という意図があるのであれば、アリかな、とも思います。視覚的な材料は強いですよね。
300日…200日…というフレーズがとても印象に残っています。

あとは、グレーパスポートの理由をそれぞれが明かすシーン。
それぞれキャラがよく出ていて楽しませてもらったのですが、ヤクザの番が回ってきた瞬間、はしゃいでしまいました。
演歌!コブシがきいてる(笑)!
シメにピコがぽろっとこぼす、「しょうもない人生だったのねぇ」にはつい笑ってしまいました。

一幕目の終わらせ方には驚きです。
おどろおどろしい雰囲気の中を、配達人が颯爽と登場。
やたら豪華な登場だなあとわくわくしていたら、…「夢の休憩」(笑)。
すごくキマった登場&キマったポーズでした。
ただあそこで、ピコが気を失った状態なのはとても大事なのだと思います。
観客の代わりに、ピコという役者が舞台の上で夢を見る、というようなことを配達人は開演時に言っています。
でも、一幕と二幕の間で、夢がちょっとだけ途切れてしまう。観客は少しだけ夢から醒めて、休憩します。
観客=ピコ。観客が夢から醒めている間、ピコが気を失っているというのは、観客が休憩している時間そのものが舞台上のピコが見ている夢だ、ということを示唆しているように思います。
その表裏一体の構造があるおかげで、二幕の開始も一幕の開始と同じぐらいにすんなりと、舞台=夢の中に入り込めました。

良かったのは、「愛をありがとう」のシーン。思わずほろりときました。
ヤクザがピコに手を握られてびっくりしたり、隅に移動してぐっと涙をこらえていたり…と、人情深さを感じさせてくれたのもとてもぐっときたのですが、一番の理由は「愛をありがとう、優しさをありがとう」という言葉が指しているものの中身じゃないかな、と感じています。
ピコは霊界に来て、何かを成し遂げたわけではありません。
マコのためのパスポートを再発行させる、というほぼ前例が無いことを実現したりするきっかけにはなりましたが、もとはと言えば、これはピコの自業自得だと言えます。マコの大切なパスポートを、他人に預けてしまったのですから。
ピコがパスポートを預けなければ、メソも魔がさしてしまうことは無かったはず。言ってしまえば、ブラックパスポートへの変化や、マコのデータ探しなどの騒動も、ピコが引き起こしたようなものです。
その自業自得さをピコが自覚しているかは置いておくとしても、だから、ピコがみんなと別れる時に「ありがとう」と口にするのは自然に思います。
が、それに応えてみんなも「ありがとう」と口にするのは、少し不思議です。
上にも書きましたが、ピコは感謝されるようなことは、霊界では何もしていないからです。むしろ、騒動を引き起こしてしまったくらい。
ということは、みんながピコに向かって口にする「愛をありがとう、優しさをありがとう」というのは、ピコが行った何かしらの行動への言葉ではない。あえて言うなら、「出会ってくれてありがとう」というような、ただただその存在に対して全面的に肯定するような感謝でしょうか。
英雄みたいなすごいことが出来なくても、あなたは大切な人だ、と言ってもらえた気がして、ほろりときてしまったのかな、と思います。

さて、最後はこれは外せない、ピコとマコの入れ替わりシーンです。
舞台の上には二人きり。いつのまにかスモークがたかれて、とても幻想的な雰囲気。
入れ替わりシーンは二回ありますが、立ち位置がそれぞれちょうど逆転するのが印象的です。
ひとつひとつのミラー的な動きが揃うのも見事でしたが、何より二人のハモりがとても綺麗で、すごく心地よくて。
何度も見たくなるシーンですよね。


・各キャラクター

各々のキャラクター全てが初見で、しかも当然ながら他のキャストさんを観たことがないので何とも言えないのですが…簡単に。

ピコ→ピコという役柄でもありながら、観客全ての代理人でもあるこの役柄は大変だろうなあと感じました。
個性が出すぎてもいけないし、でも「ピコ」という役柄が確立されていないと物語に違和感が出てしまうし…。
岡村さんのピコはとても純真な明るさで、観ていて清々しかったです。

