午後11時06分の所感 -14ページ目
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観劇所感/「マイ・フェア・レディ」(2010年11月3日・マチネ)

・演目:「マイ・フェア・レディ」(2010年11月3日・マチネ)

・劇場:中日劇場/東宝

・座席:2階B席中央辺り

・観劇回数:1回目



・マイ・フェア・レディと大地真央さん


私はつい最近、観劇というものに目覚めはじめました。

なので当然、この世界では有名どころとされる作品や役者さんの名前なども、不案内です。


そんな私でも知っている「マイ・フェア・レディ」のタイトルと、

そして大地真央さん、という名前。

その組み合わせを中日新聞広告欄に見つけてしまっては、もう観るしかありません。

いそいそとスケジュール調整をして、今回の観劇となりました。



・イライザ


やっぱり、まずはこの方から。大地真央さん!

ありったけの言葉を尽くして語りたいような気もするのですが、

私のボキャブラリーではやっぱり表現しきれないでしょう。

とにかく、華のある方でした。

スポットライトがあんなに似合う人がいるんだなあと、感嘆のため息。


大地真央さんのイライザ役は、今回の巡演が最後とのこと。

ということは、大地真央さんのイライザ役を見るのは今回が最初で、最後でもあります。

それがとても悔やまれます。

イライザという役柄自体は、観劇後も輪郭がぼやけることなくしっかり心に残っています。

ただなにぶん、大地真央さんの存在感と華やかさに圧倒されて

大地真央さんのイライザ、というものを思う存分見つめることができなかったので…

ああ、もっと何度も味わいたかったなあ。


役柄として印象的だったのは、下町娘ではあっても確かに、

どこかに品を持つ姿が見事に表現されていたこと。

「あたいは、ちゃんとした娘なんだよ」というセリフは何度も出てきましたが、本当にそのとおり。

ツケでお酒を飲む父親にお金を渡してあげる場面や、

頓珍漢ながらもきちんと「盛装」してからヒギンズ教授の所を訪れる部分、

そしてなにより、「このお金で自分を教育してほしい」という思考回路!

拳を握って応援したくなる素敵なヒロインでした。


歌では、こちらまで一気にテンションを引き上げられてしまいそうな「スペインの雨」や、

2回出てくる「今に見てろ」の響きの差、など色々ありますが、

一番は「一晩中踊りたい」、これです、やっぱり。

最後のところなんかは、歌の上手さや表情はもちろん、

なによりも大地真央さんから発せられる迫力にぞくぞくっとしました。



・ヒギンズ教授


恥ずかしながら本気で不案内なので、

石井一孝さんのお名前もろくろく知らずに迎えた観劇当日。

もう忘れるのは無理です!ってくらい、印象的な教授でした。


徹底して女を半人前扱いする姿が、もういっそすがすがしい。

人を使ったモルモット実験に夢中になる様子は微笑ましくすら思えてきます。

ああ、この人はこういう人なんだな、と。

諦めと共に教授の行動を見るような感覚、というか…

だからこそ、最後の最後、まさにそのポイントをひっくり返したイライザに、

ヒギンズ夫人じゃないですが「でかした!」と拍手したくなりました。


そんなわけで、イライザが忽然といなくなった朝のシーンは大好きです。

ヒギンズ教授とピッカリング大佐がそろってあたふたしている場面。

イライザを捜し出すために、ピッカリング大佐が電話をしますよね。

イライザの目の色、髪の色、身長などの説明に、

いちいち口を出して正しく言い直させるヒギンズ教授。

そんなにしっかりイライザを見てるくせに、歌う言葉は

「女はろくな考え方をしない。女は男を、俺を見習うべきだ!」

鉄壁な自分勝手さです。

この自分勝手さが鮮やかにひっくり返るんですから、イライザ無敵です(笑)。


石井一孝さんの、片眉をあげて笑う表情がとっても印象的でした。



・その他


矯正訓練中の流れがテンポよくていいなあ、と思いました。

イライザ、教授、大佐もどんどん疲れてくるけど、

使用人の人たちもどんどん疲れていってるんだなあ、と伝わってきて。

最後は「もうやめて下さい、お願いですからぁ!」と懇願(笑)。


ドゥーリトル(イライザのお父さん)が出てくる時の盛り上がりも最高でした。

「運が良けりゃ」なんかは本当に楽しくて、会場の手拍子もノリノリ。

言ってることはそんなに感心できる中身じゃないはずなんですが、

なぜか憎めない、素敵なキャラクターです。


あとは、フレディのさわやかさに癒されました。

イライザに「あのひと、働くのに向いてない」とか言われちゃってるのが楽しい。

原作では、フレディと結ばれる結末とのことですが、それもアリかなあと思いました。

なにせイライザを想うあまり、一日中教授の家の前にいる位です。

確かにちゃんと働けなさそう。

原作ではイライザがついててくれるけど、ミュージカル版の彼のその後は…?

