手を振りほどいて。
自分からはどうせ振りほどけないなら、
どうかせめて、あなたからこの手を離して欲しい。

いつか終わる。
それがわかってるのに。

私自身が傷付くのを怖がって、
あなたを悪者にしたいが為に、

私から離せないの。
『当たり前の事なんかなにひとつないんだよ』

そうだった。
馬鹿みたいだ。
『明日』が絶対に訪れる、そんな脆い真実を信じてたなんて。

『君』のいない『明日』なんて。

こうも簡単に、唐突に、訪れるのに。
作り上げる時間よりも壊してしまう時間は一瞬。
あんなにも命を込めて、産み落としたものがいなくなってしまうのは一瞬。

その一瞬の為に息をしている。
待って、といくら声を嗄らしても
世界は待ってはくれやしない。
置いてけぼりを食らって独りぼっちになった僕は泣く。

待って、
置いてかないで、
連れてってと大声で泣くんだ。

そしてまた走る。
転んで何度も膝を擦りむいて、
顔もなんだかひどくぐちゃぐちゃで。

ひたすら走るんだ。

待って!
置いてかないで!
連れてって!
逃げ出したいのにここから動けない。
足が竦むんだ。
もし、この先に何もなかったら、
落ちるだけしかなかったら。

そう考えて足が震える。
人をきちんと愛せなくなっても、
それでも人間だと言ってもいいかい?
それでも生きてていいんだと言ってくれるかい?

誰も答えてくれないのは知っているから自分で答えを出す。

人間だ。
生きてていいんだ。

そう、自分を奮い立たせて今日を生きる。
意味のわからない言葉や感情ばかり溢れている。
でもそれは俺自身、何か足らないせいなんだろう。
いいのか悪いのかわからない、ごめん。
そう返せば君は不機嫌そうな顔でそっぽを向く。
俺はたまにその横顔をひどく愛しく思ったり、
殴りたい程に憎かったりする。

きっと世界はそんなものばかりで溢れているよ。
いつかそれを捨てる日がくるよ。
わかってる。

それら全てが汚くも、一番きれいで、一番必要だということを。
苦しい、苦しい。

息をするのがこんなにも苦しい。

あなたといるのがこんなにも苦しい。

ごめん、苦しい。
明日を願え。
生を願え。
死を願え。
誰かを願え。

そう誰かに言われても見向きも出来ない。
ただ、自分からそれを願った時、

それは祈りにも近い程、切実になる気がする。
嫌になるぐらい、平穏な日常を生きている。

天変地異や、無意味なトリップを願っても、

いくら待っても自分には降り掛かってこない。

なら自分で起こしてみようか。

なら自分で落ちてみようか。

そうして一歩、また一歩と、どこかに続く歩みを早める。