海と山、時々きもの -9ページ目

海と山、時々きもの

ダイビング記録+きもの試行錯誤の覚書。…だったはずなのに最近は山歩きの記録簿と化しつつある。
23年秋から山のない国に滞在中のため山歩き頻度は低下中。

今回の山旅の主目的デュフールシュピッツェ(Dufourspitze)。

標高は4634m。
スイス・イタリア最高峰で、ヨーロッパではモンブランに次いで高い山らしい。

そもそも何故このたぶん特に日本人にとってはマイナーと思われる山に登りたくなったのか、実はあんまりよく覚えていない。

メンヒに登ることを決めてYoutubeでメンヒを検索しまくっていたらYoutube君に「こんな山もあるで」とお薦めされたからだった気もするし、

モンブラン三山縦走ルートは疲れそうで嫌だな、他の山ないかな→マルゲリータ小屋でマルゲリータピザ食べるの面白そう→マルゲリータ小屋はモンテローザという所にあるらしい、で「モンテローザ 山小屋」で検索したらモンテローザ小屋がヒットしたからだった気もする。

よく覚えていない。

で、メンヒと同じくYoutubeで動画を見ていたらマルゲリータ小屋に行くよりもモンテローザ小屋経由でデュフールシュピッツェに行くルートの方が楽しそうに見えて登りたくなった。

デュフールシュピッツェに心惹かれた理由は主に2つある。

①デュフールシュピッツェへのルート

心惹かれた理由の1つ目はルートが多様で楽しそうだったこと。

ルートはこのスイスアルパインクラブの地図を参照。
SAC Route Portal | Swiss Alpine Club SAC

ツェルマットからデュフールシュピッツェまでのルートを2分割すると、

ツェルマットーモンテローザ小屋
モンテローザ小屋ーデュフールシュピッツェ

に分けられる。

* Youtube動画の中にはモンテローザ小屋ではなく小屋のもう少し上でテント泊している記録もあったけど、この地域でテント泊が許可されているかは事前に確認したほうが良いと思う。


ツェルマットからモンテローザ小屋に行くには途中で氷河(たぶんゴルナグラート氷河)を横断する。
この氷河歩きをやってみたいなと思ったし、その後もどちらかというと岩場寄りのルート(でもクライミングはない)なのが楽しそうに見えた。

氷河横断は不安だけど、モンテローザ小屋のウェブサイトによると一応ゴルナグラート氷河上にポールの目印はあるらしい。

 【注】2025年時点。毎年あるのかどうかはわからない。後、私が今回使ったパノラマルートのゴルナグラート氷河上の目印は明瞭だったけど、オールドルートは氷河上の目印がわかりにくい、という記録も見た。

モンテローザ小屋からデュフールシュピッツェへのルートもバラエティに富んでいる。

まず、真夜中に出発して暗闇の中岩場を歩く。
岩場の後はクレバスだらけの氷河(たぶんモンテローザ氷河)を歩く。
氷河の後は雪原を登る。
雪原を登って尾根に取りついたらそこから最後、岩と雪のリッジを登り上げて頂上に着く。

頂上からは、来た道を引き返すルートと、隣のノルトエンド(Nordend)との間を懸垂下降して降りる2択がある。

私が参照した日本語の記録3つのうち2つは懸垂下降ルート、1つは往復ルートを選んでいた。

Youtubeの動画だと体感、往復ルートの方が多いかな、という感じ。

岩場+氷河+岩雪稜+懸垂下降、めっちゃ楽しそう、と思った。

ちなみにモンテローザ小屋からデュフールシュピッツェはスイスアルパインクラブの上記ウェブサイトによれば標高差1750m、時間は7-8時間。
ヤマレコによれば登りは5-7時間らしいけど、たぶん5時間で行けるのはスーパーサイヤ人だけでは?と思う。
モンテローザ/ディフイールシュピッツェ|最新の山行記録と登山ルートやアクセス、気象状況など-ヤマレコ

②モンテローザ小屋

デュフールシュピッツェに心惹かれた理由の2つ目、モンテローザ小屋。
2009年に出来た小屋で、色々ハイテクな技術を駆使して作られた小屋らしい。。。

Monte Rosa Hut (English)

技術は素人のような私には(なんかすごいんだな。。。)ということしかわからず、単純に

見た目がカッコいい。

というのが泊まってみたかった理由。
 

以上の理由でデュフールシュピッツェを目的地に選んだものの、不安は山のようにあった。

一番大きかったのは、ルートファインディング。

まず、デュフールシュピッツェに行くにはモンテローザ小屋を夜中2時‐3時に出発して、最初は岩場、その後は氷河を超える必要がある。

2-3時に出発する=真っ暗な中でヘッデンの明かりだけでこれをやる必要がある。

動画を色々見ても、大体の動画は当たり前だけど明るくなってからの雪原歩きくらいから始まっており、肝心の一番怖そうな岩場と氷河をどう超えるのかのヒントが全然ない。
(暗い中で始まる動画もあるけどヘッデンの明かりしか見えてないのでルートの参考にはならない)。

