■2020年5月に観た映画
46本 (見直した作品を含む)
・グレムリン (原題:Gremlins) - 3.3/5.0 (U-NEXT/2020.5.31)
監督:ジョー・ダンテ。1984年。「映画館が燃える映画」という事でチェック。実家にはグレムリンのぬいぐるみがあったくらいなので、世間的には大ヒットしていたのは間違いないのですが、改めてきちんと見るとまあ酷い。ストーリー的にも表現的にもずさんな表現のオンパレード。つまらなかった。ひどい。が、不思議と憎めないひどさで、2も見たいなと思いながら最後はPCを閉じたという。グレムリンのキャラクター自体はかわいい。
・ウォールフラワー (原題:The Perks of Being a Wallflower) - 3.6/5.0 (U-NEXT/2020.5.30)
監督 脚本:スティーヴン・チョボスキー。2013年。原作がヒットしたが映画化は難航しており主演のエマワトソンの熱烈なアピールにより実現した(ほんとか?)との事。高校生になったばかりのカースト最下位、コミュニケーションもうまくない主人公のチャーリー(ローガン・ラーマン)が自由な友人たちと出会った事で変わっていく様を描いた。よくある外国の学園青春ものまっしぐらの内容だったのですが、後半あたりから徐々に不穏な描写が増え、チャーリーの過去のトラウマ的な出来事がフラッシュバックしながら様子が変わっていくのは強烈なフックになっており、集中力を切らさずに最後まで見る事が出来た。いろんなしがらみを乗り越えて最後は先輩である友人たちを送り出し立派に残りの学園生活、または人生を過ごしていけそうなチャーリーに安心。面白かった。
・ヘイトフル エイト (原題:The Hateful Eight) - 3.6/5.0 (Blu-ray/2020.5.30)
クエンティン・タランティーノ第8回監督作品(デカデカと冒頭のクレジットでこう出て来ますw)。2016年。毎週のお楽しみとなっているタランティーノ作品。長い。会話活劇みたいなのは十八番だし面白いのは分かるんですが、個人的には何だか"らしくないな"という感想になってしまった。もちろん、脚本というか一瞬一瞬は面白いには面白いが..."そうじゃない"感が終始ぬぐい切れなかった。サスペンス、どんでん返し的な面白みらしいのですがそんなに意外性のある事もなかったし、中盤から突然サミュエルLジャクソンが推理みたいな事を初めてそれぞれが勝手に自白していってバンバンバン的な殺しになって...うーん。いまいち。70mmの撮影なのに密室なのもよく分からない。冒頭の馬車に乗っていくシーンが一番面白かった。
・BatMan - 3.6/5.0 (Blu-ray/2020.5.29)
監督:ティム・バートン。1989年。バットマンシリーズを見るつもりでまずは1作目を。思っていたよりもつまらなく話自体盛り上がりに欠けるなーと思いながら終始鑑賞。ジョーカーはこの作品ではジャックニコルソンが演じた。気味が悪いくらいハマっているとかそういった類の評を見ていたので楽しみにしていたがこちらも最後の方まであんまりな印象。ラスト死に際はすさまじく、もっと実写と絵?と混ぜたような劇描写があっても良かったのになあと思った。最終的にはジャックニコルソンがかっこよかった。「ダークナイト」までの道のりは長い。
・ニュー シネマ パラダイス (原題:Nuovo Cinema Paradiso) - 4.0/5.0 (109シネマズ名古屋/2020.5.29)
監督脚本:ジュゼッペ・トルナトーレ。1989年。イタリア・フランス作品。映画監督の主人公トトの人生を映写技師のアルフレッドとの友情を軸に、映画へのめり込んでいく幼年期、恋愛模様を描いた青年期、街を出て映画監督になった中年期の3つに分けて描いた。人生の方向性を決めたであろう存在の"映画館"と"アルフレッド"が最初から最後まで秀逸に物語の中に折り込まれており、ラストまでしっかりと根付く伏線(というか何というかもう"存在")は見事。雄大さすら感じる。ラストのシーンに賛否があったり、映写の描写こ細部に映画オタクが憤慨しているらしいですが、個人的にはどっちでもいいかな。そういう主題じゃないしという感じ。ラストシーンも遺されたフィルムを再生すると同時に二人の思い出、今生の別れがえぐる様に描かれる。フィルムに対する善悪はあるだろうが二人の関係性を描くためには関係がないからこれでいいと思う。"イングロリアスバスターズだ!"と思った(2008年)。
・デヴィッド リンチ:アートライフ - 3.5/5.0 (U-NEXT/2020.5.28)
デヴィッド・リンチ監督の幼少期から「イレイザーヘッド」製作までを本人のインタビュー、そして貼り付けアート的なものと共に振り返るインタビュードキュメンタリー回想映画。2018年。デヴィッド・リンチが如何にして芸術に目覚めていったかが分かる内容だった。本人のインタビューは貴重だし、当時の映像や自主制作作品の断片なども見る事が出来て良かった。家庭環境は(ここで語る分には)そんなに変じゃないのにとても変な作家が生まれてしまった運命の様なものを感じる。デヴィッド・リンチはいつでも一貫した芸術の方向性があるので好きだ。
・哭声 コクソン (原題:곡성) - 3.6/5.0 (U-NEXT/2020.5.27)
監督:ナ・ホンジン。2017年。次々と家族内殺人が起こる村、主人公の警察官が事件の真相を追うが自分の家族も事件に巻き込まれていってしまい...というストーリー。プラス宗教チックなテイスト。と言った感じか。あまりハマらなかった。悪魔役を國村隼が怪演。テンポ良く、構成も練られていたしドキドキを保ったまま最後まで見る事が一応は出来た。が、オチに解決感が一切無いし、ホラーなのかスプラッターなのかサスペンスなのかゾンビなのかどう見せたいのかがイマイチ分からないミクスチャー感で微妙。そして何より長い。この尺見て結末コレ?と思ってしまうのは仕方ないのでは。監督は"たった1つの解釈を定義する作品ではありません。観客が整理して完成させる映画なのです"と言っているようだが、悪?とするものの正体がぼんやりとし過ぎてて腑に落ちないし、もう少し納得というか考察いくラインを示してくれている方が好みだった。というか、謎にしとく程の話か?その必要性は?各人の演技は良かった。
・悪魔のいけにえ (原題:The Texas Chain Saw Massacre) - 3.8/5.0 (U-NEXT/2020.5.26)
トビー・フーパー、商業(?)映画初監督作品。1975年。"「真に迫った殺人の描写やそのプロットは後に数多くのフォロワーを生み、マスターフィルムがその描写の芸術性のためにニューヨーク近代美術館に永久保存されることとなった。」という伝説的なホラー映画。"だそうです。基本的に漫☆画太郎だった。漫☆画太郎すぎた。スプラッターホラーってもっと多く人が文字通り次々と殺されていくイメージなのですが、「2000人の狂人」とかこれとか、そんなに数殺されなくてそんなもんなんだなーと。中盤から終盤にかけて一番かわいい子が一人追い掛け回されてなかなか殺されなくて、捕まってからもそんなに恐怖シーンが無くダレるなーと思っていたらラストが痛快で面白かった。終わりよければ全て良し的なところが実際、ある。
・ロスト ハイウェイ - 3.6/5.0 (U-NEXT/2020.5.26)
監督:デヴィッド・リンチ。1997年。直近に観た「マルホランドドライブ」と近い構成の作品だがこちらの方が5年先。先だからか「マルホランド~」よりも分かりにくく、モヤっとした印象(そもそもリンチ作品自体がモヤっとしているが)。こちらの方が性描写が多く、奇怪描写やナニコレwと笑えて来るところが少なくなっている。そこがリンチ作品の好きな所でもあるのでいまいちハマり切れなかった。性描写されても主演(男女ともに)の顔が「マルホランド~」の方が好みなのもあり何ともアガらず。安全運転講習は面白かった。自分も夢をよく見る方なのでほんとにそのまま夢を映画にしまくってる人だよなあと思う。比べる必要性は無いのかもしれないがどうしても構造が似ているし、先に観ている分ディテール部含め、全体的にちょっと劣ってる感はいなめなかった。小人出てこないし。
