告白(2010年 106分)

監督:中島哲也

出演:松たか子、木村佳乃、岡田将生、西村幸人、橋本愛

 

中島哲也の過去作は、下妻物語、嫌われ松子の一生、パコと魔法の絵本を見ていて、基本的にこの人の作家性みたいなものがあんまり好きじゃないなあなんて印象を持っていたけど、渇きを見るためのリハビリとして見た。

 

 

 

さっきも言ったけど、中島哲也はかなり苦手な監督で、その中でもそこそこ評価が高いこれなら好きになれるかななんて思って見てた。結論として、やっぱり苦手だわ、この人。

 

湊かなえの原作もものすごい前に読んでたからだいたい話の大筋みたいなものは頭に入った状態で見てた。

 

もう、映画始まってから中島哲也的演出がこれでもかってくらいブチ込まれてて、ちょっと見ていてしんどかった。別に特に物語に関係のないどうでもいいようなところでも、センスを見せつけたいか知らないけど、どうです、おしゃれでしょ、映像綺麗でしょ、みたいな余計なことしないでくれ。その毎度おなじみの演出が物語の推進力みたいなものをだいぶ削いでいる気がするんだ。いつも。

 

それと、いつもモブキャラに対しての愛がなさすぎるんだよ。上辺だけの感情の高まりを掠めとった象徴的な存在でしかない。今回は特にそれが酷くて、クラスのやつらなんてもうひどかった。なんじゃそりゃ。そもそもこんなに教師に関心もたねえって。人間的じゃないんだよな、登場人物全員が。

 

それと、音楽の使い方がマジで耳障りすぎる。追い詰められた少年Bのシーンなんかに渋谷系だとかCHARAみたいな音楽挟み込むんじゃねーよ。岩井俊二に憧れてんのか。無駄に軽快なSEとか鳴らされても面白くないから。ストーリーに引き込ませる気あんのか、目先の展開だけで演出つけてんじゃねーよといった感情を持った。

それでも、音楽監修は世界の音楽シーンでは超重要バンドBorisが担当しているだけあってか、ノイズ、ドローンっぽい音楽は最高にかっこいい。場面と合ってないけど。

 

思春期の行き場のない暴力性みたいなものというテーマでは、岩井俊二のリリィ・シュシュのすべてなんかを思い出したけど、こっちの方が作品テーマと作品に纏った雰囲気が一致しているし、変な演出もない。(それでも癖がすごい作品であることは間違いないけど)

 

唯一期待してた、松たか子の演技もそんな言うほどか?生徒の前では感情を隠して淡々と話すけど、ラストには少年Aに思いっきりぶつけなくちゃいけないのに、なんだか拍子抜けだ。

 

でも少年A演じた西村幸人はすごくよかったように思う。ふざけた演出だとか、ご都合主義的な脚本(これは原作にも問題あるのかもしれないけど)にも押しつぶされず、彼が持っている信念や弱さみたいなものを表現できていたように思う。

 

あと橋本愛ちゃんかわいい。

 

てか何気にクラスの生徒として、あまちゃんの能年玲奈だとか、トウキョウソナタの井之脇海がモブで出てるんだ。結構豪華だ。

 

それと木村佳乃のヒステリックな演技も、実際本人もこういうヒステリックな叫びとかあげそう感がビシビシ出ててナイスキャスティングだと思う。この人こういう役多いよな。

 

ラストシーンの建物の爆発も、爆発した瞬間の逆回しなんて陳腐すぎるんだよ。これ、2010年の映画だろ。ほんともうひどい。Borisの名曲、Pinkも流れるんだけど、場面と合ってねーし。

てかそもそもBorisはなんでこの映画のサントラを引き受けたんだ?一時期new albumとかいうポップ路線意識したアルバム作ってたから、バンドの売れたい時期と重なったんだろうか。

ちなみにBorisのnew albumはけっこうよかった。

 

レディオヘッドのラストフラワーズはかっこよかった。トムヨークもこんな映画に楽曲を使用されているとは思っていないだろう。no surpriseな彼もさすがに驚いたんじゃないか。

 

と、まあ結構辛辣な感想を持ったけど、西村幸人の演技、Borisの楽曲のかっこよさ(場面と合っているかは考慮しない)、レディオヘッドの間違い無さをわかっただけで見てよかったと思う。

 

渇きのリハビリのために見た、この映画だったけど、より中島哲也のことが嫌いになっただけだった。

 

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