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リハビリの為のタイピングブログ

■2020年に公開または再上映して劇場鑑賞した作品

33本 (再上映、特別上映作品を含む)

 

・バクラウ 地図から消された村 / 3.8

・燃ゆる女の肖像 / 未採点

・トータルリコール 4Kデジタルリマスター / 3.9

・劇場版「鬼滅の刃」無限列車編 / 3.6

・朝が来る / 3.7

・スパイの妻 / 3.7

・マーティン エデン/ 3.5

・ラストブラックマンインサンフランシスコ / 3.6

・異端の鳥 / 3.9

・TENET / 3.8

・アルプススタンドのはしの方 / 3.8

・フェアウェル / 4.3

・ようこそ映画音響の世界へ / 3.9

・ブックスマート / 3.7

・ストーリーオブマイライフ 私の若草物語 / 4.2

・WAR / 3.6

・地獄の黙示録 final cut / 4.1

・海辺の映画館 キネマの玉手箱 / 4.0

・ペインアンドグローリー / 4.0

・ディックロングはなぜ死んだのか? / 3.3

・ハニーランド 永遠の谷 / 3.5

・ミッドサマー / 4.1

・透明人間 / 3.7

・デッドドントダイ / 3.3

・WAVES / 3.4

・パラサイト / 4.3

・ジョジョラビット / 3.7

・音楽 / 3.1

・パブリック 図書館の奇跡 / 3.6

・スウィングキッズ / 3.9

・はちどり / 3.6

・カイリブルース / 3.6

 

・ヘレディタリー/継承 (4DX)

・パトレイバーthe movie (4DX)

・ガーディアンズオブギャラクシー (4DX)

・インセプション (IMAX)

・ダンケルク (IMAX)

・インターステラー (IMAX)

・AKIRA (IMAX)

・エレファントマン (4Kリマスター)

・真夏の夜のジャズ (4Kリマスター)

・サスペリア (4Kリマスター)

・転校生 (35mmフィルム上映)

 

・ありふれた事件

・時をかける少女

・遊星からの物体X

・ニューシネマパラダイス

・タワーリングインフェルノ

 

 

2020ランキング

フェアウェル / 4.3

ストーリーオブマイライフ 私の若草物語 / 4.2

ミッドサマー / 4.1

ペインアンドグローリー / 4.0

海辺の映画館 キネマの玉手箱 / 4.0

⑥アルプススタンドのはしの方

⑦バクラウ 地図から消された村

⑧異端の鳥

 

◆2020年映画鑑賞作品数(劇場、配信、DVD、Blu-ray)

304本

 

今年もハロプロ楽曲大賞、アイドル楽曲大賞の季節がやってきました。

今年はまさかの状況になってしまい、各事務所どこのアイドル業界も楽曲数自体がそもそもあまり無いような状態であったと思います。(ハロプロ以外チェックしてないけど)。
ハロプロ楽曲は片手間で収まるくらいしかリリースされてないし、アイドル楽曲の方はFAREWELL, MY L.U.V.とかKOTOとか本当にごく一部のモノしかチェックしておりませんのでハロプロ以外の所はちろんパスで。双方ともに素晴らしい音源でしたが。(特にKOTOの配信EPが非常に良かった!久々。)

投票に関しては、本当にまず楽曲が無くて選びようも無いかなーと思いながら候補曲リストを眺めていると意外や意外曲数は少ないものの、思い入れがあったり実際に曲として悪くなかったりするので案外楽しめていた事に気付きます。この地獄の様な2020年を振り返りながら、愛するハロー!プロジェクト楽曲を今年も完全なる独断と偏見にまみれたコメント付きで投票内容を全曲レビューしていきます。読んで頂けたら幸いです。

総評は一番下、個人的にはJuice=Juice宮本佳林の卒業に触れないわけにはいかないので、それらも下にあります!良かったらそちらもどうぞ。


<ハロプロ楽曲大賞2020>
http://www.esrp2.jp/hpma/2020/

■楽曲部門

◎1位 KOKORO & KARADA / モーニング娘。'20 (4.0)

作詞・作曲/つんく♂ 編曲/大久保薫
今年はモーニング娘。のつんく曲が1位に返り咲き。リリース前のライブで初めて聴いた時は凄すぎてあんぐりしてしまったこちらの1曲。どうなったらこうなるんだろう。つんくx大久保薫のアレンジメント(というか音作り)が食傷気味なのはもう言うまでも無いのですが、それでもこれまでのハロー!EDMとは一歩距離を置き、ストリングスと鍵盤を加えてEDMを基調としつつも現行のPOPSっぽくする事に成功していると思います(もう少しBPMを落としてもらった方が好みでしたが..)。J-POPの市場からすると先行し過ぎで2020年にはおそらく正当評価されないのでは。複雑にコード移行していく進行と、サビで敢えてビートをオンオフする事でフックを作る仕掛け。そこで高らかに歌われるファルセット、全編に散りばめられたピアノのアルペジオフレーズが非常に美しい。「時空を超え 宇宙を超え」の上位互換というか正当進化というか。明らかに新生モーニング娘。誕生の瞬間を感じます。「青春Night」の時には、あと一歩で新たな時代のターニングポイントとなる1曲になれたのにと思いましたが今回まさにそうなれるのではないでしょうか。パクリ疑惑()も飛び出し若干のケチが付いた感は否めませんが、それでも楽曲の本質とは関係なく文句なしの1位!点数も以下の曲と1.0差をつけました。素晴らしい!

○2位 Borderline / Juice=Juice (3.0)

作詞・作曲/星部ショウ  編曲/平田祥一郎
「ポップミュージック」のカップリング曲から。ライブで結構前から披露されており待望の音源化。MVは無く、2018年武道館公演で初披露新曲として1曲目に披露された時のテイクが一番かっこいいと思うのでこちらの動画を貼っておきます。アレンジメントは御大・平田祥一郎。安定の太い太いヒラショーダンスビートに乗っかるEasternYouth吉野寿氏のバリカタJCばりの硬質ギターカッティングにシビれまわる。「ここが人生のボーダーライン」「私 変われるはずでしょ?」「夢叶えた私のこと迎えにいこう」と明確なメッセージソングでもあり、本人たちが年イチの武道館公演のステージ上で歌う事で成立するメタ構造な歌詞でもあり、実際に本人たちが歌っている姿を見ると感動と説得力が増幅されます。何度でも勇気を貰えるし、アイドルが夢叶える姿(佳林ちゃんⒸ)を見る行為に何度でも感動出来ます。曲の良さとアイドル現場での機能性が最大級にマッチしてその良さが何乗にもなってる1曲。最高。

○3位 ビタミンME / BEYOOOOONDS (1.5)

作詞/児玉雨子 作曲/星部ショウ 編曲/板垣祐介
何位にするかかなり迷いましたが、2020年4月にこの曲にたくさんのハロオタが助けられた事実には間違いが無いと思うので3位に。コロナ禍が本格化して誰もがこれからどうなるんだろうと不安ななか突然投下されたこの曲。正直めちゃめちゃ元気出たし感動した。アイドルソングってやっぱりそうじゃなきゃなと思います。曲も、クライアントからのリクエスト全乗せ(でしょう、たぶん!)でも高水準にポップさせていく星部ショウの手腕が光りまくり。スゴいっす。寸劇アリ、ラップアリ(しゃくり込み!)、掛け合いアリ、ハジけるキャッチーなサビアリ、新人グループのフレッシュさもアリ、をガレージパンク調の8ビートに乗せて超絶爆裂ぶん回ししていくチアチーム・BEYOOOOONDSにただただ感動。Bメロのクラシカルなアルペジオで半音下降していくセクションも超good。この曲でライブで騒げる日が来ますように。

 

○4位 ミラー・ミラー / アンジュルム (1.0)

作詞/児玉雨子 作曲/Shusui, Anders Dannvik, Kalle Persson 編曲/平田祥一郎 
アンジュルムのシングルから1曲。今回投票するにあたって聴き直してみましたが渋い曲だなと改めて。低いメロでかなりどっしりと入っていくAメロ、上下少なくサラッと聴かせるサビ直後の"ダンスダンスダンス..."のリフレインにピークを持っていく構成でより身体が動いていく。平田祥一郎アレンジですがいつものビートよりも少し腰高なノリで重くなり過ぎない音像が印象的。ビートを構築していく音数自体がいつもの平田編曲よりも抑えられているのかな?という感じ。これもがっつりスタンディングでライブ観たい1曲。

 

○5位 好きって言ってよ / Juice=Juice (0.5)

作詞・作曲/山崎あおい 編曲/鈴木俊介

ハローでのソングライターとしても安定した結果を出し続けている山﨑あおい作。「ひとりで生きられそうって~」に続いて鈴木俊介とのタッグですが、この曲はファンクにブラッシュアップされ(Juiceは元々ファンク調や跳ねる曲との相性が良い事もあり)、前作よりも更に殺傷能力高く機能している1曲。相変わらずのメロディメーカーっぷりで、ABサビ、ブリッジだけにとどまらず何個メロぶっこんで来るんだとお得感満載(個人的には2Aが好き)。前作でもそうだったようにカラフルなメロってのはやっぱり求心力あるんだろうなと感じます。もちろん濃い味付けになっていくので飽きるのも早かったりする危険性もあるので(賞味期限激長の寺田曲なんて簡素なものでしょう)、その辺りのバランスは難しいとは思いますがこう、グループの入り口になるような曲を書ける人だよなあとそこは素直にすごいと感じます。ブリッジからラスサビにかけてブレイクが濃い口過ぎるのが気になりますが、基本的にはめちゃめちゃ好きです。


■MV部門
◎1位 KOKORO & KARADA / モーニング娘。'20 (3.0)

作詞・作曲/つんく 編曲/大久保薫
美しい!!曲が良い!!!1位です!!!!

○2位 ビタミンME / BEYOOOOONDS  (2.0)

作詞/児玉雨子 作曲/星部ショウ 編曲/板垣祐介

楽しい!!曲が良い!!!2位です!!!!


○3位 ポップミュージック / Juice=Juice (1.0)

作詞・作曲/KAN 編曲/炭竃智弘

可愛い!!曲も良い!!!3位です!!!!





■次点 (ハロプロ楽曲部門)
例年は惜しくも5位以内から漏れてしまった楽曲を挙げている感じですが、もうちょっと違う感じでいくつか紹介を。

 

◎ずっとずっと / カントリー・ガールズ

作詞・作曲/つんく♂ 編曲/大久保薫
カントリー・ガールズ最後のベストアルバムに提供されたつんく曲。パッと聴きモーニング娘の曲かなと思うのですがその辺りはどちらでもよくて、この曲はつんくらしいフォーキーなメロで歌い上げるサビが単純にグッとくる。編曲はEDMテイストなので一聴するとその素朴さに気付きにくくはあるのですが気付いてしまうとついつい口ずさんでしまう様な人懐っこく感動的なサビがとても良い。1サビ2サビとビートを付けずに我慢して我慢してラストどうすんのかなと思ったらまさかのソカビートになって笑う。そこまでセットでこの曲の良さで良いんじゃないでしょうか。


◎コンプレックスにサヨウナラ! / ミニーズ。?

作詞・作曲/中村千尋 編曲/CMJK

ひなフェス?で披露されたユニット曲。こちらは結構前の曲の様な気もしていましたが昨年末のプッチベスト収録なので今回ノミネートされていますね。音としては、あくまでキャラソン的なポジションからはみ出さずに(音楽に可愛さはいらないと思ってますが)いわゆる"かわいく"、仕上がっており良い。ユニット曲扱いという事ですが、単純に楽しいし曲も良いしルックスもかわいいユニットなので次点に選ばせていただきました。ミニーズ最高でしょ。


◎断捨離ISM / つばきファクトリー 

作詞・作曲/SHOCK EYE 編曲/草野将史

コロナ禍でもなんでも関係なくアニソン担当(勝手に呼んでいる)を突っ走るつばきファクトリーのシングル表題曲からこちら。イイっすね~タイトルからして「断捨離ISM」、クレジットを見れば「作詞作曲:SHOCK EYE」、字面を見ただけでもう咽せ返るほど中身なさそうな感じ(disです)!再生即"断捨離ISM...断捨離ISM...断捨離ISM..."のアホ丸出しリフレインに悶絶していると、高校生が初めて組んだオリジナルバンドが1曲目に作りそうな超即席脳トゥルーバイパスなフレーズのクソバカイントロがドヤ顔で登場。爆笑です(disです)。直後Bメロで顔を赤らめながら演奏する付点8分ディレイカッティングギターフレーズ(恥ずかしい!)。そしてサビで何故か長調に転調して突き抜ける夏のDQNみ!遠くで聴こえるピンチケ()コール!最高ですね(disです)!!でもこう不思議な事に何度か聞いていると、アホさを楽しむというか、何でこんな曲やってんだろう、てかそもそも何でこんな曲を発想出来たんだろう、と人間が作り上げる芸術観の根底と見つめ合える時間の様な気がして割と嫌いじゃない。次点に選んでるくらいなんだから。ライブで見て騒いだら楽しそう(脳トゥルーバイパス・コメント)。


◎青春の花 / こぶしファクトリー

作詞・作曲/星部ショウ 編曲/宮永治郎

こぶしファクトリーのラストシングルよりこちら。まだ普通に公演出来ていた今年の正月ハロコンで披露されており、非常にグッときた1曲。曲だけ見たら(星部作品なのでかも知れないですが)1stアルバムに収録されていそうなというか割と冒険しろの無い今までの"こぶしっぽい"曲です。が、解散を目の前に控えた彼女たちが輪になってハロコンで歌っている姿でそれは全て解決されてしまうから不思議。こういう曲が本当にアイドル楽曲の良さだよなあと思います。曲としてはものすごく普通だけど。研修生の頃から見ていたメンバーがこぶしファクトリーとしてデビューして、紆余曲折ありながらも完走まで無事に終えたグループですので、やっぱり思い入れ的にもね。お疲れ様でした。
 


■特別部門・勝手に寺田楽曲大賞'20

ハロプロへの楽曲提供の少なさから勝手に"寺田楽曲大賞'20"を行います。外部曲でつんく作品の良曲をいつくか。(今年はこちらも少なかったのですが...)今回は1曲で。他にもTask Have Funへの提供曲とかもありましたけど、う~んって感じだったので。

◎逆襲のYEAH! / つぼみ大革命

作詞・作曲/つんく 編曲/大久保薫

なにか詳しくはよく分からないですが"つぼみ大革命"という女性グループへ提供したこの曲が、今年のつんく♂曲では飛びぬけて良かったんじゃないでしょうか(reprize)。いわゆる"ハロプロっぽい"というか、中・後期ベリーズっぽい感じで。その時に書いてた曲のストックなんじゃないの?とさえ思うくらいに昔のつんくっぽい。こういう曲をまだ書けるのであればこれからのハローもかなり安心なのですが、その辺りどうなんでしょうね。こういう曲を若いハローのグループで聴きたかったですね、ほんとに。音源だけを聴いていたのでここに貼ったリンクで初めてMVを見てつぼみ大革命のルックスに絶句。曲が勿体ない。返してくれ頼む。




<総括>
ランキングは以上です。
ハロプロに関して総括すると、どうにもならない中アップフロントとしてもかなり模索しながらな感じはさすがにあったと思います。YouTubeに力入れざるを得なかったり。相変わらずのスピード感ではありましたが。ただ、楽曲とライブに関してはさすがというか悔しいかなある程度良いものを持ってくるよな~という感想。かなり健闘していたと思います!
いろんな意味で生命線であったライブ活動も、コロナ禍でどうやって維持をしていくのかという様な状況ではあったんですが...世の流れをガン無視してしてライブだけは続けた強引な舵切りにはかなりビックリでしたが。2回だけ参加したバラード縛りのハロコンも限界がある様に思うし(死ぬほどつまらなかった)、年明けのシャッフルユニット毎のハロコンにも食指が伸びないし、難しいよなあと思います。だが我が軍、ここで止まれないでしょう!接触イベントはもうかなり厳しいので来年も引き続いて踏ん張り時でしょうか。

こぶしの解散と共に来年あたりつばきも満期というか、終了かな~という気もします。下も詰まってますしね。売れないのに問題だらけな妙齢ユニットよりも強くてニューゲームな若い新グループの方がまだ可能性もね。研修生の親御さんへの意思表示としても必要だと思いますし。期待。

 

そして、今年も数名の卒業がありましたけどなんと言っても宮本佳林の卒業のことを個人的には書かざるを得ません。

卒業自体は2月くらい?に発表されたんだったと思います、確か。"あ~このタイミングなんだ...最後頑張ろうかなあ"とかそんなこと考えてるうちにコロナ禍になってしまい卒コン自体どうなるのかなと思っていましたがそこは宮本佳林、「ちゃんとライブで終わりたい」というオタク感涙の意思表明。幻かと思われた井上玲音がいる状態でのJuice=Juiceで卒コンを迎えました(欲を言えば佳林ちゃんいる状態で”プラトニック・プラネット”を音源化してほしかった)。チケットは当選していましたが、結局現場には行かずにライブビューイングでの鑑賞で参加。コロナももちろんですが、着席で動けない状態且つマスク着用でライブに行っても(頑張って前方買っても)、意味が無いなという判断です。それならば表情などもしっかり見られるライブビューイングでという感じです。肝心のライブは非常に素晴らしく、冒頭の「ひといき」「好きって~」「プラトニック~」で早々にブチ上がりもう泣きそうになり、セットリスト中盤の各メンバーと歌うゾーンにて「スクランブル」「ラストキッス」「香水」で大号泣、崩壊。そこからラストまでは「ポップミュージック」でさえも泣けて来てしまうくらいにダメになってしまいました(陽気なメロディがどっか切なくて)(それはそう)(KANはすごい)。何度も何度も心揺さぶられた。ラストの「泣いていいよ」に"え?"となったのだけが謎でしたが。。シンプルに"グループアイドルをしている佳林ちゃんをもっと見たかったなあ"と心底思った。僕のオタク青春時代はこれにて完全に完結。宮本佳林に出会えて本当に(オタク)人生に、己の感性に豊かさを与えてもらったなと感じています。佳林ちゃんを応援出来てよかったです。ありがとう、佳林ちゃん。お疲れ様。僕もオタク辞めます。


そして、去年の総括でも書きましたが引き続き見守っていた転売に関して。チケ流だけがなんのお咎めもなく生き残っていってるのが不気味というか、つながり的にそういうものなのかなとも思いますが。一部の転売ヤーはまだいるなあという感じ。オリンピックの閉会と共に時間が解決するのかなと思っていましたがオリンピックどころではなくなってしまった今それこそ予測不能。どうなるんだろう。もう関係ないので良いのですが....。オタクが最前で熱くなる文化は無くなってほしくないな。


と、総括なのかよく分からない感じになりましたが!それでもなんだかんだ今年も楽しませてもらえたと思っております!曲数が少なくても、現場に行かなくても、YouTubeでも普通に楽しめちゃうのがハロプロの良い所。一生ハロカス宣言!来年も!!大きな声でラブ!ハロプロ!

そして毎年言っていますが、(コピペです)楽曲についてあーだこーだ言い合えるイベントや機会があるのは素晴らしいと思います。アイドル楽曲は、曲、歌詞、パフォーマンス、ルックス、ストーリー、ファン自身の思い入れなど、楽曲以外の部分がいろいろと混ざり合って総合的な価値が決まっていくのがやっぱり最高に面白いんです。「どういうものを良曲というか」なんて人によりますので、これは本気で順位をつけるわけではなく、みんなで語り合うための順位つけだと思っています。来年もたくさんの良曲が聴けますように。




<参考>
昨年(2019年)の投票ブログ。

https://ameblo.jp/pippides/entry-12538231236.html

2018年の投票ブログ。

https://ameblo.jp/pippides/entry-12419027652.html

2017年の投票ブログ。

https://ameblo.jp/pippides/entry-12335784248.html

2016年の投票ブログ。

https://ameblo.jp/pippides/entry-12226957657.html

 

【ハロプロ楽曲大賞2019投票内容】
(楽曲部門)
1.もう一歩 / アンジュルム 
2.青春Night / モーニング娘。'19
3.元年バンジージャンプ / BEYOOOOONDS
4.いとしいとしと Say My Heart / アンジュルム
5.ニッポンノD・N・A! / BEYOOOOONDS


(MV部門)
1.青春Night / モーニング娘。'19
2.25歳永遠説 / Juice=Juice
3.One Summer Night~真夏の決心~ / カントリー・ガールズ


【アイドル楽曲大賞2019投票内容】

投票なし

■2020年12月に観た映画

19本 (劇場、配信、レンタル、見直した作品を含む)

 

ありふれた事件 (原題:C'EST ARRIVE PRES DE CHEZ VOU) - 3.5/5.0 (シネマスコーレ/2020.12.25)

監督:レミー・ベルヴォー。アンドレ・ボンゼル。ブノワ・ポールヴールド。1992年。シリアルキラーに密着したモキュメンタリー映画。シリアルキラーである主人公の一人語りをメインに終始、映像は進行していく。インタビューに無邪気に答え撮影クルーと談笑したかと思ったら次の瞬間に怒号を挙げ殺人を犯す、まさにサイコパスみが全開な主人公をブノワ・ポールヴールドが怪演。本当にこの人はこういう人なんじゃないかと思うほど素晴らしかった。撮影クルーも殺人を手伝わされ、巻き込まれていくが...。という内容。4Kリマスターされたという事でシネマスコーレでの上映があったので年内ラストで駆け込んだものの、疲れていたせいもあってか見事に爆睡。。無音とバカでかい銃声のダイナミクスにヤラれました。このままではと思い帰宅後にU-NEXTで再鑑賞(なんなんだ一体)、ちゃんと見とけばよかったなあと後悔。

 

・奇跡の海 (原題:BREAKING THE WAVES) - 3.4/5.0 (DVD/2020.12.24)

監督脚本:ラース・フォン・トリアー。1996年。相変わらずの"なんちゅう話だ"作品。フィルモグラフィ上で観るとかなり初期の作品ですが最新作にも通ずる(というか同じ)手法での魅せ方、撮り方がこの時点で既に見て取れます。手持ちで淡々と映し出される映像がリアルさとフィクショナルさの素晴らしいバランス。一目見たら"ラース・フォン・トリアーだ!"と分かる事が出来るのはさすが。これを最初期からやっているってのが面白い。お話自体は何とも後味の悪い内容ですが、その後に同監督作と比べると比較的ソフトな当り口か。しかしながら初期作だからか、映像の端から端まで研ぎ澄まされている感じは非常に強く緊張感ある画になっている。いきなり2時間40分あるのも、らしい。

 

上記6本のレビューを書き終えて更新ボタンでは無く右上そっ閉じをしてしまい絶望。書き直すやる気0に。ダイジェストで書き残しておきます。

・デスペラード (原題:Desperado) - 3.5/5.0 (U-NEXT/2020.12.22)

監督脚本:ロバート・ロドリゲス。1995年。

・バクラウ 地図から消された村 (原題:Bacurau) - 3.8/5.0 (ミッドランドスクエアシネマ2/2020.12.22)

監督脚本:ジュリアノ・ドネルス。クレベール・メンドンサ・フィリオ。2020年。

・ランボー (原題:First Blood) - 3.7/5.0 (Blu-ray/2020.12.20)

監督:テッド・コッチェフ。1982年。

・ブルータル ジャスティス (原題:Dragged Across Concrete) - 3.8/5.0 (DVD/2020.12.19)

監督:S・クレイグ・ザラー。2018年。日本公開2020年。

・グッド ボーイズ (原題:Good Boys) - 3.6/5.0 (Blu-ra/2020.12.18)

監督脚本:リー・アイゼンバーグ。ジーン・スタプニツキー。2019年。

・ファイナル デッドブリッジ (原題:FINAL DESTINATION 5) - 3.2/5.0 (U-NEXT/2020.12.18)

監督:スティーブン・クォーレ。2011年。
「ブルータルジャスティス」、噂のS・クレイグ・ザラー作品は非常に楽しめた。個人の趣味ともうちょいジャストな感じでしっくりくるのがありそうなのでそれ待ち。「バクウラ」も楽しめた。現代版「2000人の狂人」と言った感じか。前半冗長に感じたのでもっとスピード感高く狂気じみても良かったのでは。「ランボー」シリーズ、これから一気に見ます。「ファイナルデッドブリッジ」をもってファイナルデッドシリーズ完走。最後は微妙だったけれど普通に楽しめた良いシリーズ作品だった。「グッドボーイズ」良い作品だったけれどアメリカティーン青春ものは高い壁。キース・L・ウィリアムズくんのファンになった。「デスペラード」所々めちゃめちゃ笑える所があったけどそれだけだった。

 

・八つ (原題:Eight) - 3.1/5.0 (AmazonPrimeVideo/2020.12.17)

監督:ピーター・ブラックバーン。2016年。アトロクで三宅隆太監督が2020ベスト10に挙げており鑑賞。強迫性障害の主人公女性の朝の80分をワンカット、モキュメンタリータッチで仕上げた1作。"強迫性障害が~"という部分は少し置いておきますが、やはりせっかく映画を観ているのであればもう少し見どころ的な部分が欲しかったなあというのが本音。もちろん、強迫性障害の繰り返される行動や切実な思いや、ある種の達成を迎えるラストなど、お話としての起承転結もしっかりあったし(こう書いていると実はすごいんじゃないかって気がしてきた)、ワンカットで挑むコンセプトなどは良いと思いますが、楽しめる作品かと言われると特にそうではなかったかなという事でこちらの点数に着地。

 

・マタドール<闘牛士> 炎のレクイエム (原題:MATADOR) - 3.5/5.0 (U-NEXT/2020.12.17)

監督:ペドロ・アルモドバル。1986年。ペドロ・アルモドバル監督の初期作品を久しぶりに鑑賞。オープニングのシーンから今回も"節"全開で最高だな~と思いながら観てましたが、徐々にいつもよりも画の美しさが無い様な気がしてきて"あれ?"と思い始めると最後、音楽も何だか安っぽく感じ始め、所謂"2時間ドラマ"的な質感だこれはと気づいてしまい、イマイチ乗り切れなかった。終盤、日食でエスパー的な能力が使えるようになるのも何だからしくないし、ラストの感じも安っぽくてダメだった。最終的には全体的に"らしくない"作品という印象でした。話は別にいつも通りなんですけどね。初期作品だからか製作費なのか全体的に安い感じだった。

 

・燃ゆる女の肖像 (原題:Portrait de la jeune fille en feu) - 未/5.0 (伏見ミリオン座/2020.12.15)

監督脚本:セリーヌ・シアマ。2019年。日本公開2020年。各メディアにて大絶賛のこちら。個人的には間が多すぎてちょっと集中力が....と言い訳しておきます(寝ました!!)。所々、数分ずつ。それだけでも結構ついていけない感じで。どうしようという感じなのでもう一度行くか、配信などで観るか...という感じでまた書きます...