本筋とは関係ないですが、ちょっと心配になります。

失恋を機に強い男になってくれるといいですよね(笑)。


ピッカリング大佐も、あまり語れませんでしたが素敵でした。

どうしても、どの場面でもヒギンズ教授との対照で見てしまうので、

教授の身勝手さや自己中さに目がいってしまうのですが…

矯正訓練に辛抱強く立ちあうところとか、

イライザ失踪後に「さびしいのは僕だ」と言っているところとか、

夫にしたら、とってもいい旦那さんになる気がします。




また再演が決まった時には、必ず観に行きたいと思います。

でも、誰がイライザ役をやるんでしょうね。楽しみです。

観劇所感/「オペラ座の怪人」(2010年11月6日・マチネ)

・演目:「オペラ座の怪人」(2010年11月6日・マチネ)

・劇場:名古屋ミュージカル劇場/劇団四季

・座席:2階S席中央辺り

・観劇回数:8回目




・沼尾クリス


沼尾さんご自身も、沼尾さんの演じるクリスティーヌも初見です。


目線・仕草・表情などなど、とにかく演技が細かいなあと感嘆。

たとえばドンファンで、相手がファントムだとクリスティーヌがようやく気づく所とか、

今まで見たクリスティーヌの中で一番分かりやすかったです。

声もとてもきれいで、堪能させていただきました。特にスィンク・オブ・ミーと墓場は背筋にきました。


全体としては、とってもファントム寄りなクリスティーヌだなあと。

たとえば屋上から戻る時。これまで観た他の役者さん演じるクリスティーヌは、

自分の中では、ラウルと手に手をとって連れだって去るイメージがあるのです。

でも沼尾さんはラウルをそっけなく置いて、先に1人でさっそうと行ってしまった印象。


墓場でファントムと二人歌う場面でも、「私の求める方!」というようにさしのべた手がとても印象的で。

あと、マスカレードでファントムに呼ばれた時も、ラウルを見もせず、迷いもせずファントムの側へ…。

最後の地下から去る時とかも、あんなに後ろ髪をひかれているクリスは初めて見ました!


だいたいがファントムびいきな目線で見ているので、心にストンとはまるクリスでした。



・飯田ラウル


そんなわけでクリスティーヌがとってもファントム寄りに感じたため、

これまで観劇した中で初めて、ラウルへの同情を強く感じました。


以前観た、高木クリスと向かい合っていたときの飯田ラウルが見せていた必死さは、

「クリスティーヌを守らなくちゃ!助けなくちゃ!」という方向で受け取っていたのですが、

沼尾クリスと向かい合って見せた必死さは、まったく違う種類に受け取れました。

「クリスティーヌをつなぎとめなくちゃ!」という方向です。悲しい焦りを感じるというか…。


だから屋上で、まったくラウルを見ず「♪憧れを宿していた~」とファントムを思い出して歌うクリスティーヌを、

後ろから抱きしめて「クリスティーヌ…」とつぶやく姿がとっても切なかったです。

その直後にファントムも「クリスティーヌ」とか入れてくるし、クリスティーヌもすごいハッとするし(笑


ファントムへの怒りに、貴族的な?高圧的な?種類のものだけではなくて、

嫉妬からの怒りが強く感じられて、今までで一番身近に感じた子爵様でした。



・高井ファントム


初めて観た時のファントムが高井さんでした。

それからずっと、高井ファントムに惚れこんでいます。

いやいやもちろん、佐野さんのファントムも大好きなんですけど!


今回は、アンマスク場面がもう、とっても良かったです。

ぶちぎれ方も激しかったんですが、そこから急転直下にファントムが崩れ落ちてからの

「♪醜く歪んだ~」で、ファントムの悲しみに胸を衝かれました。

だからあんなに激しく怒ったんだなあ、と。


あと、屋上で二人が去ってからのファントムがすごかった!

遠くから聞こえてくる二人の歌声に耳をふさいでいたファントムが、

「♪許しはしないぞ」にいくまでの、まさにその「間」です。

ファントムの心に明確に狂気が入り込んだのは、きっとあの瞬間なんだろうなあ、と。

その変化の表現と、その中身にぞくぞくさせられました。


何度も書いてますが沼尾クリスがファントム寄りに感じたので、

ファントムとクリスティーヌの間に、誰にも切れないような絆が感じられました。

墓場でも感じましたが、最後の地下は特に…。


どこで感じたかというと、ラウルに罠をかけた直後にファントムが叫ぶ、「♪もはや退けないぞ」の後です。

叫んだあと、高井さんがうつむいたままだったんですよね。

ほとんど狂気に支配されても、クリスティーヌとの絆をよりどころに、正常な部分が残ってる。

その正常な部分が、もう本当に退けないことをしてしまったことを嘆いてるというか…。

だからうつむいたのかな、と。(…とっても自己流な解釈ですが)



最後の地下場面つながりで、沼尾さんについてもうひとこと付けたしを。

ファントムが「選べ」とクリスティーヌに突きつけたあとの、「♪絶望に~」までに、

クリスティーヌがたっぷりな間を置いたのはとてもじんときました。

今まで観た中で、あそこであんなに間をとるクリスティーヌは初めてだったので。

ファントムとの絆というか、クリスティーヌのファントムへの想いの濃さを感じました。




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