・マルホランド ドライブ (原題:Mulholland Dr.) - 3.9/5.0 (DVD/2020.5.25)
監督:デヴィッド・リンチ。2002年。リンチ作品の中でも難解とされている作品。とりあえず1回見た感想は"わかんない"。確かに、わかんない。わかんないというか、繋がらない。もちろん場面場面の描写や表現が読解できない訳ではなくて、繋がっていかない。時系列はもちろん、この今観ている画面は妄想なのか現実なのか過去の事なのか、または夢の中の話なのか、名前も"あれ?この人〇〇じゃなかったっけ?的"によく分からなくなってくる。残り1時間切るくらいの辺りで"今まで見ていたのはナオミワッツ演じる主人公の夢の話だったんだな"という事は分かる。その後も"あ!これは!?"というヒントになるシーンが散りばめられているがなかなか繋がっていかない。もう1度くらい見たら分かると思う。ただ、それでも大筋のストーリーは把握できるのでその珍妙さと奇怪さ、奇抜さのバランスの取り方がすごいなーと感じた。それでもって鮮烈な描写が続くのはすごい。し、何がって、こんなイカれた内容なのに別に"普通の映画ですよ"って顔を127分間ずっと平気でしてるのがすごい。すごいぞ、リンチ。
・ジャンゴ 繋がれざる者 (原題:Django Unchained) - 3.9/5.0 (Blu-ray/2020.5.24)
監督:クエンティン・タランティーノ。2012年。全作「イングロリアス~」から内容は違うが地続きの様な作品だと感じる。"史実にもしもがあったなら"シリーズ。これはもうタランティーノの共通項かもしれませんが重大な話をシリアス一辺倒にならずに(なんなら比重を軽めに)でもしっかりと痛烈に意思表明をしつつ尚且つパフォーマンスとしても楽しく2時間30分をあっという間に感じさせられるのがすごすぎる。作品の尺が長すぎるというのは否めないがそれでもそれを余りある形でいつも返してくれる。今作は、印の様な長い駄話セクションはあまり無し。スカっと度で言うと前作の方が上回ったのでこの点数。
・Lady Bird (原題) 4.0/5.0 (Blu-ray/2020.5.23)
グレタ・ガーウィグ監督脚本作品。2018年。シンプルにとても良かった。淡々と出来事を一つずつ丁寧に描いているし、それがきちんと全て綺麗につながっているし、整った作品だなと思う。話も途中からだんだんと親目線というか、親を介してレディバードを見つめるような視点になりラストはグウゥ..となってしまった。非常に切なくも胸を打つ物語。レディバードの様に、親との不仲とか(そこまではいかなくてもバランス取れない瞬間とか)は誰しもが経験あるし、悪い事とか嘘とか、流されてしまうティーンのイタさが痛いほどに真っすぐ描かれていた。真っ当に大人になった人ならば誰もが理解してあげられることができる内容だろう。良かった。女優、グレタ・ガーウィグ作品という事で何故に彼女が監督することになったのかは調べておりませんが、普通にかなり良かったし監督としての才気ほとばしっておるので今後が楽しみだ(なと思い調べてみたら次作が「ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語」でもう納得。)。今作は自伝的なものだしそりゃ本人が撮ったら良いだろとは思うので他作品になるとどうなるのかも楽しみ。
・名探偵ピカチュウ - 3.3/5.0 (TV地上波ノーカット/2020.5.22)
監督:ロブ・レターマン。2019年。世代でありながらポケモンへの思い入れも知識も全くない状態で見たら映像がキレイな事と、ピカチュウが可愛いという事、作者のポケモン愛を感じた、くらいしか感想がなかった。"ポケモンと共存する世界があったら...(まさにゲームの世界観の話なのですが)"という面で見ると、背景や人々とポケモン達との融合具合はファンタジーで見ると非常にワクワクした。ポケモン達を見た時は"ピカチュウふさふさやんww"と草を生やしたくなったが、映画の経過と共になんの疑問も無くフサフサな事にしっくり来ている事に気付く。これって何気にすごい事じゃないですかね。ストーリー的にはつっこみどころ満載だし、ピカチュウと主人公ティムのバディ感も足りなかったし(もっとここでグイグイ引っ張ってってくれるように構成していってくれれば面白かったのに)、微妙だったけれど子供向けの作品メーカーであるロブ・レターマン的には勿論ターゲットは子供だろうしこれくらいがいいのかも。エンドロールからもポケモン愛が感じられて良かった。
・Blue Velvet (原題) - 3.7/5.0(U-NEXT/2020.5.22)
監督:デヴィッド・リンチ。1986年。デニス・ホッパーが狂ったボスを怪演。直前に観た「イレイザーヘッド」的な要素を少なからず期待してというか、構えて観たので少し拍子抜け。かなり分かり易くストレートな話で"ほんとに同じ人が作ったのか?"と言いたくはなった。所々に不穏なというか、意味あり気なカットが挟まれては来るものの"とりあえず入れました感"があり、やはりもっと振り切れたものを期待してしまった。クローゼットで見つかったと思いきやいきなり脱がされた所までは良かった。話自体もそんなにではあるがきちんと最後まで引き付ける画面は映像だったり音楽、仕掛け、の組み合わせ、バランスの良さなんだと思う。内容も普通に面白かった。メロドラマとサスペンスの謎の融合が笑えた。
・イレイザーヘッド - 3.8/5.0 (U-NEXT/2020.5.21)
デヴィッド・リンチ監督初長編作品。1978年。所謂"カルト"作品の元祖。見たい見たいと思っていたデヴィッドリンチ作品ようやく初体験。が、これはある程度彼の作品を観てからの方が良かったのかなと。内容の辻褄とかそういう世界観ではないのは当たり前で、監督の実体験を元にした悪夢をそのまま作品にしたという形らしい。もちろん全然この1本だけで映像から音楽から感じる情念がすごく、"すげー!"と思いながら終始観ていたのですが、他の作品に触れてデヴィッドリンチという作家がどういったパーソナルかを理解した上で彼の悪夢を覗き見させてもらった方がよりよくこの映像自体を感じる事が出来たのかなと思ったのである程度観てからまた観てみようと思う(感想変わんないだろ!w)。めちゃくちゃなのにスマート、かなりクレバーに感じる。
・ゾンビ/米国劇場公開版 - 4.1/5.0 (U-NEXT/2020.5.20)
ジョージ・A・ロメロ監督作品。1978年。「ナイト・オブ・ザ・リビング・デッド」から10年後。メロメ監督ゾンビシリーズ第2弾にして超碑的作品。「ナイト~」の後にはメロドラマやコメディ、感染モノ、吸血鬼モノなど作っていたようですがこの「ゾンビ」で完全に1つ"ゾンビモノ"を完成させたと言える。とにかく圧倒的な量のゾンビ(絶望感)、血しぶきの吹き飛び方(絵具みたいなやつだけど)、殺され方のバリエーション、仲間が次々と死んでいく追い詰められ方、などとにかく細かな設定が全部ハマっている。舞台がショッピングセンターだったり、コメディ的な描写、コミカルなBGMだったりと"怖い"のみの方向性で振り切りらない。ショッピングセンターを制圧した後に生身の"人間"が攻めて来てどうなるのかなと思いきや人間でもゾンビでも関係なく殺していく所と、若干長いなと思った事だけが少し気になったけれど非常に面白かった。死ぬ瞬間のゾンビたちにも表情があってイイ。
・メランコリア - 3.2/5.0 (U-NEXT/2020.5.19)
ラース・フォン・トリアー監督作品。2011年。フォントリアー鬱三部作の2作目。主演はキルスティンダンスト、監督作品にはもはや説明不要シャルロットゲンズブール。2部構成からなる本作は、1部が鬱病発症寸前の妹(キルスティンダンスト)の結婚パーティでの事件、2部が惑星衝突の不安にうろたえる姉(シャルロットゲンズブール)とその家族の終末の話からなる。1部でうろたえるのは妹/見守る姉、2部でうろたえるのは姉/見守る妹。と状況の変化で立場が逆転してしまう(精神的な理由に依る)様子を描いた。そもそも監督の鬱病治療で得たものを描こうとしているらしいのですが、観ているこちらからすると"へ~そうなんだ、大変だ"くらいにしか捉える事が出来ず、いまいち乗り切れなかった。一発でラースフォントリアーだと分かる画はさすが。