 

・最終絶叫計画 (原題:SCARY MOVIE) - 3.0/5.0 (U-NEXT/2020.12.14)

監督:キーネン・アイヴォリー・ウェイアンズ。2000年。こちらも90分で時間がちょうど良かったので鑑賞。たぶん昔に観たことあるなと思いながらも完走。一言で言えば、つまんない。数々の名作オマージュはあるが...だから何だろう?という感じ。この作品自体のオリジナリティというものを放棄し、オマージュシーンやエロシーン、ショートコントの連発の様な構成を終始見せられ憔悴。こういうやり方自体はかなり好きな方なのですが、いかんせんオリジナリティが無いし、話自体がどうしてもおもしろくない。これではどうにもならないよなーと。

 

・セガvs.任天堂 Console Wars (原題:Console Wars/cWars) - 3.5/5.0 (U-NEXT/2020.12.14)

監督:ブレイク・J・ハリス。ジョナ・トゥリス。2020年。U-NEXTオリジナル作品。特に何かでチェックしたわけでもなかったけれど、U-NEXT開いたらトップページにオリジナル作品として紹介されていたので、90分台で時間もちょうどあったため鑑賞。アメリカにおける、任天堂とそれを追随したセガとの闘いの時間を当事者のインタビューと共に映像化。尺的には2003年?くらいのプレイステーション登場で任天堂とセガが共に大敗する所までを作品にした。再現VTRならぬ再現8Bit映像が見ていて楽しかった。セガの中山社長ってはどうしようもないなと思った。

 

・アイズ ワイド シャット (原題:Eyes Wide Shut) - 3.6/5.0 (Blu-ray/2020.12.13)

監督:スタンリー・キューブリック。1999年。キューブリックの遺作かつ個人的にもだいぶキューブリック作品見て来たなという印象。まず書いておくと、約3時間の作品にしてはちょっとメッセージが薄すぎるなと感じた。もちろん楽しんで観られたことに間違いは無いが、私達が期待する所謂"キューブリックらしい"画もかなり控えめで、他作品から少し落ちる感はどうしても否めない。夢オチ?妄想オチ?なのかなという感じだが、(考察サイトによれば)結局言いたいことは"FUCK"という事らしいが、それにしてももうちょっとやりようがあった様にも思える。まあ、これを2時間の普通の映画にしたらもっと何も無いのかも知れませんが...。それでも約3時間興味の持続をなんとか持たせながら走り切れるのは計算された画面構成の成せる技かなとも思う。奇妙なプロットが並べられて見る側としては困惑しながら観ているわけですが、作中に出てくる登場人物たちも画面の中の物語に困惑しながら夢や妄想をしていたのかなと思うと何とか観客と作中のライド感が結びつけられて納得することも出来るが...どうなんでしょうか。

 

・エイリアン ディレクターズ カット (原題:Alien: The Director's Cut) - 3.9/5.0 (2020.12.12/U-NEXT)

監督:リドリー・スコット。1979年。「ブレードランナー」の前作。所謂「エイリアン」ってもっとエンタメ的に派手な作品なのかなと思って鑑賞したら良い意味で期待を裏切らた。全編に張り詰める緊張感。暴力描写も破壊描写も気合を感じられちょっとすごい出来。画面自体、2020年の今観ても色あせない内容(もちろんCGやカメラ技術の話ではなく)で痺れた。BGMも極端に無く、張り詰めた空気で画面を推進していくのが非常にかっこよかった。ただ、120分切っている作品で最初のエイリアンが出てくるまでが約半分の尺で、ちょっと長すぎないかなという印象。少しダレた、というか緊張感に疲れたのは否めないかなと感じる(しかもようやく登場する最初のエイリアンのビジュアルが正直微妙...)。後半のスリラー演出とSFの融合の畳みかけ演出は、後の映画作品に影響を与えたのは想像に容易い。「エイリアン」自体がもっとゾッとする様なビジュアルでもいいのかなーとかも思ったりした。クールにも関わらずエンタメとしてもしっかりと成立している素晴らしい作品。

 

・バクマン。 - 3.5/5.0 (U-NEXT/2020.12.11)

監督脚本:大根仁。2015年。むかつくなーと思いながらも見てしまっている大根仁作品。「サニー」が憤慨レベルの出来だったのでどうかなって感じでしたがこちらもまあ、同じような感じかなと。定期的に挟まれる、音楽と若干スロー(だったりする)映像やアクションで物語を進行させていこうとするのは大根作品の目印なんですかね?うーん、微妙。どう見たって退屈な映像なので毎回そこでダレる。せめてもっとスピード感だったり画に刺激が無いと成立しないでしょ。と思う(追述:ペンバトル的なシーンは合成ではなく実際にプロジェクションマッピングをしてその前で演者が動いた映像らしい。iPadの小さい画面ではわかりませんでした、すみません)。そして、漫画原作を2時間にしているので仕方ないかも知れないけど、未成年である主人公たちの親もいなかったり全てが上手くいきすぎていたりでその部分は物語的にもかなりイマイチだった。神木隆之介君の演技は若者やらせたらすごいいいし、役者陣は結構いい味だしてたんじゃないかなとは思います。

 

・インビジブル (原題:Hollow Man) - 3.6/5.0 (U-NEXT/2020.12.10)

監督:ポール・ヴァーホーヴェン。脚本:アンドリュー・W・マーロウ。2000年。直近の「トータルリコール」に続いてポール・ヴァーホーヴェン作品。結構面白く見れたし、透明人間を使ったトリック?や見せ方はさすがで面白かった。ホラーからのスリラー、アクション、そして最終的にはパニック映画になるという何ともてんこ盛りな映像で笑ってしまった。最後のあそこまで台無しにするほど振り切るから良いんだろうなーと感心。ただ、その全てを微妙な気持ちにさせるくらい今回のこの作品の全ての動機が"嫉妬"というのが何ともノリ切れなかった。もちろん嫉妬が原因で殺人事件も起こるんだろうとは思うが、これを映画で2時間見せられるのは結構つらかった。せっかく映画作品にするのであればもう少し凝ったというか、大それた理由があってもいいんじゃないかなーとは思う。(思えば今年公開の「透明人間」も嫉妬の話ではあったが。)(あれ?ジョン・カーペンターの「透明人間」も嫉妬の話?)(見てないから分からない、無知は恥ずかしい)(すぐ見ます)

 

 

・トータル リコール 4Kデジタルリマスター (原題:Total Recall) - 3.9/5.0 (ミッドランドシネマ2/2020.12.7)

監督:ポール・ヴァーホーヴェン。脚本:フィリップ・K・ディック。1990年公開作品の4Kデジタルリマスター版。ミッドランドスクエアシネマ2にて鑑賞。本編の話とはズレるがこの劇場は入った時に薄暗い長いエスカレーターを登り、見終わると徐々に明るくなる長い下りエスカレーターで外に出る、ライド感が非常にある劇場。こういった場所で今作の様なエンタメ作品を見るというのは非常に気分が良い。会場内はそれなりの人で、オッサンばかりかなと思いきや少しだけ若めな客層もあり何だか良かった。ツッコミどころは沢山あるし、なんココこうなったんだろう?とかは別に考える必要が無いよな~と思う作品。何も考えずにただただトンデモ映像と爆裂ストーリーを楽しめば良いという年末に観るには持ってこいの体験で大満足。ゲラゲラと(実際には無言)と笑って楽しめた。最高。名古屋市内に4Kスクリーンが無いのはいかがなものでしょうか。

 

・ミスター ロンリー (原題:MISTER LONELY) - 4.0/5.0 (U-NEXT/2020.12.1)

監督脚本:ハーモニー・コリン。2007年。ハーモニー・コリン作品初鑑賞。モノマネ芸人の苦悩とその人生の1ページを切り取った物語。まずとにかく映像と音楽の素晴らしさ。オープニングが特に顕著で、映像、音楽、ナレーション、セリフ、かなり完璧なんじゃないでしょうか。開始即いきなりただ事では無い感というか、主人公がどうしようもない孤独を抱えている事が痛いほどに伝わり、そしてそれは鑑賞している自分自身に共感と共に襲ってくる。誰もが抱える"自分は何者なのか"、"何者にもなれない自分に対しての煮え切らない想い"に対してこれからこの映画を見れば何かしらの返答(明確な"答え"では無く"返事"の様なもの)があるのかもと、何だか安心する様な、"楽しみ"とはまた違う、直接自分に語り掛けてくれている様な作品なんじゃないか、とそんな気分にさせられる。物語はモノマネ芸人の恋や人生と一緒に、尼僧たちの小編を挟みながら進んでいく。正直大きな答えの様なものは勿論ないしエンタメ的な大きな山場があるような作品ではない。が上記したような部分を儚くも淡くそれでも優しく、でもしっかりと辛く描き続けるこの作品に"自分だけではない"とそれでも寄り添われている様に感じる、そんな作品。

■2020年11月に観た映画

16本 (劇場、配信、レンタル、見直した作品を含む)

 

・ペパーミント キャンディー (原題:박하사탕) - 3.9/5.0 (U-NEXT/2020.11.30)

監督脚本:イ・チャンドン。1999年。02年の「オアシス」に続き鑑賞。作品の順番としてはこちらの方が古く、日本と韓国の共同制作で韓国の日本文化開放後初の作品。イ・チャンドン節盛り沢山で重厚な仕上がり。シンクロするオープニングとエンディングは、結末を先に見せて時系列的には戻っていく(時系を"辿っていく"という方が正しいか)構成は見ごたえ充分、インターバル的に主人公がオープニングで轢かれたであろう列車が戻っていく映像が挟まれるのだが、その映像を見ていると周りの風景(というか映像自体)が逆行して巻き戻しの映像だと気づいた瞬間の"シャレてんねえ~!!"はさすが。だが最後まで観て冷静になると話自体の面白さというか好み度は低いかなという気持ちに。素晴らしい構成、脚本、編集、演技にこの点数を。

 

・ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書 (現題:The Post) - 3.7/5.0 (Blu-ray/2020.11.29)

監督:スティーヴン・スピルバーグ。2018年。「レディプレイヤー1」と同年公開の真逆の1作。どうしたのと言うくらい正反対な作品を同時製作した事に驚きますが(しかも6か月で製作したらしい!)、完璧にスタイリッシュかつ、怒り狂った作品を叩きつけられて痺れた。【スピルバーグの作品で「最も短期間で完成」した作品となり、「この映画は私たちにとっての『ツイート』のようなものです」とも発言をしている。(Wikipediaより)】とあるように、本当にもうそのツイートそのままと言うかスピード感重視で、この超超巨匠クラスになってもなお、18年のアメリカで伝えないとならない事を、という熱を持って作ってきちんと公開出来るのがやはり凄まじいなと感じた。個人撮影の映画監督ではないし勿論そういう作品の質感でもないのが非常に見る側にとっても贅沢だよなあと思う。良い作品を観た。

 

・22ジャンプストリート (原題:22 Jump Street) - 3.6/5.0 (DVD/2020.11.28)

監督:フィル・ロード、クリストファー・ミラー。脚本:マイケル・バコール。2014年。「レゴムービー」「くもりときどきミートボール」「21ジャンプストリート」と全て字幕で鑑賞してきたので今回は吹替にて鑑賞。ギャグがあまり笑えないのは変わらず。意味は分かるし笑える場面なんだろうなというのは理解できるのですが根本的にズレてるのかあまり笑う事は無かった。ストーリー的には「21~」とほぼ同じ流れで、今年公開だった「ブックスマート」などアメリカ青春映画の新たな轍を作った事に間違いないよなあとは思う。しかしながら構成や脚本自体はしっかりと作り込まれており、基本的にはちゃんとしっかりと楽しめる作品。伏線や面白みみたいな部分もきちんと計算されて作ってあるので安心して観る事が出来る。中盤のドラッグ描写(もはや恒例?)は若干弱かったか。

 

・オアシス (原題:오아시스) - 3.8/5.0 (U-NEXT/2020.11.25)

監督脚本:イ・チャンドン。2002年。「バーニング劇場版」に続き同監督作を。脳性麻痺の車椅子の女性と軽度の知的障害者の男性の純愛物語的な。一応。話とか映像とか映画としてすごく良く出来ていたし、普通に感心しながら見れたし、単純に良かったのでもう少し点数高めにしてもいいのかなとは思ったがどうしても物語の展開に対して都合のいい所が多すぎで本格的にはノリ切れずこの点数に。まず基本的な馴れ初め?のアレでいいの?感もぬぐえず。障害の妹の恋人になったのが自分たちが事故をされた犯人だったり、とめちゃくちゃ歪んだプロットが面白くはあったが主人公のしてきたことのむちゃくちゃさに己の倫理観が勝ってしまった。ただ、どうしても乗り越えられない事に対してもがく様や、きっかけはどうであろうと人を愛するという事の超越できるパワーだったりとかは本当によく描かれていて、ある意味美しさを含む映画だとは思うので好きか嫌いかは置いておいてお話として、映画として、一度は見ても全然良いんじゃないかと思う。

 

・カジノ (原題:CASINO) - 3./75.0 (Blu-ray/2020.11.22)

監督脚本:マーティン・スコセッシ。1995年。先日の「ウルフ オブ ウォールストリート」に続きスコセッシ作品を。「グッドフェローズ」もそうですが、大筋はかなり似ており、ギャングとか今回で言うとカジノで儲けている悪い奴らに自分語りをさせつつも色々な事象をそのナレーション込みで魅せていく、というやり方。(それがいつ観ても結局面白いのですが。)短編的なエピソードの積み重ねで全体の物語を推進していくやり方は、各短編それぞれに違った魅力が無いと画面が持たないと思うのですが、それを何作もサラっとやり続けるスコセッシに脱帽。普通に面白いっす。上の「ウルフ~」や「グッドフェローズ」の様に爆発的に面白いシーンが個人的には無かったのでこの点数になってますが、やっぱり安心して楽しんで観られる作品。すごいぜ。

 

運び屋 (原題:The Mule) - 3.7/5.0 (Blu-ray/2020.11.21)

監督:クリント・イーストウッド。脚本:ニック・シェンク。2019年日本公開。イーストウッド主演監督作品。長い作品では無いがスーッと集中して観る事が出来た。実在の事件を元にしてはいるがおとぎ話的な"面白作り話(コメディとまでは言わないが)"な内容。ジョークや小さなセリフ一つ取っても全体的に非常に気が利いていてさすが。夫として、父親としてはまるでダメなベテラン花ディーラーであった主人公が余生と共に家族の信頼を取り戻そうと奮闘するが...という感じですが、基本的には能天気なのでいろんなものに巻き込まれ流され最後はやはりな展開。塀の中でデイリリーを育てるイーストウッドのラストカットには"またやるぞコイツは"と突っ込みを入れたくなるような味わい。最後までダメな男の物語でした。中盤あたりの、主人公を捜査する警官と朝のダイナーで会って会話するシーンがとても良かった。

 

・ファイナル デッドサーキット 3D (原題:The Final Destination4) - 3.5/5.0 (U-NEXT/2020.11.20)

監督:デヴィッド・R・エリス。脚本:エリック・ブレス。2009年。「ファイナルデスティネーション」の第4作。今回の監督は2のデヴィッド・R・エリス。基本的にはどれも面白いですが、123と段々と面白さが減っていった様に感じている身としてはこの4は、3で微妙に感じていた部分が工夫によって改善されて良かったと感じた。公開当時は3Dでの上映だったようで(その部分で表現の足かせというかもちろん劇場で見ればよい効果なんでしょうが)、そこに表現の縛りが出てくる様な気がしてどうなんだろうと思いながら2Dでの鑑賞でしたが、オープニングからかなり楽しく見らる事ができた。過去最高に都合よく死んでいったり、"えーこここんな簡単に済ませちゃうんだ"とか残念な部分はありましたがそれでも十分に面白かった。何より80分台と尺が短いのが最高。

 

・抱擁のかけら (原題:LOS ABRAZOS ROTOS) - 3.6/5.0 (U-NEXT/2020.11.18)

監督脚本:ペドロ・アルモドバル。2009年。相変わらずのアルモドバル節全開で楽しんで見る事が出来た。今回ももちろん画面の美しさは健在。それに付随して、様々な不道徳やダメなシーンが連発されていきます。不倫の監視ビデオを撮らせて読唇術で内容を読み解いていくくだりとか、よく有る事なのかも知れませんがそれをオヤジ(自分より3周りくらい若い女が本気なワケないだろ気持ち悪い)が嫉妬にまみれながら追及していくくだりとか、相変わらずの捻じれっぷりで安心。アルモドバル作品は、登場人物がだいたいダメで変やつばかりで最高。いつも楽しいのは個性的な変や奴らと、その捻じれて煮詰めて濃い口になりすぎた各行動。やっぱり映画は不道徳でなくちゃと改めて思う。それでもなんか最後は胸を打(ったり打たなかったり)つ。そして映画の中で映画を観る映画は最高。

 

・オペラ座 血の喝采 (原題:TERROR AT THE OPERA) - 3.6/5.0 (U-NEXT/2020.11.17)

監督脚本:ダリオ・アルジェント。1988年。「サスペリア」のダリオ・アルジェント作品。サスペリア以外の作品を観るのは初。奇妙かつも美しい映像美のホラーを期待していたが、まあ大筋はその通りですが期待とは僅かに違ったかなという感想。拷問の一種なのか、目の下に針を並べて目の前で猟奇殺人を見せつけ苦しめるという追い詰め方は監督の狂いっぷりが存分に楽しめる。スプラッター描写もばっちりでしっかりと破壊&出血を描いた。その他にも全編に渡り基本的にはきちんと丁寧に撮られており、美しい画面は興味を持って見進める事が出来る。がどうしてもお話的な求心力に欠けるのでイマイチな点数を付けざるを得なかった。ラストは妙なハッピーエンド感に包まれ終わるなんとも不思議な一作。ファンならば観ても良いのでは。

 

・ウルフ オブ ウォールストリート (原題:The Wolf of Wall Street) - 4.2/5.0 (Blu-ray/2020.11.15)

監督:マーティン・スコセッシ。脚本:テレンス・ウィンター。2014年。3時間弱の長尺作品でしたがダレずに完走。かなり面白かったと思います。主演のディカプリオもだらしないカラダが最高にハマってて、彼の軽率な雰囲気が物語をドライブさせていく様は非常に良かった。中盤のLEMONというドラッグをキメてどうにもならないくらいラリってしまうシーンがオチまで秀逸。作品全編に覆うダウナーな空気がディーラードラッグセックス映画とは反対の位置にありながらも加速していく構図も面白かった。オチのブラックさ、メッセージ性も含めて着地も素晴らしい見事な1作。

 

・アタック オブ ザ キラートマト (原題:ATTACK OF THE KILLER TOMATOES!) - 2.6/5.0 (U-NEXT/2020.11.14)

監督:ジョン・デ・ベロ。1978年。シネマスコーレのプログラムにて上映されており見に行くつもりがタイミングを見誤り見られなかったのでU-NEXTで鑑賞。カルト映画なのでそもそも...という部分もあるが、基本的には面白く、ない。というか面白いとか面白くないというそういう次元の楽しみ方ではないとも思う。トマトがもっと出てくるのかなーと思ったら出てこず。トマトに殺させる設定なら肝心のその部分くらいはきちんと描いてくれ!となった。謎に通販の様なクレジットが流れる箇所(しかも2回も)もどうリアクションしていいのか分からず。つまんない奴らが固まってふざけて盛り上がってる様な空気を感じてしまった。

 

・劇場版「鬼滅の刃」無限列車編 - 3.6/5.0 (109シネマズ名古屋/IMAX/2020.11.13)

原作:吾峠呼世晴。監督:外崎春雄。2020年。これだけ動員している作品をリアルタイムで観ておかない手はないだろうという事で一応、鑑賞。劇場版鑑賞に先立ってアニメ版(26話!)も完走。修行だった。言いたいことは山ほどありますが、とりあえずはアニメーションとしてしっかりと面白い画が展開されている事が非常に良かった。作画はufotable。アナログ的な線と生命力に滾る太い線にCGアニメーション的なものが混ざり合うオルタナティブな画面。そこにキャラクターたちの暑苦しいまでの熱演が乗っかって"意味はわからんがとにかくすごい自信だ!"ばりの説得力。ヒーロー。リーダー不在の今の時代に大多数の人間のよりどころになったのかなとは思う。ただ、ひとつ。死を美化する作風は子供も見る作品としてはいかがななものかなと。レイティングを上げるなり必要だったのではないかと思います。その辺りが、良かったとはいえ言っても"深夜アニメ"的な大枠からははみ出しきれなかった様に感じるしアンチ深夜アニメ的な思想のある自分にはちょっとなあと思う部分でもある。現状のレイティングで公開した事で大ヒットにつながり日本中のシネコンを救ったことは事実だし、またこの鬼滅ブームで初めて映画館を訪れたであろう人間を増やした功績は、デカい。泣けると言われている煉獄さんのシーンも、この150分?くらいで掘り下げ描写の甘いキャラクターにそこまで感情移入出来るのが、謎。

 

・ROMA - 3.6/5.0 (Netflix/2020.11.10)

監督脚本:アルフォンソ・キュアロン。2018年。話題の作品でしたがネットフリックス未加入のため見られずで"いつか見られたらな"くらいで思っていたらたまたま機会があったので鑑賞。全編モノクロで綴られる映像は美しく、画面を眺めているだけでも十分なほどしっかりと作り込まれた画面構成。物語自体に大きな山というか盛り上がりが欠ける内容であるためお話的なカタルシスはあまり感じられることが無く、(こちらの勝手な)イメージとは違いそこは何となく残念だった。

 

・ファイナル・デッドコースター (原題:Final Destination 3) - 3.3/5.0 (U-NEXT/2020.11.4)

監督脚本:ジェームズ・ウォン。2006年。ファイナルデスティネーションシリーズで唯一1の監督、ジェームズ・ウォンが監督をした作品。基本的には舞台装置が変わるだけで、"死亡予知→乗り物降車→死亡回避→死からは逃れられない→回避した人たちが次々死んでいく"という流れは同じ。というか同じ話。ですが、ここまで3作観てきましたが"死に方見本市"である「ファイナルデスティネーション」の死にっぷりシリーズを見進める毎に脆弱化しているなという印象。アイデアの枯渇と言えばそうなのかも知れませんが、傑作(?)だった1を作り上げたジェームズ・ウォンでもこうなってしまうのかと感じた。ただもちろん良かった所も。無人のトラックと事故して後頭部~脳天をグリングリンに切り刻まれるシーンや、日焼けマシーンで死ぬ2人の展開や、死体入りで燃え盛る2台並んだ日焼けマシーンが次の瞬間には葬儀での棺になったり。棺シーンは非常に映画的でそういうのをスッと盛り込んでくるあたりが素晴らしかった。(が、それが続けばね....というお話)まだ2の方が楽しめたかな。

 

・朝が来る - 3.7/5.0 (小牧コロナシネマワールド/2020.11.2)

監督脚本:河瀨直美。原作:辻村深月。2020年。予告編を見て少し気になってはいたものの劇場鑑賞を迷っていたら"2020年米アカデミー賞国際長編映画賞日本代表作品に選ばれた"という記事を見て劇場鑑賞してみる事に。不妊治療に悩み養子縁組を選択する夫婦とその養子の親である中学生の女の子、2つの視点で"子供を産む"という事をテーマに劇中人生を紡んでいく。双方に理由があり、双方に想いがあり、という事なのですが2つの視点をしっかりと丁寧に掘り下げているせいか何だか冗長に感じてしまった。話自体も別にそこまで悪くもないし、かと言って良くもないしという感じのどっちつかず感を感じずにはいられなかった。夫婦のシーンではきちんと遠近でのレンズボケの描写で非常に劇映画的な佇まいを見せる一方、中学生母の養子縁組施設などのモキュメンタリータッチなシーンでは主にパンフォーカスの画面でリアル感を追求する様に表現をした点は好感が持てた。いかんせん大風呂敷を広げたわりには話自体(のオチというか明快なラストも無く)微妙だった。まあ実話風の結局のところモキュメンタリードラマ作品なので仕方ない部分ではあるのですが。集中して最後まで観られたことに間違いはないが段々と尻すぼみな感じも否定はできない。あ、あと主題歌が悲惨でだいぶテンション下がった(ただの主題歌ならまだしも劇中の様々なシーンで登場人物に口ずさませて何とも。)。エンドロール最後の演出なんてちょっと不快感を覚えたレベル。

 

・天国にいちばん近い島- 2.8/5.0 (CS衛星劇場録画/2020.11.1)

監督:大林宣彦。脚本:剣持亘。1984年。ずっと後回しにしてきた作品を。タイミングがあったので(ジャケットとかタイトルからしてつまらなさそうじゃん...?)。えーっと、予想通り何とも言えない作品。原田知世・高柳良一という所謂「時かけ」コンビかつ、「時かけ」で原田知世がブレイクした後の作品なので当時これを見てがっかりした人も多かったのではないでしょうか。(84年の時世を2020年に語る人) ニューカレドニアの美しい海や森などが堪能できると言えばそうなのですが、それ以外に見どころは特になく...原田知世が良い感じくらいしか取り立てて語れる様な部分もなく。この作品の後にニューカレドニアに観光ブームが起こったらしいので何だかんだ言っても映画に力があった時代なのかなーとは思う。そもそもそういうスポンサー映画なのかなとも。大林宣彦信者の私ですが、これは大林作品で一番つまんなかったかも。

 

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■2020年10月に観た映画

25本 (劇場、配信、レンタル、見直した作品を含む)

 

・デッドコースター ファイナルデスティネーション2 (原題:Final Destination 2) - 3.4/5.0 (U-NEXT/2020.10.30)

監督:デヴィッド・R・エリス。2003年。「ファイナルデスティネーション」を観たのが7月で、続編があるのを知らずにずっと過ごしてきたのですがなんと5まであるということで嬉々として全てU-NEXTのウォッチリストへ入れ、まずは2のこちらから。気軽にけっこう楽しめるのでかなり重宝するタイプの作品。2も基本的には内容は一緒。死の直前に予知映像を見て回避するが、逃れられず...という内容。結構ゲラゲラ楽しんでいたのですが中盤から終盤手前にかけて1には無かったスピリチュアル風な描写が増えてわりとげんなり。終盤はしっかりと盛り返してもらえたので最終的には楽しんで終われたが若干点数を下げた着地。
 

・スパイの妻 - 3.7/5.0 (伏見ミリオン座/2020.10.30)

監督脚本:黒沢清。2020年。評判良いかつ元々予告編の時点で気になっていた事も含めどうしようかなと迷っていたところ、アトロクでの黒沢監督のインタビューを聴き興味が沸き鑑賞(伏見ミリオン座のポイントカード招待にて)。黒沢清作品は初めての鑑賞だったのですが、パっと観ただけで分かる描写の気の遣い方、工夫の凝らし方。適当にパッと撮っているシーンは無いのがすぐに分かるほど画面の丁寧さが印象的だった。番組内でも触れていたが、街並みをグーっと横移動で録る一連のシーンをはじめ、長回し且つ少し遠めの俯瞰カットで物語のきっかけになりそうなシーンを作っていくのが目立った。どれも非常に良く機能していて飽きさせる事なく画面の興味維持をしていくのが上手かった。役者も、高橋一生、蒼井優、東出昌大と普段あまり見ないようなタイプの俳優さんたちだったけれど演技も割と重厚で楽しむ事が出来た。肝心のお話部分が少し弱いのが気になってこの点数。

 

・ロシュフォールの恋人たち (原題:Les demoiselles de Rochefort) - 3.7/5.0 (U-NEXT/2020.10.27)

監督脚本:ジャック・ドゥミ。1966年。ミシェル・ルグランの没後1年/生誕88年特別記念で各地で上映されている事を知り、スコーレで見ようと思っていたがタイミングが合わずでU-NEXTで鑑賞。全編ミュージカルという事で正直ちょっと完走するのがしんどかった。冗長にも感じた。話自体に特に盛り上がりがなく、あくまでミュージカル部分や音楽部分で魅せていくやり方なので作品時間が引き伸ばされてしまうのかなという気がした。音楽は非常に良く、メインテーマ(タイトル分からず)のクラシックがかかると否が応でも胸に来る。画面の構築や構図もかなり凝っていて、フランス映画の色味とも相まってどのシーンを取り上げても洗練された美しい画面が繰り広げられていた。

 

・血の祝祭日 (原題:BLOOD FEAST) - 3.2/5.0 (U-NEXT/2020.10.24)

監督:ハーシェル・ゴードン・ルイス。1963年。「2000人の狂人(1964人)」でおなじみゴア描写の源祖ハーシェル・ゴードン・ルイス監督のデビューゴア映画。ゴア描写ガーと言っても57年前の作品なので正直物足りません。血の描写とか、そもそもゴア表現という形をとった事に意味があるわけで、その事実と画面内の感動とは必ずしも一致するという事も無いのですが、これが無ければ~という事でこの点数。お話としては特に面白くなく、映像としても特に面白くなく、特に面白くない作品でした。

 

・SUNNY 強い気持ち 強い愛 - 2.7/5.0 (AmazonPrimeVideo/2020.10.22)

監督脚本:大根仁。2018年。「サニー永遠の仲間たち(2011年)」の日本版リメイク作品。どういう経緯で作られたのかは分かりませんが、本当に一言感想を言うのであれば"どういう志で作ったんだ。"、これに尽きます。話の内容は9割同じにした状態でこれをどう見せたかったのかが全く理解できなかった。ほぼ同じ話で行くのであれば、配役がまず完全に間違っていると思うし、オリジナルと違う処理をされた残りの1割部分もハッキリと"改悪"と言われても仕方のない内容だ。全く良くなかったしこれで感動するとでも思っているのならば客を舐めすぎだ。ただ、こんな糞なリメイクでもある程度は見られるものに出来てしまうオリジナル版の出来の良さ、今回はそれを改めて確認できた。全く初見の日本人(のある程度の年齢の)観客であれば"なつかしいね~"なんて騙することが出来るのかも知れない(そもそもそれが一番の狙いだったとしたらもう何もいう事が無い)が、オリジナルの方を見ていて尚且つそれが好きな人間からすると"舐めてんのかコレは"と思わざるを得ないだろう。話が同じなのにこうもイラっとさせられるのはすごい。音楽も小室哲也を使ったのか何なのか知らんけど、邪魔。雑音すぎる(音楽の内容ではないですよ)。タイトルにもなっている「強い気持ち・強い愛」は名曲だし大好きな曲だが、あの場面、あの画面で鳴らされたのは心底イラっとした。映画にも、原作にも、音楽にも敬意の無い舐め腐った態度だな。と。もっと書きたいことはあるが時間の無駄なのでこれくらいにしとく。1.0でもいいくらいだが、話自体はほぼオリジナルのままなのでその加点。ひどい作品を観た。

 

・見知らぬ乗客 (原題:STRANGERS ON A TRAIN) - 3.9/5.0 (U-NEXT/2020.10.21)

監督脚本:アルフレッド・ヒッチコック。1951年。久しぶりにヒッチコック作品を。乗り込んだ列車で見知らぬ男に交換殺人を持ち掛けられ...というお話。結局のところ最後まで観て話の部分の感想としては"ふ~ん"くらいなものでしたが、何よりもヒッチコック独特のシーンの連発に驚かされまくった作品だった。テニスの試合中に観客がボールの行方を追う中こちらをジトっと見続ける男のシーンだったり、夫人絞殺中の視線、終盤の高速回転するメリーゴーランドでの挌闘だったり(とても69年前の表現とは思えない!)と印象的なシーンは挙げだしたらキリが無く、目の醒める様なショットの連発で否が応でも興味が持続され前のめりに鑑賞せざるを得ない。狂った男・ブルーノを演じるロバート・ウォーカーの佇まいや雰囲気も良く、静かに確実に狂っている男を見事に体現している。やっぱりヒッチコックの作品はどれも非常に勉強になる。そして大体2時間以内くらいなのも良い。

 

・マーティン エデン (原題:Martin Eden)-3.5/5.0 (伏見ミリオン座/2020.10.20)