マコ→華奢な身体がとてもイメージに合っていた勝田さんのマコ。
優しいだけのキャラクターは嘘くさくなってしまいますが、マコはきっぱりとした意思も持ち合わせた少女だったんだろうなあ、と感じました。

デビル→「テメェのことばっか考えやがって!」の後に入る何とも言えない笑い声が耳に残っています。
…夢に見そうです(笑)。

エンジェル→有賀さんは赤毛のアンのギルバート役を観たことがありますが、やっぱり役が変わると印象も変わりますね。
大真面目な顔でチェックインの手続きを進める姿が印象的でした。

部長→田中さんは、アイーダのゾーザー役を以前拝見しています。でも、途中まで「本当にあのゾーザーさん!?」と信じられませんでした。
歌い始めた所で、ようやく同一人物だと信じれました(笑)。

夢の配達人→ファントムじゃない高井さんは不思議な感じでした。トークイベントでも素顔は見たことあるのですが、歌っている顔にはどうにもマスクか引きつれ痕を探してしまいます(笑)。
ただそれも最初のうちだけで、後半は不思議と存在感のある配達人というキャラクターに魅せられていました。
これは他のキャストさんの配達人も観たい!もう一度高井さんの配達人を観たい気持ちもあるのですが…!
登場人物のうち、唯一客席に語りかけてくる配達人。ピコを「この役者」と呼ぶ配達人は、「登場人物」なのかそうじゃないのか、とてもあいまいです。
カーテンコールでの姿にもそれは現れます。90度のお辞儀をする他の役者さんの中で、配達人だけはよく見積もっても25度。絶対にそれ以上は下げません(笑)。
舞台上にいながら、1人だけ舞台上の枠に沿わない、不思議な役柄です。
四度目ほどのカーテンコールで、ピコとマコがお辞儀をした後。すっと現れて、お辞儀をするでもなく、指を鳴らす仕草で幕を降ろして去る後ろ姿はとってもキマっていました!


・「夢から醒めた夢」

名古屋からの帰り道、このミュージカルのタイトルについてぼんやり考えていました。
始めの方の「夢」は、ピコの見た夢、つまりマコと出会って入れ替わって、霊界に行く…ということを指しているのかな、と思います。
その夢から醒めるまでが、舞台の上で描かれる。
「夢から醒めた夢」では、劇場に入った瞬間から徹底して劇場内での出来事を「夢」と同化させようとしています(ロビーパフォーマンスや開演演出や、休憩演出など)。
なので、後ろの方の「夢」は、劇場までやって来て劇を観たことそのもの…を指しているように思います。
こう書くと、「夢オチ」といった表現で使われる意味の、つかみどころがない、何の意味も持たない「ただの夢」という解釈になってしまいそうです。
が、そこは夢の配達人が、二幕の始めにきっぱり断言してくれています。
「夢は人生と同じだ」、と。
そう考えた時、なんてピッタリなタイトルなんだろう、とすんなり納得できたような気がしました。

観劇所感/「オペラ座の怪人」(2011年7月9日・マチネ)

・劇場:京都劇場/劇団四季
・座席:1階S席中央辺り
・観劇回数:14回目



・約半年ぶり

京都、行って来ました。オペラ座は約半年ぶりの観劇です。
観たい観たいとは思っていましたが、実際観劇してみて、思った以上に自分はオペラ座が観たくてたまらなかったんだなあとビックリしました。
今日の公演がすごくよかった!というのもありますが、一幕後と二幕後、それぞれ物語に引きずられて座席から動けなかったのです。これに近い状態はよくなりますが、ここまで強烈なのは初めて。特に一幕後は、「何々??」と自分で戸惑ったほどでした。

結論から言うと、とっても素敵な舞台でした!!