・家族ゲーム - 3.9/5.0 (U-NEXT/2020.5.19)
監督:森田芳光。代表作。1983年。松田優作主演。とある団地暮らしのよくある家庭、成績の良くない次男に困った両親は家庭教師・吉本(松田優作)をつける。次男の学校生活をメインに"家族"をテーマにそれぞれの行き違いを描いていく。84年「逆噴射家族」(に比べると今作の方が上品な作品だが)でもそうだが、この時代"家族"に対して皆がぼんやりとした不安や歯がゆさ、居心地の悪さというものを感じていたのかもしれない。私は80年代後半生まれなので自分が物心付く前、バブル崩壊に向かっていく中の不安や不安定さと共に今作の様なものを世間は感じていたのかなと思う。BGMの無い画面、松田優作の不気味な演技や、有名な横一線の食卓シーン、ラストの受け取り方、様々かなり余白のある演出がされており、鑑賞した人それぞれで受け止めてくださいねという趣旨。表現が適切かどうか分からないが、アート寄りに感じる。登場人物のキャラクターも実はかなり丁寧に説明描写(言葉ではされていない)されていてきちんと見やすい一作。
・青い春 - 3.7/5.0 (U-NEXT/2020.5.18)
監督:豊田利晃。2002年。松本大洋原作の漫画を松田龍平主演で映画化。高校新3年生になる主人公・九條と仲間たちの思春期から大人へと歩まなければならない時期故の葛藤、"何かになりたい""何かを成し遂げたい""やばい事をしてやりたい"と若き男子ならば通るであろうティーン時代の葛藤をヤンキー(ちょっと違うかも)達の生活の中で描いた。自分はそんなタイプの高校生ではなかったが、誰しもが共感する心の揺れ動きはあると思う。"手すりゲーム"に挑戦することできっと何かになれるのではないだろうかという、何処にもそして自分自身にもぶつけられない気持ちをどこに向かわせるでもなく屋上で消化する登場人物。痛い、痛烈に刺さる気持ちがある。ミッシェルガンエレファントの曲と共にヒリヒリを描かれる物語はラストまで含め、非常に切なかった。みんな弱いんだな。曲の音がデカすぎて不快だったり(演出だが)、中盤までかなりダルかったり、バイオレンスはしっかり描くべき作品なのにヌルヌルの描写だったりとか、大丈夫かコレ、と思いながら見ていたがラストに向かっていくまでの刹那感は良く、最終的には何だかんだまあ概ね良かった。
・マッドマックス 怒りのデス・ロード (原題:Mad Max: Fury Road) - 3.9/5.0 (U-NEXT/2020.5.17)
監督:ジョージミラー。"マッドマックスシリーズ"第4弾。2015年。前作から30年。映像技術はじめ様々なものが全くの別ものになった状態でのマッドマックスは、CG合成も交えたカーアクションを駆使しスタント、バイオレンス描写が過激に帰ってきた。ぬるいぬるい「サンダードーム」を経て、これでもかと原点回帰。セリフがそもそもあまり無く無声映画としても成立するほどの画面の説得力を持つマッドマックスは、やはりこうでなくちゃと言わんばかり。謎なギタリストだったり、なぜマックスはこれをやっているの?とか結構たくさん疑問点は出て来ますが、そういう事は置いといて楽しむものだろうという事にしながら鑑賞。個人的な趣味と兼ね合わせてシリーズ全体の点数をつけた。(1が一番好き)
・イングロリアス・バスターズ(原題:Inglourious Basterds) - 4.0/5.0 (U-NEXT/2020.5.16)
監督:クエンティン・タランティーノ。2009年。ブラットピット主演、第二次世界大戦の"もしも話"。後の「ワンスアポンアタイム~」でも使用された"史実にもしもがあったなら"手法はここから。史実上圧倒的な悪役として描かれ続けるナチス(またはヒトラー)を叩きのめす、シンプルな内容。歴史モノにも戦争モノにもシリアスにもならずに、2時間30分をあっという間に駆け抜けてしまう仕掛けやユーモアはさすがのタランティーノ。ユダヤ側がナチスの制服を着て酒場で会話する長尺シーンは誰が誰だか混乱しそうにもなったが、それが今回のミソでもあり"ナチの制服を脱いだらお前は誰だか分んないし、ナチの制服はかっこいいよなあ"という最上級の皮肉なのである。所々気になる点もあったが、ユダヤのナチスへの想いはラストの映画館が燃える一連のシーンで痛快なほどに伝わる。立ち上る白煙の中に浮かび上がるショシャナ(メラニー・ロラン)の笑みに戦慄。タランティーノは素晴らしいストーリーテラー。
・MAD MAX Beyond Thunderdome (原題) - 2.7/5.0 (U-NEXT/2020.5.15)
監督:ジョージミラー。"マッドマックスシリーズ"第3弾。1985年。主人公マックスは変わらず、メル・ギブソン版のラスト作。これまでのプロデューサー、バイロン・ケネディと音楽担当のブライアン・メイが相次いで急死した事もあり製作陣に変化が。エンドロール後には「バイロンに捧ぐ」とのテロップ。元々あまり評判が良くない今作、実際観てみても掴み処が無い、緊張感に欠ける、謎のストーリー展開を見せる、となかなかの出来。話自体がまず辻褄があってないし、シリーズ物なのに登場人物の一貫性の無さも気になる。"子供が出て来てみんなで乗り越えていくストーリーなんていいんじゃないか"の構想と、いろんな物が上手く纏まらずにアクションもバイオレンスも全てが中途半端になってしまった印象。どのキャラクターも間抜けに死んでいくので"これは「ホームアローン」か?"と最後の方なってしまった(ネット検索すると同じ事書いている人がいた、そりゃそうだ)。次はいよいよ『怒りのデスロード』どこまで巻き返すのか楽しみ。
・ショーン オブ ザ デッド - 3.8/5.0 (DVD/2020.5.14)
監督:エドガーライト。2004年。ロメロ「ゾンビ」を主とした名作ゾンビ・ホラー映画への細かすぎるオマージュが散りばめられたゾンビコメディ。冒頭から中盤にかけて多用される場面転換用の高速カットが好き。異様なテンションのままつっ走ってくれるのかと思いきや、中盤以降若干のペースダウンが否めない(それでも面白いんですが!)。ラストは外に出たら警察に取り囲まれ、ゾンビかそうでないか分からないまま殺されてしまう展開(「ナイトオブザリビングデッド」オマージュ)なのかなと思いきや、"ゾンビと共存しながら生きていく"という意味では本家「ゾンビ」でロメロが描いたゾンビとの共存をしっかりと描いている。サイモン・ペッグとニック・フロストのバディ映画としても最高。違う作品も見てみたい。
・MAD MAX 2 - 3.7/5.0 (U-NEXT/2020.5.14)
監督:ジョージミラー。"マッドマックスシリーズ"第2弾。1981年。主人公マックスは変わらず、1の後日談的な内容。戦争の果てに荒れ果てた世界、ガソリンを求め狂う人々の争い。基本的には"同じ様な感じ"というのが的確か。2のが断然面白い!的な意見をよく目にしたが、別に変わんない。何ならアクションシーンだけをとって観たら1に負けてる気が。"これどうやって撮ったの?"と思う様な撮影の技術的な驚きとか、よりリアルに見せるスタント陣の熱演は確かにこちらの方が優っているが、撮影しながらどんどんヒートアップした結果ヤバい映像になったのは、1では無いのかなとも思う。もちろんどちらもすごいのだが。1、2通して好きなのは1の最初の一連のカーアクションシーン。エネルギーが違う。でも映画としてまとまって良い作品になっているのはこちらの様な気もするので加点。
・MAD MAX - 3.6/5.0 (U-NEXT/2020.5.13)