監督:ピエトロ・マルチェッロ。長編デビュー作。2019年。日本公開2020年。ジャック・ロンドンの自伝的小説「マーティン・イーデン」を映画化。という事でしたが、めちゃくちゃ普通というかつまらない...お話でしたね。。中盤までは"へ~"くらいのテンションで見ていましたが基本的に映画的なドラマが特に無く(まあ自伝なので仕方ないのかもですが)、演技とかシークエンス、映像とかそういったものはそれなりに楽しんで観ていられるのですが決定的に何も起きずでストーリーとして面白くない。作家としての売れるのと並行して資本主義(個人主義?)の活動みたいなものもしていくことで何か展開があるのかと思いきやそれもなく、最後は入水という。そして129分。長い。ダレる。良かったのは主演と映像処理の感じくらいですかね。

 

・犯罪都市 (原題:범죄도시) - 3.9/5.0 (U-NEXT/2020.10.19)

監督脚本:カン・ユンソン。長編デビュー作。2017年。日本公開2018年。僕らのマ・ドンソク主演。力には力をといわんばかりのバイオレンスvsバイオレンス。ヤクザの抗争とそれを追う警察、なんでもかんでも暴力で片づけていく明瞭会計かつ単純明快な超娯楽作品。きちんとハラハラドキドキさせられてちゃんと最後は勧善懲悪で大団円!というエンタメ映画としてはばっちりではないでしょうか。「アウトレイジ」とかもこんな感じですがあちらはもっと入り組んでで小難しい感じですね。何よりも見どころなどはやっぱりマ・ドンソクの陸上選手の脚の様な腕!あれで殴られたらひとたまりも無いよな~と思うし、ちょっと無理めなシーンでも"ほらね!(マ・ドンソクなら)やってくれると思ったよ!"と単純にテンション上がる感じも最高。簡潔さばかり並べてますがちゃんと落とすところは落とすし、どうなるんだろうサスペンス的な盛り上がりもしっかり用意されていて完全受け身で楽しめる作品ではないでしょうか。

 

・ガタカ (原題:Gattaca) - 3.6/5.0 (Blu-ray/2020.10.18)

監督脚本:アンドリュー・ニコル。1997年。「トゥルーマンショー」のアンドリュー・ニコル監督デビュー作。所謂"感動エモぉ~SF"のはしり(らしい)。この手のジャンルで言うと「インターステラー」や「メッセージ」が思い出される。もちろんそれらよりも前の作品なのでこの作品には価値があるとも言える。心理描写やキャラクターバックボーンの掘り下げを中心に据えて演出を展開していく事で、SFにも心が動く場面を盛り込む事が出来るかとは思うが、例えば「インターステラー」の場合、あくまでSF性が先に来ており、付随してドラマ性が追いかけてくる様な作品からは"本当はSFをやりたいけれどドラマ的な部分も入れとかないと(またはそれを入れられて両立したグッとくる作品を作れる俺スゲーがやりたい)"という動機で描かれている様な気がして、矛盾点も生じるし、何だか取ってつけた様な雰囲気に感じてしまう事も多々ある。この「ガタカ」に関してもドラマ部分が先行している様に感じ、あくまでドラマのためのSFの様な存在感でそれはそれでどっちつかずな様な気も、する。映像の見せ方的にグッとくるポイントは多く好ましかったがお話としてはあんまり面白くなく、"ふ~ん"という感想の枠を出てこれなかった。ただこれが無かったら「インターステラー」や「メッセージ」も無かったかなと思うと、"感動エモぉ~SF"を生み出した功績は大きい。

 

・沖縄スパイ戦史 - 4.0/5.0 (日本映画専門チャンネル/録画/2020.10.18)

監督脚本:三上智恵。大矢英代。2018年。日本の戦争映画を見ていくとたどり着いた1945年の沖縄戦。この作品は、これまでの映画史でどこまで触れられているかは分からないがグッと内情に踏み込んだドキュメンタリーになっている。数々の当事者のインタビューと実際の映像を混じえて細かく丁寧に練られた構成は、非常に見やすく分かり易く作られている。内情を描くという部分が非常にクルものがあり、当事者たちの悲しみや怒り、やるせなさやどうにもならない仕方なさなどを浮き彫りにしている。"実際のところどうだったのか""戦争は何を生むのか"。大林宣彦監督の遺作「海辺の映画館~」もこういった部分を描いていきたかったのでは無いかなと見ながら考えた。終盤に2016年の沖縄市長選の映像が盛り込まれ、観ている私達は1945年から2020年へと一気に引っ張り戻される。そしてエンドロールと共にこれまでインタビューを受けてきた人々の"気持ち"の部分が露になる。こういった作りも反戦メッセージとして非常に有効的に感じる。映画を痛切に見ていると思っていても実際は75年前の出来事、想像を巡らせる事しか出来ない私たちに"自衛隊がいる事"とは、"戦争をするという事とは何かをリアリティを持って考えさせることが出来る秀逸なシーンだったと思う。ドキュメンタリー系は4.0を満点として考えているので実質満点。

 

・「野のなななのか」京都国際映画祭2020メイキング特別版 - 3.8/5.0 (京都国際映画祭2020/2020.10.16)

撮影・取材・企画: 大林千茱萸。編集協力: 三本木久城。編集: スターゲイト。大林監督とタッグを組み長年映画を製作してきた奥山和由氏がプロデューサーの1人として名を連ねる"京都国際映画祭2020"で大林監督の追悼の意味も込めて"今年は1つの部門を作ります"と宣言された中で「大林宣彦の玉手箱-ワンダーランドな空想映画館-」と銘打ち配信されたいくつかの作品群の中からオンラインにて鑑賞。この映像は(僕らにはおなじみの)実娘である大林千茱萸さんの企画の元、初めて世の中へと放出される貴重な映像だ。監督晩年の超エネルギー砲連発だった所謂"戦争三部作"の中でも過剰なテンションが迸り物語が形成されるこの1作を一体どの様に撮影していたかが1時間18分の映像で紐解かれる。演者を、カメラを、ちゃぶ台をクルクル回る台座に乗せて撮影したかと思えば廊下を歩くと開くドアなど"どうしてこういう画が浮かぶんだろう"と思わざるを得ないような演出撮影の連続を見る事が出来たのがまずは非常に嬉しかった。演者もスタッフもこれが一体どうなっているのか全くわからないまま、監督の頭の中では映像と音楽が明瞭に描かれているんだろうなと思われる様がとてもかっこよかった。映画を撮影する大林監督の動いている姿を見られるのは初めてだったので嬉しかった。今回の"京都国際映画祭2020"は「4月の魚」をはじめ見た事のなかった映像が目白押しなので残りも楽しみである。ネット上で高額転売されている長岡花火のメイキング映像も本当にありがたい。

 

・サニー 永遠の仲間たち (原題:써니) - 3.9/5.0 (U-NEXT/2020.10.16)

監督脚本:カン・ヒョンチョル。2011年。「スウィングキッズ」のカン・ヒョンチョル監督作。日本でも2018年にリメイクされておりそちらで名前は知っていた一作。評判良いと知りながらようやく鑑賞。とても良かった。大林宣彦や中島哲也の様な雰囲気を感じさせる。「告白」が2010年、その翌年なので影響の程は分からないが、映像からは中島哲也感をとても感じた。話自体は非常にベタでつっこみどころも満載だし、なんだこれって思う様な部分も都合良過ぎな部分も沢山ある。おまけにラストのエピソードの残念感もありますが(こう並べると欠点だらけだな)、個人的にはかなり良かった様に感じる。それは何かと考えたらまずは圧倒的に演者。そして、配役。こんなにもストーリーがすんなりと投影できる配役もないのではないでしょうか。どのキャラクターも"実在感"を感じられて良かった。主人公なので仕方が無いが、主人公とその相棒のデブの掘り下げが多く他のメンバーの掘り下げが甘い部分もあるが(こう並べると欠点だらけだな)、十分にサニーのメンバーに感情移入が出来てグワングワン揺さぶられた。泣いた。おまけにラストのボビーヘブ「sunny」で5億点。テンション的には4.0以上付けたいけど、いろいろ欠点も目に付いてこの点数。

 

・THX-1138 - 3.3/5.0 (U-NEXT/2020.10.14)

監督脚本:ジョージ・ルーカス。1971年。ジョージ・ルーカス監督デビュー作。以前「スターウォーズ」シリーズにチャレンジしてみて案の上ダメだった私ですが同監督の他作品はどうでしょうか。「ようこそ映画音響の世界へ」の中でこの作品を見かけてその映像に興味が出たので鑑賞。話自体は結構ナンセンス系というか(もちろんハードSFなんでしょうけど)ストーリーがあるようでないお話。"機械が人間を支配した超未来で脱出を図る人間"の様子を描いた。劇中に出てくる宇宙観やロボットの不気味な様などはとてもワクワクさせられた。人間たちはドラッグ漬けにされていて管理され労働させられているプロットなども容赦なくて良い。全編に渡り音がかなりエッジィに鳴り響いている印象で、不穏な感じからクライマックス付近のバイクの爆音など非常にクールでかっこよかった。ただ、いかんせん話が、無い。のでこの点数。

 

・ラストブラックマン イン サンフランシスコ (原題:The Last Black Man in San Francisco) - 3.6/5.0 (伏見ミリオン座/2020.10.13)

監督:ジョー・タルボット。2019年。日本公開2020年。「フェアウェル」に続いてA24作品の10月目玉。「(未見ですが)mid90s」とか「行き止まりの世界に生まれて」などで最近よく目にする"スケボーもの"(ではない)。とりあえず主人公はスケボーに乗っています。それが後半重要なアイテムにはなります。が、スケボーはそれくらいの存在感かも。基本的には、サンフランシスコの一部地域で起きているジェントリフィケーションを題材にした"奪われてしまった嘗て自分が住んでいた家"を取り返したいお話。映像的に計算されつくして撮影されているのがよく分かりどのシーンを見ても非常に映画的で豊かな映像がスクリーンに広がる。もちろん物語の舞台である"家"の造形やセットも美しく、全体の映像とセット、それだけでも目に良いし観てもいいのではないでしょうか。主人公ジミーが家に執着する理由が最終的には勘違いだったと分かる事を利用しながら差別やジェントリフィケーションを描いていくのですが、分かり易くは出来ているがそれが胸に響いたかと言われると非常に微妙な出来だったかなとも思う。言ってしまえば勘違いで不法侵入・占拠をする犯罪者とその相方(売れない劇作家)のバディものムービーなのでそもそもキャラクターが持っている素性があまり好ましくは無かった。「フェアウェル」で"やっぱり俺たちのA24だな!!!"と興奮しましたが"やっぱりA24ブランドでも当たりはずれが大きいな"にすぐなってしまった。当たり前なんだけど。

 

・異端の鳥 (原題:The Painted Bird) - 3.9/5.0 (伏見ミリオン座/2020.10.10)

監督:ヴァーツラフ・マルホウ。2020年。ホロコーストもの且つ169分の長尺モノクロ作品という事で"よし、"と一呼吸決心をつけてから鑑賞。観てみるとそこまで長尺感なく見る事ができ、まずはそれがすごいなと。もっとシリアスで重たい話かと思っていたが実際は、主人公の少年が成長と共にいろいろな所へ(自ら)たらい回しされ、各所で散々な目にあいながら自らも狂っていくが最後は自分を捨てた父親との再会を果たすというロードムービー的なものに。わりかしさらっとコミカルな表現だったりが挟み込まれて軽く笑えるシーンだったりもあり全然ハードル高くなく観られるなと感じる。物語の展開はミニシチュエーションものというかショートものの連続の様な感じでそれが見やすさに繋がっているか。約3時間かけてどっぷりと少年のキャラクターを描いていくので感情移入もしやすく、クライマックスにたどり着く頃には鑑賞している側にもしっかりと辿り着いた感がありライドもの(ライドしてないけど)としての機能まで果たしている。なにより感心するのは各所で描かれる比喩だったり映像を使った表現の豊かさ。タイトルにもなっている"The Painted Bird"がまさにこの映画の内容を象徴しているし、中盤の正に"その"シーンには考えさせられるものがある。映画的興奮度があるかと言われると微妙ではあるが一見の価値はおおいにある作品。

 

・悪魔の毒々ハイスクール (原題:CLASS OF NUKE'EM HIGH) - 2.9/5.0 (U-NEXT/2020.10.9)

監督:ロイド・カウフマン。1986年。時系列順で言うと、毒々モンスター1作目の後なのかな?ちょっと微妙な所ですが。とりあえずトロマ映画が出発した頃の初期作品。毒々シリーズという事で期待したが正直期待外れ。スプラッタ描写も極少かつ話もブレブレで面白くない(というか支離滅裂)し、これは一体どうしたかったのか?状態。脚本が5人くらいで作られているそうなのでこの結果なのか。終盤、モンスターが暴れまわるシーンも一番の見所が"触手で攻撃"で個人的にはテンションが上がらず。更にヤンキーの暴走シーンと混ぜながらなので余計にどう見せたいの感。はっきり言ってつまらなかった。ラストで学校を派手に爆発させての"イエーーーイ!!!"オチには笑ってしまって、見終わった後は謎の爽快感があったが内容はマジでつまんなかったw。原題がかっこいい。

 

・悪魔の毒々モンスター東京へ行く (原題:THE TOXIC AVENGER PART II) - 3.4/5.0 (U-NEXT/2020.10.8)

監督脚本:ロイド・カウフマン。1988年。1から4年後の2作目。安岡力也や関根勤などが出演して日本を舞台に製作。アメリカでのパートと日本でのパートと分けられているが話に特に一貫性はなく(一応繋がってはいるが)、前作に増して一層話の無さがブーストしまくってひたすらに"色んなおもしろ殺し方"を披露するだけの映像になっている。1と比べてしまうとスプラッター表現の安売りというか熱量みたいなものが散ってしまった印象で、面白い!!と感じてテンションが上がるようなシーンは特に無かった様に思う。安岡力也が殺されるシーンのサイコパス感が飛びぬけてすごくてそこは思わず笑ってしまったが。関根勤ももう少し意味のある役柄で出ているのかなと思ったらそうでもなくて残念。前作の方がまだ映画として体裁というかバランスが保ちつつも好き放題やっている感じが面白かっただけにちょっととっ散らかってしまった印象。彼女役の女がなんか更にイヤだった。

 

・借りぐらしのアリエッティ - 2.2/5.0 (TV地上波録画/2020.10.6)

監督:米林宏昌。脚本:宮崎駿、丹羽圭子。原作:メアリー・ノートン。「崖の上のポニョ」から2年後にあたる2010年。コクリコ前。米林宏昌初監督作品。非常に見どころがつかみにくい何とも言えない作品だった。正直いって一番ダメだったかも。「もののけ姫」や「ナウシカ」にはこう悔しさからか批判する気持ちが猛烈に沸き上がってきたけれどもコレには何もない。声優もコレジャナイ感がすごかった。何も言う気にもなれない。どうでもいいというか。そんな味のしない一作だった。セリフ回しやそのテンポなどに"うわジブリっぽい!"とテンション上がる瞬間がいくつかあったが、調べてみたら脚本が駿で"まあね~(田辺さんⒸ)"となった。雨で足を滑らせそうになり慌ててバランスを取るアリエッティ、小人を見失い地団駄踏むおばさん(そこに充てる樹木希林の演技が素晴らしかった)、この二つの描写はとてもリアリティがあって良いアニメーションだった。他の部分には本当に特に何も感じず。お話に至っては、小人をいじめようとするおばさんの策略がおじゃんになり悔しがるというスカッとジャパンみたいなクライマックスで絶句。どうしたかったのか結局最後まで分からず。

 

・フェアウェル (原題:The Farewell) - 4.3/5.0 (伏見ミリオン座/2020.10.6)

監督脚本:ルル・ワン。2019年。日本公開2020年。"俺たちのA24が帰ってきた!!"と声を大にして言いたいくらいの傑作だった。個人的にはA24作品の近作にあまりピンと来ていない作品もあったりでこれもどうかなーと思ってましたが、観たタイミングなのか何なのかもう刺さりまくり。後半はずっと落涙しっ放しでどうしよう状態。オークワフィナ演じる主人公・ビリーが画面に映るだけでもう泣けてきて泣けてきて。かなりの存在感を放っておりました。"ガンになった祖母にその告知をするかしないか"という字面だけ見ると"う~ん"と胸焼けしそうな内容だっただけに、でも画面に映っているのはそれだけなのにそれ以上のモノがビンビンに伝わってくる。個人とはなんなのか、命とはなんなのか、家族とは、国籍とは、文化とは、全てをひっくるめてなぎ倒しながら転がっていく物語はある意味ひとつの人生の教科書の様なもので。"じゃあ結局それはなんだったの?"と問われると"全部だよ!!!全部背負いこんで生きるんだよ!!"とついつい答えたくなるような、でもきっと明快な答えなんてないしそれでも良いのだろうと思えて且つしっかりと腑に落ちていくのがこの作品の凄みだったかなと。気になる部分は数点ありましたが全く問題なし。今、映画館でかかっているうちに、今!、見に行くべき作品だなと強く感じる。ネットフリックス等と競合した中、A24が配給権を勝ち取ったようですが、やはり映画は映画館で。ルル・ワン監督のその決断も心意気も買いまくりでしょう!素晴らしかった。今年暫定ベスト!!

 

・ホーホケキョ となりの山田くん (洋題:MY NEIGHBORS THE YAMADAS) - 3.8/5.0 (DVD/2020.10.5)

監督脚本:高畑勲。原作:いしい ひさいち。1999年。スタジオジブリが「もののけ姫」の次に放った長編アニメーション。まあコケるでしょう。監督が違うのでもちろんですが所謂ジブリのパブリックイメージからは遠く離れた今作。イコールそれは"宮崎駿"という事なので高畑監督な時点で全く別の方向性になるのは分かり切っているだろうという事で残念ながらウケる訳もなく。。。まずは画。いわゆる"ジブリさいこ~☆"の人たちから"手抜き"と言われるのは苦笑いで受け入れるしかないかなあとも感じる。もちろん後に「かぐや姫の物語」へと続いていく大いなる1歩なのですが。個人的には絶対支持ですね。時折、線がシャープになったりチーマーとやり合うシーンは何故か劇画タッチになったり。アニメーションの奥行がこれでもかという程に表現されておりシビれた。ただ、肝心の物語自体が4コマ漫画の連続というかショートの連なりでしか成り立っておらずでその部分で大幅に減点になっても仕方ないかなと思う。高畑監督の伝えたかったオリジナリティの部分は実はオープニングとエンディングに詰まっていると思っているので、その部分がほぼ満点に最高だったのでもうそれでいいのかなという感じ。そこだけ5.0点付けたいくらいですが、さすがに"映画"としては最終着地で3.8点。

 

・バーニング 劇場版 (原題:버닝) - 3.7/5.0 (Blu-ray/2020.10.4)

監督脚本:イ・チャンドン。2018年。3人の男女の奇妙な人間関係を描いた。終始山もなく谷も無く淡々と物語は進んでいくが、飽きる事もなくしっかりと見続ける事が出来た。しかしどこにも印象的なシーンが無く、なぜそんな状態でもこのクオリティが出せるんだろうと少し不思議に思う。3人が自宅の庭で大麻をキメ、女が裸になって踊るシーンは監督の悪趣味というか若干どうなんだろうという感じに嫌悪した。ラストまでシーンの静寂がすごく緊張感のある作品だった。最後は勘違いなのか殺人を侵してしまう主人公だが、それが良いのか悪いのかどうしたいのかもあまりよく分からなかった。でも何となく面白かった。すごいな。猫がかわいかった。

 

・フルメタル ジャケット (原題:Full Metal Jacket) - 4.0/5.0 (Blu-ray/2020.10.4)

監督脚本:スタンリー・キューブリック。1988年。キューブリック作品を。ざっくりと大きく2部構成になっている。前半はスーパーパワハラ教官と真剣に向き合った結果狂ってしまった1人の男を、後半は優しくも反戦主義でも大事な友人のために殺人を侵す男を描いた。そしてそれはどちらも"戦争"が狂わせた人生と、その異常さ。戦争なんてなければこんな事にはならなかったのに、戦争で人を撃ち殺してしまったから戦争が終わったあともその呪いは一生付きまとうとか、"戦争"がいかに異常で無残で悲痛で誰も救われないかという事が痛切に伝わる内容。それを説教臭くなく、あくまでキューブリック流のユーモアを混ぜながら、でも痛いほどに戦争の無意味さを伝える事に成功している。素晴らしい作品。

 

・メッセージ (原題:Arrival) - 3.9/5.0 (Blu-ray/2020.10.3)

監督:ドゥニ・ヴィルヌーヴ。2017年。超静かなSF。ピカーンドカーンは無い、代わりに言葉を使ったコミュニケーションで切々と訴えかけてくるそんな一作。"もしも絶望的な未来が来ると分かっていてもあなたはそれを選択する事が出来るか"と言う命題と常に戦いながら進行しつつも、実は"過去の話"だと思っていた話は"未来の話"だった、しかもそれが終盤ギリギリに明かされるという超絶展開で物語の意表の付き方や切迫感をグッとましていく演出が非常にクールでかっこよかった。異星人に何故英語が通じるんだろうとか、そもそもそんなホワイトボードで見える?とか気になる部分はあるがその編はご愛敬、という事で非常に映画的で面白い作品だった。これこそ映画でしか見られない作品だよなあと熱くなった。

 

・TENET - 3.8/5.0 (109シネマズ名古屋/IMAX/2020.10.2)

監督脚本:クリストファー・ノーラン。2020年。コロナ休業後の大作1作目という事で大きな期待と宣伝をもって公開。IMAXで鑑賞。"難解だ"という前情報を持って臨んだからか、そこまで難解とは思わず。意味が通じていない部分はノーラン脚本らしい部分というか誰が見ても意味が分かんないだろうとは思う。そもそも脚本g...。確かに入り組んでいて分かりにくい話ではあったが大筋きちんと見ていれば理解できるし充分に楽しめた。時間の流れを逆行している人間と順行している人間が入り組みながら進行していく映像が今回の肝。たしかにそこのシークエンスは非常に面白かった。主人公のキャラクター背景を敢えて深く描いていないせいで正直、感情移入がしにくくなんだかなあという感じだったし、、ロバート・パティンソン演じる相棒のニール?も個人的には何だかパッとせず。。時間の仕組みをタネ明かしする場面も分かった瞬間"あ~"と何だか苦笑いする感じで何とも言えない恥ずかしさみたいなものが襲った。逆走する車とのカーチェイスシーンはハラハラして良かった。「TENET」のタイトルが出てくる瞬間はノーラン作品で一番好きな感じですごく良かった。

 

・21ジャンプストリート (原題:21 Jump Street) - 3.8/5.0 (DVD/2020.10.1)

監督:フィル・ロード。クリストファー・ミラー。2012年。「くもりときどきミートボール」「レゴムービー」のコンビによる連続物の初作。アンバランス警官コンビのバディもの。とある高校の薬物捜査を行う。2人のアンバランスさゆえに面白さが浮き上がってきたり、絆になったり、とキャラクターがよく出来ていて終始物語を引っ張っていった印象。警察官として初逮捕に向けて奮闘する2人が一旦は仲たがいしてしまうものの(これにもキャラクター所以の理由がありよく出来ている)、最後は力を合わせ逮捕。合言葉の様に繰り返された警察の文言もクライマックスでの二人の暗唱に胸が熱くなる。バディものとして非常にスマートでバランス良く最後まで楽しんで観る事ができた。ただ、「くもりときどきミートボール」「レゴムービー」に続き、ギャグがあまり笑えなかったのが残念。吹き替えなら?と思い途中切り替えてみたけれどあまり印象変わらず。

■2020年9月に観た映画

27本、短編2本 (劇場、配信、レンタル、見直した作品を含む)

 

・悪魔の毒々モンスター (原題:THE TOXIC AVENGER) - 3.6/5.0 (U-NEXT/20209.29)

監督:ロイド・カウフマン。1984年。突如、U-NEXTに未公開作品を含む27本のトロマ製作映画が解禁された。アトロクでトロマ映画特集をやっていたのでそこから興味を持ち、ロイド・カウフマン作品を初鑑賞。B級スプラッターお色気コメディという触れ込みそのままに、プラスしてヒーロー要素をぶち込んだとんでもない代物。全部盛りで好き放題やっていた。スプラッター描写はなかなかのモノでかなり楽しめた。ストーリーもあるような無いような感じで終始特に何も考えずにスッと観られるのはものすごく魅力。モンスターヒーローが最終的に市長までブチ殺し大団円を迎えるが勧善懲悪が過ぎるというか"そもそもそれはもう善ではなくてお前も悪だろう"とつっこみを入れたくなってしまってもご愛嬌(そうなのか)。全然楽しめますけどね。様々なホラーやスプラッターなどのオマージュ描写も散見されて楽しかった。ラストシーンは「悪魔のいけにえ」か?

 

・砂の惑星 (原題:DUNE) - 3.5/5.0 (U-NEXT/2020.9.28)

監督脚本:デヴィッド・リンチ。1984年。"リメイクが年末に公開される"という情報を先に得ていて、調べて観ると"リンチなの?!"と知るという逆輸入パターンで鑑賞。"2時間越えのSF"という時間みただけで個人的にはお腹いっぱいなのですが、リンチならば...と歯を食いしばり再生ボタンを。うーん、よく分かりません笑。所々のシークエンスや描写、狂った設定、悪趣味行動など、リンチ節が出ていて思わず笑ってしまう部分が多々あったのですが、肝心のお話部分が分かるには分かるがスパッと分かり切らず、自分の読解力の無さに泣く。が、調べて観るとどうやらそもそも超長尺の予定のモノを2時間にした上に、ファイナルカットの権利をリンチが持っておらず第三者が編集をしたという事でそりゃわけわかんないわと。それでも最後まで飽きずに見れるのは監督のパワーでしょう。わりと好きではある。(エレファントマンとかよりも好き) 

 

・メメント (原題:Memento) - 3.7/5.0 (Blu-ray/2020.9.26)

監督脚本:クリストファー・ノーラン。2000年。ノーラン監督長編デビュー作。"数分前の記憶が無くなってしまう妻を殺された男の復讐の話"、そして結末からさかのぼっていく様に進行していくストーリー、カラー部が逆行、モノクロ部が順行、というプロットは非常に面白くデビュー作からノーランカラーというのは出まくっていたんだなと再確認させられる。が、やはりいかんせんどうしても肝心の話が面白くない。種明かし部分や、どうやって勘違いしたのか、とか、なぜ妄想だったのか、あたりのネタがいざ明かされても"へ~そうなんだ"とか"え、普通にそれっておかしくない?何で?"みたいな感想しか出てこない。珍妙なプロットを思いつき映画にしていくだけで勿論価値があるのだろうとは思いますが、"こんな面白いの思いついたぞ!!"だけではやはりどうにもならないのだなという感じ。すごい純粋なんだろうけど、何だか逆に厨二というか子供じみて感じてしまった。モノクロがカラーになり物語が繋がっていく瞬間のカタルシスはとてもあった。テネット楽しみ。

 

・第七の封印 (原題:DET SJUNDE INSEGLET) - 3.6/5.0 (DVD/2020.9.22)

監督脚本:イングマール・ベルイマン。1956年。「叫びとささやき」ぶりのベルイマン作品鑑賞。視聴環境のせいなのかイマイチ集中出来なかったせいなのか、主だったいくつかのテーマである"死"、"信仰"、"疫病"、"夫婦"、"赤ん坊"、などの"モノ"はシッカリと分かったのだがそれ自体しか入って来ず、それを使ってどういう事を伝えたかったのかがよく汲み取れなかった。死が平等だったり、中世ヨーロッパの十字軍の信仰に纏わる事柄だったり、赤ちゃんは希望だったり、楽天的な夫婦が最後は助かったり。画の強さもイマイチ分からず。前に観たのはカラー作品だったのでその色彩感覚に撃ち抜かれたものですが、今回はモノクロの陰影を生かした色味はクールでかっこよかったが、画的な良さみたいなものは身を潜めている様にも感じた。やはり映画にはある程度の非現実性を求めているのかも知れない("死"を擬人化してる時点で十分に非現実的なのだが...)