日本でいつも使っていたyamapは使えない。
地図は紙地図を一応SACの上記のウェブサイト掲載地図を打ち出したけど、これとコンパスのみで真っ暗な中、岩場やクレバスだらけの氷河をひとりで超えていけるのかすごく不安だった。

ゴルナグラート氷河上にはポールの目印があるらしいけどモンテローザ氷河上に目印はあるんだろうか?(結論から言えばなかった)。

後、頂上から懸垂下降した場合、トレースがあればいいけどトレースがなかった場合にクレヴァスにおびえながら雪面を一人で戻ることができるのだろうか、という不安も大きかった。

2つ目の不安は体力。

モンテローザ小屋からデュフールシュピッツェまでは標高差1750m、7-8時間。
こちらのコースタイムは私にはきついので私は恐らくもっとかかる。
そして下りも加えると恐らく往復には12時間以上はかかるだろう。

私のアイゼンを付けての雪山での最長行動時間は2年前のGWに七倉山荘から烏帽子小屋付近まで登った6時間。

あの時はばてばてでテントに入ってどら焼き齧りながら寝落ちするぐらい疲れていたのに、登りだけで8時間、そして全部で12時間以上の行程をこなせるのだろうか。

3つ目の不安は、頂上直前、最後の岩と雪のリッジ。

これはyoutube動画を色々見ていて、(これくらいなら行けそうじゃない?)という根拠なき自信と(いやこれ無理。落ちたら死ぬ)という不安が交互に来た。

メンヒで落ちてからは若干不安の方が大きくなった。
メンヒで落ちた時は軽傷で済んだ(そういえば突き指だと思ってた小指はたぶん骨が逝かれてるんだけどそれはまた別途書く)。
でもデュフールのここで落ちたら軽傷では済まない。たぶん99.9%死ぬ。

少しでも怖い危ないと思ったらそこを頂上にして引き返せばいいか、とも思っていたけど、一番怖いのは行けると思って行ったはいいものの引き返せなくなった時。
引き返せない場合はノルデンドとのコルを懸垂下降するルートしかないんだけど、そうするとさっきも書いたように下降の後クレバス帯でルートファインディングできるのか、という別問題が発生する。


デュフールシュピッツェ、面白そうなルートだったけど不安はたくさんあった。

そして結局頂上には全くたどりつけなかったんだけど、ここを選んで本当に良かったと思っている。

不安が大きかった分、充実した、忘れられない旅になった。

ツェルマット(&サースフェー)山旅4日目。

この日はサースフェーからツェルマットへの移動日にしようと決めていた。
ただせっかくサースフェーに寄ったのにアラリンホルンだけ、というのもちょっと寂しいなあと思っていたので午前中にマーモットに出会えるマーモットトレイルで有名らしいシュピールボーデンに寄ることに決めた。

朝ゆっくり起きてホテルで朝食を食べチェックアウトする。


シュピールボーデンに向かうゴンドラ駅は前日のミッテルアラリン駅へのゴンドラ駅を更に山側に進んだところにある。
ゴンドラ駅はめちゃめちゃ空いていた。

この辺り、余裕があればゴンドラに乗らず歩いて昇り降りするのも楽しそうだなと思う。


ゴンドラが上がっていくと眼下に蜘蛛の巣みたいなトレイルが見えてくる。
人が結構歩いていてこれがマーモットトレイルかなと思っているうちにシュピールボーデン駅到着。


やっぱりこの駅直下の蜘蛛の巣トレイルがマーモットトレイルらしい。

 

 

まぁ、なんとなく予想はしていた。灼熱の太陽、所在なさげに歩き回る人々。。。


巣穴はある。


マーモットに出てきてもらおうとした痕跡(かじりかけの人参)も見える。

 

しかし肝心のマーモット、影も形も見えず。

 

まぁそりゃこの暑さでマーモットも外出たくないよな。。。


マーモットが気まぐれに顔出さないかな、という一縷の望みをかけてうろうろしてたら標識を見つけた。


あれがDOMか。


こちらから見ると右側の山の方が高く見えるけど実際は左のDOMの方が高い。不思議。

DOMも登ってみたかったけど。。。またヨーロッパで山に登れる機会はあるのかな。

しばらく山座同定を楽しんだ後、マーモットは諦めて引き返した。

さよならサースフェー&シュピールボーデン。


思ったけど、マーモットに会いたいのであればあまり気温の高くて日差しが強い日中は避けたほうがいいのかもしれない。

今回の旅でマーモットに会ったのは初日の午後(夕方)とこの翌日のモンテローザ小屋に行く途中(早朝)だった。いずれも晴れてはいたけど日差しはそこまで強くなく気温もそんなに高くなかった。