監督:ジョージミラー。デビュー作且つ"マッドマックスシリーズ"の原点。1979年。警察への恨みで報復行為に走る暴走族vs主人公マックスとの闘いを圧倒的なカーアクションシーンとバイオレンス描写で描いた。79年の作品、低予算、を500周くらいカバーする熱量高い画面に気合の入ったカーアクションシーン。後に続いていくシリーズが伝説的になっていくのも頷ける初作。ただ、もっとマックスが劇的に悪者を退治しまくって"どっちが悪者なんだ!"ってなるのかなと思っていたのでそこは拍子抜け。マックス自身が手を下すシーンもあまりなく、それに引っ張られてか後半のテンポの悪さが気になった。ラストの足or爆発の選択肢はマックスの心情バリバリの名シーン。
・ユージュアル サスペクツ - 3.9/5.0 (DVD/2020.512)
監督:ブライアン・シンガー。1996年。不屈のサスペンス名作として知られる。事前に"大どんでん返しが~"なんて聞いていたもんだから構えて観てしまったのが良くなかったのか、"お~こんなもんね"という印象で終わってしまった。もちろん、最後の種明かしでクイヤンが壁の諸々を見てハッとするシーンは一旦途切れた緊張が再び一瞬でピークに達するカタルシス的なものを感じたし、カイザー・ソゼは誰なんだというドキドキもあったし、最後驚きはありましたが、ホックニーが撃ち殺されたタイミングで"あ~犯人はバーバルかな"とか、"キートンをソゼにするのは無理があるでしょ"と思って観ていたのであまり驚きは無し。冒頭の面通しのシーンはシリアスな内容とは反対的な位置にあるがだからこそ作品を印象付ける名シーンだと思う。脚本の巧妙さや、張り巡らされた伏線の回収の爽快感は素晴らしい!リアルタイムで見たら興奮したかも。
・マンダレイ - 3.4/5.0 (DVD/2020.5.11)
ラースフォントリアー監督作品。2005年。「ドッグヴィル」続編という事で鑑賞。主人公がわがまま奔放娘グレースという事以外は別に続編という立ち位置にしなくてもいいのになという内容。前作がフォントリアー節全開な内容だったが今作はアメリカの人種差別に踏み込んだ内容で"うーん、あなたに期待してるのはそういう事じゃないんだけどなあ"と。もちろんこれまでもそういった表現はあったが大きく主題に置かれてもなあという感じ。相変わらず"良かれと思って行った行為が真逆の作用を起こし大惨事になる"という酷なスタイルは健在。また、性表現⇒子供の死⇒主人公自ら殺人を侵す、を連続してものの数分(映画の中では1日くらい経っているが)で描き、観客を煽っていく姿はいつもの嫌あな感じ。それでもラースフォントリアー作品を観たくなるのは、きっと強烈かつ分かり易い表現やフック、ある意味ファンタジーに近いような精神的にキツイ描写があったりするからこそ自分の生きている感覚と対峙出来るから気持ちいいと思うのだが今回それもなくあまりなく微妙だった。「ドッグヴィル」だけ見れば十分。
・トレインスポッティング - 3.9/5.0 (U-NEXT/2020.5.11)
監督:ダニー・ボイル。1996年。就職がダメでも女性関係がダメでも赤ちゃんが餓死してもヤクは切らさないぜ!という映画(超訳)。主人公はラストでまっとうな人生を歩き出したつもりなのだが、劇中で何度も発言されていた「これで最後」というセリフが付いて回り、結局また同じような事になって命の危険にさらされたり自らの体を痛めつけたり他者を気付けたりしていくんだろうなとしか思えず、何ともなオチ。もちろんそれがこの映画の刹那的な魅力だとは思うが個人的にはイマイチ。印象的なシーンが多く、魅せ方や物語自体は非常に良いとは思うが、話自体好みかと言われると微妙なのでこの点数。
・ザ ロイヤル テネンバウムズ - 3.5/5.0 (U-NEXT/2020.5.10)
監督:ウェス・アンダーソン。2002年。「天才マックスの世界」(未見)の次、「ライフアクアティック」の前にあたる今作。ウェスアンダーソン印な映像美は健在で映像だけでも非常に楽しめる作品ではあるが、話が散らかりすぎ。どの作品を見ても割とストーリーは散らかってて集中して見てないと分かりづらい監督だなという印象は以前からあったがこの作品は特に散らかってるなあという感想。あまり入り込めなかった。登場人物のファニーさや雰囲気はいつも通り豊かで良いものだし映像も話のネタ自体も良いしで満足度はあるのだがいかんせんストーリーが面白くない。珍しく散らかりきったなという印象。
・レオン(完全版) - 3.6/5.0 (Blu-ray/2020.5.10)
監督:リュック・ベッソン。1994年。名作と言われているものの1つだがあまりピンと来ず。話や映像自体は非常に見やすく丁寧に作られていて、感動するし飽きたりとかもすることなく最後まで見れるのですが、それだけ。麻薬捜査官の一人があんなに人を殺したり大暴れ出来るの?とまずそこから気になってしまって、登場人物の行動にもどうにも都合のいい展開が多すぎて心情としてイチイチ立ち止まってしまう場面が何度もあり、不完全燃焼。ただの知的障害者のロリコン映画じゃんとなったし、やっぱりそんな奴に殺し屋出来るの?とか、いろいろ気になってしまった。ナタリーポートマンの一番かわいい年齢の瞬間を堪能できる作品としての評価はしたい。
・デスプルーフ in グラインドハウス - 4.6/5.0 (Blu-ray/2020.5.9)
監督:クエンティンタランティーノ。2007年。めちゃくちゃ面白かった。"THE END"で手を叩いて爆笑する映画がありますか?と言いたい。グラインドハウスというアメリカにあったインディ映画のパッケージ方法のパロディという所謂企画もの。と言うていですが、一切の妥協無くタランティーノが好き放題やっていて最高。ストーリーとかは特に無し。セリフもセックスの話とマニアックな70年代のスタント映画の話。を若い女が大声で延々としているという現実にはなかなかお目にかからないシーンの連続。ですが、そんな意味なんてものは必要なく終始ハイテンションでぶん回すアクション描写と痛快な編集の数々。こういうのが本当にパンクでありオルタナティブだなと思う。最高。強烈な"映画体験"。円盤のジャケットで7割くらい損してるのは間違いない。
・ライフ アクアティック - 3.7/5.0 (DVD/2020.5.8)
ウェス・アンダーソン監督作品。2005年。傑作"ファンタスティック Mr.FOX"の2作前。この辺りからストップモーション的なものだったり、断面図的なセット、徹底したシンメトリー画面など始まっていくのだなぁという印象。"ファンタスティック〜"以降が好きなので、どうかなぁと思っていたが前半はダレたが後半からグイグイと面白くなって最後は結構感動した。男同士の泥試合バディ感を描かせたら素晴らしいなと。ゲイかな?監督。でもやっぱりシニカルなコメディ表現というかピリッとしたコントみたいなノリが好きなのでもう一歩。めちゃくちゃ高い次元の要求ですが。
・KES - 3.7/5.0 (U-NEXT/2020.5.8)
監督:ケンローチ。1969年。代表作(らしい)。家、学校どこにもしっくり来る居場所が無く虚空な日々を送る主人公ビリーが1羽の鷹を見つけ愛情を注ぎながら共に暮らすが...というお話。ケンローチ作品全般的に言える事なのかもしれないが、強烈なシーンや結末だったり、物語の看板になるような"分かり易いシーン(敢えてこう書きます)"が無い分、味の濃さ的なものには繋がらず、無化調の超美味いラーメンを食べているかの様な感覚になる。優しすぎる味。労働者階級の格差だったりいわゆる制度について抗っていく表現が"ケン・ローチの味"で、いつでも優しく丁寧にしかし痛烈に現実に平手打ちしてくれている。仲の悪い兄貴と愛情の中身の無い母親に巻き込まれ、ケスも命を落としてしまうのだがケスの命と一緒にビリーの心もその瞬間死んだのかもしれないなと思った。あの先もきっとしっかりとビリーは生きていくのでしょうけれど強く生きてほしい、と願った。
・2000人の狂人(原題:TWO THOUSAND MANIACS!) - 3.4/5.0 (U-NEXT/2020.5.8)
