2046(2004年 130分)

監督:ウォン・カーウァイ

出演:トニー・レオン、木村拓哉、コン・リー、フェイ・フォン、チャン・ツィイー、カリーナ・ラウ

 

この映画、タイトルがかっこいいしウォン・カーウァイが制作したってことで随分前から存在は知っていたんだけど、今回初めて見た。

 

 

出演陣がめちゃくちゃ豪華で、一時期の中国映画の人気も実力も兼ね備えたオールスターキャスト。なぜか日本代表として木村拓哉が出てる。

 

1960年代の香港、トニー・レオン演じる主人公が「2046」という近未来小説を書き進める中で、過去の女性の記憶が蘇り物語は動き出す。

 

まずね、冒頭の木村拓哉がかっこいい。やっぱりめっちゃキムタクなんだけど、それでもすんばらしいくらいにかっこいい。W主演と謳っているわりには登場時間は少なめ。

 

登場人物が全員良かったんだけど、トニー・レオン、彼はもう素晴らしい。ブエノスアイレス花様年華でも最高にかっこよかったように今作でも色気と哀愁が、見ている間僕が死んでしまうのではないかと思えるくらい噴出していた。ブエノスアイレス、花様年華に並んで全盛期で最高に男前なモンゴロイドを見ることができる。

 

チャン・ツィイーとコン・リーも素晴らしかった。チャン・ツィイーは最高に綺麗で、おいトニー・レオンもっと彼女にやさしくしてやれよや映画とかどうでもいいからこの二人が幸せになってくれだとか思いながら画面を眺めていた。

コン・リーも最高に美しくて、この世界をずっと眺めていたいとそれだけを願っていた。

 

前作に当たる花様年華との共通点も多くて、トニー・レオンが小説を書いている役だったり、ヒロインと同じ名前の女が登場したりだとか、気の穴に秘密を囁いて秘密を封じ込めるなど前作の延長線上の世界として進展していく。

 

冒頭のプラットフォームの描写だとかは、中国のネオンの毒々しい雰囲気はブレードランナーを思い出した。SFの枠組みで語られることが多いけれど、SF要素はそんなにたくさん登場しない。それでもちょっとテリーギリアムを思い出したり、大好きな映画の影響が散見されるのでニヤニヤしながら見ていた。

 

それでも、過去作品をなぞらえた集大成的映画という側面が大きくて、亡くなったレスリーチャンに対してのオマージュや、同じことの焼き増し感も否めない。ここまで豪華で脂の乗り切ったキャストを起用しているのに、過去作に囚われている印象も強く残った。

 

ブエノスアイレスではレスリーチャンがトニー・レオンの肩にもたれかかっていたのが印象的だった。花様年華ではマギー・チャンが。今作ではトニー・レオンがチャン・ツィイーの肩にもたれていたが、最後一人でタクシーに乗り込んだときには、トニー・レオンの隣には誰もいない。

そのことがあまりにも感傷的で、だけど素晴らしく美しく収められているから見ていてあまりにも悲しかった。

 

「悲劇で終わる恋でも構わなかった 物語の主人公は彼女だから」

 

「どうせ一生続く恋はないのだから一夜限りの恋に耽り続けた」

 

ウォン・カーウァイの中でも唯一の駄作として名高い今作だけど、自分はけっこう好きだった。悲しい夢を見た後の虚脱感みたいなものが映画全体を包んでいたけれど、美しく、それでいてあまりにも諦観したような映画だった。

 

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