 

 

・ようこそ映画音響の世界へ (原題:Making Waves: The Art of Cinematic Sound) - 3.9/5.0 (伏見ミリオン座/2020.9.18)

監督:ミッジ・コスティン。2019年。日本公開2020年。関東では2週ほど前から上映されておりましたがようやく名古屋へも上陸したので初日に鑑賞。映画の起源から、無声映画、トーキー、ドルビーサウンド、CGアニメーションでの音響と、映画の歴史を名作の実際のシーンを切り取り作った人たちのインタビューを共にたどっていく。締めの章として、"サウンド構築の目視化"とも取れる"画面の中にどれだけの情報の音が入っているか"を細かく説明。時系列順に映画音響がどういう道筋をたどってここまで来たのかがよく分かる良い内容だった。ただかなりサラっと表面的に各セクション扱っていくので、見易い事には変わりはないのですが、もっと掘り下げて欲しいなあと思う部分が無くはなかった。タイトル通り、映画音響の世界へ案内する作品という意味では楽しめる非常によく出来たドキュメンタリーだった。(ドキュメンタリーは最高で4.0くらいかなと思うのでかなり満足しています)

 

・漂流教室 - 3.5/5.0 (YouTube/2020.9.18)

監督:大林宣彦。1987年。楳図かずおの同名名作漫画を映画化。マジで一言、"どうしてこうなった!!"原作漫画のファンなので大林監督がどの様にこの怪作を表現するのかなと思いながら観てみましたが、全く違う解釈の話になっていて驚く。サラっと観ると結構つまんなくて"これは..."という感じだがきちんとしっかりと見てみると監督の遊び心やユーモアが炸裂しまくっておりやっぱりどうあがいても溢れ出す作家性を隠し切れないよなと思う。ただ、話自体は自分の好きな「漂流教室」から大きく逸れており、"子供を扱う事"をしっかりと希望ある作品に仕上げたかったのかなと擁護するしかない感じにはなっている。もちろん監督の大ファンなので言いたいことは理解できるし監督の茶目っ気でこうなったのは非常に良く分かるのでこの点数にした。楳図かずお先生は大激怒だった様ですが...(そりゃそうだ)。

 

・アンストッパブル (原題:Unstoppable) - 3.6/5.0 (U-NEXT/2020.9.17)

監督:トニー・スコット。2010年。「乗り物パニック映画」特集で三宅隆太監督が推薦しており鑑賞。うっかりミスで発車してしまった無人列車(自動ブレーキ無し)が暴走列車と化す。線路の先には大きな街がありこのままだと大被害が...という内容。列車暴走→停めようとする→ミスる→脱線危機を乗り越える→街の直前で停める。という非常にシンプルな内容。主に活躍する男2人は最初は少し仲悪く、列車の中で話していくうちに理解し合い最終的には危機を乗り越えるバディとなるのですが、なかなかそこの描き方がどうにも不十分な様な気がしてちょっと。映像的にもピンチを乗り越えていく所にもハラハラはあり、そういう部分はわりと楽しめたので良かったが人の距離の詰まり方が若干残念でした。気楽に見れて90分台ですごく良いとは思う。

 

・来る - 3.4/5.0 (Amazon Primvideo/2020.9.17)

監督:中島哲也。脚本:澤村伊智。2018年。中島哲也監督作品は「告白」「渇き。」に続いて鑑賞。「告白」は非常に良く出来ていて作家性も高く、結構好きな1作だっただけにその直後の「渇き。」をちょっと残念に思い期待値若干下がりながら今作。まあ雑に言えば"日本版()哭声"と言った感じでしょうか。おそらく中島監督のフィルモグラフィーは2010年の「告白」から違った方向性に舵を切って作家性を爆裂させていったとは思うのですが、良くも悪くもそれの延長線上にある表現が多く、どのシーンを見ても"あ、告白で見たことある!"的な画面。嫌いではないのですが、こうやって他の作品であの表現を観るとあの作品が如何にバランス良く奇跡的に仕上がっていたかがよく分かる。ラストのお祓いバトルシップ展開などがもう「哭声」丸出しで苦笑いという感じなんですが、壁から大量の血が流れてくるシーンが「死霊のはらわた」だったり、その他にも名作ホラーのエッセンスちょい足しみたいなシーンが多く微笑ましく見れた。ラストのむちゃくちゃなファンタジーになっていく流れはそこまで嫌じゃない。前半の妻夫木君が真っ二つになるところがピークか。

 

・ボルベール<帰郷> (原題:VOLVER) - 3.5/5.0 (U-NEXT/2020.9.16)

監督脚本:ペドロ・アルモドバル。2006年。ペネロペ・クルス主演。アルモドバル作品はこれで何作品か見ていてどれも全部味濃い目スーパー独特な世界観で大好きな作家だが、これは若干弱かったか。ラストの種明かし自体は相変わらずのキモ話でしたが、ポピュラリティを意識したのか全編に渡りわりと普通な画面とお話展開が続いた。ペネロペクルスは早くも母親役で、これまた微妙であまり綺麗に映っておらず残念だった。いまいちノリ切れず。ちょくちょく出てくる"歌唱"シーンは、この作品でも情感たっぷりで結構良かった。スペインの熱風を感じる。"母と娘の秘密と愛憎"的なテーマできちんとアルモドバル的な解釈で描かれており勿論さすがではあるが、個人的にはやっぱりホモとかオカマとかが出て来てもっとラリってむちゃくちゃに気持ち悪い話にして欲しいなとも少し思った。

 

・(500)日のサマー (原題:(500) DAYS OF SUMMER) - 3.8/5.0 (U-NEXT/2020.9.15)

監督:マーク・ウェブ。2009年。各所で良いと書かれていたので見るつもりではいたがジャケットからして"あっ...(察"という感じなので敬遠していましたがようやく。とても分かり易く丁寧に作られていて画面もキレイだしシークエンスにも気を遣っていて、わりと観る人を選ばずに楽しませてくれる作品ではないでしょうか。それってかなりすごい事だと思いますが。終始完全に主人公の男目線で語られるストーリーはそりゃ男ですから、共感や実体験と重なって切なく思ったりする場面が数多く用意されていて良かった。最終的にはやっぱり"運命"。もちろん簡単にというか当たり前に使える言葉ではないのですが"何であの時伝わらなかったんだろう"とか"何でああしちゃったんだろう"とか。そしてそれはお互い様でもあるし"あの時うまくいかなかった二人はそういう運命なのかもしれない"。確かにそうだ。そういう経験や自覚がある人も多いでしょう。それだけでもう十二分なポピュラリティを得ている強力な作品だと言える。観る人を選ぶようで全く選ばない無差別に突き刺さるセンチメンタリズム。96分という尺も〇。ジャケットで若干の損をしているか。

 

青春群像 (原題:I VITELLONI) - 3.5/5.0 (U-NEXT/2020.9.15)

監督脚本:フェデリコ・フェリーニ。1959年。「道」に続き鑑賞。基本クズの男が主人公なのは何なんでしょうか。今作も全くもって良い所のないカス男が出てきて好き勝手やって女が居なくなる状況になってようやく困り果てて自分のクズさを自覚するという流れが全く同じでラストまでなんじゃこりゃ状態でしたが、「道」とは違いまだ真剣に嫁さんを探している所に救いがあった。「青春群像」というくらいだから10代からせめて20代前半の男たちの話かと思ったらがっつりまあまあオッサンが出て来て物語が始まったのでそこも結構面食らった。己の不道徳を指摘され、"俺はもう30だ!子供じゃない!!"とか言って食事をひっくり返すシーンとか、マジで引いた。ノレなさ過ぎる。これ一体どういう人が良いって言ってんだ?5人の男の群像劇のはずが、あまり他のキャラクターにスポットライトが当たらずでイマイチ。フェリーニ作品に続けてこういう感想を持つのは自分の感性がおかしいんじゃないか?と若干心配にはなりますが、どうにもならんもんはならん。という感じでこんな感想です。まだまだ他のを観てみようと思う。

 

・サスペリア (原題:SUSPIRIA) - 4.0/5.0 (シネマスコーレ/2020.9.14)

監督脚本:ダリオ・アルジェント。1977年。4K修復版。スコーレでは2Kでの上映ですがそれでもかなり綺麗でクリアかつシャープ。そして何よりも色味が素晴らしい。ホラーが美しい画で構築されていくのがもしかしたら一番美しいんじゃないかとすら感じる仕上がりで驚いた。冒頭の首吊りになるシーンだったり、素晴らしいシーンの連続。またゴブリン(というバンド?)の<サスペリアのテーマ>?的な音楽がこれでもかと鳴りまくり、最初はどうかなと感じたけどあまりにもしつこすぎるので最終的にはキタキタ...!という感じで楽しめた。コレがなったら何か悲惨な事が起こりますよ~ってのも70年代、昔ならではのお約束的に盛り上がれて楽しかった。これがカルト的な人気を博していたり、各方面に影響を与えているというのはとても分かる内容だった。"魔女3部作"というのがあるらしいので見てみたくなった。鑑賞後は「許されたこどもたち」でスコーレとズブズブの内藤瑛亮監督のリモートトークもあり、そこでの"ドラマや映画はもちろん製作費や諸々の都合があって作られる画が違う。こうした昔の名作もやはり配信やDVDなどで見た気になっているのではなく、劇場のスクリーンの大きさで見て、作品が本来表している表現を味わってこそ鑑賞したという事になる。映画はスクリーンで見る事を前提に画を作っている"という発言に大変共感をした。昨今では配信でタブレットやPCの画面サイズで見る前提で作られているものも沢山あるだろうが、そうではなかった時代のものはやはりスクリーンサイズで見るのが本当には正解だろう。

 

・血みどろの入江 (原題:A BAY OF BLOOD) - 3.7/5.0 (シネマスコーレ/2020.9.14)

監督脚本:マリオ・バーヴァ。1970年。『夏のホラー秘宝まつり2020』で3日連続シネマスコーレにて鑑賞。前日の「呪いの館」からは4年。期待して臨んだが、この作品は内容が前2作とは少し指向を替えており、サスペンス色というかどちらかというと"本当に怖いのは人間"的な見せ方に終始している印象。もっと入江を舞台に無残なスプラッター物語が繰り広げられるのかと思いきや(いや実際そうなんだが)、入江の相続をめぐって殺し合いを始めるという地味な内容。マリオ・バーヴァ監督自身の唯一のお気に入りらしく、監督のメッセージとしてはコレがキッパリと描きたかった事なんだろうなあと思うと若干のズレを感じずにはいられない。もちろん、画も良いしオチも意外で面白かった事に変わりはないのだが前2作の様な得体の知れないパワーみたいな物をもっと見たかったなあと少し残念ではあった。

 

・野火 (洋題:Fires on the plain) - 3.8/5.0 (CS/2020.9.14)

監督脚本主演:塚本晋也。2015年。8月にシネマスコーレで上映やってましたが同日にCSで放送していたのでスルーしてしまったこちらを鑑賞。録画は最高画質で。言われていますが、インディ映画だしデジタルカメラ撮影だし、確かに画は軽い。安っぽいとまでは言わないが軽い。評論とか読むと"そういう部分もあるがそこを含めて今つくるものとして生々しいのでは"という様な汲み取り方もあるっぽいですが、自分も割と軽さにいまいち乗り切れなくはありました。ただそれを上回ってくるメッセージや画面の強さ(と思うと本当に撮影が...とは言いたくなってしまう)とかあって、作品自体としては結構重くズシンとくる内容でした。戦争がどのタイミングであろうともどういう立場であろうとも、終わってその後に生活があろうとも、戦時中を生きるという事は一生拭いさる事の出来ない事実として、人にのし掛かってくるものなんだと改めて感じた。とても一言では表せないテーマ、メッセージを孕んでいる。来年の夏はスクリーンで見てみよう。

 

・ブレックファスト クラブ (原題:The Breakfast Club) - 3.5/5.0 (U-NEXT/2020.9.13)

監督脚本:ジョン・ヒューズ。1986年。先日見た「ブックスマート」の流れでアメリカ青春映画の金字塔のこちらを。古さも手伝ってか、個人的にはあまりノレなかった。まああるあるというかよく分かるんですけどね。大人になってから楽しめるものでは無いのかもしれません。自分の子供とかに見せるには良いのかもしれないけれど。"あれ?さっきまで拒否ってたじゃん"とか"そんなに都合よく仲良くなるか?"とか"そんなんでいいの?!"とか思えてきてしまったので大人になってしまったなあとは感じた。子供の頃って、何だかよくわかんないような事で喧嘩して、仲直りしたり、救われたり、絶望的になったりとかしたもんか。という様な気もする。

 

・呪いの館 (原題:KILL BABY KILL) - 3.9/5.0 (シネマスコーレ/2020.9.13)

監督脚本:マリオ・バーヴァ。1966年。『夏のホラー秘宝まつり2020』で前日に引き続いてシネマスコーレにて鑑賞。「血ぬられた墓標」からは6年。こちらはカラー作品。これがまた面白かった。マリオ・バーヴァ最高傑作と名高いとの事でしたがまさにその通り、非常に完成度も高く無駄がなく、名シークエンスの連続。後世への影響を存分に感じられる事が出来た。螺旋階段のシークエンスや追いかけても追いかけても同じ部屋に出てしまいついには前を走っている自分に追いついてしまうシーンとか、とても良かった。全てのシーンに繋がりや必然性を感じる事の出来るかなりのクオリティのものを見たと思う。89分が本当にあっという間で全くダレる事なく最後まで楽しめた。全画面美しかった。たぶん書ききれないほどに色々な工夫の施されたシーンがあったとは思いますが、ここではこれくらいにしておく。個人的に一番グッときたのは、廊下や外に立ち込める煙。まさに「時をかける少女」であの怪しい夜の尾道の小道には煙が立ち込めて月明かりに揺れていたなあと思った。

 

・ある優しき殺人者の記録 (韓題:원 컷 - 어느 친절한 살인자의 기록) - 3.7/5.0 (U-NEXT/2020.9.12)

監督脚本:白石晃士。2014年。アトロクで三宅隆太さんがおすすめしていたので見てみたシリーズ。これは珍品。結構、いやかなり好きでした。ラストの思いっきり"えー!今までの何だったの!?"という神のやっすいCG描写だったり、中盤のエロ展開描写でダレたりとかまあ突っ込みどころは多々ありますが確かにラストは予想つかない感じだったり、"結局全員死ぬんかい!"という部分だったり、トンデモ映画としてかなり楽しむことが出来ました。鑑賞後に調べると、白石監督作品はももクロ主演の「シロメ」を見た事はあったのですが(全く覚えていない)、さすがホラーを数多く手がけているだけあり何となーくいや〜な感じというか、Jホラー特有のジトッと何かが起こってしまいそうな雰囲気というか。今作はホラーではないですが(序盤の日本人カップルが部屋に入ってくるシーンとか特に)サスペンスな部分とも食い合わせもよく、白石監督にしか撮れないものになっているんじゃないかなと思いました。ラストの展開も好きで、今思い返しても結構楽しめたなと思う。点数もっと高くてもいいけど中盤のエロ展開で結構冷めてしまったので、あれがあるのかと思うとこの点数になってしまう。フィルモグラフィーを見ると本業であるホラー作品もいくつか見てみたくはあるんですが普通に結構怖そうで嫌だなと思っている。

 

・血ぬられた墓標 (原題:BLACK SUNDAY) - 3.7/5.0 (シネマスコーレ/2020.9.12)

監督脚本:マリオ・バーヴァ。1960年。デビュー作。私自身もマリオ・バーヴァ作品は初。イタリアンホラーの父、そして敬愛する大林宣彦監督のエッセンスの一つでもあるマリオ・バーヴァ。触れないわけにはいかないでしょうと思っていたら『夏のホラー秘宝まつり2020』で上映ということでシネマスコーレにて鑑賞。モノクロ作品。特段モノクロに抵抗がないので普通に見ることは出来たのだが、やはりさすがに1960年の作品(60年前)ということでさすがに響ききらない部分も多く。いまいち本題の理由だったり色々とつっこみたくなる部分も多く。ただ、モノクロならではの陰影がクールだったり、何よりの見せ場であろう人が老けていったり若返っていったりをすごく自然に描写していることに驚く。話も結構入り組んでいてこれから先に生まれたホラーへの影響は想像に易い。

 

・グッドフェローズ (原題:Goodfellas) - 3.9/5.0 (U-NEXT/2020.9.10)

監督脚本:マーティン・スコセッシ。1990年。久しぶりにスコセッシ作品。代表作。「タクシードライバー」ぶりに観たので違いが明白だったのですが、やはり76年から90年というとだいぶ印象も変わるもので、どのシーンもかなり映画的でクールでユーモアがあって非常に質高く驚いた(当たり前だろ!)。お話のオチ的には特にな感じでしたが、全編に渡るクールなシークエンス、仕掛けの連続がかなりかっこよかった。演者の演技や配役も完全にキマっており、これ以上無い組み合わせなのではないかと感じた。

 

・パンダコパンダ 雨ふりサーカス - 3.4/5.0 (U-NEXT/2020.9.10)

監督:高畑勲。脚本:宮崎駿。1973年。「パンダコパンダ」に続いて鑑賞。基本的には前作と同じ設定なので、TVアニメの次週を見ているような感じだった。話は1の方が衝撃的で面白かったかな。水の中をみんなを乗せたサーカス列車が進んでいくシークエンスは子供はワクワクするかも知れないけれど、2011年東北大震災を通過した日本人の我々には別に見なくてもいい作品になっている気がする。1だけで十分。(むしろ1は見た方がいい)

 

・道 (原題:La strada) - 3.3/5.0 (U-NEXT/2020.9.10)

監督脚本:フェデリコ・フェリーニ。1957年。某ミニシアターで今月末よりフェリーニ特集(生誕100年)が行われるのでラストの作品だけ見に行きたいなと思い、そのためにはまずフェリーニ作品に触れなければという事でようやく1作目。予定よりはちょっと遅れている。大道芸人の超絶クズ男と障害アリ?な女性とのサーカスロードムービー。ひたすらに主人公の男がクズでクズでもうどうしようもなかった。いつのまにか"女房"になっている感じもすごーく嫌だった。プロット的に障害があるという表現は無かったように思うが、本編を見ているとどうしても「聖者の行進」的なそんな空気を感じられずにはいられなかった。総じて、男のクズさが極々に極まっていてどうにも嫌な気分のままだった。ラストはあの精神状態のヒロインを放置し、死んだことを知ると項垂れる。どこまで自己主義なんだこいつはと腹が立ったし、それを美化している?幕引きも相当どうかと思う。映画としては最後までちゃんと見られたし良かったけど話が絶望的に嫌な感じだった。

 

・LEGO(R) ムービー (原題:The LEGO Movie) - 3.3/5.0 (Blu-ray/2020.9.7)

監督脚本:フィル・ロード、クリストファー・ミラー。2014年。「くもりときどきミートボール」のフィル・ロード、クリストファー・ミラーコンビによるレゴの映画版。全編レゴなので、ストップモーションアニメ的なそれになるんだろうなあと思いながら鑑賞しましたが実際は全然(思っていたよりは)ヌルヌル動くアニメーションで、それがレゴらしさとアニメーションらしさが嘘くさくないラインで描かれたことにまずは感動。その時点でかなりハードルが下がっていると思う。策士。細部にまで"レゴらしさ"を感じられて没入感は高い。とっさに頭をタイヤにするシーンとかも笑ったし、結構面白くはあったのですが、時間が経つにつれ画面に食傷っぷりが...。正直やはりレゴのモーションの限界か、同じようなアクションが繰り返されてかなりの勢いで飽きが来てしまったのも事実。追い打ちをかけるように"普通なことがすごい"とするストーリーの内容に結構しんどくなってきてしまい、最終的には無になった。という感じでしょうか。オチも全然面白くなかったし。う~んとなりながら特典映像とかも見てみたら(こういうのには吹き替えが当てられていないので字幕)、圧倒的に字幕の方が良さそうでショック。見直す気力も起きずにFin.「21~」が好みじゃなかったらこのコンビの作品は違うのかも。個人的に。

 

・インターステラー (原題:Interstellar) - (109シネマズ名古屋/IMAX/2020.9.7)

監督脚本:クリストファー・ノーラン。2014年。IMAXレーザー版で再上映されていたので鑑賞。これぞ「クリストファーノーランが作った"2001年宇宙の旅"もとい、"2014年宇宙の旅"」だぁ~!と言いたくなった。ノーラン作品って私はそこまで熱中するような感じではないし、大体いつも何かしら文句はあるんですが見たくなってしまうし見たら見たで何だかんだ楽しんでしまうという感じなのですが。この作品は"「2001年宇宙の旅」っぽくて楽しかった。"という感想を書いておきたい。自分が座った席が若干画面に近すぎたせいもありちょっと序盤の説明幕で猛烈にダレて睡魔が襲ってきたのですが、宇宙に出てからの「2001~」っぽさにテンションがあがりそこからラストまではあっという間だった。他のノーラン作品よりも全然楽しめた。はっきりと"「インセプション」後"感もあって監督自身の色がプンプン臭いたっていて良かった。宇多丸さんは「ぼくのかんがえた~」とノーラン作品の事を称しますがまさにその通りで無邪気に作品作りをするノーラン監督のかわいさが堪能できる一作でした。楽しかった。

 

・形見 - 3.6/5.0 (DVD/2020.9.6)
監督脚本:大林宣彦。1963年。大林監督8mm個人映画、ここから個人映画らしい(本人談)。17分。父親を亡くした親子が墓参りに行き、母は血を吐き墓標を血塗り、子は自然浮遊する飛行機模型にくぎ付けになり追いかけていってしまう映画。2人の視点が交錯し重なり合っていく。かなり"大林宣彦感"のある一作。ここから個人映画というくらいだから自身も分岐点的なものとして捉えているのでしょう。こちらも「大林宣彦青春回顧録」というDVDに収録されており、この為に大林監督が自らピアノ演奏したものが劇伴として当てられている。無声映画。

 

・だんだんこ - 3.2/5.0 (DVD/2020.9.6)

監督脚本:大林宣彦。1960年。大林監督8mm実験映画(本人談)。11分。女性と女の子が階段でだんだんことマリつきや階段飛ばしで遊んだりしていてマリがポーンと跳ねていき、マリ主観の映像になる。という映画。「大林宣彦青春回顧録」というDVDに収録されており、この為に大林監督が自らピアノ演奏したものが劇伴として当てられている。無声映画。

 

・グエムル -漢江の怪物- (原題:괴물/The Host) - 3.6/5.0 (U-NEXT/2020.9.5)

監督脚本:ポン・ジュノ。久しく手を付けてなかったポンジュノ作品。夜中に気楽に見たいなと思いこちらをチョイス。同監督作品で言うと「スノーピアサー」の様な商業映画立ち位置。もちろん中身や表現は全然違いますが。かなりむちゃくちゃな話だったし、えー!っていう所もありましたけど、よく出来ててとても気軽に楽しめた。映画的な、ポンジュノ的なシークエンスもふんだんに散りばめられておりさすがの一作。怪獣に捕まる女の子役のコ・アソンがオカリナにしか見えなかった。ペ・ドゥナがあまり好きではない。

 

・WAR ウォー!! (原題:WAR) - 3.6/5.0 (中川コロナシネマワールド/2020.9.4)

監督脚本:シッダールタ・アーナンド。2020年。話題のインド映画を。結構楽しみにいていたし、実際観てもほんとにハリウッド映画ばりの実景映像と役者の肉体美、ボディアクション、ふいに見せるコミカルな表現など結構楽しみながら観ていましたが...途中ウトウトしてきて、最終的には寝た。睡魔と闘いながら鑑賞する事はこれまでにももちろんありますが、何とか自分を律して最後まで見届けるのがいつもなのですが諦めてもう寝てしまった(10分とか?)のは初。うーん、長い。無駄にスローの映像とか勿体付けた映像が多すぎる。濃い味がインド風味なのでしょうが、段々と"遅いなあ"という気持ちになってきて、寝た。つらかった。いつの間にか雪山をカーチェイスしていていつの間にかドカーンと爆発が起きてました。中盤のメロドラマ?展開で一気に心が折れました。まあそのシーンの意味がその後にあったからまだ良かったけど。明るい部屋でDVDでヘラヘラ観るのがちょうど良さそう。

 

・私が、生きる肌 (原題:La piel que habito) - 3.7/5.0 (U-NEXT/2020.9.3)

監督脚本:ペドロ・アルモドバル。2012年。相変わらずの入り組み狂ったお話に安心。これまで見てきたアルモドバル作品と比べると若干シンプルめになっている気もしますが、この作品もなかなかに倫理観に訴えかけてくる作品。美しい画面作りやシークエンスも変わらずで一目見ただけで"アルモドバル作品だ!"と分かるのはやはりすごい。アート寄りで一見とっつきにくいのに実はかなり分かり易く作られているのが何作も見てみるとよく分かります。作品つくりをする上でかなり大切なことだし、実はすごい難しい事を毎度高い次元でやってのけるその才能に脱帽。話の面白さは一旦置いておいて、ここにしかないものを見せてくれるアルモドバル監督。すっかりファンです。この作品は個人の好みで言えば他作品よりは落ちるかな。同性愛者が出てこない。(いや、出て来てるのか?w

 

・の・ようなもの - 3.6/5.0 (U-NEXT/2020.9.2)

監督脚本:森田芳光。1981年。「家族ゲーム」の森田芳光長編映画デビュー作。駆け出し落語家・志ん魚とソープ嬢と落語研究会の女子高校生たちのお話。話に大きく分かり易いオチや所謂感動もの的なものはなく、ダメ落語家志ん魚の恋、挫折、成長を描いている。でもヤマ無しオチ無しという不思議な作品。今まさに観ている事や話されている事柄の少し先の話がすぐ直後のシーンで表されたり、時間間隔がふわっとしている。登場人物たちの演技も不自然だし、数々のシーンも繋がっている様で繋がっていない、でも繋がっているという意味があるんだか無いんだか重要なのかどうなのかもよく分からせる気が無いように感じる。それでも何となーく今後も見たくなりそうで不思議。

 

 

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■2020年8月に観た映画

41本 (劇場、配信、レンタル、見直した作品を含む)

 

・ブックスマート 卒業前夜のパーティーデビュー (原題:Booksmart) - 3.8/5.0 (伏見ミリオン座/2020.8.31)

監督:オリヴィア・ワイルド。2018年。日本公開2020年。イケてない秀才女子2人が高校卒業式前夜のパーティに参加しようとして...というお話。中盤までは"すごく普通な映画だなー"と思いながら見てましたが後半の追い上げを頑張りこの点数に。そんなに皆が言うほどかなというのが正直な所。もちろん良かったし、全然悪くないんだけど普通に良いねくらいの感じ。ラストの卒業式スピーチシーンがめちゃくちゃグッとくるような小演説を期待して待ってしまったので拍子抜け。期待しすぎましたね。それでも全編通して面白かったし、映画としてのストーリーテリングも良く出来ていた。前半のパーティ会場探しのくだりが冗長に感じてしまい徐々にテンション下がっていたのが原因ではないでしょうか。下ネタギャグがずっと笑えなかったのがちょっと残念ではありましたが、さっぱりとして良い映画だった。

 

・レディ プレイヤー1 (原題:Ready Player One) - 3.8/5.0 (Blu-ray/2020.8.30)

監督:スティーヴン・スピルバーグ。2018年。すごく周到に考えられておりものすごく良く出来ている一作。私の様にこういった類の映像(自体)が苦手な人間でも最後までしっかりと楽しむ事が出来た。が、途中でダレる事も無かったし面白かったけどむちゃくちゃ面白いわけでは無かった、というのが正直な感想。というか、長い。でも長いのに最後までしっかり見れたのは構成力や演出その他すべての要素が完璧なエンタメ作品として機能しているからだろうと思う。簡単に書いたけど、それがすごい。名作映画やゲームなどのオマージュはイントロクイズやこれは何でしょうクイズ的な面白さやオールスター戦の様なワクワク加減もあり楽しくは見られた。でも2045年?の設定なのに結局80年代に思いを馳せるのはどうかなと思う。

 

・かぐや姫の物語 - 3.9/5.0 (Blu-ray/2020.8.29)

監督:高畑勲。脚本:高畑勲/坂口理子。2013年。勲の方がしっくり来るんじゃないか説検証シリーズ。今のところ当てはまっています。というか、駿の作る作品も好きだし、もちろんジブリ自体も好きなのでこの検証はどうなんだという感じもしますけどね。"ジブリのこの作品が好き"というのはあまり無く、二人の持つ作家性にすごく惹かれる部分が強い。この作品は、日本最古の物語としても知られる「竹取物語」のリメイク。ですが、2020年を生きる私にはどうにもパッと浮かばないくらいには歴史的書物の様なものになってしまっているかと思います。話自体はすごくシンプルで、"月=死の世界、無の世界"という最後の部分をどう解釈するかで意味合いが違ってくるかと。画がジブリっぽくないとか、話が知ってて詰まんないとか色々感想はあると思うが、かぐや姫の人間(生物)としての成長譚としてキッチリと描かれていて、子供にももちろんしっかりと届く内容になっている。かぐや姫が駆け出すシーンの緊張感だったり、クライマックスの脱走してお兄ちゃんと会った時の空飛ぶシークエンスとかは画の迫力と演出で泣きそうになる。静かながらどっしりと重い感想を宿す作品。好きです。"作画:しりあがり寿"かと思った。(じじいだけ漫☆画太郎)

 

・2001年宇宙の旅 (原題:2001: A Space Odyssey) - 4.2/5.0 (Blu-ray/2020.8.28)

監督脚本:スタンリー・キューブリック。1968年。ようやく鑑賞。キューブリック作品全般そうなんですが、この作品はとにかく映像美。とても52年前の作品とは思えないCGも無い時代に見せるこの宇宙描写。宇宙船の中でのシーンもこれ一体どうやって撮影したんだと思う様なシーンが多くこの作品自体に宿っているパワーを感じざるを得ない。特に後半からのさもすれば狂気を感じるAI暴走(今思えばこの設定も68年とは思えない)からの光のシークエンスからの宇宙に生命が誕生するという一連の流れには美しさ、怖さすら感じる。とにかく完璧に美しい一作。自分の映画的教養が低く、これ以上言葉にすることが難しい。

 

・ノンフィクションW 大林宣彦&恭子の成城物語 [完全版] ~夫婦で歩んだ60年の映画作り~ - 3.8/5.0 (U-NEXT/2020.8.26)

監督:犬童一心、高橋栄樹。2019年。WOWOWオンラインのオリジナルドキュメンタリーとして製作された。大林監督と恭子さんの出会いから結婚~CM作家から映画監督になるまで~晩年の2作品の映像を長塚圭史のナレーションと共にドキュメンタリー化。貴重な映像やエピソードが多くとても興味深かった。中でも、大林監督がまだ子供の頃(小学校低中学年?)に書いた"之(え)日記"。完全に漫画になった絵日記は最初のコマが時計のアップから始まり最後のコマも時計のコマだったり、過去と現在が混同する時計、時計の中にある現実、ぺージやコマの枠からはみ出した銃弾など、非常にアーティスティックな味わいで大林監督は幼少期からそういった感性を発揮していたという事がよく分かったのが良かった。時計モチーフが多かったのか、そこだけ抜粋されたのかは不明。そして、妻である恭子さんにもかなりのスポットを当てたこの作品は、恭子さんの大林作品に対する思いや姿勢も見て取る事が出来る。遺作となった「海辺の映画館~」のスタッフエピソードとして"恭子さんがプロデューサーだからこれだけの大林組常連が集まったんだと思います"という言葉には、恭子夫人への信頼度や彼女の貢献度、重要度が伺えた。ラストシーン、娘である千茱萸さんの"この映画のジャンルはなんですか?【映画だ!!】これでいいんだと思います。"というスピーチ(劇中のセリフの引用)には胸を打つものがあった。犬童一心監督もラストシーンに向けてきちんと映画的に作品的にと編集をされており良かった。ファンとしても非常に楽しめるドキュメンタリーであった。あと5倍見たい。「もうやめよう、弾けないもん」