ホテルに帰って荷物をピックアップし来た時と同じバス&鉄道でツェルマットに移動。


ツェルマットのホテルのベランダで見たらこの日の気温は30℃弱(この後32℃まで上がった)。
そりゃマーモットも穴の中で涼みたいだろう。。。


マーモットは残念だったけど旅の主目的ではないので心残りはない。
翌日からはいよいよこの旅の主目的であるデュフールシュピッツェ。
翌日10日はツェルマットからモンテローザ小屋へ移動。
11日はモンテローザ小屋からデュフールシュピッツェを往復してモンテローザ小屋泊。
12日はモンテローザ小屋からツェルマットへ帰還。のスケジュール。

翌日のデュフールシュピッツェの天候をチェックする。
Windyでは終日晴れだけど。。。でも気温が高すぎるしあまりこの天気予報は当てにならない気がする。

 

もう一つの天気予報サイトでは相変わらず11日午後はSnow showerの予報。


もう一つは雷マーク。


更にもう1つも雷マーク。


天気予報を見ながら悶々とした。
モンテローザ小屋からデュフールシュピッツェまではコースタイム6時間~8時間。
夜中の3時までには出発して、本来であれば午後2時くらいには小屋に帰ってきてなければならない。

でも私にはきっとそれは無理だ。もっとかかる。
とするとsnow showerや雷をもろに食らう可能性が高い。

メンヒの時にように雷の中下山することだけは避けたい。

あれは本当に恐怖体験だった。

天気も不安だったけどそもそもモンテローザ小屋からデュフールシュピッツェまでの道のりも不安だった。
自分のカス体力で行けるのか。
いつも使うYamapなしに紙の地図とコンパスだけでデュフールまでの道のりが見つけられるのか。
真夜中の岩場や氷河でヘッドランプの明かりだけでルートファインディングできるのか。

クレヴァスだらけの氷河で一人で道が見つけられるのか。

メンヒで落ちた自分にデュフール頂上手前の岩場が超えられるのか。

あまりにも色々なことが不安過ぎて、この日は早めにベッドに入ったにもかかわらず殆ど寝られなかった。

ツェルマット(&サースフェー)山旅3日目。


この日、目的地のアラリンホルンの天気予報は終日晴れだったけどやっぱり山は早出早帰りだよなと思って始発に乗るべく7時前にホテルを出発した。


アラリンホルンの登山口であるミッテルアラリン駅に向かうゴンドラ駅は街の中心部からは少し離れていて、15分程歩いて駅からゴンドラに乗り込む。
同じゴンドラにはスキー板を担いだ中学生くらいの少年と大人が同乗していた。
最初親子かと思ったけど会話からするにコーチと生徒っぽい。

英語で会話してたけど少年の英語の方にはちょっとだけ訛りがあった。
少年の着ているダウンジャケットにはスポンサー(?)と思われる企業のロゴがいくつもついているのでスキーを競技としてやっている子で、夏に練習のためにコーチとここに滞在しているのかなと予想。

この年でスキーを競技としてやっていて外国人のコーチとも英語で会話できるのか。。。

かっこええ。。。

1㎜も運動の才能を持たずに生まれてきたので、若いうちからスポーツで活躍できる人達に対してすごい尊敬というか憧れの念がある。

 

スポーツでも音楽でも才能のある人が羨ましい。

私なんかなんもない。

小さいころはオベンキョウだけはちょっとだけ出来た。

でもそれも学校でちょっとだけ出来る方だったというだけで塾に行けば出来ないほうだったし、小→中→高→大と進むにつれてどんどん「出来ない」寄りになり、社会人になったらほんとに何にも得意なこと、人より出来ることというものがなくなってしまった。

いいなぁかっこいいなぁ、と少年のジャケットを眩しく眺めながら途中のフェルスキン駅でケーブルカーに乗り換える。見た目はケーブルカーだけど、世界最高所にある地下鉄らしい。


あっという間にミッテルアラリン到着。
ここでもブライトホルンと同じく、登山口への出口がわからなかったらどうしよう、という不安があったけど、駅の出口は一カ所のみだしアラリンホルンは見えているしで迷う心配はなさそうだった。

 

 

 