・中井ラウル

何から書こうかすごく迷ったのですが、まず、今回初見だった中井ラウルから。
感想を一言にまとめると、じっくり作り込まれたラウルだな、という感じでしょうか。今まで自分が観てきたラウルとは少し違う印象です。
例えばオークションシーンの、「ちょっと、君」からまず『おおっ?』と思わされました。ここでのラウルがオルゴールを運ぶ男性を引きとめる声は、しおらしい…というか厭世的なイメージがあったのですが、中井ラウルは静かながらもしっかりとした声音で、強く男性を引きとめました。
他には、クリスのスィンク・オブ・ミーを聞いてクリスが幼馴染と気付くシーン。「ブラヴァ!」が派手なのも印象的でしたが、それよりも、その後クリスが「♪愛~!」と歌い切った後の暗転時。気のせいでなければもう一回、「ブラヴァ!」が聞こえました。中井ラウル…二回言った(笑)!
(客席のどなたかだったという可能性もありますが…でもあれ、ラウルですよね?)

また、仕草のひとつひとつから『ああ、クリスが好きなんだねぇ』としみじみ伝わってくるのが良い!です。
クリスに愛おしげに接する、というのはもちろんなのですが、中井ラウルは戸惑いやためらい、驚きといった仕草からも、クリスが大切だという気持ちを感じました。
例えば…クリスの楽屋を訪ねる時、階段の手すりで、舞い上がる気持ちを抑えるように一瞬止まってためらうところ。
マスカレードでファントムに呼ばれてふらーっと進み出るクリスを引きとめる手が、クリスがすり抜けてしまっても全然諦めきれてなさそうなところ。
また、二幕のオフィスで、「♪嫌なら嫌でいいよ」と言っておきながら、「♪クリスティーヌが歌えば奴はあらわれる。最後は勝利だ!」…と真逆なことを言ってヒートアップしていくように見えるシーン。クリスが「やめてちょうだい!」と叫んだ時のラウルの表情は、要チェックです。あのラウルの表情で、ちぐはぐに見えるラウルの言動が「クリスの為」という目的で一貫されている、と感じました。

そして何より屋上シーンです!
屋上シーン(オール・アイ・アスク・オブ・ユー)を見てて泣きそうになったのは、初めてです。
どの仕草がどうとか、どのセリフがどうとかはうまく言えないのですが、この二人にすっかり呑まれました。このラウルがいるからクリスは、かろうじて「こちら側」に留まっていられるんだなあ、と。
特にファントムの声が聞こえた後、顔を覆っているクリスに呼びかける「クリスティーヌ!」は力強くて、覚悟が滲んでいるようにも思えて、とても印象的です。

是非、また観たいラウルです。


・佐野ファントム&沼尾クリス

本当~に久しぶりの佐野ファントムでした。
観ていると、佐野ファントムの好きなところが次々思い出されて、「ああそうそう、これこれ!」と堪能できました。
高井ファントムの立ち居振る舞いは、感情を過剰なほどに抑制した結果であるように感じます。なので、前面に出るのは「抑制をしてる心」。対して佐野ファントムの場合、感情が先でそれが身体に出る。でも感情が身体に出た後、それを抑え込もうともするので、「葛藤する心」そのものが前面に出る。同じファントム役でもがらっと印象が違う理由が、今回、自分なりに少し見えた気がします。
ところで、佐野さんが「♪罠は仕掛けた、獲物を待つだけだ」の「罠」と言う時の言い方が健在で、すごーく嬉しかったです。あのねちっこい言い方が好きなのです(笑)。

また、沼尾クリスは名古屋My千秋楽でもお会いしましたが、なんだかんだ言っても約半年ぶり。相変わらず細やかな演技、素敵なお声でした。
沼尾クリスの浮世離れ感、というか人間臭さの無さが、格段に上がった気がします。ハンニバルリハでの心ここにあらず…感は今まででピカイチ。これは確かに、マダムに怒られても仕方ない(笑)。
そんなクリスが、佐野ファントムと中井ラウルに挟まれるとバッチリはまっているので、この三者配置だからこそかな?とも思います。