 

・死霊のはらわた II (原題:EVIL DEAD 2-DEAD BY DAWN) - 3.4/5.0 (DVD/2020.8.26)

監督脚本:サム・ライミ。1987年。先日鑑賞の「死霊のはらわた」から6年。"だいたい2は何ともな事になるだろうけどなあ"と思いながらも鑑賞。「悪魔のいけにえ」同様やはり続編は難しいなという部分もある。がこれは「悪魔の~2」よりも好き。6年の年月は映像的(おそらく資金的にも)な豊かさを呼び、描写がブラッシュアップされ前作よりも面白く強烈な画になっていたのが良かった。序盤全く同じ話で"リメイクか?"と思ったが逆にそこも面白いくらいだった。面白さ自体は徐々に失速していき後半はダレた感が否めなかった(1は後半から怒涛の神がかり展開を見せる)。ラストシーンは突然のかつまさかのSFオチで無言になってしまった。壁に向かってショットガンを何発か打ち、壁に空いたいくつかの穴から文字通り"超"大量の血が飛び出してきて主人公が血塗れになっていくシーンで爆笑した。シャイニングもびっくり。

 

・パッチギ! - 3.4/5.0 (U-NEXT/2020.8.24)

監督脚本:井筒和幸。2005年。井筒監督作品は映画好きになってからは初めて。昔に「岸和田少年愚連隊」は鑑賞したが何が何だかさっぱり覚えていない。日本人と在日韓国朝鮮人の差別や共存、そして主人公の国籍を超えた恋。すれ違いを繰り返す両人が最終的にはなんとなく和解をする話。それ自体が一方的に見えるし、勝手に日本人がすり寄っていっただけであくまで韓国人の反日は変わらないだろうとこれを見て、普通は思う。最後にラジオで韓国の曲を主人公が歌ったとてこれまでにも出てくる描写だし、それが説得力になるなんて到底思えない。全編にわたり謎に都合の良い条件というか脚本が続き何だかノレなかった。こういうのを見ると大林監督の「北京的西瓜」がいかに誠実で名作かが分かりますね。暴力や差別で和解は描けない。井筒監督は、これが最高傑作と言われてるっぽいのでどうかなという感じ。(一応あと「ガキ帝国」は観ておくつもり)あ、若かりし頃の沢尻エリカは非常に可愛かった。

 

・真夏の夜のジャズ 4K (原題:JAZZ ON A SUMMER’S DAY) - 3.0/5.0 (センチュリーシネマ/2020.8.24)

監督:バート・スターン。オリジナル1956年。4K修復版として再上映。内容を調べずに行った自分も悪いのですが、ひたすらに56年当時のライブ映像と観客を映していくだけのドキュメンタリー。正直言ってたるかった。オープニング、揺れる水面がたばこの煙や夏の蜃気楼、ゆらゆらと音楽でトリップしていく表現しているだろう描写などと一緒になって冒頭からいきなり超美しく映画的なシークエンスから始まり、期待度が高まった。ライブシーンも横顔の接写だったり、通常のライブ映像では味わえないなんとも絶妙な表現となった。観客を映し出すシーンも多く、ドキュメンタリックでもありながら何気ない瞬間を捉えた映像はタイトル通り「真夏の夜の」なんでもない1日に起こった、でも全員が登場人物であるかの様なこのミニマムな映像体験にぴったりだった。著名なジャズマンたちのライブ映像ももちろん良かったのですが、ただ凝ったライブ映像を見せられただけで感動するものがなかった。そういう映画だから仕方ないのですが。とんこつラーメン屋に入って"さっぱりしたラーメンが食べたかった"という感想くらい筋違いではあるが、映像の美しさ以外の良さがあまり拾えなかった。

 

くもりときどきミートボール (原題:Cloudy with a Chance of Meatballs) - 3.6/5.0 (Blu-ray/2020.8.23)

監督脚本:フィル・ロード/クリストファー・ミラー。2009年。某ラジオ番組の影響で視聴。パッと目についたのはとにかく色味が綺麗。様々な描写をカラフルにかつ繊細に色使いされており、観ているだけで満足度の高いアニメーションとして成立していた。水分を食べ物に変える装置を発明し、それが暴走を起こして巨大食べ物が街を襲うというプロットは面白かった。わりと軽く何も考えずにみられる内容で良かった。子供は喜ぶだろうなあと思う。ただ、絶賛されていて期待したほどでは無かった。まあ良かった。

 

・ベイビー ドライバー (原題:Baby Driver) - 4.0/5.0 (Blu-ray/2020.8.22)

監督脚本:エドガー・ライト。2017年。「ショーンオブザデッド」以来の鑑賞。たぶんその間にもいくつかの良作があると思いますがいろいろ見たいのが多すぎて追いつかない。ずっと見たいと思っていたこちらを。ベイビーと呼ばれる若いゲッタウェイドライバーが事件を起こし...という内容。メロドラマな一面もあったりするのですが、この映画は何よりも音楽と痛快なカーアクション。"あぶない!"とギリギリ回避し安堵した次の瞬間にはまたピンチ(または事故)がちゃんと良いしてある辺り抜け目なくエンタメしていて終始ハラハラ&ヒャッハー出来て最高だった。音楽のリズムと映像が同期する瞬間の気持ち良さが劇中何度も出てくる。そういった部分も非常に楽しい。罪を犯した主人公に対し(まあちゃんと逮捕されるのだが)仮釈放の余地があったり、彼女であるデボラが何故そんなに惚れるのかがよく分からなかったり、何だか甘いな~と思う様な箇所や都合の良さはあったがそれをチャラにするくらいそこ以外がわりとずっと面白かったので問題なし!という感じでした。IMAXとかドライブインシアターとかで是非見てみたい一作。良かった。

 

・死霊のはらわた (原題:THE EVIL DEAD) - 3.9/5.0 (U-NEXT/2020.8.22)

監督脚本:サム・ライミ。1981年。「悪魔のいけにえ」と並び語られるカルト作品。「悪魔の~」が大好きなのでどんなもんじゃい状態で鑑賞。中盤までは"まあ面白いけどそんなに?"という感じで見てましたが後半一気にめちゃくちゃな展開かつ熱心に作られたグロ&ホラー描写によって最狂のスプラッタームービーとなった。とにかく描写の狂い度がひどい(褒めてます)。怖いというよりもひどい。何でこんな事になるのか、まともな思考回路では絶対に作れない。何で死霊状態が伝染するのかもよく分からないけどそんなのどうでもよくなる描写の説得力。クライマックスの「死者の書」を暖炉に投げ入れ焼く事ですべて終わらせようとするのは「ヘレディタリー/継承」のクライマックスを彷彿とさせ嬉しかった。ラストで生き残った一人もたぶん死んだのも全く救いも、そもそも作品自体の意味もなくて良かった。

 

・コクリコ坂から - 2.7/5.0 (TV地上波/2020.8.21)

監督:宮崎吾朗。2011年。宮崎吾朗2作目。1作目「ゲド戦記」がすごい(酷い)らしいという事で、ジブリ強化期間とは言え吾朗作品は一番後回しにしようと思っていたのですが、地上波金曜ロードショーでやっていたので鑑賞。まず、作画が微妙。アニメーションとしても微妙。描写が微妙。音楽が酷い。話が無い。つまんない。見てられないほどかと言われればそうでは無いのだが、とにかく何の感想もないくらいに人畜無害かつつまらない。見ながら"こういうオチにした方が良かったんじゃないか"という事まで言いたくなってしまうほどにお話としてどうかなという状態(ラストは主人公の元に本当の父親がやって来て、取り壊し阻止vs親父との再会の選択を迫られ、取り壊し阻止を取り"親父が何者であるか"よりも"自分が何者であるか"を選択した事で人間的に成長するお話)。あとはとにかくひたすらに音楽が酷い。音楽の使い方が知っている中で一番ひどい映画かも知れない。あんなにずっと鳴っている必要もないし選曲も悪いし音量もでかい。音楽的な素養も感性もまるで無いのだなと感じた。

 

・ゾンビデオ - 3.2/5.0 (U-NEXT/2020.8.21)

監督:村上賢司。2012年。70分ほど時間が空くという何とも都合のいいタイミングがあったので見た。近代アイドル映画はホラーとかゾンビものですね、やはり。基本的にB級を通り越してD級のような質感。まあ正直内容としてはどうなんだという感じですがw、そんなに嫌ではなかった。頑張ったスプラッター描写(もうちょい直接的でも良かったのに)や、登場人物がゾンビマニア的な脚本だったり、タイトルロゴがサスペリアだったりと小さな幸せ多めで許せた。ラストの緑の体液を吐き出すの描写は別に実写で良かったのでは?とちと残念。血塗れの矢島舞美が5万点!

 

・クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶアッパレ!戦国大合戦 - 3.6/5.0 (DVD/2020.8.20)

監督脚本:原恵一。2002年。先日見た「嵐を呼ぶモーレツ!オトナ帝国の逆襲」が良かったので同監督でもう一つ評判の良いこちらを。「オトナ~」は"家族を守る"事をテーマにしんちゃんが奮闘する見せ場がテーマになっているが今作は"命を守る"事がテーマ。これがまずは前作とはっきり違う所でしょう。故に、もちろん命を題材にしているので"泣き度"で言えば今作の方が圧倒的に高い!...はずが、、内容の面白さ自体が結構低く「オトナ~」の方が数倍面白い仕上がりに。続けて観ると結構残念な出来に...というか、とにかくこの作品はしんちゃんの活躍する見せ場が少ない!これに尽きます。基本的には"おまたのおじさん"の頑張りをしんちゃん達と一緒に見守るスタイルなので、どうしても感情移入しにくい。しんちゃんが活躍するシーンがもっと、3,4つ多ければ(圧倒的に足りていないという意味です!)、ラストの"金打!"のシーンなんて号泣できたのに。。という感じで非常に勿体ない出来。映画的なシークエンスの面白さも「オトナ~」の方があったかな。ひろしが刀じゃなくてダイエットの棒的なやつを振り回すのは笑った。し、やっぱりきちんとTVシリーズのノリを継承しつつも映画的な魅せ方をブラッシュアップして描いているこの監督は本当にえらい!(し、仕事が出来る!)ですね。あと、ダンスマンのエンディング曲が良かった。

 

・セブン (原題:Se7en/SEVEN) - 3.6/5.0 (U-NEXT/2020.8.20)

監督:デヴィッド・フィンチャー。1996年。何故か食指が伸びずにそのままにしていた作品をようやく。ブラピとモーガンフリーマン演じる2人の刑事が"七つの大罪"をなぞって連続殺人を行うシリアルキラー逮捕へ向けて事件を追う。かなり親切な作りで分かり易いし見やすい、引っかかる所もなくスルスルとクライマックスまで来つつも、物語の要点やアクション、スリラーシーンなどはしっかりと見所として押さえつつ描写していく。ラストも胸糞悪くなんとも言えない観後感や衝撃を(一般的には)与えます。が。それだけ。個人的には物足りないなーと感じた。「ゴーンガール」などもそうですが、むちゃくちゃ良く出来てて分かり易いし上手な話だけど、特にこれと言って印象的なシーンも無ければ名言もない感じで残らない。今作で言えばオチであるブラピの奥さんとお腹の中の子供が最後の2人なんてのは予想出来たし驚きもしない。モーガンフリーマンが段ボール開けてドカンと爆死しなくて良かったなとは思った。最後の段ボール開けるハラハラシーンみたいなのが作中に何度か出てくれば満足度は高かったのですが。。。すごくよく出来てはいますけどね。何も考えずお菓子食べながら映画を見たい人向け。

 

・機動警察パトレイバー THE MOVIE - 3.2/5.0 (中川コロナシネマワールド/4DX/2020.8.20)

監督:押井守。1989年。4DX最終日に。4DXだし高いし迷いましたが一応監督のネームバリューを信じて。結論から言うと、うっすい。薄味。出汁入れ忘れたのか?と。当時の時代背景はイマイチ分かりませんが話自体なんか途中から始まったみたいだし、特に山もないままラストへ向かっていった。登場人物たちの行動動機に感情移入できない(させる気もない作りでしたが)。話がつまらない。し、描写もなんだか子供の頃に夕方やってたシティハンターの再放送(苦手だったな~..)を見ているような描写ばかりで非常につらいものがあった。あと、これは知らなかったのですが、作【ゆうきまさみ】と出た時点で漫画読んでいた身としては嫌な予感がしましたがそりゃそうだよなという感じ。OSという概念が無い時代にああいったテーマで作品つくりをしているのはすごいのかも知れませんが、同じ2020年に鑑賞した「AKIRA」がいかにすごかったのかがよく分かった。作品の賞味期限も重要だと思う。つまんなかった。

 

・オール アバウト マイ マザー (原題:TODO SOBRE MI MADRE) - 4.0/5.0 (U-NEXT/2020.8.19)

監督脚本:ペドロ・アルモドバル。1999年。「talk to her」の前作。やはり基本的にはドラッグだったり、同性愛だったり、"どうしようもない+(逃れられない一癖)"の様な構成で登場人物たちが作られているというのは、3作観て同一の印象ではある。それがノイズになっている訳では全く無くむしろその逆で、最新作「ペインアンドグローリー」内でも同性愛男性(しかも初老)のキスシーンで不覚にも落涙間近であったように、どれもこれも生々しく痛々しい、痛切に美しいままに響いてくる画面になっていることがまずは素晴らしい。自分にそういう感情は無いと思うがそれでも胸が痛く締め付けられる。キャラクター描写が実に見事。前回のペドロ・アルモドバル作品評でも書いたが個人的な物語をスクリーンで重厚的にドラマに仕上げていく事で観客の中にもリアリティを持たせて引き込ませているのが良い(それって実はむちゃくちゃ高度な事やってないですか?!)。もちろん今作にも映画的なシークエンスも多く、作品美術がこだわられているのは有名ですが監督自身の美的センスが光りまくっている印象を受ける。尚且つ、物語や場面に無駄が無くダラダラと長くなる事を避ける尺で本当にソリッドで素晴らしい。女とオカマでスナック菓子を食べながらパーティするシーンが無駄に楽しそうだったりするのも素敵だった。やっぱり"ちょっとヘン(敢えてこういう表現をします)"な登場人物たちの物語の方が好きだな、と改めて思った。それを作品にまとめ上げる監督に脱帽。

 

・間違えられた男 (原題:THE WRONG MAN) - 3.6/5.0 (U-NEXT/2020.8.19)

監督:アルフレット・ヒッチコック。1956年。フィルモグラフィー上で「めまい」後「サイコ」前にあたる今作。カメオ出演はほぼしないヒッチコックがオープニングに登場し、"これまでの作品とは違い、実話です"という事を告げ、違うテーマで描いている事を示します。【誤認逮捕】がテーマ。途中まで淡々と進んでいくな~と思いきや中盤に"誤認逮捕されて狂ってしまったのは本人ではなく奥さんの方"という何とも恐ろしい話に展開。お、これは良いぞどうなるんだと思って観ましたが最終的には一家は何とかなりましたエンディングでちょっと拍子抜け。まあそれが実話らしさであってイイのかなとは思います。「十二人の怒れる男」の時も思いましたが、ヘンリー・フォンダの顔が好きではない。"誤認逮捕されて狂ってしまったのは本人ではなく奥さんの方"という風に上記しましたが、"そりゃあんだけ何言われても何にも分かってなさそうなスットボケ顔してる奴なんだから何にも考えてなかったんだろうむしろそっちのが恐怖だよ"と思った。

 

・パブリック 図書館の奇跡 (原題:The Public) - 3.6/5.0 (伏見ミリオン座/2020.8.18)
監督脚本:エミリオ・エステヴェス。2018年製作、日本公開2020年。極寒の米シンシナティでシェルターに入れなかったホームレス集団が図書館を占拠して...というお話。根深く残る貧困格差によって行き場を失う人達が辿り着く場所(実際に近年増加しており社会問題にもなっているらしい)、そして市民としての権利を与えられている場所図書館。図書館スタッフも実は元ホームレスで共に抵抗をする様は、一見すると重たくなりそうな所を時折挟まれるコメディタッチを交えながら軽快に進行していく。観ていて若干長尺に感じられたがそうやってジワジワと広げた風呂敷はオチのためには必要だったんだなと最後まで見ると理解。丁寧に作られているしあくまでエンタメ作品として見せようとするエミリオ・エステヴェス監督の手腕が光った。"公立図書館が身分関係なく平等に知識や情報を取り入れる事の出来る施設であり人々はその権利がある"という事は知っていた様でよく意識していなかった部分でもあり、日本とアメリカでは確かに似ている様で違う存在感なんだなと感じる。公立図書館が開かれて文化や人権を保持し広げていく役割を担っているという事が一つ勉強になった。

 

・クラッシュ (原題:Crash) - 3.3/5.0 (U-NEXT/2020.8.17)

監督脚本:ポール・ハギス。2004年製作、日本公開2006年。アカデミー賞作品脚本編集賞。様々な人種や地位の人々が事故をきっかけに関わりを持っていき、最終的にはなんとなーくうまく交わるという何ともファンタジーな作品。何をどうしたいのかイマイチよく分からなかったというか何も残らなかった。いろいろと都合よく行き過ぎな部分ももちろん沢山ある。映像自体は映画的な画面も多くて楽しめた。話にノレなかったかな。作品内での時間経過が36時間と短いながらも様々な登場人物の時系列とか感情とかを入り乱れさせながら着地させていく様は普通に上手だったし、タイトルの"クラッシュ"も、普段ならば交わる事の無い人達が"事故の時は"交わってしまうという意味合いだったり、それ自体が"事故"なんじゃないかという皮肉めいたスタイルはわりと良いなと感じる。

 

・風立ちぬ - 3.1/5.0 (Blu-ray/2020.8.16)

監督脚本:宮崎駿。2013年。ジブリ強化月間という事で鑑賞。当時劇場で見たはずだが記憶が無い。最初から最後まで山もなく盛り上がりもなく、オチも無く何だか非常に微妙な作品だった。基本的には"飛行機作り"の前後談(後日のゼロ船の事も)、と二郎と結核娘の恋のお話が平行して描かれているのだが、これがうまく無くなんの感動もなかった。あくまでそういう魅せ方をしている作品なのにこれは致命的では無いのか。"商業映画だから恋模様の部分は付けなきゃいけなかったのかも知れないよな~これだと"と思わせるくらいなら描かなきゃいいのにと思ってしまう。"そこじゃない"と言うのなら中途半端すぎだろう。シークエンスに関してはこれまでの駿描写よりもより内向的で妄想っぽくてイメージっぽい(頭の中の様な)カラフルで良いなあと感じる部分も多かったし、飛行船を見せる時にスクリーンが開けていく様な描写は"これこそ映画体験!"と思う様な素晴らしいシーンだった。そういう箇所がいくつもいくつもあっただけに内容の薄さ(というか中途半端さ)が何だか非常に残念だった。

 

・オデッセイ (原題:The Martian) - 3.6/5.0 (Blu-ray/2020.8.16)

監督:リドリー・スコット。2016年。遭難SFモノ。もっとシリアスでぐちゃぐちゃになりながらも何とか生還する話かなと思いきや、火星で野菜を栽培したり(ワクワクした)、主人公がかなり前向きで明るいやつだったりとパワー溢れる作品だった。状況に戦慄したり、落胆したり、うまくいってガッツポーズだったり、作品内と外の感情共有が素晴らしく気持ちよく没入感高く見る事が出来た。クライマックスは超フィクション展開が待っていますが、まあ、良かった。救出決定した瞬間はもっと感情爆発してもいいだろうと思ったけれど出発前にクウウと1人涙を流すのがこの主人公の美学なのかも知れなくキャラクター描写も◎。皆さん仰られておりますが、ラストの"質問ある人~"全員手を挙げるからのエンディング!には鳥肌が立った。エンタメ作品として、明るくパワーを貰える良い映画だった。

 

・スウィング キッズ (原題:스윙키즈/Swing Kids) - 3.9/5.0 (DVD/2020.8.15)

監督脚本:カン・ヒョンチョル。2018年製作2020年日本公開。コロナの関係で上映期間が結構短くなってしまったのかな確か。ようやく鑑賞。最初結構構えて観ていたがすぐに"あ、わりと気軽に見れるようにしてるんだ"と、きちんと敷居を低くでもブレずに作っているのを感じられる。タップダンスの上達っぷりとか時間経過が分かりにくいというかあまり描いていない部分や気になる点はいくつかあります("Fucking Ideology"なんてタイトル言った時点で公演中止だろう)が、笑える要素もありながら(キム・ミノ演じる中国人ぽっちゃりダンサーの画での笑い力)、当時のシビアな状況も観客に把握させていく作りはうまかった。実はサムシクが黒幕で米軍暗殺を目論んでいたり、ギスの兄貴がアニメ的な存在感で描かれていたりとか苦笑いな箇所もあったりしながらも最後まで興味持続を持たせるのはさすが。ラストは韓国映画らしく一筋縄ではいかず。余韻も含めて良い作品だった。

 

・シェイプ オブ ウォーター (原題:The Shape of Water) - 3.4/5.0 (DVD/2020.8.15)

監督脚本:ギレルモ・デル・トロ。2018年。やっと見られたという感じで鑑賞。アカデミー賞とか獲ってるんですね。うーん、微妙。微妙というか全然ノレなかった。まずいろいろな部分が気になってしまったし魚人との恋にはどう頑張っても感情移入出来ない。魚人ビジュアルも無理だった。普通に気持ち悪くないすか。ちょっとググってみると"同性愛とか様々な差別がある中で人間と魚人の恋も同じなんだよ"的な方向性らしいのですが全く理解できない。"いや違うだろ話が"と言いたい。ここまでファンタジーに振り切った内容でそこを結び付けて観られる様な寛容性が無かった。部屋を水槽の様にして抱き合うクライマックスのシーンも"トイレが汚いな~うわあ~"とかそういう事が気になって全然感動どころではなかった。個人的なそういう潔癖部分を除いても"どうなの?!"という映画でした。全然良くないでしょコレ。

 

・インテリア (原題:INTERIORS) - 3.3/5.0 (U-NEXT/2020.8.14)

監督脚本:ウディ・アレン。1978年。同監督初鑑賞。いきなりこんなベルイマンオマージュの物から入っていいのかという気もしますがそれが良いのか悪かったのか分からないがイマイチだった。というかつまらなかった。"そりゃ真似出来ないって!"と言いたい。ウディ・アレンのフィルモグラフィーを見たがあまりソソられなかったのでこれまでの縁かなとも感じる。内容が無さ過ぎてもう...。という感じでした。(完)

 

・インセプション (原題:Inception) - 3.7/5.0 (109シネマズ名古屋/IMAX/2020.8.14)

監督脚本:クリストファー・ノーラン。2010年。ノーラン強化月間IMAX再上映シリーズ。「ダークナイト」「ダンケルク」とIMAXで鑑賞したがどういう訳かは分からないがこの作品が一番集中して観る事が出来た。夢の中の話という事でフィクションラインとかそういう話では無くなって割とやりたい放題感が出ていて良かったのかも。それでも都合よすぎな部分や辻褄が合わない部分だったり言い出せばキリが無いのですが、ようやく"コレがノーランっぽさなのかなー"と思えるようになって来た。やっぱり圧倒的に映像的な面白さが特筆していて観ていて楽しかった。アクションシーンがどうこうという事もあるらしいですが個人的にはあまり気にならなかった、というかアクションシーン自体そこまで無かったような。クライマックスにかけて~ラストシーンまでという最大に重要な部分がイマイチ消化不良感のある仕上がりに感じてコレでいいのかなと微妙な気持ちに。ルール説明は長かったが結構ワクワクして観られた。

 

・クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶモーレツ!オトナ帝国の逆襲 - 3.9/5.0 (DVD/2020.8.13)

監督脚本:原恵一。2001年。89分。劇場版クレヨンしんちゃん初鑑賞。2020年に初めて見る人の短文評。中盤まではどうかなーという感じで見ていましたが、後半にかけての盛り上がりで一気に巻き返しこの点数に。まずは、テレビ版では絶対にやらないよなという映画的シークエンスがきちんと多い事、そしてテレビ版でも見る見慣れた(定番の・安心な)描写を更にブラッシュアップして映画なりに濃く見せていく手法に監督のきちんとした態度が伺えた。主人公であるシンちゃんが動く動機も彼のチャーミングさも所謂劇場版仕様ではあるがきちんとキャラクターキープされているし(劇場版ドラえもんの様な過度な"劇場版感"も無く)、結果にはちゃんと理由がある描き方をしており非常によく出来ているなと感じた。お話の内容的にもラストは誰もが"シンちゃん頑張れ!!!"と応援したくなるし胸を打つクライマックス。中盤のカーチェイスシーンが無駄に長く感じて一瞬飽きかけたが他の余りある部分で挽回しチャラ。カーチェイスを短くして85分くらいだったら素晴らしかったかも。(まあそれでも90分切りとかなりソリッドには作られているが)

 

・悪魔のいけにえ2 (原題:THE TEXAS CHAINSAW MASSACRE PART 2) - 3.3/5.0 (DVD/2020.8.12)

監督:トビー・フーパー。1986年。大傑作「悪魔のいけにえ」の続編かつ公式OMV的な。ちょっとした奇跡が起きていた1作目と比べるのが野暮なのでもう別物として捉えるんだけど、監督は同じだし、続編と言えばそうだし、という感じでとても困惑する出来。インディ魂を感じた前作が評価されて時間もお金も使えるので大衆向けにしてみようというトビー・フーパーのチャレンジ精神は評価する。コメディ路線に舵を切った(と言われているがそんなにコメディ感は感じない)結果、謎の作品に仕上がるという。きちんとしていて別に普通に楽しめるものにはなっているのですが、どうしても1を好きな身としては点数は上がらず。結構1と揃っている(揃えている)シーンも多く楽しめる。ラストシーンのチェインソー持ってダンスするのに爆笑した。"デニスホッパーのTHE チェインソー☆チャンバラ"という邦題が正しいかと。

 

・スイス アーミー マン (原題:Swiss Army Man) - 3.7/5.0 (U-NEXT/2020.8.12)

監督:ダン・クワン。脚本:ダニエル・シャイナート。2017年。先日鑑賞した「ディック ロングはなぜ死んだのか?」がかなり不発だったので"何かの間違いでは?"と思い、ダン・クワン監督の前作を。デビュー作。製作配給は同じくA24。こちらは同じくかなりシュールな路線で何といって形容したらいいのか...()というこれはこれでかなり衝撃作なんですが、"ディックロング~"とは明らかに違う面白さ。"「死体がオナラをしたら奇跡が起きた」という妄想を一目惚れした人妻の家の裏の森でストーカーしながら考えていたら死にたくなって首を吊ってみた時に観た走馬灯"映画。というのが私の考えです。死体とバディになるプロットはじわじわと面白く、フィクションラインが曖昧で終始ふわふわした内容。ラストで主人公以外にも見えるのは意外だったけれど、まあ妄想世界という事でwというくらいには甘くしたくなる面白さでした。わりと好き。

 

・遊星からの物体X <デジタルリマスター版> (原題:THE THING) - 3.7/5.0 (シネマスコーレ/2020.8.11)
監督:ジョン・カーペンター。脚本:ビル・ランカスター。1982年。権利の関係上、日本での上映はこれで最後だという事でスコーレにて鑑賞。圧倒的にグロテスクなモンスター(エイリアン?)の造形と素晴らしい撮影。最終的に建物ごとぶっ飛ばす豪快さ。などカルト的になっているのは見たらよく分かります。物語的なカタルシスは特に無いのでそういう面ではかなりB級(というと言葉が簡単だが)なのは間違いないが、これが最高の珍味として長く味わえるのは頷ける。個人嗜好で言うと話がかなりのっぺりしているので集中力が削がれたのは間違いない。もっとスピーディに展開していくと85分くらいになってしまうか。むしろそれくらいで良いような気がするくらい内容の無いストーリー部分がダラダラしていて残念だった。

 

・ディック ロングはなぜ死んだのか? (原題:The Death of Dick Long) - 3.3/5.0 (センチュリーシネマ/2020.8.10)

監督:ダニエル・シャイナート。脚本:ビリー・チュー。製作:A24。"信頼のA24作品を..."と言いたい所でしたが、A24の作品をいくつか見ていくと"あ~そうでもないのかな"と段々と思えてくるのですがその典型のパターンでした。全てが中途半端。プロット自体もどうかなという感じですが、とにかくシリアスなのか笑えるのかちょっとどちらにも転ぶことが出来ずそしてなにかにつけて中途半端な出来という。オチというか死因も別にそんなに面白くないし、主人公たちや家族が狼狽えたり怪しんだり悲しんだりするにしても何だかそんなに切迫感や切実感がある様に感じないし、そこをすべて回収する様なクライマックスの事態が待っているわけでもなかったし。ほんと全編的に"中途半端!!"が一番しっくりくるなあと強く思った。話題のA24作品だからでしょうか、劇場は結構人が入っていましたがコレは誰が見てもわりとがっかり系だったんじゃないかな。(隣のおっさんは始めからラスト20分くらいまでずっと寝てた)