最初はスキー上のコースを進む。
途中で3股に分かれているけど両側はスキーコースっぽく足跡のついている真ん中を進んだ。


ブライトホルンは駅から登山口までほぼ平坦だったけどアラリンホルンはちょっと登りになっており、大したことない登りだけど早々にバテ気味になる。
先行き不安。


取りつきはブライトホルンのような明確な目印がある訳ではないけどトレースがあるのと天気が良ければ人がたくさんいるのでわかるはず。


この取りつきにいた人達のうち右のパーティはやけに重装備だな、と思ったけど、このパーティはアラリンホルンに登る前に右の方の岩山を先に登っていた。
アラリンホルンだけの場合は左のパーティのように軽装備が多い。

取りつきの上の雪庇?セラック?が結構発達していて、ちょっと怖いなぁと思いながらここでアイゼンをつけ、ピッケルをザックから外し手に持った。

片手ストック、片手ピッケルの状態。

 

ここも前日のブライトホルン同様、道は高速道路並みに踏み固められている。
右に落ちたら結構な距離を転がると思うけど死にはしないと思う。


この日のアラリンホルンで怖いなと思った箇所は発達したセラックを除けば2か所あり、1か所目はこのクレバスにかかるスノーブリッジ。


結構しっかりしてそうに思ったけど、両側のクレバスの深さにビビる。
このスノーブリッジの下がどうなっているんだろうと思うと怖い。


ここ、不思議だったのは、このスノーブリッジの2mくらい横にクレバスを挟んでトレースがあったこと。

 

上の写真の左上の方、クレバスの淵にトレースが見える。クレバスの反対側にも淵にトレースがある。
 

これは元々渡れるくらいの狭さだったものが時間の経過とともに渡れないくらい広がったんだろうか?

それとも元々この幅があり、だれか勇者がThe Summit of the Godsの映画の如くピッケルを振りかざしながら「フンっ」と飛び越えたんだろうか。

The Summit of the Godsのクレバス飛び越えシーン(0:45辺り)。
The Summit of the Gods | Official Trailer | Netflix

スノーブリッジを渡ったら後はひたすら高速道路を進む。


途中で道は分かれていて、取りつきにいた重装備パーティが右手に見える岩山を登っているのが見えた。

 


ここまでミレーのアミアミ+モンチュラの冬用マグリア+パタゴニアのR1フーディのみで快適に登ってきたけどここら辺でちょっと風が出てきて寒くなったのでマムートのハードシェルを羽織る(この後風がなくなってまた脱いだ)。


眺めは素晴らしいけど、なんかこの辺りからちょっと息がしづらいというか気持ちが悪くなってきた。


前日のブライトホルンで同じ症状になって気のせいかと思ってたけどここでも同じ症状が出るということは高山病的な何かなのだろうか。
でも高度は別にそこまでじゃないんだよな(この時点で3800mくらい)。

後同じくらいの高度だったメンヒでは全くそういう症状はなかった。
メンヒは岩峰をルートを迷いながらゆっくり登っていたので、感じなかっただけなんだろうか。

謎だ、と思いながらできるだけ休み休み登る。


道は怖い所は全くないんだけど、何か所か、トレースのすぐ脇に深い穴が開いていてややビビる。
うまく写真が撮れなかったけど、この下の写真の穴、入り口は大したことない大きさなんだけど、内部は広がっていて深さはたぶん人ひとり放り込めるくらいある。
これ踏み抜いたりしたら自力で這いあがれるんだろうか。


トレースを1㎜も踏み外さないことを決意しながらのろのろと登っていたら頂上直下のガレ場に到着。


ここは見た目大したことない、というか実際に大したことないガレ場なんだけどアイゼンをつけながら登ると結構バランスに苦労した。
後、右足首は相変わらずちょっとひねると「いって」と声が出るので右足をかばいながらのガレ場登りで苦労した。

よろよろになりにながら登ったら頂上の十字架はすぐ目の前。


十字架下にザックとピッケルをデポし順番待ちをする。


眺めは素晴らしい。。。どれが何の山なのかさっぱりだけど。


こんにちは山頂の十字架。


ヨーロッパの山動画ではよく山頂に十字架があるのを見るけど実際に見られたのは初めてで嬉しい。

 

 

しばらく山頂を満喫したかったけど後続が来ているので写真と動画を撮ったらすぐ退散。

 

ザックをデポした場所に誰かが置き忘れていったピッケルがあった。
だいぶ古いのかちょっと錆びている。


私が7月にメンヒでプチ滑落時に無くしたアイゼンもきっとこんな風になるんだろうな、と思ったら改めてアイゼンに申し訳なくちょっぴり悲しい気持ちになった。
アイゼン、ほんとごめんよ。。。