監督:ハーシェル・ゴードン・ルイス。1964年。南北戦争をきっかけに起こるアメリカ南部北部の弔いスプラッターホラー。(終戦)100年祭に北部の人間を連れ込み殺しまくる祭を行う南部の狂人たちを描いた。ゴア描写の元祖という事で期待したがさすがに54年前の作品という事で、まあ。テンポとかね。年数の数字で見ればかなり攻めた描写なのかなという気もするが。カントリーミュージックをはじめ終始ハイテンションで殺しまくるキャラクターたちの完全にイカれた眼が最高。このテンションでザックザックと殺しまくってくれたら最高に面白かったが、仕方なし。オチ("実はその瞬間にしか存在しない場所"設定)も見終わった瞬間は、う~んという感じだったが後から考えたらまあまあ面白かったなあと思えてくる。「ミッドサマー」のネタ元も頷ける内容。他の作品も見てみる。
・レスラー - 3.8/5.0 (U-NEXT/2020.5.7)
ダーレン・アロノフスキー監督。2008年。ミッキー・ローク演じる落ちぶれた元人気レスラーのプロレスラー人生、自分の人生をかけた1戦までを描いた。いわゆる"負け犬モノ(宇多丸Ⓒ)"。ストーリー的にハラハラとかそういう部分ではない部分での魅せ方なので良いとは思うけれど、やはり自分としてはむちゃくちゃ好きかと聞かれると、普通。きちんと【落ちぶれる⇒引退をする⇒カタギの仕事は無理(パッカーン)⇒やっぱりもう一度リングへ...!】、という"負け犬モノマナー"的な段階をしっかりと描いているので入り込みやすく非常に見やすい。とここまでは普通なのだがミッキー・ロークの演技が非常に良く、体当たり感も含めキャラに没入している姿は素晴らしかった。ミッキー・ローク自身にしか見えなかった。そこに点数のほぼ全てを。"ニルヴァーナが出て来て終わった。90sはカス"は良かった。(おばさんストリッパーとの恋()とか娘との軋轢みたいなのはオマケレベル)
・パーマネント バケーション - 3.3/5.0 (U-NEXT/2020.5.6)
ジム・ジャームッシュ監督作品。大学時代の卒業制作で作られた。1980年。ジム・ジャームッシュ作品の有名なものを観る前にこれを見てしまったのでなかなか感想が難しいなという様な気もしたが、調べると大体の作風は変わらずらしいので自分には合うか合わないか微妙かもしれない。彼の有名な作品をいくつかは見てみたい。映像は気怠く若者の青春表現としては内容は正しいのだろう。刹那的な美しさもある。ファンタジーよりも実写的な方向性の方が好きなので、この"アンチドラマ"な世界観は嫌いではないが、少なからず映画に非日常を求めている部分が全く解消されず、それ以上にカバーしてくれる何かがあればなと思う。(そういう作家ではなさそう)
・ナイト・オブ・ザ・リビング・デッド - 3.7/5.0 (DVD/2020.5.6)
ジョージ・A・ロメロ監督デビュー作。1968年。デビュー作であり今や当たり前のジャンルとなったゾンビ映画の始まりの一作。"ロメロくらい見とけよ!"という事で鑑賞。2020年に観ているので(52年前!)、映像とか編集などで新しく驚く部分は無いにしても"そうそうこれこれ!こんな感じ!"と誰もが思うようなゾンビ映画のひな型をこの一作で作り切った名作であることは間違いないと感じる。ラストシーンはやるせなさが勝った。助かって欲しかったなあとか思いながら見て、全然めちゃくちゃ普通に楽しんでしまった。他のも見てみたい。
・現金に体を張れ(原題:THE KILLING) - 3.9/5.0 (U-NEXT/2020.5.6)
スタンリー・キューブリック監督ハリウッドデビュー作。1956年。これまたデビュー作であり"現ナマに体を張れスタイル(宇多丸Ⓒ)"の始まりの一作。"桐島スタイルとか言ってる場合じゃないでしょ"という事で鑑賞。2020年に観ているので(こちらはなんと64年前!)、映像とか編集などで新しく驚く部分は無いにしても、まったく集中力を切らされる事なく最後まで見切ったしなんならラストのオチを見て"かっけええ"と唸るくらいに全然めちゃくちゃ普通に楽しんでしまった。意味の有無を問わせない時系列無視の冴えた編集、丁寧に練られた脚本。各演者の演技も素晴らしい。スタンリー・キューブリック監督の歴史の始まりをビリビリと感じた。すごいぜ。
・逆噴射家族 - 3.7/5.0 (DVD/2020.5.5)
石井岳龍(石井聰亙)監督作品。1984年。小林克也演じるサラリーマンの父・小林勝国の家族の心を治す目的のマイホーム購入を機に家族に巻き起こる騒動を描いた。"自分が築いてきた家族"(またはその事象)を愛する余り、勝国は暴走を起こす。我慢の限界の末、家族もろとも破壊しようと決心。何が起きても決意がラストまで揺らがない父とその姿勢に最終的には父を信じ全員で青空の元暮らし始めるという、なんともなお話。家族が小さな村であるように教祖様(父)とその者たちという構成の"家族"というものの不気味さと人類の歴史と続く抗えなさを描いた。様に思う。その大きなテーマの前に"オカシくなった家族のためとは言うが実はイカれているのは父親だけではないのか"というフックもあるのですが、ストーリー自体は"ふーん"という感じ。構成や音響、ブッとんだ表現など、84年でと考えると攻めた内容だったのかなと思う。あくまで"邦画っぽい"、オルタナ映画の様に感じた。話がもっと面白かったら良かった。
・オールド ボーイ - 3.9/5.0 (DVD/2020.5.4)
パクチャヌク監督"復讐三部作"2作目、2003年(「殺人の追憶」と同年)。面白かった。途中までどうかなと思っていたが後半の畳みかけが凄まじく驚きの連続で一気に引き込まれた。画作りや細かい描写に拘りというか熱意を感じられ名作を言われる所以、画面からのパワーを感じる。ラストの"雪原シーンで催眠術師に消されたのはどちらの人格?"だったり、最後のプレゼントボックスに入っていた自分の家族写真のアルバムで"ミドが娘だと気づき絶望する"という復讐のオチがあるが"これってそもそも本当にそうなの?"など、鑑賞後の広がりや議論性も高く、傑作だと思う。ミドの4歳から間15年間のビジュアルのヒントが無いまま"=娘"になるのか?。ウジンが"特に催眠にかかりやすかった2人"と発言していた様に一瞬の沸点を利用したのではないか?。きっと素直に受け取るべきなのでしょうがw。可能性が多い方が面白いですね。犬になり果てるチェ・ミンシクの快演も見事。全体的に役者の演技に情念がこもっており良い。歯ブラシやトンカチなど凶器に"?"となる部分もなくはない。
・ゴーン ガール - 3.6/5.0 (Blu-ray/2020.5.3)
デヴィッド・フィンチャー監督作品。2014年。「ソーシャルネットワーク」がいまいちピンと来なかった(寝ただけだろ!)ので、絶賛されている割には心配していた。結果でいうと微妙だった。回収されていない伏線の多さ、話の都合の良過ぎさ、矛盾点の多さなど挙げていくと色々と出てきて何とも言えない。2時間半と長尺だが最後まで見る事は出来る。後半の種明かしていく所のスリリングさなど話には引き込まれるし割と面白い(し、なんなら好き)のだが、やっぱりどうしても「えーソコってそれでいいの?」的な感想を持つ部分が何か所か増えていくたびに減点法的にこうなってしまった。普通にミステリーというかサスペンスとして面白いですが。ニックの独白インタビューを見てニックへの想いが噎せ返って来てしまうエイミーがニックの元に帰ってからがあれでいいのかなという、そこが一番個人的には微妙なポイントだった。愛情はあくまで自分主観でしか無いかとなってしまう。
・ムーンライズ キングダム - 3.8/5.0 (U-NEXT/2020.5.3)
ウェス・アンダーソン監督作品、2012年。続けて鑑賞。最近ファンになったのでこうやって後を追って作品を見ていくと時系列順でもないし色々と弊害は出てくる。十分に面白いのですが「犬ケ島」「ダージリン急行」と個人的に期待を越えてこない作品が続いたので少し期待値が下がっていたのですが、これは面白い!反抗期のスージーちゃんとこれまた反抗期(もちろん理由は反抗期だけではないのだが)のサム君2人の駆け落ち物語。私の好きなウェス・アンダーソン作品のコミカルさや美しさ、切なさ、シニカルさの合致がハマりまくってます。「ライフアクアティック」と「ロイヤルテネンバウムズ」をまだ見ていないので何とも言えないが、強烈な色彩感覚に加え「ファンタスティック~」でユーモアの一種の方向性が固まってすごいレベルまで一気に押し上ったんだなあという想像。早く他の作品を見たい。