 

・アイアンマン (原題:Iron Man) - 3.2/5.0 (Blu-ray/2020.8.9)

監督:ジョン・ファブロー。2008年。"デッドプールイケるなら"と推奨されて鑑賞。つまんない。CGの感じも苦手だったし、なによりも物語が幼稚すぎる。主人公は戦う相手を間違えているし、変身?自体にもワクワクしない。メカとかコンピューターとかヒーローとか大好きな"ザ・男の子"映画。少年の心を持っている大人には響くのではないでしょうか。"リアリティが~"とかは言うつもりは無いありません、別に作品内のリアリティはちゃんとあったし。描写が微妙なのとアクションシーンがイマイチだし、主人公の動機もイマイチ乗り切れなかった。

 

・この世界の片隅に - 4.1/5.0 (地上波:NHK/2020.8.9)

原作:こうの史代。監督:片渕須直。2016年。長崎原爆投下の日にNHKで放送されており鑑賞。2020年は戦後75年。改めたまた平和について考えるタイミングでもあります。物語のクライマックスは広島原爆投下(とその後)。本題に入っていく前に昭和10年からしっかりと10年間主人公すずに起こる出来事を描写してから本題に入っており観客がより感情移入出来る素晴らしいオープニングになっている。すずの得意な絵、そして絵を描く右手、大切なものを掴む右手、過去を未来を触るはずだった右手、切迫感を持って観客に届く演出は非常にアニメーション的でもあり映画的でもあるその美しい描写の数々に感服。右手を失い背景がグニャリと歪んだ画になった瞬間にはもううまく描けない(過ごせない)事をはっきりと伝える。戦中過ごした人間が突然戦争の終わりを告げられた時の戸惑いなど戦後生まれの自分たちには想像が難しく、でも絶対に大切な部分を分かり易く伝わりやすくされており秀逸だった。また、8月6日の広島原爆投下、8月9日長崎原爆投下、8月15日敗戦。そしてその後と歴史を少しずつではあるがしっかりと描写して子供でも知識としてもちゃんと学ぶことが出来る作品となっていた。素晴らしかった。

 

・ドント ブリーズ (原題:Don't Breathe ) - 4.0/5.0 (Blu-ray/2020.8.8)

監督脚本:フェデ・アルバレス。これはホラーとジャンル付けされているが、ホラーか?と思う。最高のかくれんぼ映画だった。「MAD MAX怒りのデスロード」や「アポカリプト」など"最高のおにごっこ映画"は見たことあったが"かくれんぼ映画"もあるんだ!と感動。ストーリーはあるが理解しててもしてなくても全然楽しめる内容。ひたすらイカれた退役老人とのスリルを楽しむ事が出来る一作。もちろん、"主人公たちが悪いじゃん"とか"老人そんなに悪くないじゃん"という部分もあるとは思いますが、個人的には途中までそう思っていましたがやはりそれでも明らかに人道を外れた孕ませ描写の瞬間には絶対的に"この老人は悪い奴だ"と観客に思わざるを得なかった。あれをクリアしたと思ったら次はこれと次々に難関が押し寄せるストーリーはフィクションラインをギリで破綻させない超絶妙なバランスでグワングワンとぐらつきながらも最後までハラハラドキドキさせられた。最高でしょ。終盤の犬のくだりはちょっと微妙でしたがそれでも全然面白かったし"まだ終わらないんだ..."と思わせる最後の描き方も良かった。88分の作品にしてはやや冗長に感じたのは謎だったがそれだけ濃度が濃かったという事でしょうか。

 

・はちどり (原題:벌새) - 3.6/5.0 (名古屋シネマテーク/2020.8.7)

監督:キム・ボラ。2020年。話題のこちら。先日1日の日に観に行ったら満席で入れずでしたが平日14時という微妙な時間に行ってもほぼ満席(夜の回もあるにも関わらず)。"あーこりゃ1日に入れるわけないわ"と思いながら鑑賞。監督初作品という事でした。まずは映像が綺麗だし、画で情報を伝えていくのは非常に映画的だし、演出も気が利いているし、主演のパク・ジフの演技、存在感も含めてとても良かったのですが、(先日見た"WAVES"とかも同じなんですが)話がどうにも合わず。でなかなか大変でした。言ってることの大切さはよく分かるんですがイマイチ自分自身が没入していく事が出来ず。違う作品が早くも観てみたいなという感想。お話部分と出番少ないのにも関わらずイマイチな音楽以外はむちゃくちゃ良かったと思います!!!あと長い。

 

・ハニーランド 永遠の谷 (原題:Honeyland) - 3.5/5.0 (伏見ミリオン座/2020.8.5)

監督:タマラ・コテフスカ、リュボミル・ステファノフ。2020年。水も電気も無い地帯ではちみつを採りながら暮らす一人の女性と、彼女に介護される寝たきりの盲目の母。そして、その隣のDQN大家族。3年以上/400時間以上掛けて撮影したドキュメンタリー作品。膨大な映像から物語を紡いでいき、季節の移り変わりと母の老衰と共に描かれていく。ドキュメンタリーと言えどもきちんと立派過ぎるストーリーが紡がれており物語としても楽しむ事が出来る。蜂の羽音、風の音、動物たちの声、人工物の音の無い世界。映像も美しく満足度もあったのだが、一体この話を誰が何のためにやっているのかがよく分からず"何を見ているんだろうコレは"状態に途中陥ってしまい、集中が途切れたりもした。見終わっても"ん~で?"という感想が出てきてしまい、ジャンル映画の難しさを知る。

 

・めまい (原題:Vertigo) - 4.0/5.0 (DVD/2020.8.5)

監督:アルフレッド・ヒッチコック。1958年。いよいよヒッチコック「めまい」。62年も前の作品なんですね。やはりこうして2020年に観ると若干というか色々と突っ込みたくなるところはありますが、58年当時にこういった切れ味鋭すぎる作品を残している事に驚愕。美しく、気味が悪く、モラルにも直結するようなラブストーリー。素晴らしかった。中盤の悪夢演出や、階段のめまいシーンなど目の醒める様な描写がクール。いくつも描かれる背景合成は大林ファンとしては歓喜せざるを得ないが、これ58年にやってたんですねすごい。自殺だけに終わらず(その時点ではわかってないけど)飛び降り女に似た女を見つけ執拗にそれこそ異常に昔の女の面影を求め重ね合わせていく後半の主人公の描き方の濃度にクラクラ。ラストはまさかの真相を突き止め真に迫っていく内容で予想を裏切られた。ラストシーンで飛び降りてバスッと終わりってのが若干うーんとは思いますが、今まで見たヒッチコック作品はそんな感じだったのでこれは色なのでしょう。お話って感じがして段々と癖になると思う。

 

・So long ! The Movie - 3.5/5.0 (DVD/2020.8.4)

監督:大林宣彦。2013年。AKB48の30枚目のシングル「So long !」のMVとして製作された。MVを依頼されたのに楽曲とはほぼ関係ない「この空の花~」の続編?(姉妹作?)として1本の中編映画(64分)を作り上げてしまった。撮影期間は3日間。いろいろと素材が少ない故か、合成&編集荒業が炸裂しまくっておりこれまた様子のおかしい珍品となっている。話は「この空~」に絡ませながら、東北大震災からの復興を強調した作りに。被災地訪問をしているAKBとタッグを組んで何かやるならばやはり東北の復興の力になるようなものをと監督が考えるのは当然で、"AKBのMVかと思いきやAKBを素材に大林監督が好き勝手映画を作った(金も秋元が出してくれるし)"という、作れるならば何でもいい状態なのがなんとも頼もしい。「この空~」にはなかった編集技工もさることながら本当に大林ワールド全開でかなり面白かった。入浴シーンが水着なのはいかがなものか問題はありますが。もちろんAKBファンには大不評だったようで、監督の思う"戦争なんて関係ないのに"という事は目の前で震災を見たはずの現代を生きるクソボケアケカスには正にその通りで、不安視する若者像はそのまま。監督の想いは届かないのであった。(当たり前体操)(アケカスバカしかいないんだから)

 

・アルプススタンドのはしの方 - 3.8/5.0 (シネマスコーレ/2020.8.3)

監督脚本:城定秀夫。2020年。何だかんだと話題になっていたのでせっかくなので劇場で。高校演劇の戯曲という事でやっぱりどうしても舞台っぽくなってしまうのは仕方ないかなとも思いつつ。若い役者たちのこってりな演技や、微妙に間延びしたタイミング、1人が何かしている時に1人がぼけーっと突っ立っている所とか、さっきまで下にいたエキストラが真横にいたりとか、気になる部分は挙げ出したら割とまあまあ有ったり、すごく予想通りの展開を見せていったりもするのですが、最終的には物語がドライブしていくスピード感と青春のちょっとイタくもあり、刹那的なあの(過去に誰もが味わった)感覚をグググっと思い出させ映画の結末と繋がっていく様子はよく出来ておりとても楽しめた。高校生が主人公という事で、若者が青春時代に頑張る姿、自分や他者との関わりで価値観や気持ちが動いていく姿を見るのはやはりグッとくる。僕らがとっくの昔に通過してしまった"もう戻る事の出来ない青春"を遠巻きに振り返るには"アルプススタンドの橋の方"はとても良い距離感だった。ミニシアターだけではなくシネコンでも多少公開されているっぽくて、コテコテの演技やベタでストレートに伝わる展開などは所謂映画ファン以外の若者やなんなら子供にもしっかりと伝わる作品だと思う。この夏休みというか夏公開作品には内容的にぴったりじゃないでしょうか。非常にスカッとした良い作品だった。とても満足。

 

・透明人間 (原題:The Invisible Man) - 3.7/5.0 (109シネマズ名古屋/2020.8.1)

監督:リー・ワネル。2020年。本来ならば"はちどり"を鑑賞しようと思い今池まで出向いたのですが、満席かつ即席も出してくず、ケチくさ!と吐き捨てて109名古屋へ。DVDで良いかなと思っていたこちらを。せっかく1日なので。基本的に"透明人間"なので見えない。から怖くないというのが自分の中には前提としてあって"ふ~ん"って感じで見ていたのですが、中盤で透明人間化している理由・スーツが出てきた時点で最後まで楽しめるのかかなり不安に。スーツには超高性能なカメラが無数についておりそれが人間を透明化させるというプロット付きで"あーまだよかったそれなら納得"という感じで気が付いたらなんだかんだ最後までわりと楽しめました。今の時代で透明人間をとなるとこういう描き方は逆にリアリティがあって良かった。いろいろとやっぱりね的な展開もあってきちんと安心して楽しめる高水準作品でした。映画館ならではの音や"そこに無いもの"が見える瞬間とか、タイミングとか音量のダイナミクスもばっちりで娯楽作品として十二分に機能するジャンル映画。

■2020年7月に観た映画

40本 (劇場、配信、レンタル、見直した作品を含む)

 

・ダークナイト ライジング (原題:The Dark Knight Rises) - 3.7/5.0 (Blu-ray/2020.7.31)

監督脚本:クリストファー・ノーラン。2012年。"ダンケルク"に続いて自宅で。せっかく"ダークナイト"まで見たのでラストもという事で鑑賞。途中までどうなる事やらと思って観ていたが最終的には何だかんだ楽しめた。そして、やっぱりヒース・レジャー演じるジョーカーがすごかったんだなと改めて思う。この作品は"ジョーカーの出てこないダークナイト"で、出汁を入れ忘れた味噌汁みたいな味だった。まあ何となくそれっぽい味はするが決定的に味(魅力的な悪役)が足りないなと。そして、ウエィンはつまんない奴だなとあたらめて思う。クリストファーノーランの作品って、脚本もおそらく結構自身で書いてると思うが、それが合わないのかもしれないなと思った。話が、会話が、なんかすごい入ってこない。

 

・ダンケルク (原題:Dunkirk) - 3.7/5.0 (109シネマズ名古屋/IMAX/2020.7.31)

督脚本:クリストファー・ノーラン。2017年。IMAXで再上映という事で109名古屋IMAXで鑑賞。基本的にいつも前情報を出来るだけ入れずに見てその後に予告編を見たり、評論を聴いたりするのだが、まずこの映画はダンケルクで起こった事件を知らないと(楽しめない訳では全くないが)導入部分がかなり不親切。いったいどういったことになっているのか何故主人公がこうなっているのかが分からないまま終始大迫力なエスケープシーンを見せられて最終的に助かって良かったね、ダンケルクスピリットを忘れるな!って感じで困惑。映像自体はすごく楽しめたし、あっという間の作品ではありましたが何も分からないまま終わってしまったのが若干残念だった。あとこのテーマ上仕方ないのかもしれないけど終始のっぺりとした内容でどうしても睡魔が襲った。

 

・海辺の映画館―キネマの玉手箱 - /5.0 (伏見ミリオン座/2020.7.31)

監督:大林宣彦。2020年。いよいよ大林監督の遺作であり最新作。点数はまだ付けられません。2度目を見に行かねばという気持ちでいまこれを書いています。正直に言って、前半は結構なとっ散らかりっぷりでまとまらないし、"これ一体どうなってしまうんだろう(ほんとに面白くなるのか?)"と思いながら見ていた。まあ段々といつもの形に落ち着いてくるのだが、いつもならばクライマックスに向けての異様なスピード感と過剰なセンチメンタリズム演出、すべてを丸く収める大団円感、そして監督ならではの映像演出で我々は訳も分からないうちに涙を流していたのですが(今作ももちろんその流れであるのだが)、どうしても過去作と比べると説得力が薄い。もちろん楽しめたのですが、それは大前提として"大林監督が好きだ""大林監督の最後の作品を受け止めたい"とかなりニッチなというか、常連さんが理解し得るものだったかなと、見終わった後は感じた。し、たぶんそれは間違ってないよなあとも思う。正直、人にはお勧めしないし、これが最後かと言われると何とも言えない気持ちにもなりますが、とにかく"監督、お疲れ様でした!ありがとうございました!"という事だけがずっと頭の中をめぐっていた。

 

・パンダコパンダ - 3.6/5.0 (U-NEXT/2020.7.31)

監督:高畑勲。脚本:宮崎駿。1972年。ジブリ見返すシリーズで勲編に移ったら、駿よりも勲の方が肌に合っているんじゃないか説が浮かび上がり、勲を中心にもう少し掘って観る事に。夜中に鑑賞したので短いやつがいいなと思いコレを。トトロ(モデル?)の様なでっかいパンダが出てきて、喜ぶと逆立ちしてパンツを丸出しにするイカレた女と遊んで結局のところ"竹藪が良い"って事が分かる作品。終始めちゃくちゃでトトロみたいなパンダの発言もギリギリ感あるし、何よりも目が怖い。そして最終的には"竹藪が良い""うわぁ~い!(逆立ちパンツぺろーん)"で、ある。狂気。そういう意味で面白い。

 

・その日のまえに - 3.8/5.0 (DVD/2020.7.29)

監督:大林宣彦。2008年。まさかの南原清隆主演。同じく主演の永作博美は心配ないのですが、ナンチャンはどうなのと思いながら鑑賞。見始めてすぐやはりナンチャンの演技は気になる...。が、大林作品の中の世界を想うとこれでもいいのではないか、むしろこれが正解なんじゃないかとすら思えて来るから不思議。ただやはりどうしても物語が進み重要な局面に来た時に"う、泣いてしまうかも"と思った瞬間ナンチャンの妙な演技を見せられるとそこでさすがに我に返ってしまうという事が起き、いまいち没入しきらず。さらにそこに輪をかけて子供たちの演技がひどい。大林映画の中に一般的な演技力なんてものは求めていないのだが、これまでの作品に出てきた子供とは明らかに違う、ヘタさ。素人さ。これはさすがに養護のしようがないよなと。もちろん監督は下手な方が好きだろうしわざとこういう演技になっているんでしょうが、これまでのオッケーラインを大きく踏み込んで越えてくる、この子供(特に弟)の演技とナンチャンの妙な演技の合わせ技ですごーく勿体ない感じに。もちろん簡単に"お涙頂戴"にしないのは大林監督だから当然だし全くそれとは別の芸術に仕上がっているので安心はしたのですが。今回はさすがに気になってしまった。それ以外の話だと、冒頭の主演の2人がむかしを懐かしみながら歩いていると昔の自分たちとぶつかるなんて演出はもう冒頭から"あ、やばい、これは大林監督のむちゃくちゃ泣くやつかも"と心構えたり、過剰な超過剰なセンチメンタリズムでクライマックスに向けて加速しまくってのラストの連打。もう素晴らしいの一言。もちろんクライマックスシーンは「この空の花~」と見た後だと、物足りなさは感じるのですが、大林監督のフィルモグラフィを知っているファンからすればこの経過さえも愛おしく、次の「この空の花~」に向かっていく歴史に震えたりもします。何度も途中で"う~ん"って思ったり"これは.."と驚いたりする大林映画ですが、やっぱり最後には大感動するし、得体のしれない映画を見たな、こんな映画ほかに無いよなと思わせてくれる監督の作品は唯一無二です。つらつらと書きましたが、個人的にはこの作品はむちゃくちゃ好きです!!

 

・平成狸合戦ぽんぽこ - 3.9/5.0 (DVD/2020.7.27)

監督脚本:高畑勲。1994年。ジブリのもう一つの顔、勲作品。駿作品をこれまで数点か見てきて個人的にはあまりしっくり来ていない現実を同じジブリ監督の高畑勲の作品ならばどうだろうと思い、「太陽の王子 ホルスの大冒険」の鑑賞予定もあったのでチャレンジしてみようという事で前日の「火垂るの墓」に続いて鑑賞。これまで見たジブリ作品の中だと一番しっくりきた。話の中身というか表現はあくまで超フィクションでありながら、超ノンフィクションな話にスッと意向していき且つファンタジーみもある終わり方をするという何とも総合点の非常に高い作品だった。ナレーションメインの我慢映画でもあるのでかなり地味にはなるのですが、監督自身も記録映画(ドキュメンタリー)だと言っているのがまさにその通りで、しかも興行収入的にも高いものになったという事が記録映画の中にもジブリの客層にも届くファンタジーさが溢れていたという証明ではないだろうか。それが出来たら最強でしょう。クライマックスのたぬき達が最後の力を振り絞って"気休め"の逆襲でニュータウンを森に戻すが...という描写も素晴らしかった。何がナウシカだ何かもののけだという感じだ。(駿アンチ)

 

・はるか、ノスタルジィ - 3.8/5.0 (DVD/2020.7.25)

監督脚本原案:大林宣彦。1992年。新尾道三部作の間に作られた作品。「青春デンデケデケデケ」よりも前に完成していたが出資の関係上、公開順が入れ替わってしまったという。珍しく大林宣彦原作。一応、原作小説がありますが映画のために書き下ろされたものになるのでこの世にも恐ろしい中年ロリコンおじさん話は監督自身が原案しているものとなります。映像としての所謂"印"みたいなものは少な目に抑えられていますが、ストーリーのウネリはこの辺りから晩年へかけて一気に捻じれこんでウネリまくる作風へと変貌していったんだなあという事が垣間見れる。映画はいつでも自問自答なんだな、作品つくりはいつでも自問自答なんだなと感じた。自身を投影して描かれた作品だからこそ、濃いものになっている。あと石田ひかりがめちゃくちゃかわいい。

 

・火垂るの墓 - 3.4/5.0 (DVD/2020.7.25)

監督脚本:高畑勲。1988年。2020年に「火垂るの墓」を初体験する大人は居ないだろうと思いながら貴重な体験。初回に観た時の年齢ってかなり大事だし、大人になって初めての体験に戻りたくてももう戻れないし。終始、兄妹の2人が可哀そうなお話だった。もっと反戦的なメッセージがガツンとクるのかなと思っていたがそれほどでもなく拍子抜け。節子が空襲で焼け死ぬくらいを想像していたので。ただ今思うと、そういう描写にせずに空腹と栄養失調、病気もあったでしょうがそういったもので衰弱していって静かに死んでいくというのがアニメ映画、ましてはジブリだと役割・責任的にはそういう着地点なのかなと思った。毎年恒例の金曜ロードショーでの放送が、近年は苦情?(お盆にこんなもの見たくない的な)が多く放送を辞めたと聞いており、"そういう目の背け方は違うだろ"と思っていたが、実際に観てみると"なるほどこれではただただ悲惨で可哀そうなだけで戦争に対するアンチテーゼというものは薄まっているな"と感じたので、わざわざそんなものを放送する必要はないよなとも思った。大衆もバカではないか。洞穴でホタルを灯りにするシーケンスや節子の死後、生前の節子が水辺で元気に動き回る描写はとても映画的だったし、美しく、胸に来るものもあった。

 

・サボタージュ (原題:SABOTAGE) - 3.3/5.0 (U-NEXT/2020.7.24)

監督:アルフレッド・ヒッチコック。1936年。ヒッチコック2作目(個人的に)。時間が微妙でどれを見ようかなと思いビースティに「サボタージュ」ってあったなあと思いながらセレクト。36年の作品なので(84年前!)仕方ない部分もあるとは思うが、まあまあだった。いやでも84年前にこれってかなりすごいのでは?とも思う。いや、そうだろう。話の内容的にオチというか終盤の展開があまり好みでは無かったのでこの点数。嫌な女だよ、ほんと。面白く集中して観る事は出来た(スゲー)。

 

・あの、夏の日~とんでろじいちゃん~ - 3.6/.5.0 (DVD/2020.7.24)

監督脚本:大林宣彦。1999年。新尾道三部作の最後作。全体的に卒倒度低め(宇多丸Ⓒ)な一作。"男の子"が主役という大林作品にしては珍しい話。画面も全体的に終始明るく、まさに男子小学生の夏休みの一つの冒険譚といった感じでサクサクと見進めていく事ができる。冒頭から中盤にかけてというか、おじいちゃんの認知症が引き起こす症状の描写にファンタジーというかフィクション的な設定ががっつり噛まされており、正直都合よすぎて"うーん"となる部分もなくはない(監督にしては珍しい)。過去に飛んでいく描写などを始め、卒倒度低めとは書いたものの大林作品に慣れている自分には、かもしれない。晩年の作品にいくつか出てきたマーチング隊とすれ違う描写が今作にも。宮崎あおいのあのシーンや、ムチムチのお姉ちゃんが出てきたりとか健全なドキドキ体験も出来る事も含めて夏休みの子供に見せるには良さそう。とか言いながら今作も泣いたのですが(信者)夏の尾道は美しいな。一度は行ってみたい。

 

・ダークナイト (原題:The Dark Knight) - (109シネマズ名古屋IMAX/M18/2020.7.22)

監督脚本:クリストファー・ノーラン。2008年。IMAXにて鑑賞。ようやくたどり着いた本作でしたが、やはり...予想通りな感想となってしまった。これ言い出したら本末転倒ですが、やはりこういうキャラクターもの?アニメもの?SF?とか超フィクションストーリーが苦手なんだなあと。苦手というか、興味があまり沸かない...という。バキバキの映像と特攻、派手なスクリーン、高解像度のIMAXならではの暗闇での描写(ドルビーとかでもそうですが)、はやはり圧倒的で楽しむ事が出来た。IMAXのでかいスクリーンで見るだけでワクワクしますね。正義とか悪とか、そういうメッセージみたいなものはすごく単純な事をめちゃくちゃシリアスにこわ~く言ってるだけの様な気がしてあまり乗り切れず。もちろん誰が見ても前作「ビギニング」よりかは遥かに良いのは間違いないのですが。個人的にはゴードン警部とジョーカーが取り調べ室の暗闇で対峙するシーンが非常に冷ややかででも熱くて最高だった。あと、タイヤの太いバイクがかっこよかった。迫力満点。

 

・22才の別れ Lycoris 葉見ず花見ず物語 - 3.7/5.0 (DVD/2020.7.22)

監督脚本:大林宣彦。2006年。埋もれがちな作品ですが、まあ埋もれてもしょうがないよねという感想。大林作品には珍しく、お話の部分の面白さが先行した。主人公の中年男性と仲の良い女性、22歳の女(娘だと後に分かる)とその彼氏、27年前の主人公とその彼女(22歳女の母)との思い出や記憶が複雑に絡まり合いながら話が進んでいくが、それを美しくもめちゃくちゃ切なく優しく見事に紐解いていく監督の手腕(ここまで"映像は地味だが話が面白かった"と書こうと思いながらキーボードを打っていたが、いやこれって演出がすごいんじゃない?やっぱり大林宣彦すげー!となってしまい、点数を替えようかとも迷ったけどとりあえずこれで行きます。クライマックスの焼き鳥屋でのシーンは思わずホロリと来てしまった。大林宣彦は、やっぱりすごい。)。

 

・ファイナル・デスティネーション (原題:Final Destination) - 3.5/5.0 (U-NEXT/2020.7.22)

監督:ジェームズ・ウォン。2001年。アトロク?か何かのYoutubeを聴いていて確か三宅監督がおすすめしていたのでチェックに入れており、90分台というサイズ感もあり時間があったタイミングで見る事が出来た。飛行機事故の寸前で予兆を見る事が出来てしまった青年が、たまたま一緒に助かった同級生数人と死に向かう運命を共にしながらサバイバルしていくという内容。死の順番が決められており、それを飛ばしてもまた順番が戻ってくるという仕掛けは多分「イットフォローズ」か何かでも見たな~と思いながら見た。こちらの方が先出。話の内容的には上記以外の事は無く進んでいく。思わず笑ってしまう死にっぷりが〇。ラストまで結局死んでいくのね、と思った。が、B級テイストだとこういうのはあるかとも思う。良いB級映画。

 

・エレファント マン 4K修復版 (原題:The Elephant Man) - 3.4/5.0 (ミッドランドスクエアシネマ/6 E8/2020.7.21)

監督:デヴィッド・リンチ。監督自らによる4K修復版。オリジナルは1981年。名作リマスターシリーズというか修復シリーズでデヴィッド・リンチの昔の作品を劇場で見れることなんてないだろうという事で劇場にて鑑賞。設備的に2Kでの上映でしたがそれでも81年の映像とは思えないくらいの鮮明さでデジタル修復はすごいなと。未観の作品でした。リンチの事を調べた時に"代表作ではあるがデヴィッド・リンチらしさは薄い"というコメント(代表作あるある)を見ていたので覚悟はしていましたが、薄い。話も当時は良かったのかもしれないが今観ると"うーん、それもちょっとどうなの?"と倫理感の変動も感じる事が出来る。劇中の有名女優がエレファントマンを使い、自分の株を上げようとするのは今も昔も変わらないかなとは思う。10人程度の入りの劇場で6割が女性客で驚く。女性2人で来ている人も。隣の席の女性が終始泣いており"この人は24時間TVとかでも泣ける人なんだろうな~そういう人でもデヴィッド・リンチの映画を見に来るんだな~"とかなんとか思った。

 

・Batman Begins - 3.5/5.0 (U-NEXT/2020.7.21)

監督脚本:クリストファー・ノーラン。2005年。いよいよクリストファー・ノーラン版バットマン。率直な"バットマン"の感想で言うと、自分が過去見たティム・バートン版の作品とそんなに変わらない。好みの話。ほんとファンタジー・ヒーロー系?が苦手だなと感じる。DCでダメなんだからマーベルとかほんと無理だろうなと思う。内容的には、まず長い。忍者?みたいな謎の集団が出てきた辺りがピークできつかった。なぜ突然そうなった?という気持ちがまとわりついて集中力のそがれ方がすごかった。ああいうの出てくると一気に萎える。意味が分からない。映像的にはもちろん89年、92年と来てるので比べにくいのですが映像はすごい。派手。嫌な感じの主人公だなと思っていたが最終的には結構男前に見えてきて良かった。話はとても分かり易く、"こういう葛藤とか出来事があってバットマンになっていったんだね"と誰が見ても分かるのは良かった。次はいよいよ「ダークナイト」。きちんとIMAXで鑑賞してみる。どうなるか。

 

・Psycho - 3.9/5.0 (U-NEXT/2020.7.20)

監督:アルフレッド・ヒッチコック。1960年。ヒッチコック作品初鑑賞。まずは何よりも劇中に付けられた音楽での緊張感の演出が際立っている。所謂SE。曲だけではなく、不穏な音、などによって心理描写していく様が暴力的かつ芸術的に映る。映像自体の画作り一つ取っても丁寧に作られている。お話は2部構成的なノリになっており、1部で早々と主人公は死ぬ。後半若干のダレを感じつつもクライマックスに向けての盛り上がり、そしてまさに"サイコ"なオチ。ラストシーンに狂気の男、母、沼の車と3つが重なり合うシークエンスは悲しくもあり不器用な今作を象徴している。95分くらいで見てみたい。

 

・Batman Returns - 3.6/5.0 (U-NEXT/2020.7.20)

監督:ティム・バートン。1992年。前作より3年。第2作。前回よりも敵役へ使う時間が多く、敵メインでバットマンがどう闘っていくのか、敵にどういうストーリーがあるのかという事がメインに語られており、ヴィラン(覚えたての単語)に命を吹き込む事で面白みが加速していくバットマンシリーズの芽吹きを感じた。途中まで前作と同じく、うーむと思いながらの鑑賞となったがクライマックスのバットマンvsペンギン男、キャットウーマンvs市長vsバットマン、と3者(4者?)の人物描写や行動で一気に見どころのスピード感を上げてくる感じが面白かった。この辺りは前作には無かったドライブ感だなあと思う。うまい。もう少し点数を上げてもいいが個人指向的にこの辺りで。でも、改めて前作も今作もよく出来ていて、さすがファンに語り継がれていく作品だけあるなとは思う。両方面白かった。

 

・凱里ブルース (原題:路邊野餐) - 3.6/5.0 (シネマスコーレ/2020.7.20)

監督脚本:ビー・ガン。長編デビュー作。2015年。シネマスコーレにて予告を見て良い感じだったので鑑賞。時間をモチーフに、川を越える事や時間などを境目に生死の世界を曖昧に揺蕩う不思議な内容。明確なストーリーは特にある様には感じず、お話的な面白さからは結構遠くにいるなと。が、後半の異様に長い長回しはブレようが揺れようがお構いなしに実直に淡々と描写していく様に監督の意思を強く感じた。(スタビライザーの都合でグワングワン歪んでいるせいもあるらしい) 画作りも非常に整理整頓されており、びっくりするような面白さは無いが静かなで念の籠ったものを観たなという感想。「ロングデイズ・ジャーニー この夜の涯てへ」という作品が評価されての今作の上映みたいなので「ロング~」も機会があれば観てみようと思う。嫌いじゃない。

 

・ポセイドン アドベンチャー (原題:THE POSEIDON ADVENTURE) - 3.8/5.0 (2020.7.18)

監督:ロナルド・ニーム。1972年。言わずと知れた乗り物パニック映画の名作。どうしても「タワーリングインフェルノ」と比べてしまったので(オープニングとかほとんど同じじゃん)、好みで言えば圧倒的に「タワー~」なので少し点数的には劣ったか。もっとハラハラする様な場面の連続かと思ったら若干の肩透かしだった。よくよく考えたらひっくり返った船の上(底)をただ目指していく映画なんだからそんなに最後にハラハラや感動は無いよなとも思う。ロゴといういかついオッサンは楳図かずおの漫画のどこかに出てきた気がする。エンディングのあっさりさに驚く。

 

・青春デンデケデケデケ - 3.6/5.0 (DVD/2020.7.17)

監督:大林宣彦。人気の高い作品らしい。所謂"大林印"的なものは若干控えめに作られており、結構あっさりとした印象(それでも異常に速いカット割りだったり変なところはふんだんにあるんですが)。主人公たちのバンド演奏シーンが本当に楽しそうにやっておりリアルさを感じた。大林監督は大好きなのだがこういう丁寧な大林作品よりももっと冒険心溢れるものの方が好み。学園祭のライブのシーンで"この曲から始まったのです"的なMCの後に来るのが"ジョニービーグッド"なのかあまりしっくりこなかった。あそこは"パイプライン"だろうと思うのは自分だけだろうか?なぜ?