ガレ場は下りが結構怖かった。
アラリンホルンをやや舐めてヘルメットを持ってこなかったことをここで激しく後悔した。
ヘルメットをしている人の方が少なかったけど、個人的にはもしこれからアラリンホルンに登ろうと思う人がいればヘルメットは強く推奨したい。

ほんと、どうということもないガレ場なんだけど、やっぱりメンヒで米俵ローリングしたことがちょっとトラウマになっているかもしれない。


登りは結構へろへろだったけど下りは快適で景色を満喫しながら下った。


この辺りでソロ(この日のアラリンホルンでは私とこの人だけ)の登山者とすれ違ったんだけど、半袖半パン&靴はどう見ても冬山用ではない靴であった上に、アイゼンをつけていなくて、ちょっと目が飛び出そうになった。

登れないことはないと思うけど下りは怖そう。。。
でもまぁ、もしかしたら熟練の登山者かもしれないし私のようなへろへろチキンが口を出すことでもないな、と思いながらすれ違った。

帰りにクレバスを見学しに寄っているパーティもいたけど、チキンな私は往路を忠実に引き返した。

行きにトレース脇の深い穴を見ているので高速道路を少しも外れたくはない。

 

クレバスにかかるスノーブリッジが前方に見えてきてこれを渡り切ったらもう怖い所はない。


後はひたすら高速道路を下り登山終了。


アラリンホルンは「おばあちゃんが登れる4000m峰」と言われているらしいけど、実際登ってみての感想は

それどんなスーパーおばあちゃんやねん

というもの。
私は結構疲れた。

ブライトホルンよりも疲れた気がする。

日本人の人の記録で駅から山頂まで2時間と書いてあるのを見たけど私は3時間はかかった。
登山口に降りてきた時点で3時間40分。この後駅まで20分くらいで合計4時間10分の山行だった。


怖い所はクレバスにかかるスノーブリッジと山頂直下のガレ場くらいだったし技術的に難しい所は何もなくピッケルも使わない(歩いていれば着く)けど、このクレバスやトレース脇の深い穴が結構怖いので、もしかしたら一人で来るのはあんまり適さないかもしれない、と個人的には感じた。

下山後、ホテルで仮眠した後夕方に早めの夕食をとった。
前日、ホテルのレストランで応対してくれたスタッフさんが非常に感じよかったにも関わらずチップを置いてこなかったのをちょっと後悔していたので、この日彼女にまた会えないかなと思いつつ行ったら幸いまた彼女に対応してもらうことができた。

前菜にスープ。

メインに肉。
タンパク質よ、少しでも私の血肉となれデュフールに行くために、と願いながら食す。


食事しながら翌々日のデュフールシュピッツェの天気をチェック。
相変わらず午後から悪化の予報で、私のペースでは登頂は無理そうだな、という気持ちが大きくなる。

ちなみに昼にチェックしたwindyも予報は悪いままだった。


笑顔の素敵なスタッフさんに多めのチップを残して部屋に引き上げた。

ブライトホルンとアラリンホルンは無事登ることができた。
デュフールシュピッツェは果たしてどこまで登ることができるんだろうか、というかデュフール以前にモンテローザ小屋に無事たどり着けるんだろうか。

色々不安は尽きないけど、明日は取り合えずマーモットを見てからツェルマットに移動するだけなのでとりあえずゆっくり休もう、と思いつつお風呂に入って就寝。

ツェルマット山旅2日目。

午前中にブライトホルンを登りホテルで荷物をピックアップした後、サースフェー(ザースフェー?)に向かった。

 

前回の日記で「長い移動」と書いたけど、ツェルマットからサースフェーの移動は乗り換え1回、合計約2時間で行ける。

ただ午前中に軽めとは言え山に登った後15㎏の荷物をかついでの移動なので体感とても長く感じた。

 

まずツェルマットからStalden-Saasという駅まで鉄道で移動しそこからバスでサースフェーのバスターミナルを目指す。

このバスが結構山道を行く。

午前中のブライトホルンに登ったときにちょっと息がしづらいというか気持ち悪いな、という症状があったんだけど、山道を揺られている途中にだいぶ気持ち悪さが悪化した。

ザックの中から取り出したビニール袋を握りしめながらサースフェー到着。

 

ホテルまでは10分もかからないんだけど暑さのせいか気持ち悪さのせいかよれよれになりながら到着。

ホテルマーモット、という所に泊まったんだけど至る所にマーモットがあって可愛らしい所だった。

 

窓からの眺めは素晴らしい。

 

休憩してちょっとだけ外を歩いてみたけど、ツェルマットと比べてサースフェーは小さくまとまっていて人混みもなくて個人的には街としてはサースフェーの方が好きだった。

有名らしい高床式の倉庫。

 