・ダージリン急行 - 3.6/5.0 (U-NEXT/2020.5.2)
ウェス・アンダーソン監督作品。2007年。フランシス、ピーター、ジャックの3兄弟が母親に会いにダージリン急行に乗り込みインドを旅するロードムービー。大それた話はないものの、目的も性格もバラバラのおかしな3兄弟のシュールで愛ある旅を綴った。私が好きなウェス・アンダーソン作品とは似ている様で微妙にズレているなと感じながら見たためにこの点数だけれど、それでも十分に面白い。相変わらずセットや小道具の繊細さ、色遣いの豊かさなどは見ているだけで楽しい。今作は特に音楽が良かった。ラストの"オーシャンゼリゼ"のカタルシスやたるや。気怠そうな感じが全編通して充満しており、もう少しパリっとしている方が好み。
■見直したもの
・ボヘミアンラプソディー (Blu-ray)
・ヘレディタリー/継承 (Blu-ray)
・ドッグヴィル (DVD)
自宅にプロジェクターを導入したこともあり、大画面で見たいなとボヘミアンラプソディーとヘレディタリーをBlu-rayで鑑賞。
ボヘミアンラプソディーは久しぶりに見たけど、何度見てもラストのライブシーンにしびれる。
ヘレディタリーは劇場4DXを含めて3回目。大好きな作品だけどさすがにもう当分いいかな。
ドッグヴィルは何回も見るもんじゃない。マンダレイのために見直したが、どちらも微妙。長い。
2020年1月以降に観た映画リスト
(見直した作品を含む)
・復讐者に憐れみを - 3.9/5.0 (DVD/2020.4.30)
パクチャヌク監督"復讐三部作"の一作目。2002年。最終作の「親切なクムジャさん」から見たのだが、この作品の方が好き。色んな事柄が微妙にかみ合わずにスーッと軋轢を残したまま肩だけがぶつかるような感触で悲しくラストまで進んでいってしまう。殺人を果たし復讐を成功させた"復讐者"もきちんと殺され、救いがないのも良かった。少しだけ後出しジャンケンかの様な設定の納得のさせ方かなと思うような部分もあったが、そこまで気にならなかった。視聴環境が若干良くなかったので、もう一度完璧な状態で見たい。
・シリアル ママ - 3.3/5.0 (DVD/2020.4.28)
ジョン・ウォーターズ監督作品。1994年。シリアルキラーの主人公"ママ"の無差別連続殺人をブラックコメディで。1994年て。もっと前の作品に感じるのは映像のせいか、ジャケのせいか(チープ過ぎる)。話はかなり分かり易い。ママが自分や家族に逆らう人たちを様々な武器を使ってまあ次々と殺していくのですが、最終的に凶器が鶏肉になったりして"これはコメディ表現なのか?"という感じで、そうなら全然面白くないしマジでやってるならそれはそれで怖いし(鶏肉が伏線的に殺意のきっかけになっている様な表現は作中に出て来てはいるが...)、爽快感も痛快感も笑い的な面白さもどれもこれもなんだか微妙な出来。もっと派手にアホにやってくれたらまだ笑えたかも。オカマにウケてる映画。
・エレファント - 3.5/5.0 (DVD/2020.4.28)
「グッド・ウィル・ハンティング」ガス・ヴァン・サント監督作品。2004年。実際に起こった高校での銃乱射事件を元に描いた。登場人物の高校生たちのある日の行動をそれぞれの目線(この場合は背後からの"テレビゲーム画面の様な"ショットでしたが。実際に銃撃ゲームからの殺戮的な流れは作品の中にある)に分け、何度も同じシーンを描いていく。「桐島~」はこれと同じ手法。いじめや、生活のちょっとした事でグワっと何かが歪んでしまう思春期のグラつく心情を悲しくも切なくリアルに作品にした。学校=世界な子供時代だから故ともいえるし、それは社会に出ても同じかもしれないし(会社=世界)、まだまだ知らない事だらけのティーンならではの悲劇。個人的にはラストが微妙だった。
・犬ヶ島 - 3.7/5.0 (DVD/2020.4.28)
ウェス・アンダーソン監督作品。以前に観た「ファンタスティック~」に若干の映像の古さを感じたので、2018年のこの作品はさぞ良いだろうと思い鑑賞したが、新しくヌルっと動けば良いかと言えばそうではなかったようで「ファンタスティック~」の方が画面からにじみ出る情念というか、熱量的なモノを感じたなあという感想となった。ただ、この「犬ヶ島」も相当な時間と労力をかけて作られたようなので情念的な事で言えば同じかそれ以上かって感じなんだろうけども。話が難しかったかなという印象。やはりもう少しライトな気持ちでこう、ワクワクする様な笑える様なそういった方向性がもう少し多かったら良かったなと感じた。映像美はもちろん素晴らしく、細部までのこだわりがすごすぎた。
・腑抜けども、悲しみの愛を見せろ- 3.5/5.0 (DVD/2020.4.27)
佐藤江梨子主演、吉田大八監督初の長編作品。2007年。女優を目指すイカれた主人公・澄伽をはじめ登場人物が全員空虚なキャラクターでいかにも邦画の"そういうやつ"を見せられている感がすごく個人的にはあんまりだった。QJ的なというか。ラストの妹が姉に復讐を果たし終わりかと思いきやバスのシーンが"必要かなこれ"と感じてしまい微妙。ただ飽きずに最後まで見る事は出来た。商業映画ベースで撮れる監督なんだろうな~と思うので、もっと面白くてさっぱりとした原作があれば素直に(無難で)面白い作品を作りそう。「桐島~」的なパッションは感じられず、ジトっとする感じが何だか期待はずれだった。こっちを先に観ていたら違ったかも(発表時系列でみるとこちらが先)。一回でいいかな。
・フルートベール駅で - 3.7/5.0 (U-NEXT/2020.4.27)
ライアンクーグラー監督作品。2009年の実話を元に再現された。冒頭で結末を先に提示してあるので、主人公が最後どうなっていくのかを受け止める準備をしながら見た。差別を主題にする映画は多いが、これはそうなようでそうでない気がする。もちろん、主題は人種差別が原因なのだがそれをきっかけに、"一人の男が、こんな人がいたんです、どう思いますか"と淡々と丁寧に描いていった作品。演技も良く、非常にストレートに響く。個人的には映画として面白いかどうかだと微妙だなと思いながら見た。抗いきれない何かを見せつけれ、悔しさややるせない気持ちに。
・グランド・ブダペスト・ホテル - 4.2/5.0 (U-NEXT/2020.4.26)
ウェス・アンダーソン監督作品を続けて鑑賞。「ファンタスティック~」がアニメーションだったものに対してこちらは完全実写。しかしながら、終始一貫して映し出されるスクエアな画やシンメトリックな画面構成で作品は続いていき、途中アニメーションなのか実写なのか虚実の境界が曖昧になるとも感じられる。どこまでの意図かは分からないが、ウェス・アンダーソンの世界観にかなりどっぷりと沈んでいく事となる。劇中に出てくるセットや風景、小道具などもかなり緻密に作られており、非常に質の高いものに。あくまで"コメディタッチ"で描かれるスリリングな物語は集中力を途切れさせる事がない。シリアスな話をライトなタッチで作りこんでいく手法に改めて感心。すごいぞ、ウェス・アンダーソン。
・ファンタスティック Mr.FOX - 3.8/5.0 (DVD/2020.4.24)
ウェス・アンダーソン監督作品、初でした。全編ストップモーションアニメによる長編。2009年。話の内容的には、元泥棒の主人公(キツネ)が裏家業から足を洗い真面目に生きているのだが引っ越しを機にまた盗みを初めてしまい、相手(人間)からの反撃に動物たちが対抗するという話。10年以上前の作品になるので、さすがにアニメーションの感じとかも昔感は若干否めないが、それでも痛快。引っかかるところなく見進めていく事ができる。ちりばめられたクスッとなる描写やセリフ、いちいち気が利いていて良い。子供にも見せられるかなと一瞬思ったが、しっかりと大人向けのものなのかなと。非常にシニカルでクール、登場人物たちの狂った目が最高だった。2020年に一番近い、「犬ヶ島」も見たい。