 

・地獄の黙示録 ファイナルカット (原題:Apocalypse Now Final Cut) - 3.8/5.0 (ミッドランドシネマスクエアドルビー/2020.7.17)

監督脚本:フランシス・フォード・コッポラ。監督自ら再編集とデジタル修復の手を加えた再上映。かつドルビー、4DX、IMAXでという事で劇場で見るしかないでしょうという事で鑑賞。まず、画面が鮮明。思っていた以上に鮮明で良かった。前半の爆撃シーンやヘリなどの爆音もドルビーならではの立体感と音量で大満足。ストーリー自体は後半から明らかに失速、どうしたいんだろう状態に迷走()していきますが、名作たる所以かそれさえもクールに哲学的に見えて(ラストの真っ黒い画面に浮かぶカーツ大佐の語り)やっぱり名作だと唸る。どう考えても名シーンの連続で撮影当時にどういった苦労があったかは計り知れないが後世に残るものはこういうものなんだろうなと感じる。切れ味鋭く入口を置いて実は底なし沼の様な作品。上映期間内にもう一回観たい。

 

・WAVES - 3.4/5.0 (伏見ミリオン座/2020.7.16)

監督:トレイ・エドワード・シュルツ。「イット・カムズ・アットナイト」も同監督。終わってこうしてコメントを書いていて思うが、どうやらこの監督があまり得意ではないらしい、多分。登場人物たちや物語の内容、よくよく考えたら"ただのDQNの話じゃん"となってしまいどうしても没入する事が難しかった。楽曲、音響と映像の組み込み方もすごく自然で美しい形になってはいたが、個人的にはただ綺麗なだけで特にひっかかりが無く"だから何?結局どうしたかったんだろう"状態になってしまい何とも。前半ラストに向けて画面が小さくなっていき彼女が殺される。画面の縦横が入れ替わり縦長の画面から後半スタート。この時点で"お、これは横たわった彼女の瞼越しの視点で、実は死んでいなくてこれから彼女目線でびっくりするような話が展開されるに違いない!"⇒勘違いでした。その切り替わりの辺りだけレンズフレアの演出とかもありました。微妙。

 

・パンチドランク ラブ (原題:PUNCH-DRUNK LOVE) - 3.6/5.0 (U-NEXT/2020.7.16)

監督脚本:ポール・トーマス・アンダーソン。2002年。町山智浩氏による「WAVES」予習ツイートから。レンズフレアを多用した映像演出を見るために。実際にフレアによる演出が多く、色彩での表現が豊かに見られる。社会不適合の生涯童貞限界中年男が年上女に恋をし、暴力を振るう映画。映像、構図が綺麗だったのでわりかし楽しんで観る事ができたので終わった後は"あ~まあまあ良かったんじゃない?"くらいのテンションではあったが、よくよく考えてみれば結構気持ち悪い話だったなと。ああはなりたくない。(し、なる事も出来ない)

 

・アポカリプト (原題:APOCALYPTO) - 4.0/5.0 (U-NEXT/2020.7.16)

監督脚本:メル・ギブソン。2006年。最高の鬼ごっこ映画。とにかくエネルギッシュだし、ストーリーなんて無い(からこそ興奮する)し、「マッドマックス怒りのデスロード」よろしく行って帰ってくるだけのシンプルisベストな1作。追われて逃げて反撃して最後本当にやばいやつに出会ってどうでも良くなって解散。簡潔!素晴らしい。劇中のゴア描写もなかなかに気合が入っており、マヤ文明人に捕まってこれからどうなってしまうんだろう感も何されるんだろうの恐怖感もどちらもきちんと怖く、ハラハラと表現されており満足。とにかく簡単に理解が出来、脳を通さずに楽しむことの出来るエンタメ映画なので最高。夫婦と子供3人でまた新たに旅立っていくラストシーンは少し不満が残るものの、それこそこんなもんで良いでしょ感があってそれはそれで良いのかもしれない。

 

・バリー リンドン (原題:BARRY LYNDON) 3.7/5.0 (U-NEXT/2020.7.13) 

監督脚本:スタンリー・キューブリック。1975年。キューブリック「時計じかけのオレンジ」後「シャイニング」前というタイミングでの185分に及ぶ長編。皆さん特筆していますが、自然光と蝋燭だけでの撮影に耐えうるレンズやカメラを用意して18世紀の明るさを徹底的に再現した一作。衣装や美術、映像構図など、どれを取っても非常にクール。どの感想を見ても"美しいから良かった、けど話は退屈だった"という事が書かれておりますが、まさにそんな感想になってしまうかなという感じ。別に退屈とまでは思わなかったけれど確かに長かった。話が1部と2部、前半と後半で同じ登場人物の上り坂と下り坂を描いた様な、盛者必衰、因果応報、などそんな言葉が当てはまる寓話の様な内容。上り坂下り坂構造はかなり見事に描かれていたんじゃないでしょうか。後の影響を考えても改めて意味のある深い一作だなあと感じる。

 

・廃市 - 3.5/5.0 (DVD/2020.7.12)

監督:大林宣彦。1984年。小林聡美主演。福岡県柳川市を舞台に日本版ベニス映画。とにかく16mmの味が良い。静かでザーッとなった画面からは「廃市」の気分を一層引き立たせる。何とも言えないインディ臭とその瞬間にしかパッケージ出来ないものが詰まっている気が。ゆっくりと流れる川の様な静かな映画。葬式の一連のシーンの表現や、楽屋での物語の確信へと迫っていく緊張感の増し方、外し方が非常にニクく上手い。船をこぐ尾美としのりは最後の最後にあのセリフだけを話す役の方が良かったんじゃないかなと思う。小林聡美が美人役。

 

・もののけ姫 - 3.4/5.0 (ミッドランドスクエアシネマ2/2020.7.11)

監督脚本原作:宮崎駿。1997年。<一生に一度は映画館でジブリを>というリバイバル上映で「風の谷のナウシカ」「千と千尋の神隠し」に続き鑑賞。千と千尋~で若干持ち直した"ジブリだめかも病"をまたしてもぶり返す事に。ナウシカのアップデート版的な、より説得力を持ちつつ時代性も配慮して訴える部分をブラッシュアップしてストロングな表現になった印象。ですが、個人的には"で?"って感じにどうしてもなってしまう。デカい犬がしゃべり、犬と女がしゃべり、ついには半透明の黒いゴリラまでもがカタコトの日本語を話しだしたときには思わず笑ってしまった。そういう設定なんだからと言われればそうかも知れないですが、、動物と会話できるし、そもそも狼に育てられた子供って...って感じで終始没入できず。ジブリ作品はテーマとかは良いけどそれを表現するためにいつも微妙に不快なラインを越えてくるから無理なのかもしれない。まあそれもそういう表現方針だからと言われればそうなのかもしれないですが...。

 

・花筐/HANAGATAMI - 3.8/5.0 (DVD/2020.7.10)

監督脚本:大林宣彦。2017年。戦争三部作の最終作。別に続き物では無いのですが。監督自身も前2作はドキュメントで今作は映画になったと仰る通り、明らかに前2作とは異なる作風でめちゃくちゃ"反戦!"と言う事を隠す事にしつつも壮絶に色濃く反戦を訴えるメロドラマ風の作り。たぶん前作「野のなななのか」もそういう方向性だったけどああいう形になったはず。生きる事の出来るはずだった人達の無念、未来、そういったものを受け止めて私達は生きていくという事を忘れてはならないと感じる。全編を通してとにかく映像技工がすごい。技術の話ではなく、熱量の話。話の内容に引っ張られそうなっている部分と監督が最後の作品になるだろうと作っている両方が手伝って、168分間とんでもない画面になっている。主演の窪塚俊介が怪演。今月末後悔の「海辺の映画館」もかなりコレに近いものになるんだろうなと予感。

 

・トーク トゥ ハー (原題:HABLE CON ELLA) - 3.9/5.0 (U-NEXT/2020.7.8)
監督脚本:ペドロ・アルモドバル。2002年。同監督作品鑑賞2作目。「ペイン・アンド・グローリー」を見て他作もと思い食指が伸びた一作。アルモドバル作品、非常に好きかもしれない。まず画の美しさ。色彩美(カラフルさで言うとウェスアンダーソンとかも一瞬連想される。方向性は全然違うけども)と、画面からいちいちにじみ出る説得力。描写の丁寧さに驚く。話もミニマムな問題をどっしりとスクリーンで客観的に描いていく事で重厚さが増していくという姿勢で、これも映画体験的に豊かなのではないか。劇中登場人物たちの行動の是非はあるが人間誰しも綺麗ばかりではないし、醜く渦巻く欲望だって人間だろうと個人的な物語をドラマにするのがこの監督を自分が好きなところかなと思った。表現が繊細、素晴らしい。あと映画内映画が面白かった。

 

・千と千尋の神隠し - 3.6/5.0 (小牧コロナシネマワールド/2020.7.6)

監督脚本原案:宮崎駿。2001年。<一生に一度は映画館でジブリを>というリバイバル上映で「風の谷のナウシカ」に続き鑑賞。ジブリをあんまり見たことが無いという希少人類ですのでどの作品も劇場で、かつ初見。前回のナウシカ戦で惨敗を喫したので若干の不安を抱えながらの鑑賞となったのですが、あまり変わらず。2時間が耐えられず途中で何度か意識が。慌ててTSUTAYAのサブスクレンタルで補完(内容約5分)。ナウシカよりは全然納得がいくし、むちゃくちゃだなと感じる部分は無くなっていたので良かった。とにかく画が綺麗。舞台の湯屋というかあの街が夜になってライトアップされていく感じや、風景、内装、いろんなものが煌びやかに躍動的にアニメーションになっており結構感動した。これは劇場のスクリーンで見られて良かったなと思う。ただやはり人間が画面に居ないという事にリアルさを感じる事が出来ずに興味の持続が難しいのかなとも思った。内容は特段すごいとは感じなかったがまあ良かった。千尋の人間的な成長映画としても良かった。次回は「もののけ姫」にチャレンジする(懲りろ)。

 

・鉄男 TETSUO (洋題:TETSUO THE IRON MAN) - 3.5/5.0 (U-NEXT/2020.7.6)

監督脚本:塚本晋也。1986年。カルト的な人気を誇る一作。映画ファンになる前からタイトルやビジュアルは知っているくらいには有名でしょう。自分が音楽に近しいからかもしれないが。"パンクmeetsジャンク・イレイザーヘッド(テクノ風味)"という感じか。「鉄男」というだけあって劇中の鋼鉄パンクサウンドはかっこよかった。gang of fourがテレビをぶっ壊すかの様に、金属バットを楽器にしてしまうような危険さとニューウェーブな音とスクリーモ(叫びセリフか)が延々ループされてテクノ的な高揚をもたらす。トリップムービー的なといえばそうなのかな。ただ65分は長い。これなら35分くらいで良い。映画としてはいまいちかな。イレイザーヘッドの様などこか物悲しい感じや本物のキチ〇イにはやはり勝てないので。どっちを取るんだと言われれば秒でリンチ。ねw

 

・ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー (原題:Guardians of the Galaxy) - 3.6/5.0 (小牧コロナシネマワールド/2020.7.6)

監督:ジェームズ・ガン。2014年。マーベルシリーズは全く見たことないのにいきなりコレから見て良いんかいなと思いましたが、別にエンタメ映画にそんな気遣い要らないだろうという事とリバイバル上映中という事でせっかくなら劇場でという事で鑑賞。一言で言えば特段面白い事も無かった。もちろん映像は綺麗だったし音楽の使い方とかテンション上がる部分も多かったけれど、話がつまんないなーと思いながら見てしまった。これは完全に好みの話なんでしょうけれども。それでも最後まできちんと興味維持させてしっかりと見る事の出来るこの作品はすごいとは思う。

 

・野のなななのか - 3.7/5.0 (DVD/2020.7.5)

監督脚本:大林宣彦。2014年。「この空の花 長岡花火物語」に続く戦争三部作の第二弾でもありデジタル第二弾でもある今作。この空~の様な過剰な画面上の文字情報演出だったりCG交錯だったりは大幅に減り、大林さん風に言うならばだんだんと"映画"に近づきつつある一作だった。だがもちろんそう簡単にいかないのが大林作品。序盤(もしかしたらずっと?)の畳みかける様な会話間の過剰圧縮、異様なカット数、などなど何かを急き立てられるかの様な編集演出にはこれから起こりうる物語の異常さを物語るよう。キーパーソンである山中綾子(安達祐実)が出て来てからの切なさみたいなものが渦を巻いて物語と共に唸りあがっていく様は圧巻。クライマックスまで我慢して取っておいたかの様に最後は安達祐実が真っ青の空と同化。最高だった。死者も生者も一緒になって黄色い花の平原に座って話す様は"一度死んでいる身"と語る大林監督ならではの境地か。次はいよいよ「花筐」。

 

・風の谷のナウシカ - 3.1/5.0 (109シネマズ名古屋/2020.7.4)

監督脚本:宮崎駿。1984年。コロナ自粛明けの一環か<一生に一度は映画館でジブリを>というリバイバル上映。基本的に"アニメが苦手だ"という自負がありますのでこれもそれを乗り越える事が出来ず。どうしてかなーと腑に落ちず考えてみた結果、おそらく、"映画(作品、おはなし)は虚構で良いのだがリアルさを欠くのはいかがなものか"。たぶんコレに尽きる。どう見ても劇中のナウシカの言動は都合が良過ぎるし無茶と無謀を繰り返すし、本当に自分に関係する人の事を考えてるの?と言いたくなる様な行動のオンパレードだし、無根拠な自信も何か咬み心地悪いし、無茶する割には全部が都合よくうまくいくし。別にこれらの物語上の結果とかは別にそれで良いんですが、"何故そうなるか"がリアルじゃないのが気に食わないんだろうなあと思います。"作り話だから良いんだよ"と言われるかもしれませんが、フィクションの中にも(物語世界内での)リアルさは必要だろ!と本気で思う。だからアニメは好きになれないのかもしれない。ナウシカもはっきりとこのパターンでした。

 

・お嬢さん(原題:아가씨) - 3.5/5.0 (U-NEXT/2020.7.3)

監督:パク・チャヌク。2017年。「オールドボーイ」などのパク・チャヌク作品という事で楽しみに鑑賞。"エロティックサスペンス"という謳い文句に嫌な予感がしましたが...う~ん、、という感じ。別にエロでもサスペンスでもないし何だか中途半端にダラダラと時間が過ぎていった。だが本当に問題というか言いたいことはそんな事ではなく、劇中日本語を話すシーンがかなり多く出てくるのだが韓国役者がカタコトの日本語で演じているため、どうしても細部が聞き取りづらくストレスに(これを一番声を大にしていいたい)。それも手伝ってか全く集中できず。ただ、映像的には終始美しい映像が続き、非常に満足感があった。いろんなポイントが微妙にズレ合って勿体なかった。

 

・県警対組織暴力 - 3.7/5.0 (ミッドランドスクエアシネマ名古屋空港/2020.7.3)

監督:深作欣二。1975年。ミッドランドスクエアシネマが行う<東映傑作選・特別上映>という事で、任侠や渋いラインナップが並ぶ中、深作欣二監督作品のこちら。前週の「仁義なき戦い」も行こうと思いましたがタイミングが合わず。深作作品は「バトルロワイアル」以外見たことが無く今回初。タイトル通り、暴力団に癒着する警察官vs県警の皆さんという形で物語は進行。最終的には立場があろうが、結局は癒着警官は信条守り切れず何ともなオチで誰もが救われず、綺麗事にはならない内容。圧倒的な役者のパワーや今の邦画には絶対に無い迫力や気概が感じられる。ジャンル映画として任侠シリーズを突っ走った"仁義チーム"の作品をスクリーンで触れられる事ができて良かった。個人的趣味では△。

 

・北京的西瓜(ぺきんのすいか) - 3.9/5.0 (DVD/2020.7.3)

監督:大林宣彦。1989年。「異人たちとの夏(’88)」の後、新尾道「ふたり(’91)」前というタイミングで製作された日中親交劇。中盤までは"THE・大林監督の真面目なパターンのやつ"で進んでいくのですが、物語の終盤に舞台が北京に移るシーン以降の仕掛け(こうするしかなかったようですが)が大胆。解説などを読むと天安門事件(現実)に対する映画の敗北、精一杯の抵抗という事での37秒の空白。やりきれない想いはきちんと映画で返す、大林監督らしい一貫した姿勢に本当にほんとうに痺れる。もちろん中盤までの描写もすごく丁寧でいかに監督が人に対して優しくあろうとしているかがよく分かる。お父さんのした事は間違っているし、この物語はお母さんが真にすごい、んだという話。ベンガルももたいまさこも素晴らしい演技で没入して観る事が出来た。だがやはり終盤の仕掛けがこうするしかなかったにしてもやはりどうしようも無く、良い意味でも悪い意味でも印象的なシーンになってしまい作品の本質的な部分はやはり途中頓挫したと感じても仕方がないかなーとも思う。ファンなら養護しますが、なかなか難しい問題。

 

・ペイン アンド グローリー (原題:Dolor y gloria/Pain & Glory) - 3.9/5.0 (伏見ミリオン座/2020.7.1)

監督脚本:ペドロ・アルモドバル。2020年。主人公である作品内監督の自伝的な切り口で物語は進んでいく。非常に美しい色味とカメラワーク。描写ひとつ取ってもとても丁寧に作られており綺麗。映画館のスクリーンで見られるのは贅沢。(過去作を見られていないので憶測ですが)これはアルモドバル監督自身の話なんだなと途中から気が付くとグイグイと物語に引っ張られていき、劇中中盤のおっさん同士のキスシーンでは危うく泣きそうに。素晴らしい映画の特徴に"こんなシーンで泣けてしまうなんて"という場面でポロポロと泣けてくる、があると思うが今回の場合はそれは監督自身の人生だし、プライドだし、リアリティだし、悲しさだし、もう戻らない若いころの記憶だし、表現とは言え見るものに痛切に響き自身の映画監督としての矜持を強く感じた。切なくもかっこいい作品だった。予告編や広告にある"アルモドバル版ニューシネマパラダイス"という売り文句は誰が考えたんだ小一時間レベルで失礼。

 

・デッド ドント ダイ (原題:The Dead Don't Die) - 3.4/5.0 (伏見ミリオン座/2020.7.1)

監督脚本:ジム・ジャームッシュ。2020年。意外過ぎるゾンビ映画。監督の作品を数多くみているわけでは無いのでなんとも言えませんが(観ていたらもうちょっと違った感想かもしれない)、結論からいうと結構微妙。もちろん話口は丁寧だし分かり易いしどう見てほしいかもとてもよく分かる作品だったが、見終わっても、"ん~...で??"という感想しか出てこなかった。要所にクスっとする箇所も散りばめられているが(横の席で必要以上にクスッとを連発するオバサンを含め)段々とそれがより虚しくなってしまった。むちゃくちゃつまらない!訳では一切無いが、観なくてもいい。

 

・ねらわれた学園 - 3.6/5.0 (名古屋シネマスコーレ/2020.7.1)

監督脚本:大林宣彦。1981年。「HOUSE」後かつ「転校生」前という大林映画が完全開花する瞬間、その直前を捉えた一作。角川春樹から"薬師丸ひろ子でハウス的なものを"というオファーの元作られた。(言われてみればそう。)ジュブナイルSF小説の映画化なので基本的には子供も観られる様なキャッチーさと割と前後気にしない展開で作られている。冒頭から超印象的なシーンの連発で早くも大林監督の凶悪なポップさと作家性が炸裂。(原作と脚本のせいも大いにあるでだろうが)後半、物語自体がかなりトリッキーになり"SF"というにも無理な設定に突っ込んで展開されていったりなどは何とも言えないが、クライマックスの花火シーンをはじめ晩年の大林作品にも通じる様な表現姿勢がこの頃から見て取れたりと、黎明期丸出しな感じがファンとしてはグッとくるし信頼できる。大林作品を見たことない人にいきなり勧める事は出来ないがファンになってしまえば何度か見たい作品。薬師丸ひろ子がb

■「Hello! Project 研修生発表会2020 〜夏の公開実力診断テスト〜」

年に一度のお楽しみ「実力診断テスト」。

今年はコロナウィルスの関係で5月の中野での公演が中止になり、開催は無いものかと思われていましたがなんと配信で開催。ということでチケットが取れないという心配は無くなったものの、配信でこのイベントはどうなんだろうという不安の中開催されました。

 

今回のイベントで応援&注目していたのは、

・橋田歩果/One Summer Night~真夏の決心~

・米村姫良々/奇跡の香りダンス。

・西﨑美空/スッペシャルジェネレ~ション

・広本瑠璃/タチアガール

この辺り。広本ちゃんは推しメンなので言わずもがな。

 

発表会を開催できないこの半年は「ハロドリ」のおかげでかなり研修生情報を入れる事が出来たので、注目している子は沢山いたのですが選曲も合わさりこれらの子たちに注目して観ました。(このエントリーは、イベント前に書こうと思っていたのですが時間が無く開催後に書いています。)

 

結果は、以下。

■ベストパフォーマンス賞
石栗奏美(北海道)『リゾナント ブルー』

〇歌唱賞
窪田七海『私の魅力に 気付かない鈍感な人』
〇ダンス賞
為永幸音『抱いてよ! PLEASE GO ON』


・まこと賞
小野田華凜『「ひとりで生きられそう」って それってねえ、褒めているの?』
・鈴木愛理賞
中山夏月姫『涙の色』
・勝田里奈賞
松原ユリヤ『赤いイヤホン』
・宮崎由加賞
北原もも『都会っ子 純情 (2012神聖なるVer.)』

 

まずね、本当に声を大にして言いたいのは、参加して良かったねってイベントじゃないし(謎に賞が多すぎるだろ)、毎回こう"研修生歴の長い「苦労人」風()の研修生がマイナー調の曲を無難に歌ってベストパフォーマンス賞を獲る"っていうの辞めてもらえません????(飽きた)という事。

石栗奏美ちゃんが悪いわけでは無いが、「石栗奏美(北海道)『リゾナント ブルー』」という字面を見た時点で胸焼けするし、"あ~ここだろうね"と思ったし、実際そんなでもなかったのにそうなっていった感じに本当につまらなさを感じた。まさに食傷という言葉がぴったり。食傷気味ではなく、食傷。頼むよ。

 

最後のコメントでまことも言っていましたが、やはりライブでない今回の開催には緊張感が足りなかったし、盛り上がりも足りなかった。実際に実力診断テストに足を運んだことのある立場から言わせてもらえば、中野でやっている時(実際に目の前でパフォーマンを見ている時)は、もっと会場全体が"あ~これはこの子だわ"と分かる熱量や空気があるし、研修生のアドレナリンも絶対的に違った様に見えた。ライブによる投票の指針が、無い。

というと自動的に人気投票(または"ここに入れるのが実力診断テストっぽいでしょ"とか緩く流れる"みんなこれだよね?"的な全く[オタク]的なスピリットからはかけ離れた投票)になってしまっている気がする。し、そうなると"他の研修生は何のためにやってるの?"と本当に思う。

別に石栗が嫌いなわけじゃない(好きでもないですが)。何だか非常に腑に落ちない結果になったし、それも予想通りというか危惧通りだったのがつまらなかった。繰り返しますが、これがまことの言っていた真意なのではないでしょうか。それを覆すようなパフォーマンス、またはライブでは無かった研修生にも問題はあるし、そうメンバーたちに言いたかったのだと思う。まこと以上に研修生を客観視してきちんと愛情持ってみているステージ上の人間はいません。過去のまことのステージ上のMCの内容からみても。

 

冒頭にも書きましたが、これまではチケットが手に入らなかったこのイベント。基本的には"見たかったら定価以上で入る"状態になっていたものが崩され、会場外にいても定価の熱量で投票が出来るようになった。しかも画面の前で。「何としてでもチケットを手に入れてきた2000人」と「なんとなーく"今研修生アツイから()!"と言って配信を見ている4000人」の投票では、結果はもしかしたら変わっていたかもしれない。

 

結果に文句が言いたいわけでは無く、投票自体にあまり納得できないなと。今回面白くなかったなと本当に思いました。

もう二度と配信でやらないで欲しい。

 

 

最後に、良かった人と自分が投票した人について書いておきます。

まずは投票内容。私は、

窪田七海/私の魅力に 気付かない鈍感な人

に投票をしました。期待はしていなかったし、正直あまり好きではないメンバーでしたが、これは納得の出来でした。

まず出てきた瞬間のシルエット。絞る事が絶対的に良しとは言いませんが、見た瞬間に努力が分かるシルエット。説得力が増す。そして歌も安定していたし、何よりもダンスのリズムの感じ方や跳ね方が非常にフレッシュかつ正確で良かった。歌に気を取られるのか、ダンスに気を取られるのか、表情に気を取られるのか、飛び道具に気を取られるのか、実力診断テストの研修生は何かに偏ってしまうものです。今回の窪田の内容は、どれに偏ることもなくどれも高水準でクリアし安定的なパフォーマンスを見せていたし、(ルックス以外)意外性があった。選曲も良い。ライブの熱量もあった。最高でしょう。こういう女の意地を見たいのだ。

 

そして、良かった人。

橋田歩果/One Summer Night~真夏の決心~

橋田は、歌の安定感と何よりも活舌の良さに驚いた、これは本当に。音符の数も多くて細かく速いこの曲でも持ち前のおっとりした歌声と丁寧な音程でしっかりと歌い上げていてめちゃくちゃ良かった。直前まで投票候補でした。声色も歌い方も今のハロー!には居ないタイプなので是非ともデビューして欲しいし、これからが非常に楽しみな子だなと思う。早めに若いうちにデビューさせましょうね、事務所様。

 

平山遊季/Come with me
すごく研究した来たのがよく分かった。あと、れいれい好きなんだろうなとも思った。歌が若干不安な部分はあったがそれは改善されていくし、歌に根性あったのが何よりも良かった。ハロー!的なルックス、スタイルも含めこの子はきっとデビューさせてもらえる気がするので続けてほしい。もっとルックスも良くなりそう。


山田苺/SHALL WE LOVE?

そして、山田苺ちゃん。ぶっちゃけかなり苦手な部類の子なのですが今回はめちゃくちゃ良かった。前回からの成長が一番見られたのではないでしょうか。曲を見た時点での"あちゃ~..."感を最大級に裏切ってくれた。歌も良かったしダンスも良かった。これまでって結構かわいいとか明るいとかそういう路線の曲でチャレンジしていた様な気がするのですが、今回この路線に舵を切って大正解だったのでは。とても良かった。

 

 

最後に、一応推しメンにも触れておきますか。。。

広本瑠璃/タチアガール

えー...微妙w。というか一応推しメンとなっておりますが、船木結以降に明確な推しメンがいない私は"一応推しメンを設けた方が楽しく見れるんじゃないかシステム"を導入していますので推しメンという形にはなっておりますが。。高校生だし、ね、うん(守備範囲的な意味で)。まあ、研修生歴で見るとしょうがないかなという感じもしますが、広島アクターズ枠だと思うとかなりアレだしちょっと幼い路線過ぎるし、スマイレージが最高なのは同意なのですが、、、頑張ってくれ!!!としかコメントしようがないですねw引き続き応援します!!