鼠除けのためにこういう造りにしているらしい。

 

 

街が小さいせいかどこからでも山がよく見える。

あれはもしかして行きたいと思っているアラリンホルンかなぁと思いながら街を散策。

 

ツェルマットでは日本人をたくさん見た(恐らくこのポテト王国で半年に見たよりも多くの日本人を見たと思う)けどサースフェー滞在中は一人も見なかった。最終日にバスターミナルでガイドさんとお客かなと思われる4人組を見たのみ。

 

思っていたよりもだいぶ疲れていたのでホテルでちょっと仮眠した後、ホテルのレストランで早々に夕食を済ませることにした。

迷った末暑いから、と自分に言い訳しながら食前酒を頼む。

 

普段野菜は食べないんだけど暑かったせいか?このパンと一緒に出てきたミニトマトを一瞬で食す。

 

メインに選んだ謎のチャーハン。とりあえずタンパク質を摂取しようと思って上に載ってた鶏肉は頑張って2/3食べた。

が、チャーハンは全く完食できず半分くらい残してしまった。

「余ったらテイクアウトにできますよ」と言ってもらえたけど部屋に冷蔵庫がないので諦めた。

 

チャーハンを食しつつ、明日と明後日の計画について改めて考えた。

ほんとはサースフェーではアラリンホルンとヴァイスミースを登ろうと思っていた。

どちらかを翌日登り、残った方を翌々日登ってからツェルマットに移動、という計画。

 

ただ、今日ブライトホルンを登ってからのサースフェーへの移動が結構疲れたので、翌々日はもう移動日にした方が良い気がする。

そうでないと、本命のデュフールシュピッツェに差しさわりがある気がする。。。

 

サースフェーに来るのはこれが最初で最後の機会になるだろうから、どちらかを捨てる、というのは苦渋の決断ではある。

でも今回一番登りたいのはデュフールシュピッツェなので、そのために体調を万全にしておきたい。

デュフールに向けた出発点であるモンテローザ小屋までも結構かかる(コースタイムは4時間だけど恐らく私は4時間では着かない)し、モンテローザ小屋に出発する前にへろへろになるようなことはできるだけ避けたい。

 

で、どちらを登るか、という話だけど、色々事前に下調べした限りでは、ヴァイスミースの方がアラリンホルンよりもちょっとだけハードというか登りごたえはあるようだ。

「アラリンホルンで物足りないと思った人にはヴァイスミースがお薦め」なんていうyoutube動画もあった。

 

ブライトホルンが思った以上に単調、というと語弊があるけどシンプルなルートだったので、ちょっと登りごたえのある山は正直心惹かれる。

 

ただヴァイスミースに登るにはサースフェーからバスでサースグランドという駅まで一駅移動しなきゃいけないのがちょっと面倒くさいし、後、ヴァイスミースの山頂には十字架はないんだけどアラリンホルンの山頂には十字架がある。

山頂の十字架、今までまだヨーロッパで見たことがないのでちょっと見てみたい。

 

デュフールシュピッツェの山頂にも十字架はあるんだけど、山頂手前の岩雪ミックスのリッジを行けるかあまり自信はないのと、登る予定日である11日の天気予報がいまいち。

 

午後から天気悪化の予報、というのはメンヒのトラウマを思い出す。。。

 

午後2時には本来はモンテローザ小屋に帰ってきていなければならないんだけど、自分の場合はもし登頂するとしたら小屋に帰るにはもう少し時間がかかる気がするし、今後天気の悪化予報は早まるかもしれない。

自分の体力や天気予報を考えるとデュフールの登頂は難しいのではないかという気がするので、そうなったときに(十字架、見たかったな。。。)と後悔しないようにアラリンホルンで十字架見ておくのも良いかもしれない。

 

と悶々と考えた末に、翌日はアラリンホルンに登り、翌々日は登山はやめてマーモットでも見に行ってからツェルマットへ移動しよう、と決めた。

 

ツェルマット山旅2日目。
この日は朝ブライトホルンを通常ルートで登ってから下山、ツェルマットからサースフェーへの移動日。

この日のブライトホルンの天気予報は引き続き良さそう。


ただ一個だけ午後から天気悪化の予報があったので、早め出発早め下山を決意した。

事前計画のときにブライトホルンの登山口を調べるとklein matterhornと出てきたんだけど、そんな名前のゴンドラ駅は見つからずどうもmatterhorn glacier paradis=klein matterhornらしい、というのがわかった。

klein matterhornでグーグルに打ち込むと下のホームページがトップに出てくる。

Matterhorn Glacier Paradise | Peak in Zermatt

で、このHPでliftsという所をクリックして夏季の運行情報を調べるとZermatt-Trockener Steg-Materhorn Glacier Paradisの欄では始発は8時30分になっている。
だから始発は結構遅めなんだな、と思ってたんだけど、スイス国鉄アプリで時刻表を検索すると始発は7時6分と出てくる。