・親切なクムジャさん - 3.7/5.0 (DVD/2020.4.24)
パクチャヌク監督"復讐三部作"の三作目。無実の罪で13年の服役を終えたクムジャさんが復讐を企てるというストーリー。かなり見やすく作られている。ショッキングな映像もいくつかあり、結構ハラハラと面白かったと思う。話や表現は分かり易かったのだが、序盤から中盤にかけて服役中の女性たちを味方につけて様々な事が起こっていく獄中での数々のシーンの時系列?何だかイマイチまとまり切らずな印象で、そこだけがモヤっと分かりにくかったのが個人的には残念だった(単に鑑賞時の自分の集中力の問題か?)。が、"怨念"とか"復讐"とか粘っこい事をやらせると、アジア映画流というかネチっとした嫌あな感じはさすがの素晴らしさ。佳作。
・十二人の怒れる男(原題:12 angry men ) - 3.4/5.0 (DVD/2020.4.24)
大学の授業で見た以来に再生。当時は確か英語の授業で、"文法の勉強的に~"とか"名作で~"とか言っていた様な気がするがかなりうろ覚え。英語だったかどうかも怪しい。なので、ストーリーをもう知っていたので、いくら名作とは言えあまり感動が無かった。映像的にももちろん地味なのでこんな点数になってしまった。このタイミングで初見したかった。
・トゥルー・ロマンス - 3.6/5.0 (U-NEXT/2020.4.23)
「トップガン」トニー・スコット監督/タランティーノ脚本、ブラピやゲイリーオールドマンが主役ではないというなんとも豪華な作品。タランティーノらしい脚本や、銃撃戦は健在。結局人はたくさん死にますが、何たる純愛。タイトルに偽りなし。「何でそんな好きになるの?この期間で」と思うような部分もまああるにはありますが、画面で描かれている部分が全てでは無いし、映画だしってことで納得出来るのでオッケー。パトリシア・アークエットがマフィア?に暴行受けた末に殺してしまうシーンが一番グッときた。美しい。ヒロインはこうでなくちゃという美しさ。最後彼が死ななくて良かったなあと素直に思う。
・アンチクライスト - 3.3/5.0 (U-NEXT/2020.4.22)
ラースフォントリアー監督作品。「鬱三部作」と呼ばれるものの初作。タイトルから分かる通り、宗教的な表現が多くあると思うが自分がそういった類に詳しくないのでその部分はよく分からなかった。フォントリアーらしい作風で物語は進んでいく。"女性性とは"と考えさせれられるし、自分は男なのでやはり決定的に違うのだなと思うより他なかった。ストーリーとしての感想があまり見つからないが、シャルロットゲンズブールの演技が何よりもキレていた。すごい。
・ほえる犬はかまない - 3.1/5.0 (U-NEXT/2020.4.22)
ポンジュノ監督長編デビュー作。主人公役のペ・ドゥナが連続殺犬事件の犯人を捕まえるために奮闘するという内容。ストーリー的にも映像的にも面白い部分は無く、かなり微妙な一作だった。捉えられ殺される直前の犬を助ける屋上のシーンでペ・ドゥナと同じ黄色いレインパーカーを着た群衆が他の屋上から盛大に応援している描写は面白かった(そこが無かったら2点台だったかも)。地下に何者かが潜んでて実はそいつが犯人だった、とか、そういった人が何かを起こす、みたいなのは「パラサイト」に続いていく部分なのかなと感じる所もあった。この映画の後に「殺人の追憶」を撮ったとは考えにくい。何が起きた。
・桐島、部活やめるってよ - 3.8/5.0 (U-NEXT/2020.4.22)
高校生活でのとある数日間。運動部のヒーロー的な生徒・桐島が居なくなった事で起こるその周りの生徒たちの出来事心情を描いた。クラスの文化部、運動部、桐島の友人、とその彼女と周りの女たち。それぞれに性格や生活、打ち込むものがあったりなかったり。多角的に何度も同じシーンを違う視点から描いていく手法は斬新(だったのか?当時)。それぞれにはそれぞれの大切なものがあって、高校生15~18歳たかだか人生それくらいで人間の輪郭は出来上がっていくんだな~と思いながら見た(本来の感想ではないのかもしれないが)。主人公前田が学校で映画秘宝を読んだり、圧倒的マイノリティで居場所を見つけたりとか学生時代の自分かよと思うくらいにリアルだった(自分の場合はスヌーザーとかロッキングオンだったが)。大オチで所謂スクールカーストが入れ替わる様が描かれていたが、そんなものは簡単には変わらないし、そういう場面があってもこいつら(ひろきとか)はこいつらのままだよと思いながら見てしまう部分も個人的にはあった。今や我が軍代表女優・松岡茉優が、松岡茉優に見えなかった。魅せ方が面白かった。
・ROOM - 3.7/5.0 (DVD/2020.4.21)
実話をもとに作られた映画。心にグッと訴えかけてくる様な描写は少な目で、事実を自分の中で咀嚼し受け止めていく事が必要な作品。子供は無垢だから何にでもなれる。これから何にでもなれる事と、これまで見てきたことや親の事(すなわち変えられない事)とを並行で描きながら、親も子もそれを持って生きていかなくてはならない、けれども何にでもなれる故に、「その場(ROOMからの呪縛)から飛び立っていくことも出来る」という希望ある物語だった。主演のブリーラーソンはアカデミー賞をはじめいくつかの女優賞をこの作品で獲得。彼女の演技も良かったがジャック役のジェイコブ・トレンブレイの演技が素晴らしかった。清いラストシーンに好感。
・湯を沸かすほどの熱い愛 - 3.8/5.0 (U-NEXT/2020.4.20)
強く優しい映画。杉咲花という女優の演技は初めて見たが見事だった。何度も泣けるシーンがありクるものが。物語自体もストレートに綺麗に作られており気軽に見られて良かった。主人公・双葉のキャラクターにところどころ「ん?」と思う部分があり、"苦手なジャンルの人だな。"と感じる瞬間もあった。そこは微妙。オチはあまり好きではない。
・キル・ビル Vol.2 - 3.5/5.0 (U-NEXT/2020.4.19)
キルビルvol.1から少し時間が空いたけどようやく鑑賞。うーん、1の方が面白かったかな。途中ダレたり、肝心のビルとの会話がつまんなかったりしたけれど、作品としては相変わらずタランティーノが好き勝手やっていて最高。そういう姿勢が好き。やっぱり俺たちのタラちゃんだ。
・新感染 ファイナル・エクスプレス - 3.8/5.0 (U-NEXT/2020.4.18)
この時期に観たもんだから他人事ではなく。家族を、自分以外を、自分を守る事。最初ドライだった主人公が段々とアツくなっていく展開はベタだったけれど分かり易くて良かった。ストーリー的には中盤少し「えーw」というところもあったけれど(トンネルの中ならゾンビをかわして行ける所とか)、面白かった。マッチョのおじさんがかっこよかった。娘がめちゃくちゃ熱演していて良かった(もうちょっとかわいい子にしてくれればもっと没入できたのに)。最後打たれなくて安心した。ラースフォントリアーの作品なら打たれてたはず。コロナもいつまで続くんだろうか。
・バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡) - 3.8/5.0 (U-NEXT/2020.4.18)
過去の栄光という沼から這い上がろうとする銀幕スターの話。ワンカットで撮っている(そう見せている?)ロングカットが多かったり、映像がキレイだったり、全編的に映像としてとても楽しむことの出来る作品だった。ドラム音によるBGMが耳に残る。非常に丁寧に作られている印象。個人的には物語が少し淡々としすぎているなという感想。ラストはクるものがある。
・ドクタースリープ - 3.2/5.0 (U-NEXT/2020.4.17)
「"シャイニング"の続編」という事だが明らかに期待出来なさそうな雰囲気でまさにその予感通りの作品だった。安っすい謎のSF映画になっていた。終盤の前作のシーンを挟みこんでいる所も理解不能だった。それならわざわざセット作って撮影する必要なくないかと。とりあえず見たメイキングでこの監督が嬉しそうに喋りまくっていたが、ほんとにシャイニング好きなの?と聞きたい。(スティーブンキングの原作がつまらない説もあり)
