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アジアのお坊さん 番外編

旅とアジアと仏教の三題噺

お坊さんになる前に、十代の頃から伝説の跡地や霊場を巡り出しては寺社の由来書きなどを頂いていたのだが、一番最初に訪ねた寺が、西行と遊女・江口の君の歌問答で知られる神崎川沿いの江口の君堂(寂光寺)だった。

 

先日、その時の冊子が出て来たので見てみると、摂津名所図会の一コマが挿し絵に使われていた。最近の拙ブログでお坊さんの網代笠について投稿させて頂いた折に「網代笠の描かれた托鉢僧の絵図は案外少ない」と書いたので、追加の資料として、ここに記録させて頂きます。

 

 

 

 

                 おしまい。

 

※ブログ「インドの網代笠」

 

※ホームページ「アジアのお坊さん 本編」もご覧ください

 

 

日本のお坊さんに比べて遥かに戒律が厳しく、なおかつ戒律違反に関する罰則も、僧団規定・社会的法律の両方において明確に定められているテーラワーダ仏教国のタイであっても、時折り僧侶の不祥事に関するニュースが報道される。

 

今回の事件の内容を、BBCニュースなどから適宜抜粋して纏めてみたい。

 

 

 

タイの有名寺院の住職など高位の僧侶たち複数を誘惑して関係を結び、巨額の金を脅し取った女性が逮捕された。

AP通信などによると、タイ警察は7月15日、中部ノンタブリー県の高級住宅街に住むウィラワン・エムサワット(35)を恐喝および資金洗浄などの容疑で逮捕した。

 警察が押収したウィラワンのスマートフォンには、有名寺院の高僧と一緒に撮った写真・動画が保存されており、彼女が僧侶たちと関係を結び、それを利用して脅迫を繰り返していたことが分かった。

 

6月末にバンコクの有名寺院の住職が失踪し、その後、還俗した(僧籍を離れた)ことをきっかけに、この事件の捜査は始まった。

ウィラワンがその住職に「妊娠した」と主張して養育費など720万バーツを要求すると、住職はラオスに逃亡。 

また、他の被害住職の一人も7月14日に還俗した。

 

 ウィラワンは「僧侶たちのほとんどは金銭要求に素直に応じ、誘惑するのも簡単だった」と証言した。

 警察は、この事件に関与した住職や高位僧侶など少なくとも9人が僧籍を剥奪されたと明らかにし、不適切な行動を取る僧侶を通報するためのフェイスブックページを開設したと発表した。

 

上座部仏教を信仰するタイ仏教界の戒律は非常に厳しいことで知られていて、僧侶は厳密な独身生活を送らなければならず、男性僧侶は人間の女性だけでなく、雌の動物との接触も禁じられている。

プームタム・ウェーチャヤチャイ首相代行は、僧侶・寺院に関する法規制の強化を検討するように指示した。

また、 タイ国会は「僧侶との性的関係」を違法とする法案の立案に着手し、国王も81人の僧侶に対して王室職位と敬称を剥奪する勅令を発した。

 

 

 

以上、長くなったが、非常に興味深い。ここ20年くらいの他の海外僧侶不祥事事件と併せて、いずれ一覧表を作ってみたいと思う。

 

 

 

 

                  おしまい。

 

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最近の新書には寺院や葬儀の仕組み・実情を解説したものがたくさんあって、「「お気持ち」とはいくらなのか」というサブタイトルの付いた幻冬舎新書「お布施のからくり」(清水俊史・著)も、一見そうした部分を前面に出した書物なのかと思いきや、実際に読んでみると、仏教学者の著者が「布施」というものの本来の意味を原始仏典から説き起こし、日本の各宗派の教義に当てはめて、それらの宗派の僧侶や寺院に対する一般在家の人たちの布施行為に意義があるかないかを検討する内容だったので、私はむしろこの本を「寺院・葬祭業の内情暴露本」であるというよりは、僧侶の在り方を考察する「お坊さん本」の1種として読ませて頂いた。

 

いずれにしても興味深い設問やテーマが様々、著者によって仕掛けられているのでいくつか紹介させて頂くことにする。

 

 

・僧侶がもらったお布施で高級腕時計を購入した場合と、そのお布施を本堂再建に充てた場合、施主の功徳に違いがあるかどうか。

 

・宗教法人は非課税だが住職の収入はそこからの給料だから課税されている。従ってそれをどう使おうが僧侶個人の自由である、という僧侶がよく言う意見について。

 

・軽自動車で葬式に行くと、軽く見られていると檀家に小言を言われるから高級セダンに乗るのだ、という僧侶がよく口にする意見について。それに付随して檀家の方にも豪放磊落なヤンチャ僧侶を好む傾向があることについて。

 

・チベット仏教や中国仏教は大乗仏教だが出家戒を守っている。同じ大乗仏教であっても日本仏教は世俗化して出家戒を放棄し、菩薩戒だけを使用している上に、その菩薩戒すらも守っておらず、僧俗共に在家者であり、日本僧侶は袈裟をまとった在家者に過ぎないこと、などなど。

 

 

余談ながら、私は常々「大峯回峰行は比叡山千日回峰行を模して近年に始まった行なので、大峯山の歴史の中で今まで2人しか満行者がいない程のものすごい荒行だ、という言い方はおかしい」と主張しているのだが、「お布施のからくり」の著者が「大峯回峰は昭和後期に考案された荒行であり、40年余の歴史の中で二人の満行者が出た、ということに過ぎないのに、物は言いようだ」と書いておられたので、ほっとした。

 