ようわからない。

でもとりあえず早いほうを試してみるか、と思いつつ6時半にホテルをチェックアウト(早朝チェックアウトが可能かは事前に確認した)して不要な荷物を預け、スイス国鉄アプリを信じて7時前に乗り場に向かった。


混んでるかと思いきや全く並ぶこともなく始発の結構でかめのケーブルカーみたいなのに乗り込み出発。

素晴らしい景色だ。。。


と思いつつ眺めていたら、車内で結構でかめのアメリカ英語の会話が聞こえてきた。
他の言語がほぼ全くわからないので消去法で英語が耳に入ってくる。

どうも声のデカいアメリカ兄ちゃん(といっても40らしいが)がドイツ人のおじさんに話しかけている様子。

ERのドクターでやっと1週間休みが取れてChatGPTに「夏にスノボするならどこがいい?」と訊いたらツェルマットをお薦めされたから来た、とのこと。

・・・ザ・アメリカ人って感じだ(偏見)

「スノボってヨーロッパであんまり見ないよね。でもアメリカではスキーよりスノボの方がクールなんだよ」

ヨーロッパでスノボがあんまりいないのは知ってる。

アメリカでスノボの方が「クール」なのは知らんかった。

 

ただまぁなんかアメリカ人はスノボのほうが好きそうだよね、とは思う(偏見)

と思いながら聞くともなく聞いてたらアメリカ兄ちゃんがいきなり、

「トランプの関税政策についてどう思う?」

・・・。

 

この景色の中で出てくる言葉が「トランプの関税政策」なのマジか


なんかこう、なんかもっと他に何かあるんじゃないか。
相手は見知らぬドイツ人、お互い休暇、大西洋を越えてやってきた初めてのツェルマット、周りは素晴らしい山々。
なんかこう、もっと他にさぁ。。。

兄ちゃんはトランプ支持派らしく、トランプの関税政策が如何に素晴らしいかを熱弁している。
(この景色でその話題まじか)、と思いながら聞いていたら、

「例えば日本なんかとても不公平な貿易政策を取っているんだよ」

突然の飛び火。

「アメリカは日本の物に対して貿易制限を設けていないのに彼らはアメリカのものを買わないようにしているんだ」

・・・ここにアジア人いるの見えてないか。

日本人だったら、とかは思わんか。
まぁ見えた上で気にしてないのかもしれないけど。

強制的にBGMに日米貿易問題の話を聞かされながらmatterhorn glacier paradis到着(1回乗り換えたが始発なのでアメリカ兄ちゃん+トランプの貿易政策議論も一緒だった)。

まぁ別にどうでもいいんだけど・・・

この景色見ながら初対面の人と話すことがトランプの関税政策なのマジか

もう1回言うけど。

たぶんもっと他にあったと思うよ、アメリカ兄ちゃん。。。

気を取り直してスタート。
ブライトホルンに行く駅の出口がわからなかったらどうしよう、と思っていたけど心配は無用で駅の出口は一カ所しかなかった。

しかも駅からブライトホルンもブライトホルン取りつきもほぼ見えている。

 

メンヒの時と違って駅からはほぼ平坦な道をちょっと歩いて左の方に取りつきがある。


このカラフルな看板がある辺りからロープをくぐって左に入った。


天気が良ければ大量の登山者とトレースがあると思うので迷うことはないと思う。
この日も大量の登山者がいた。


別にアイゼンつけなくてもよさそうな道に見えたけど、私は一応ここでアイゼンをつけた。
一応・・・一人なので。
隠れクレバスに転がり落ちたらアイゼンで蹴ってなんとか止まれるように、という気持ち程度の安全策(でも後日氷河を歩いて思ったけど止まるのはたぶん無理だ)。
ピッケルも一応ザックから外して肩とザックの間に挟んだ。

ここでアイゼンつけたりロープでつないでいるパーティが多かったけど、もう少し先でアイゼンつけているパーティもいた。

しばらくはほぼ平坦&緩やかな登り。

分岐があって、ここで休憩している人が多かった。
分岐はマッターホルンに行くための試験だというハーフトラバースルートというやつなのだろうか?
通常ルートはこの上の写真の斜面を左にトラバースしていく。

 

この日は高速道路並みの道がついていた。

ただ高速道路なんだけど、ちょっとした雪の段差に右足が乗って足首が動くとこの日も「いって」と声が出るくらいだったので、この後のアラリンホルンとデュフールシュピッツェへの不安はちょっぴり高まった。