・わたしはダニエルブレイク(原題: I, Daniel Blake) - 4.2/5.0 (U-NEXT/2020.4.17)
きちんとしたドラマでもあり私説的でもある、ストレートに響く結末だった。貧困格差や社会制度への訴えを題材に"人間"ダニエルの尊厳をかけた生き様を描いた。制度とか仕組みとか、自分の意志や思想とは別に社会が作っていってしまうものに対して、個として抗う心(すなわち尊厳。くだらぬ自尊心の話ではない)を持てとダニエルに教えてもらった。なんでも飲み込むのが大人だと思っていたが、絶対に失くしてはならないものがある。素晴らしい作品。ラストシーンの3分ほどで一気に泣けてきてしまった。
・ぼくのエリ 200歳の少女 - 3.7/5.0 (U-NEXT/2020.4.16)
率直な感想としては"B級映画感が強い"だった。何となく画面もずっと安っぽいし(低予算なのかもしれないが)やはり基本ノンリアル描写が苦手なので猫が襲い掛かってくるシーンとか「えw」となってしまった。話自体も驚くようなストーリーではなかった。ただ12歳という年齢設定が絶妙で、子供の素直な部分と思春期に突入していく直前の何とも言えない感情の間がうまく描かれているので手触りはすごく触りやすい。し、美しい。ドラキュラ映画なのでそういった描写もあるが割とサラッとしている。ラブストーリーを基盤に作られているアウトプットは、12歳の男の子と女の子(男女ではないのだが)の淡い心の動きを見る事が出来る。鑑賞後に考察サイトなどを見ると日本版では湾曲されている部分もよく分かり、非常にもったいないなぁと思う。鑑賞直後では3.2くらいだったが原作の情報などを知り、3.7に。作品としての点数なのにと思うが、オリジナル版を見ればわかるっぽいのでおk。
・スノーピアサー - 3.5/5.0 (U-NEXT/2020.4.15)
ポンジュノのハリウッド作品。正直、もっとつまんないだろうなと思いながら見たので意外と面白かった。伏線なく大味に進んでいくのは話の壮大さを2時間弱に収めるためか。理解に難しい部分は特になく多くの人が見る事を想定されているし、ネタ自体は面白く普通に楽しめた。見た方が良いか?と聞かれたら別にどっちでもいい。無味無臭の2時間。ソンガンホのロン毛は微妙。
・ニンフォマニアック vol.2 - 3.9/5.0 (U-NEXT/2020.4.14)
vol.1に続いて連続で鑑賞。2の方が内容的にも濃く心理描写の動きが大きく見ていて単純に面白かった。とにかく名言が多い映画。ラストシーンは少し予測は出来たが、表現方法がラースフォントリアー節で素晴らしい。
・ニンフォマニアック vol.1 - 3.7/5.0 (U-NEXT/2020.4.13)
ラースフォントリアー作品。色情狂ジョーの話を博識セリグマンと共に聞くような形で物語が進んでいく。時折、資料的な映像を挟み込む手法(ハウス ジャック ビルトでも見られる)が斬新かつアート的で面白い。性欲をテーマに狂気的な部分を淡々と語るように描いていくラースフォントリアー印。最後まで見ても、ん?という終わり方でエンドロールに突入するや否やvol.2の予告らしき映像で続きがあると知り、納得。これだけで終わってたらかなり不完全燃焼で点数をつけたくなるが、とりあえず早く2を見たいという気持ちになった。その時にまた点数を改めてつけたい。
・ムーンライト - 3.7/5.0 (U-NEXT/2020.4.12)
黒人しか出てこない映画。一人の男の人生を少年期、青年期、成人期と3つの章に分かれており、それぞれ環境や自分自身の選択によって人生は変わっていってしまう、その瞬間のリアルを描いた。コード進行がオンコードで続いていくように主人公だけがループするフレーズに残されたまま、周りは進行していく。人は自分から動かなければ変われないという主題を提示。
・イットフォローズ- 2.9/5.0 (U-NEXT/2020.4.12)
「セックスをすると呪いが感染する」「呪いをリレーしていかなれけば自分の所へ再び戻ってくる」という設定は斬新だったが、絵作りは下手だし、基本的に話が面白くない。
・タクシードライバー - 3.7/5.0 (U-NEXT/2020.4.11)
フィルマークスのレビューだと「ジョーカー」と並べる声が多く、なるほどと言った感じ。ジョーカーがあまり響かなかった自分には今作もあまり響かなかった。文学的な側面が多くあるそうなので考察など読んでみたいなと思った。ロバートデニーロはだんだんロバートデニーロに見えてくる。主人公の行動動機が謎というかあまりストーリーに絡んでこないのが少し残念だった。映画版「ヒミズ」とかもそういう感じなんだなと思う。
・叫びとささやき - 4.2/5.0 (U-NEXT/2020.4.11)
赤い。黒い。こういう狭い箱庭の様な空間で物語が静かにぐるぐると周っていく映画は好き。姉妹であろうと冷たいなと思うし、人は人。自分以外は他人。美しい映画だった。アリアスターが受けた影響は非常に良く分かる。アンナが乳房を出しアグネスを介抱するシーンは、笑ゥせえるすまんの「たのものしい顔」のラストシーンを思い出した。
■ヘレディタリー - 4.6/5.0 (中川コロナワールド/2020.4.10)
映画自体は4DXで見るようなものじゃないなというように感じた。自分ひとりしか客がおらず、おぉ...と思ったがやはり一度見た事ある映画だったのでそこまで怖くは無かった。初めてだったらビビり倒していたかも。基本的にめちゃくちゃ静かになる瞬間が多いので4DXのシートや送風機が起動する音が気になったし、そのせいで何となくセリフが聞き取りにくい瞬間とかがあったりして残念だった。ピーターが夢の中でベッドの上の方へ頭を掴まれ引っ張られるシーンで頭横から風がヒュン!と出てきた所だけうお!となった。アクションとかカーアクションムービーみたいなやつなら迫力があっていいかもしれない。
・レザボア ドッグス - 4.1/5.0 (DVD/2020.4.7)
クエンティンタランティーノ長編デビュー作。色分けされた主人公たちが疑心暗鬼の末にほぼ全員死んでしまう。その後のタランティーノ作品にみられるような自由にヤリまくる姿は少し抑え目。デビュー作ということもあり、まだそういう段階だったんだろうと思うが、十分に彼の自由奔放さを感じる事の出来る1作。個人的にはけっこう好き。ラブ・タラちゃん。
・パルプフィクション - 4.3/5.0 (DVD/2020.4.7)
クエンティンタランティーノ監督作品。1994年。完全なる後追いなので、今このタイミングでタランティーノの名作に初めて触れる事が出来るのは嬉しい。と同時に、26年前なら斬新だった(であろう)この時系列バラバラ編集もリアルタイムで見ていたらどう響いていたのだろう、と思う所もある。登場人物が圧倒的に全員かっこいい。オーバードーズしてラリってるユマサーマン、最高。冒頭のシーンからのオープニング曲になだれ込むその瞬間から最後まで一気に突っ走っていくエンターテインメント。最高!
・カッコーの巣の上で
・羊たちの沈黙
・イット カムズ アット ナイト
・ドッグヴィル
・宮本から君へ
・スタンドバイミー
・キルビル vol.1
・海獣の子供
・ソナチネ
・アウトレイジ
・その男、凶暴につき
・ヘレディタリー継承
■ミッドサマー / 映画館
・ゲットアウト
・グレイテストショーマン
・グリーンブック
・LAコンフィデンシャル
・バグダット カフェ
・セッション
・ワンス アポン ア タイム イン ハリウッド
■パラサイト半地下の家族 / 映画館
・母なる証明
・殺人の追憶
■音楽 / 映画館
・ハウス ジャック ビルト
・ダンサーインザダーク
・シャイニング
・マルサの女
・ボヘミアンラプソディー
・ピエロがお前を嘲笑う
-2019年-
(思い出せたもの)
■ジョーカー / 映画館
・バックトゥザフューチャー1~3
・地獄でなぜ悪い
・冷たい熱帯魚
・告白
■トイストーリー4 / 映画館
■アス / 映画館
・スター ウォーズ
・マレフィセント
・ソーシャルネットワーク