そんな佐野ファントムと沼尾クリスの組み合わせは初めて観たのですが…うーん、良かったです。
うまく言えないのですが、それぞれの行動原理や思惑、「そう」なった理由…といったものが、全て必然、必要性あってのことであるように感じられて、結果、パズルが全ピース違和感なくはまってる!というのに近い感覚がしました。…わかりづらいですね(笑)。
長くなりそうなので、印象に残ったシーンを簡単に。

●一幕地下:マントを丁寧にたたんで、きちんと舟のへりにかける佐野ファントム。クリスへの触れ方が、こちらまで緊張してしまうほど愛しげで、それでいて何だか切羽詰まっていて、良い意味での緊迫感がずっと続いていた印象です。
秘めてきた想いを大切に大切に歌い上げてるんだなあというのが、じっくり伝わってくる地下でした。

●ドンファン:ここのシーンは圧巻でした!
「ポイント・オブ・ノー・リターン」全体を通してももちろん良かったのですが、今回はこのナンバーのラスト付近、クリスがフードの下の仮面に気づいたあたりからの流れが素晴らしかったです。
クリスは仮面に気付くと、ハッとして逃げようとしますよね。一方ファントムは、クリスの手を逃がすまいとする。緊迫感は上昇するばかりで、そのまま「♪もはや戻れない…」という言葉とともにクリスがファントムのフードをめくるまで、ノンストップ。息もつかせてもらえません。
さらに、ファントムのフードがめくられて一瞬静寂が訪れても、緊迫感は薄れるどころかさらに高まる。印象的だったのが、ここで佐野ファントムが顔を隠すように覆ったこと。覆っていた手をはずして、「♪どんな時でも~」と歌い始めた時は、空気がまたいちだんとピリピリです。
そしてラスト、「♪クリスティーヌ、きみがすべて!」は鳥肌ものでした。あえぐようにうめきながら、ファントムのマスクをはがす沼尾クリスにも、胸が痛くなりました。
真剣勝負、という言葉がふさわしいんだろうと思います。このシーンが観れただけでも、京都に行ったかいがありました。

●二幕地下:クリスからのキス&抱擁シーンで、沼尾クリスがファントムの頭をよしよし、といった雰囲気で撫でる仕草があったことに驚きました。母親が子どもを抱きしめる姿に重なります。グッときました。
もうひとつ、佐野ファントムがラウルの縄切り直前にろうそくを手にしてから、実際縄を焼き切るまで。ためらって、ためらって、そしてクリスを一瞥してから、叫び出しそうな表情で縄を切るファントム。…切ないです。
あとは、最後にファントムがクリスの投げ捨てたベールを抱きしめますが、佐野さんのあの抱きしめ方は反則です。すでに充分切なくなっているのに…容赦無い駄目押しでした。


・その他

●橋元ピアンジ:ちょっと女々しい感じがかわいい印象のピアンジでした。表情がくるくる変わって、コミカルさはピカイチ。
「♪ロー「マ」の餌食~」の強調っぷりは笑ってしまいました。

●佐藤ブケー:なんとブケーの背中が曲がってない、しゃんとしてる!ちょっと猫背かな?という程度です。
今までブケーというと偏屈で変わり者で飲んだくれなおじさん、というイメージでしたが、それとはずいぶん違う感じです。端的に言うなら…「チャラい」(笑)?
あえていうなら映画版のブケーに近いでしょうか。でも、お調子者そうな感じといい、とても新鮮なブケーでした。

●原田マダム:「♪駄目よ、やめなさい!」のシーンで思わず「かっこいい!」と思ってしまいました。原田マダムは、男とも対等に渡り合える雰囲気を持っていて、素敵です。
(戸田マダムも決して男には負けてませんが、戸田マダムの場合、気迫で黙らせる!というイメージです)