前にもたくさんの人がいたし、振り返るとたくさんの人が登ってくるのが見えて人気のルートなんだなというのを実感する。


全く怖い所はないけどこの斜面のトラバース路の下にはクレバス的なものが口を開けていたので、万が一何かで左にすっ転ぶことがあればそのままクレバスに吸い込まれるリスクはあるのかもしれない。

 

ひたすら高速道路を左にトラバースし最後右に折り返して登る。

 

頂上的な所に到着。
特に標識などはなく、一番高い所が頂上。

 

 

 

頂上まで約2時間。
体力カスの鈍足+この日は一応デュフールシュピッツェに向けたトレーニングのつもりでハーネスやロープを詰め込んでたけどそれでも割と順調に頂上到達。

 

ブライトホルン通常ルート…なんて私のようなヘタレに優しい山なんだ。


眺めは素晴らしい。


今写真見返して気づいたけどもしかして下の写真中央右寄りにあるのはマッターホルンなんだろうか。


頂上の先には道が伸びていて、向こうの雪稜にトレースや人影が見える。
あれがハーフトラバースルートなんだろうか。


ハーフトラバースの手前にも下に降りる道がありそうに思えてちょっと行ってみたい気持ちにかられた。

でもチキンだし下調べしていない道を行くのもどうかと思ったので往路を引き返した。


降りるときもまだたくさんの人が登ってきていてすれ違った。


氷河のある山のように早く登らないと日中雪が緩んでリスクが高くなる、というようなところはなさそうに思ったけど、単純に暑いのでこの時期登るなら早出早降りが良いかもしれない。

ピッケルは出発時に背中とザックの間に挟んだまま。出すようなところは全くなく、ストックだけで行けた。

ヘルメットをしている人は体感1割弱くらい。

ハスキー3匹を連れたパーティも登っていた(3匹中2匹はカッコいい犬ゴーグルをつけていた)。

 

山行時間は約3時間20分。

ブライトホルン…お手軽に登れて最高の眺めが楽しめる山だった。

ただ、私はこの日「お手軽だ」という印象を持ったけど、それが正しいのかはわからない。

 

この翌日のアラリンホルンではクレバスにかかるスノーブリッジを渡り、デュフールシュピッツェへの道中では暗闇の中ヘッドランプの明かりだけでクレバスだらけで迷路のような氷河をさまよい歩いた。

 

これはクレバスの迷路みたいなモンテローザ氷河。

 

それに比べると危ないと感じる所はなかったけど、最初の方の写真に載せたようにクレバスはあるにはあるので、コンディションが悪ければ危険な時もあるのかもしれない。

 

そういう意味ではロープでつないでいるパーティは結構いたように思う。ガイドパーティが多かったからかもしれないけど。

下に降りてきたときにこれから登ろうとしているたぶんイタリア人っぽいカップルに「ストックだけで上まで行けた?」と聞かれた。このカップルはピッケルは持っていないように見えたけど、既にお互いをロープで確保済だった。

 

帰りは途中駅のTrockener Stegで降りてマッターホルンを眺めながらちょっと休憩。

 

「岩場100%」みたいな山は個人的には登りたいとは思わない(登れるとも思わない)けど見ている分には好きだ。

マッターホルンも大変恰好いいなと思う。アイガー北壁と同じ。

 

あの肩(?)の辺りにあるのがヘルンリ小屋なのかな。

なんかもう一つ小屋があったような気もするんだけどあんまりよく知らない。

あんなところによう小屋建てようと思ったな。。。人間すごい。

 

行きはケーブルカーを2台乗り継いだような気がしたんだけど、帰りは何故かゴンドラだった。

同じところから乗り降りしたはずなんだけど、どこかで何か間違っただろうか。。。

行きに乗車した駅とは違う駅に出た。

 

スイスのゴンドラやケーブルカー、登山鉄道は発達し過ぎてて私には把握できない。。。

 

この後宿に行き預けていた荷物をピックアップしてサースフェーに向けた長い移動が始まった。

 

 

宿への帰りに見た広告。山岳映画の広告かと思ったけどどうやらYoutubeで調べたところ劇っぽい。

舞台がすごい。

Zermatt Tourism meets #6: The Matterhorn Story - YouTube

 

劇のストーリーはわからないけど上のyoutubeインタビューで「ミシェル・クロ」という役の人が出てきてこの名前を調べたところ1865年のマッターホルン初登頂時のガイドさんの一人らしいので、初登頂にまつわるストーリーなんだろうな、と想像。

 

街着と変わらないように見える恰好で登ってた昔の人、ほんとにすごいと思う。。。人の好奇心というか探求心というか勇気というか山への愛、すごい。