一瞬でもいい、伝えたい事なんてなにひとつない。ただただ君は目の前を歩くだけでいい。君の後を歩き、君に知られず歩みを止める。それが僕の希望です。微かに情けをかけてくるなら、僕が歩みを止めて倒れ込んで、息を止めるその瞬間。一秒だけ、振り向いて。
息をして。もういい。もういいよ。もうやめたっていい。あなたがもし、今そこで歩みを止めたいなら止めたっていい。止まったあなたの肩にぶつかる人もいるだろう。嫌な言葉を投げる人もいるだろう。けれどその後には気遣ってくれる人もいるはずだ。「大丈夫?」と肩を抱いてくれる人がいるはずだ。あなたがそこにいるならば。自分で息を殺さなければ。自分を消してしまわなければ。立ち止まっていい。しゃがみ込んでいい。泣き喚いてもいい。息をして。
心を閉ざす。言わなきゃ伝わらない。言えば叩かれる。怒る事は簡単だが、許す事は容易ではない。どうしたって矛盾を生むのなら、目を、耳を、口を閉ざせばいい。そうやって、心を隠す私さえあなたは指をさして笑うのかい?
明日も、僕らは生きていく。世の中、くだらない事ばかりで溢れてるね。好き、嫌い、馬鹿、死ね、あなたのため、頑張って、生きろ。何度も何度も繰り返すそれに、喜び、感動したり、泣き喚いたり。そんな毎日を忙しく生きている。そんな素晴らしい、くだらない毎日を生きている。明日も、僕らは生きていく。
二人で「良かった」と笑いたいここに生きてきて良かった。生まれて良かった。これからも生きていける。横に貴方はいないけれど、きっとこれから探しにいくよ。長くかかるかもしれない、それでもいい、そんな旅路がいい。いつかこの素晴らしい世界を。今は一人で眺めるこの世界を、二人並んで見てみたい。
温かい君に触れたい。都合のいい、そんな人間になんてなりたくない。そうは思ってみても、他人の目を気にする小さい人間で気が滅入る。何のしがらみもない、誰の束縛もない、そんな人間になれたら。もう一度、「触れたい」と思えるようになれるだろうか。
犠牲の上に成り立つ命。全ては犠牲の上に成り立っている。この命でさえ。こんな小さな自分でさえ。いくつもの頭蓋を踏み潰してきた。そしてこれからも。今日、命を終えて横たわったその頭蓋を。明日、この足で砕いていく。きれいな命なんて、この世にひとつさえ無い。だからこそ、砕いた命に誓う。「あんたの分まで、歩く」と。いつか誰かにこの頭蓋を踏まれるまで。生き続けると約束しよう。