・次回

次のオペラ座観劇は、8月16日、久々のソワレを予定しています。
…が、どうも一度観てしまうと駄目ですね…。なんせ、今日のマチネを観ながら「いっそ、ソワレも観ていってしまおうか…」と真剣に悩んだほどです。
約一ヶ月近く、じりじりと待ちたいと思います。

雑感/7月7日

・オペラ座キャスト


今週末の9日は久しぶりのミュージカル観劇です。4月末に観た「人間になりたがった猫」以来になるので、ほぼ二ヶ月ぶりでしょうか。
そういうわけでただでさえ楽しみな所に、演目はこれもまた久しぶりなオペラ座!自分がはしゃぎすぎないか心配になります。

さて、今現在のキャストをチェック。

・佐野ファントム&沼尾クリス
記憶が正しければ(笑)、私的に初めて観る組み合わせ。どうしようすごく楽しみです。そもそも、佐野ファントムを観るのが久しぶり(おおよそ8ヶ月ぶりでしょうか?)。
自分がファントム役を高井さんと佐野さんしか観ていないため、少し前のキャスティングである村ファントムが変更になった時、ちょっぴり「あぁ~」と思ってしまったりしました。でも、それとこれとはまた別の話です!
しゃんとした沼尾クリスと、情熱ダダもれ(褒め言葉です)な佐野ファントムがどんな関係性を見せてくれるのか、わくわくしていたいと思います。

・初見キャスト
中井さんのラウル、松田さんのメグ、橋元さんのピアンジ、がそれぞれ初見になります。
京都オペラ座のキャストはちょいちょいチェックして、「名古屋オペラ座とはちょっと雰囲気変わったなあ、色んなキャストさんが観れたらいいな」と思っていたので、とても楽しみです。
特に楽しみなのはラウルです!あの三角関係は、それぞれの役者さんの持ち味が他二者の演技の解釈にも影響してくると思うので…。

・その他
原田マダムとお久しぶりに会えることと、佐藤圭一さんのブケー役がもうひとつの楽しみです。



・ラ・アルプ


いつもよりちょっとだけ遅れて、今月もラ・アルプが届きました。

・佐野さんインタビュー
もうすぐオペラ座観劇という時期の、(私的に)とってもタイムリーなインタビューでした。
オペラ座についての佐野さんの語りがすごく興味深かったです。もっと聞きたいですね~。
でもこれ読んだら、「オペラ座、観たい!」って思っちゃいますよね。現在のキャストも、ぴったり佐野ファントム。…劇団四季さんはやっぱり色々と上手いです(笑)。

・オペラ座東京公演決定
恥ずかしながらラ・アルプを読んで初めて知りました。
「特別公演」の京都が終わったらどうなるんだろう?と思っていたので、クローズではなさそうで一安心。
ただ、劇場が海ってことは…オケはどうなのでしょうね?一度でもいいので、オケ有りで観たいなと思っているのですが。
京都よりさらに行きづらくなるとは思いますが…何度か足を運べたらな、と思います。



・今後の観劇予定


・夢から醒めた夢
現在、夢の配達人に高井さんがキャスティングされていますね!
ファントム以外の姿が想像できないのが正直なところです(笑)。7月24日の私的観劇日までそのままでありますように!
あとは、フォトコンテストが行われるそうなので、こっそり参加したいなと思っています。
24日が初観劇なので、「ミュージカル観劇→原作小説読書→再観劇」…をもくろんでいます。でもまだチケットは取っていません、あれれ??

・キャッツ
ようやく、ついに、観劇予定が立ちました。8月半ばに行ってきます!
昨年末に多治見少年少女合唱団のコンサートでキャッツを観て以来、横浜に行きたい行きたいと思い続けていましたが、やっとチケットを取りました。
しかもバリバリ初心者の身で、回転席にチャレンジです。
初めは舞台を見渡せる席がいいかなあと思ったのですが…次にいつ行けるか分からないので。ずっと座ってみたかった回転席で、悔いなく観てきたいと思います。

あとは、オペラ座がもう一回あるくらいでしょうか。
もうちょっと色々観に行きたいなぁ。