ちなみに私は元々この本を読むつもりではなく、大乗仏教の発生について考えていた時に馬場紀寿氏という方の著作を読んだので、その著者のことをインターネットで検索したら、馬場氏と清水俊史氏の揉め事のことが出て来て、その中で初めて「お布施のからくり」という、今年の5月に清水氏が出されたばかりの本の存在を知ったので、面白そうだと思って読んでみた。お二人とも僧籍をお持ちの仏教学者であるという点も、甚だ興味深い。

 

 

               おしまい。

 

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先日インドの「ブッダ・マハトサォ」という法要について書かせて頂いた記事について、私の勘違いがあったので、改めて書かせて頂くことにする。

 

南方仏教ではブッダの誕生と成道と入滅は、どれも同じ日付のインド暦のウエーサカ月の満月の日のことだったとされていて、この3つを同時に祝うウエーサカ祭は、インドではブッダ・ジャヤンティ、ブッダ・プルニマなどと言い、タイではワン・ウィサカ・ブーチャーと呼ぶ。

 

ブッダ成道の地であるインドのブッダガヤではブッダ・ジャヤンティを「ブッダ・マハトサォ」という法要として執り行っているが、ブッダガヤ日本寺駐在同期のS和尚が、今年5月12日に行われた「ブッダ・マハトサォ」に参加された。

 

それを踏まえて私は、「ブッダガヤでブッダ・ジャヤンティがブッダ・マハトサォという名称で初めて行われた第1回のポスターを今も記念に持っている」と先日このブログに書いたのだが、つい昨日、何気なくそのポスターを引っ張り出してみたら、そこには「第2回」と書いてある。

 

S和尚が「第1回ブッダ・マハトサォ」について書いておられる記事の年数を見て、何となく違和感を感じつつも、そのまま確かめずにいたのだが、このポスターを見た途端、S和尚は私が不在の時に第1回のこの法要に参加し、私はS和尚が不在の時に第2回のブッダ・マハトサォに参加していたことを、漸く思い出した。

 

この記事を読んでおられる大半の方には何の興味もない話かも知れないけれど、前回の記事を修正した上で、今回はお詫びと訂正を兼ねて、そのポスターの画像を添付させて頂きます。

 

 

 

 

                    おしまい。

 

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「一休も 破れ衣で 出る時は 乞食坊主と 人は言ふらん」

                 一休和尚

 

「袈裟ころも 有難そふに見ゆれども これも俗家の 他力本願」

                 蜷川新右衛門

 

          ー 「一休蜷川狂歌問答」より

 

 

先日、とある禅寺を参詣したら、門前に一休道歌が貼ってあったので嬉しくなった。

 

そこで久々に一休さんのことをインターネットで検索してみたら、アニメの一休さんのことや蜷川新右衛門さんのことを書いておられるブログなどがたくさんあることに気付いて一層嬉しくなったので、アニメの一休さん関連表を更新させて頂くことにした。

 

アジアにおけるアニメの一休さんに関しては「ホームページ アジアの一休さん」に詳しく書かせて頂いているので、それ以後の情報などに関しては以下の表をご覧ください。

 

・2012年5月7日放送のフジテレビ「世界行ってみたらホントはこんなトコだった!?」という番組。

タイのチェンマイのお寺で、お坊さん達の学校の食堂のカードにアニメ「一休さん」が描かれているとのこと。

 

・2013年7月27日放送のNHK「海外ネットワーク」。

ラオスの子どもたちの内の一人が、好きな番組は「一休さん」だと答えた。

私が以前に東映アニメーションに問い合わせた時には、過去にアニメの「一休さん」が放映された国にラオスは入っていなかったので、インターネットで調べてみたら、現在、ラオスではタイのチャンネルがたくさん放映されているとのこと。

 

・2014年に中国でアニメ「一休さん」の劇場版映画が公開された。

2012年頃から頻繁に公開予定のニュースが流れていた頃に東映アニメーションに問い合わせた時点では、まだ公開が未定だったが、2014年にようやく公開の運びとなった。

 

・2016年 NHKで「オトナの一休さん」が放映され、話題になるが、明らかにアニメの「一休さん」へのオマージュやパロディが含まれていた。

 

・2017年に「水曜日のカンパネルラ」というバンドが「一休さん」という曲をリリース。

 

・2017年にアニメ「一休さん」に関する詳しい記述を含む「テレビ番組海外展開60年史」(大場吾郎著・人文書院)という本が出版された。

東映アニメ「一休さん」が1980年代にタイや香港で放映後、中国で「聡明的一休」というタイトルで放送されて人気を博し、2014年に中国で劇場アニメ化されたことも述べられている。

 

・「BRUTUS」の2017年2月1日号「みんなのZEN。」という特集に「最初に触れた禅は、アニメ『一休さん』でした」という章があり、アニメ版の一休さんの絵が大きく使われていた。

 

 

・2018年 携帯電話ドコモの宣伝で、アニメ一休さんの音楽と共に着ぐるみの一休さんを使った内容のテレビCMが放映された。

 

・2021年5月、伊藤園のCMにアニメ一休さんの画像と曲が使われた。

 

 

・2023年7月のNHKの国際ニュースで、タイのスパンブリーにあるワット・カオディン寺院の特集で、ワット・カオディンの境内各所には鳥居を始めとした日本的な文物や趣向が満ち溢れているという報道の中に下のような映像があった。

 

・2024年3月 アニメ「一休さん」の主題歌の替え歌が「サントリー天然水FRUIT-SPARK」という商品のCMに使われた。

 

 

                                                     おしまい。