リミッツ・オブ・コントロール(2009年 115分)
監督:ジム・ジャームッシュ
出演:イザック・ド・バンコレ、ティルダ・スウィントン、ジョン・ハート、ガエル・ガルシア・ベルナル、ビル・マーレイ
ストレンジャー・ザン・パラダイス、ダウン・バイ・ローで有名なジム・ジャームッシュのリミッツ・オブ・コントロール見た。
デッドマン+ゴーストドッグ+コーヒー&シガレッツみたいな映画だ。それぞれの良いところを上手くサンプリングして繋げたような印象。
いちいちロケーションがかっこよすぎるな。どこから見つけてくるんだ、こんなかっこいいロケーション。ロケーションがかっこいいからどんなシーンでもめちゃくちゃにかっこいい。
反復される台詞や行動からものすごくグルーヴィな印象を受けた。回数を重ねるごとに気持ちよくなる。「スペイン語を話せるか?」と何度も尋ねられるのは、過去作のデッドマンの「煙草持ってるか?」にも共通してる。このグルーヴ感はポールトーマスアンダーソンのインヒアレントヴァイスなんかを思い出した。
主人公の殺し屋が厳重な警備のターゲットのアジトを見つけるんだけど、侵入の過程は大胆にジャンプカットしてる。ここがまた最高で、ターゲットに「どうやって侵入したんだ?」と尋ねられた時に「想像力」と返答するのがめちゃくちゃクールだ。かっこよすぎてニヤついてた。
音楽監修が告白の時と同じくBorisなんだけど、これがまたかっこいい。最近よくBorisの音楽にブチ当たるな。ドローンみたいなことをやらせたらめちゃくちゃかっこいいな。
音楽の使われ方が、デッドマンのニールヤングのように即興めいてるんだけど、すべてが完璧にハマっている。デッドマンとの共通点が多い。
撮影は、恋する惑星、天使の涙、ブエノスアイレス、花様年華や2046といったウォン・カーウァイ組のクリストファー・ドイルが担当してる。適当の場所で画面を一時停止してもめちゃくちゃかっこいい。
出演陣の配役も渋い。主演にイザック・ド・バンコレを持ってくるあたり渋すぎる。他にもスノーピアサーにも出演してたティルダ・スウィントンとジョン・ハート(スノーピアサーでも死ぬほどかっこよかったけどジョン・ハート改めてめちゃくちゃかっこいいな)、台風クラブやミステリートレインでも出演してた工藤夕貴(なんか久しぶりにこの人見た)、やガエル・ガルシア・ベルナル、なんといってもビル・マーレイがめちゃくちゃ最高だった。おれが求めているビル・マーレイ像をこの映画の中で演じてる。最高かよ。
1時間半くらい基本的に何も起こらない映画なんだけど、その分クライマックスが最高というか、計算された抑揚で構成されてる。何も起こらない部分でもいちいち何かしらがクールでユーモラスなので飽きることはないだろう。
デッドマンの亜種といったタイプの映画で、個人的にはこっちのほうが断然好みだ。主人公がしゃべりすぎないのがいい。感性の小さい的を完璧に射抜いてくるような恐ろしい映画だった。
A-