 

というわけで、今回の実力診断テストはかなり不完全燃焼な結果にはなりましたが、やっぱり研修生は楽しい!というところに尽きるかと思います。

レギュラー回の発表会も、中野での実力診断テストも早く戻ってやれるようになるといいですね、と本気で思います。

うかうかしてたらみんなすぐ進級進学しちゃいますので!

 

 

■2020年6月に観た映画

28本 (見直した作品を含む)

 

・この空の花 長岡花火物語 - 4.3/5.0 (DVD/2020.6.28)

監督脚本:大林宣彦。2012年。「戦争三部作」の第一作。且つ大林監督がデジタル撮影&編集で挑んだ第一作でもある。これまでのフィルム撮影でのアナログな温かみは一旦置き、デジタルでしか表現しえない事をやってみようとチャレンジする飽く無き精神にまず脱帽。そして(受け売りですが)大林監督は2010年にペースメーカーの手術をしており"デジタルに生かされている人間ならばデジタルで映画を撮りましょう"と言ってこだわってきたフィルム撮影からデジタル撮影に踏み切ったという逸話が肝が据わってい過ぎて、もう見る前から"表現者とは何たるや"ご自身も言ってますが"アーティストとは何たるか"という所を食らわされてからの鑑賞となったわけですが、160分全編を通してこれでもかと言わんばかりのエネルギーと監督自身の作家性を強烈に、まるで1作2作目の気鋭の新人作家かのような熱量で画面を燃やす姿に本当に胸が熱くなった。映画としても、画面がまず刺激的だし、脚本も""2011年の現実"と"紙芝居上(ストーリーテリングしていく重要パート)"と"演劇でのストーリー"と3つの源流が絡まり合いながらクライマックスでウネリまくって1つ剛流地点で重なり合う様は圧巻だった。よく分からないうちに泣いていた。そして大林監督の死者と生者とのふれあい方にとてつもない優しさを感じてまた落涙。歴史の事、長岡の事、なんにも知らない自分のふがいなさにも泣き。すごくたくさんの事を教えてもらえた作品だった。大林監督は晩年にしてまた新しくも超重厚な扉を開いた。恐れ入ります。

 

・裏切りのサーカス (原題:Tinker Tailor Soldier Spy) - (U-NEXT/20206.26)

監督:トーマス・アルフレッドソン。2012年。ゲイリーオールドマン主演。(後述記載)

 

・ヒッチコック/トリュフォー (原題:Hitchcock/Truffaut) - 3.6/5.0 (U-NEXT/2020.6.24)

監督:ケント・ジョーンズ。2015年。ヒッチコックとトリュフォーの対談とこの本に影響を受けた映画監督たちのコメントを繋いだドキュメンタリー作品。ヒッチコックの映像美や先鋭性、映画界における重要度など、素晴らしい同業者たち(映画監督)からのコメントと作品内での実際の映像を絡めて証言していく内容で説得力が非常にあった。なによりも映画作品における尖り方、表現描写の突き詰め方など、ヒッチコック本人の証言もあり資料的にも良い内容だった。定期的に見たい。

 

・ナイン ソウルズ - 2.5/5.0 (U-NEXT/2020.6.24)

監督脚本:豊田利晃。2003年。「青い春」豊田監督による、青春三部作(というらしい)の第三作。主演は前作に続き松田龍平。そして原田芳雄。9人の男の脱獄ロードムービー。結論から言うと、全然面白くなかった。千原ジュニアなど役者ではない人達含め、出演者の演技は特段気になる事なく自然に見る事が出来たがもう話が面白くない面白くない。途中で見るのやめようかなと何度も思ったが何とか(終盤あまり記憶が無いが)完走。良かったのはdipの劇中音楽くらいか。冒頭、イカれた國村隼が出てきて、"おっどうなるどうなる?"と期待したのに監視に連れられてそれっきりだし、各キャラクターのストーリーも何だか薄っぺらい。し、9人て多いでしょ。まーひさびさ時間の無駄でした。(一作前「青い春」がまあ普通に良かった(それでもラストシーンのおかげだが)のに、この差は...と一瞬思いましたが、松本大洋の原作だからか。という事に落ち着いた)

 

・博士の異常な愛情 または私は如何にして心配するのを止めて水爆を愛するようになったか (原題:Dr. Strangelove or: How I Learned to Stop Worrying and Love the Bomb) - 3.7/5.0 (U-NEXT/2020.6.22)

監督:スタンリー・キューブリック。1964年。キューブリック作品4作目鑑賞。後追いなので何ともですが、"あ、これ〇〇だ"みたいな場面の連続でこの作品の影響度の高さが分かる。話の内容的には、世界史だったり戦争の事だったりが不勉強すぎるのでブラックジョークが分かりにくく"これ分かったらもっと面白いのになあ"と己の不勉強さを恨みながら鑑賞。(64年あたりは米ソ冷戦で核実験が繰り返されていたそう。)。飛行機のシーケンスだったり、戦場と会議場の対比、闘う現場陣としょうもない会議を繰りかえす軍人とのカットの目まぐるしい交差はスリリングで面白かった。結局、水爆投下からの皆殺し装置の発動ときっちりと(映画の中で)落とし前をつけるキューブリックに痺れる。

 

・異人たちとの夏 - 3.6/5.0 (U-NEXT/2020.6.22)

監督:大林宣彦。1988年。某ラジオの「大林監督作品総選挙」なるもので10位内にランクイン、"見やすい"と表現されていたので逆に"見やすい"が気になって観る優先順位をすっ飛ばして鑑賞。"なんか世にも奇妙な物語みたいな話だな"という感想。しかしながら大林作品独特の切なさや寂しさみたいなものは隅から隅まで充満していて良かった。感動的な家族でのすき焼きシーンの直後にスプラッター展開を見せるブチ壊し方には感服&爆笑。最高です。

 

・ふたり - 3.8/5.0 (U-NEXT/2020.6.21)
監督:大林宣彦。1991年。【新・尾道三部作】の第一作。死んだ姉が遺された妹の前に現れ、学校、恋愛、家族、ティーンが成長する上でぶつかる困難や問題を共に乗り越えていく話。お話自体はわりとキレイというか素直な話で美しいが、個人的には何といっても水上水族館から見る花火のシーンや校内マラソン大会での実験的な映像シーンが映画として刺激的で好きだった。映画館の大きなスクリーンで見てみたい。母親はおかしくなり(医者と??)、父親は不倫相手とどこかへ消えるし、最後は主人公ひとりというのは何とも物哀しい。若干の長尺感が否めなかったので、もう一度見てみたい。主演の石田あかりの劇中での時間経過と共に表情や仕草が少しずつ確実にたくましくなっていくのが素晴らしい。大林監督は若い女優を撮らせたら最高に上手い。

 

・ファイナル ガールズ 惨劇のシナリオ (原題:The Final Girls) - 3.6/5.0 (U-NEXT/2020.6.20)

監督:トッド・ストラウス=シュルソン。2015年。映画館が燃える映画シリーズ(無いシリーズ)として鑑賞。プロットが非常に面白いが、映画の中に入ってからのストーリーの広がりに若干の失速感が。コメディなのでそう思って観れば別にこんなものかとは思えるのだが、もうちょっと実のテーマ部分をくっきりと描き切って欲しかったなという感想。ゴールはもちろんいいのだがそこにたどり着くまで(これでいうところの映画に入ってからファイナルガールになるまでの間)をもう一山欲しかった。でも全体的にはわりと面白かった。90分ほどのサイズ感もGOOD。

 

・さびしんぼう - 3.7/5.0 (U-NEXT/2020.6.19)

監督:大林宣彦。1985年。尾道三部作の三作目。「転校生('82)」「時かけ('83)」と続きで公開されていると思い込んでいたが実際はその間にさらに3作挟まれての今作(’85)だと知り少し驚く。なにより84年の多作さ。というか大林監督の多作さか。前置きそれくらいで、この「さびしんぼう」は、一観するとオチがマザコン観かつ親近的世界観的でもあり、マジか...とはちょっとなるものの、よくよく考えていくとそうではないと分かるので少しだけ最後が捻じれが生まれているなという感じで。脚本自体はかなり丁寧に作られている。いろんな優しい気持ちになれる作品。大林印的な演出も少し控えめな印象で、作品全体としては非常に一般的な(オチ以外は)恋愛ものになっている、気がする。とにかく富田靖子が可愛い、という事に尽きるか。

 

・家族を想うとき (原題:Sorry We Missed You) - 3.7/5.0 (DVD/2020.6.17)

監督:ケン・ローチ。2019年。前作「わたしは、ダニエル・ブレイク」が素晴らしかったので非常に期待して待っていた一作。結論から言えば、お話自体は「わたしは~」の方が自分としてはグッと来た感じ。今作には明確なオチは用意されておらず(まあケンローチ作品は大体そうなのだが)、"これから先は自分たちで考えてね"と言わんばかりの終わり方で突き放される。車のカギを隠したのが実は妹だった事をまだ幼い本人がカミングアウトするシーンは非常に胸をうつ。が、そこがピークになってしまった感は否めなかった。どこまでもリアルに貧困問題を突きつける監督の作風はとても冷静だが、怒りに満ち溢れていてどこまでもシビアな人に思う。世界、日本もそうだけどこれからもっと深刻になっていくのだろうなとこの作品を見て改めて問題提起させられた。

 

・時をかける少女 - 3.9/5.0 (名古屋シネマスコーレ/2020.6.15)

監督:大林宣彦。1983年。代表作。劇場にて「転校生」と続けて鑑賞。解説などでも当時は最終的に「転校生」と2本立てで上映をされていたという事を読み、勝手に"当時に戻った体験が出来る!"と喜びながら鑑賞。続けて観たせいか、映画の完成度としては圧倒的に「転校生」の方が上で映画的な感動は正直あまりだったが、作品の持つパワーはしっかりと受け止める事が出来た。深町一夫の正体が昏睡レイプ犯説というのは宇多丸先生の弁だが、本当にそうだよなあと思う。エンドロールの仕掛けは多くの人が言っていることだが、鑑賞後に解説などを見るタイプなので初見時は知らなかったけれど、それでもやっぱりきちんとあのエンドロールに救われる感じは非常によく分かったし、最後の大写しになる原田知世のアップがこの映画のすべてなんだろうなあと納得できる。タイムリープをあの種明かしにしたのは何よりもアーティストに感じる。崖のシーンでクラシックがグワーッと盛り上がる部分に大林作品のキモを見た。

 

・転校生 - 4.2/5.0 (名古屋シネマスコーレ/2020.6.15/35mmフィルム上映)

監督:大林宣彦。1982年。コロナ影響後復館を果たした名古屋シネマスコーレが行っている大林宣彦監督フェア的なものの流れの中でこの「転校生」のフィルム上映は一つの目玉。本作は、セルソフトは中古DVDが多少出回っているがレンタルもVHSのみ(実質無し)、配信サイトなどでは尾道三部作でこれだけ無いという様な状況。なのでこの映画を見ること自体がレア化している状態。そこにきて35mmフィルムでの上映という事で週末の満席は同然で、それを避けて月曜日に観に行ったがそれでもほぼフルハウス。自分自身、この「転校生」という作品を見るのは初めてだった。話はそれこそモロに「君の名は」状態ですがまたそれとは全然違うこの作品にしかない1982年にしかない大林監督にしかないこの演者たちにしかない、渦の様なものがグネグネと荒巻く素晴らしい作品だった。フィルムは経年劣化し退色。全体的に赤い画面の中映画は始まった。映像自体にパワーがあるのは勿論ですが、何よりもラストシーン。中身が元に戻った相手に向かい、再び自分の名を呼びかけた瞬間落涙が。ありえない話だけど、そのありえない話を懸命に生きた中学生の溢れる思いに胸を打たれる。名作。(追記:1週間の上映期間でしたが、翌々日2度目の鑑賞にも結局足を運んだ。)

 

・ブルース ブラザース (原題:The Blues Brothers) - 3.3/5.0 (Blu-ray/2020.6.14)

監督脚本:ジョン・ランディス。1981年。コメディ映画の金字塔という事で鑑賞。率直な感想を言えば、え、これが"あの(有名な)ブルースブラザース?"。つまんなかった。40年前の作品(もちろんそう感じさせない80年代の作品も沢山ある)という事もあってかまず基本的にギャグ?コメディ描写?が見つけられかった。ものすごーくつまらなかった。そして、長い。ストーリーが無い。往年の名ミュージシャンやスピルバーグが出てきたり、名曲が劇中で奏でられたりとかそういったディティールは良かったし、音楽への愛情は感じられたしもちろんそこにテンションも上がったりはしたが、まず絶対的に基本的なストーリーが全然面白くない。そしてテンポが悪い。間延びする。これが過大評価という物ではないのか?とマジで思った。音楽という飛び道具がなければ2点台を叩き出していたであろう。オープニングとラストのパトカー山積みシーンは良かった。

 

・レヴェナント/蘇えりし者 (原題:The Revenant) - 4.0/5.0 (Blu-ray/2020.6.14)

監督脚本:アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ。2016年。まずとにかく超圧倒的な画の力。そしてディカプリオの文字通り体当たりの演技。素晴らしかった。大自然とミニマムかつ緻密な描写の交互劇は157分と長尺ではありながら映画をグイグイと引っ張っていき全く飽きる事なく最後まで見る事が出来る。ストーリー的には割と平坦な流れではあるがそこが気にならないくらいとにかく"画力"。大きな画に対抗するには血みどろになりながら草を食い、土を食い、馬の中に入ったりしないと平行で見せていけないんだろうし、何でもこいと言わんばかりのディカプリオがかっこよかった。この作品で待ちに待ったアカデミー主演男優賞を獲得したディカプリオ。そしてこの前年に「バードマン」で作品賞と監督賞を獲っていながらまたしても監督賞(作品賞は獲れなかったが)を受賞したアレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ。とんでもないすね。次回作が楽しみ過ぎる。

 

・インサイド ヘッド (原題:Inside Out) - 3.6/5.0 (Blu-ray/2020.6.13
監督脚本:ピート・ドクター。2015年。吹き替え版で鑑賞。"感情"を5つにキャラクター分けして子供の成長心理学的に描く側面と、大人でも子供でも、聖人でも悪人でも、お母さんでもお父さんでも、みんなに"個性"があるし"感情"があるんだよと非常に分かり易くかつしっかりと丁寧に教えてくれる映画。ピクサーパワー。すごい。大人としての目線で自分が見ても気付く事があるし"ああ、こういう事ってあったよなあ"と不意に胸を打つ瞬間が襲い掛かる。子供時代を経て大人になったしこれからもきっとそう。自分が自分と向き合う、自問自答は一生必要な物だなと改めて再確認。良い作品。

 

・全員死刑 - 3.4/5.0 (U-NEXT/2020.6.12)

監督:小林勇貴。2017年。金に困ったヤクザ一家が近所に住む金持ち一家から金を奪おうとするお話。結局、頭が悪く(悪い意味で)金持ち一家の人間を殺して行ってしまうのだが、いつも実行犯的に殺しをさせられるのは主人公であり(家族の中で)序列の低い間宮祥太朗演じる弟。行き当たりばったりの無計画殺人だったり人がなかなか死ななかったりする部分には現実味があるが、やっすいCGで突然軽ーい感じになったりもして、フィクションラインをぼんやりさせてくるのが面白かった。要所で挟まれる赤い画面の説明カットとか、わりとアグレッシブに仕掛けを入れていこうとする姿勢が良かった。調べてみると監督は(当時)27歳。若い才能が楽しみ。

 

・ストーリー オブ マイライフ/わたしの若草物語(原題:Little Women) - 4.2/5.0 (109シネマズ名古屋/2020.6.12/公開初日)

グレタ・ガーウィグ監督脚本作品。2020年。コロナの影響により3月公開から6月へ公開延期を経ていよいよ。109シネマズ名古屋の大きなスクリーンにお客さんは自分たち含めて6人。なんとも映画館がアゲインストな状況だと見せつけられるような客入りでしたが何はともあれ封切り日。期待して鑑賞。シアーシャ・ローナン主演、グレタ・ガーウィグ監督で若草物語。楽しみでしかない。今作は次女ジョーと三女エイミー(フローレンス・ピュー)が実家から引っ越してからの風景をメインに過去の出来事と混ぜながら映画をドライブさせていく作品。シアーシャ・ローナンの演技が非常に良いがそれよりも何よりもフローレンス・ピュー。まず7年前という設定に現実味を感じたのはとフローレンス・ピューだけだったし、そこ含め全編にわたり彼女の演技からは目が離せない印象的な演技をする。素晴らしい。自叙伝的に話自体をジョーが小説の中で書いているものとしてラストに観客に知らせる魅せ方は"人生"という重いテーマをあくまでも軽くさせてくれる役割を担っていてとても良かった。それが自叙伝であったとしても。そういうカットがあるだけで違うと思う。一点、金持ち一家(男しか出てこない)から施しを受ける一家(女しか出てこない)という繰り返される描写はちょっとどうかなとも思った。が、女性であるグレタ・ガーウィグがやっているからそこはクリアしている表現なのかなとも思う。

 

・タワーリング インフェルノ (原題:THE TOWERING INFERNO) - 4.0/5.0 (中川コロナシネマワールド/2020.6.11)

監督:ジョン・ギラーミン。製作:アーウィン・アレン。1974年。パニック映画の名作、コロナ明けのワーナークラシック上映で鑑賞。70年代のCGなんて発達していなかった時代だからこその魂の撮影、とにかく炎にしても大量の水にしても熱量がすごい。高層ビル火災からの脱出を図る登場人物たちは様々なパターンの脱出試み演出があるがどれもドキドキとさせられた。死に様もしっかりとそしてあっさりと描かれておりGOOD(しかもちゃんと子供は殺さない)。物語の興味持続も強くきちんと話が作り込まれており、純粋に面白かった。とにかく手に汗握る映画体験。劇場で見られて良かった。約2時間50分と長尺だがしっかりと人にも勧められる。アーウィン・アレンの「ポセイドン・アドベンチャー」も楽しみ。

 

・HOUSE ハウス -3.6/5.0 (U-NEXT/2020.6.10)

大林宣彦劇場用初監督作品。1977年。大林宣彦作品をそろそろ..まずは初作でしょという事でセレクト。時代的には「悪魔のいけにえ」「イレイザーヘッド」「ゾンビ」あたりのホラー映画が77-78年には流行していたそうです。大林監督もホラー映画でデビュー。ですが、ホラーというかコメディというか、とにかくひたすらにバタバタ、ガチャガチャ、ドタバタ。音楽がうるさいうるさい、演出や特撮がチープチープ。で実写とアニメが虚実あいまいに混ざり混むし、意味なく脱いでるしで最終的によく分かんない感情になるという映画。"ドタバタスプラッタお化け屋敷ホラーコメディ"という感じでしょうか。到底ジャンル分けできないパンチのあるデビュー作。もともとCM屋さんだったということでパッと引き付ける画というアウトプットが定石だったのでしょうか。話も微妙だし編集も大味だし必要ないカットの連続だしだけど憎めないひっかかる作品。嫌いじゃないです、むしろ好き。クンフー推し。尾道三部作へチャレンジしよう。

 

・AKIRA [4Kリマスターver.] - 3.9/5.0 (109シネマズ名古屋/IMAX/2020.6.10)

監督脚本原作:大友克洋。1988年アニメ長編作品。劇中の2019年が来たタイミングでの4Kリマスター版。コロナ休業明けIMAXで鑑賞。全く1秒もAKIRAに触れたことが無い人でもその名前と赤いフォルムは知っているであろう超有名作品。せっかくのタイミングなので劇場で鑑賞。だいたい何を見ても書いてあるが本当に"これが88年の作画なのか"とは私も見て思った。リマスターされているので彩度や明度、陰影など様々な面でかなり鮮やかに蘇ってはいるだろうと思うが、マスターである原画の段階でかなり綿密に作り込まれているのはサルでもわかるでしょう。音楽の宗教チックな不穏感や静寂からの爆音音楽、セリフ、過激な描写、どれを取っても刺激的な画で最高。ストーリーは大筋は分かるがしっかりと理解をしようとなるとなかなか1回ではという感じもしますが何とか食らいついていった感じ。中盤のダレやキャラクターの叫びセリフ一辺倒な部分に眠気が襲ったが(私はアニメが苦手です)、そこ以外はかなりクールな仕上がりでかっこよかった。何度か見てみたい。

 

・パシフィック・リム (原題:Pacific Rim) - 4.0/5.0 (小牧コロナシネマワールド/3D4DX/2020.6.9)

監督:ギレルモ・デル・トロ。2013年。巨大怪獣vs巨大人型ロボットSFアクションという何とも苦手なジャンルですが、4DXで再上映中という事で鑑賞。終始ドカンドカンと激しく派手なアクションが続き座席も揺れ揺れ水しぶきも飛び飛び。何とも痛快!結論から言えば結構楽しめました。かなり苦手ジャンルにも関わらず140分を長く感じさせず画面に集中させる画力はすごかった。いやほんと。かなり大きく派手な画面なんだけど、かなり緻密に練られているのは一目で分かります。観ていて"ん?都合よくないかそれ"と思う部分や脚本のアラなどはありましたがそこが本質では無いので特に気にならず。多少なりともファミリーというか、子供も見る事を前提として作れらているような気もするのでこれで良し。大きく分けて3つのバトルで出来ている話でしたが、2つ目の香港でのイエーガーと怪物の対決が最高に素晴らしかった。ハラハラもするし、勝って"うおー!"の興奮もあるし、とても良かった。全体的にかなり良かった。(自分が)苦手ジャンルのものでもしっかり見せてくれる映画は、すごい。

 

・パラサイト 半地下の家族 [モノクロVer.] (原題:기생충) - 4.3/5.0 (イオンシネマワンダー/2020.6.8)

監督脚本:ポン・ジュノ。2020年。アカデミー作品賞獲得の「パラサイト 半地下の家族」モノクロ版という事で、鑑賞済みでしたが"映画館で"と思い鑑賞。モノクロになる事で半地下家族の貧しさ、パク家のお金持ち家族の家の冷たさ虚しさの様なものがより一層ひんやりと冷酷に映し出されていた。特に、大雨が降り注ぐ庭のシーンや急いで半地下の自宅に戻ろうとして長い長い階段を下りていくシーンなどカラー版よりも静かに美しく感じた。時折、50年代の作品を観ている様な感覚に(一瞬だが)なれるのもモノクロ上映の良い所だろう。劇場で見られて良かった。2度目の鑑賞だったが話に飽きも来ず結果をわかっていても楽しめるストーリーで改めて作品の良さを感じる。眠くもならなかった。韓国映画は、ラストが何とも言葉にし難い感情を共有してくる所が好き。

 

・デッドプール 2 (原題:Deadpool 2) - 3.9/5.0 (Blu-ray/2020.6.7)
監督:デビッド・リーチ。2018年。「デッドプール」の続編。いかにも"2です!"という感じ丸出しではあったがまあまあ楽しめた。2の方が好きって人も結構いるみたいだが、個人的には前半の妄想近未来的なアクションシーンがいつになっても苦手であまりノレなかった。が、中盤以降チームを組んで護送車を襲撃に行くあたりから楽しめ、後半は派手なアクションと1とは圧倒的に違う描写でかなり楽しめた。最初からこのテンションだったらと余計に思ってしまう。ゴア描写やアクションは前作よりも過激。監督が変わるのは大きいな、と。ヘリコプターから全員で降りたはいいもののデップー以外全滅するところが最高だった。マーベル系とかSF系とかアクション系とか苦手な私でも楽しめた1はすごいし、"こういう映画の楽しみ方"を教えてくれる現代におけるジャンル映画の役割(といったら大げさだけど)をデッドプールは十二分に担ってた作品なんだなと感じる。2も良いが1の方が圧倒的に好み。

 

・ジャッキー ブラウン (原題:Jackie Brown) - 3.6/5.0 (Blu-ray/2020.6.6) 

クエンティンタランティーノ監督脚本作品。1998年。タランティーノ作品でラストの未視聴作品だったこちら。わりと初期作のため駄話パートが結構多い。こうしてフィルモグラフィを遡っていくとより感じた。主人公であるジャッキーブラウンの"誰と仲間なのか仲間でないのか誰をだまそうとしているのかサスペンス"かつ最終的には恋愛映画。だった様に思う。というように結構ぼんやり見てしまった。本筋は恋愛を描いているのは分かるのだが表現の仕方が渋すぎてあまり入り込めず。調べていくとタランティーノ流のアメリカンニューシネマという事ですが、不勉強なもので肝心のアメリカンニューシネマを私が見ていないという事態でこれから勉強します。色が突然まっ赤だったり、赤いドア、カットがじんわり変わっていくのとか(名前ありそうだけど)、ベルイマン的なものを少ない映画語彙の中では感じた。彼の作品らしいハッキリとした描写や観ている誰もが楽しめる映像からは少し距離のある作品なのかなと思う。好きかと聞かれると正直"うーん"という感じ。理解が追い付いていない、か。タランティーノはすごく好きだしすごく信頼しているのできっと自分の映画偏差値的に足りていないんだろうと思う。リベンジしたい。また、調べていくと原作的なものは別であると知り、納得。

 

・突撃 (原題:PATHS OF GLORY) - 3.8/5.0 (U-NEXT/2020.6.3)

監督:スタンリー・キューブリック。1957年。反戦、戦争の虚しさを描く。ストレートかつシンプルに"兵士が兵士である前に人間である"という事を痛切に訴えるダックス(カーク・ダグラス)の姿が強く映る。序盤の爆撃の中を兵隊が突入していくシーンなんかは57年の作品(63年前!)とは思えないほどの迫力。もちろん今ならフルCGでもっとすごい映像になるんでしょうが、そういう事ではなく画面から伝わってくる熱量を非常に感じた。また、最後の処刑シーン辺りの外感というか、基地を背景に沢山の兵士たちの行進や姿を映している画が美しかった。ラストの敵であるドイツ人の歌で涙ぐむ兵士たちの姿に戦争の哀しさを感じずにはいられない。

 

・ジョジョ ラビット (原題:JJO RABBIT) -3.7/5.0 (Blu-ray/2020.6.3)

監督脚本:タイカ・ワイティティ。2019年。評判がすごく高いのにも関わらず劇場鑑賞を逃してしまいレンタル解禁を心待ちにして当日に鑑賞。...期待し過ぎたかなという感想。綺麗な画面構成やカラフルな色味、かわいい子役や確かな演技の俳優陣、話自体もよく出来ており悲しくも面白くも楽しくも感動もする。全体的にはすごく良い。のだが、かなり定期的に挟まれるコメディというかギャグ描写がまっっったく面白くなく、そのたびに集中力をそがれ何とも言えない気持ちに。そしてタイカ・ワイティティ監督自身が演じるヒトラーと、ジョジョ(ローマン・グリフィン・デイビス、彼は最高)のやり取りの無意味さ、何を伝えたいのかさっぱり分からなさにげんなり。そしてその回数。見たくもない監督がヘラヘラ演じるヒトラーとのクソつまんないシーン、ふざけたうすら寒いコメディ描写、監督がヘラヘラ演じるヒトラーとのクソつまんないシーンの繰り返しで完全に憔悴。トーマサイン・マッケンジーもアーチー・イェーツ君も最高なのに、最終的には"コイツ(監督様)が出てくるとテンションさがるな"までなってしまいTHE END(いつもの画像)。全体的にはすごく良かっただけに何とも残念な結果に。こうなってるのまさか自分だけ?誰か教えてください!!

 

・ヤング ゼネレーション (原題:BREAKING AWAY) - 3.9/5.0 (DVD/2020.6.3)

監督:ピーター・イエーツ。1979年。自転車競技映画かと思いきや、あくまで自転車レースをツールに、18歳のアメリカ人4人組の"憧れ"や"現在の自分への焦り""自己実現へ向けて"などなどハイティーンの葛藤と青春の一瞬を描いた一作。主人公の憧れるイタリア自転車チームが地元に来て一緒にレースをする時に起こる、これまでの自分の信条を揺るがす様な挫折からの再びレースに向かい立ち直っていく姿は清々しく、スポーツ描写と相まってかなり観了感の良さがある。レースのラスト2周のワンカット映像は本物のレースかの様に手に汗握る見事な映像。オチ(なのか?)の今度はフランスかぶれになる変わり様や身代わりの早さなど"そんなもんだよなw"と最後は笑って終われる所まで安心感があって良い。女の子たちがあまり出てこず、簡単に恋愛描写に走らずに男たちの友情(団結感みたいなものはそこまででもないが..)を通じてストーリーテリングしていくのが武骨で良い。穴を掘って出来た池なのに水が綺麗でなんか良かった。

 

・デッドプール (原題:Deadpool) - 4.0/5.0 (Blu-ray/2020.6.1)

監督:ティム・ミラー。2016年。マーベルヒーロー物にあまり馴染みが無いが徐々に見れるようになってきている気がする。見れるかなーと若干不安ながらも観出したが冒頭のモロCG丸出しのアクションシーンからテンション上がる。あからさまなCGだからこそ出来るアクションや展開にベタなもの好きとして興奮。大画面で見たかった。話もかなり分かり易く、気楽に見る事が出来た。要所で出る半下ネタ下劣ギャグも含め痛快だった。ラストはしっかりと復讐を果たし満足。ついでに恋人まで取り戻しちゃって。魔改造された後の顔が言うほど酷くなく説得力に欠ける瞬間もあるが、そもそも主人公の活躍の動機自体がそんなに大きなテーマではないので細部もあまり気にならなかった。2は監督が違うがそちらも楽しみ。