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アジアのお坊さん 番外編

旅とアジアと仏教の三題噺

集中力のないタイ人の子供が祖母に連れられて瞑想道場に行くという内容のドラマがNHKで放送されたので、インターネットでタイ語版を探して視聴してみた(タイ語タイトル「นิ่งไว้ก่อน…ยายสอนไว้ครับ 」)。

 

ちなみにNHKの紹介文は以下の通り。

 

「心のままに」(Calm Like Grandma・タイ Thai PBS制作)

「ヒーローごっこが大好きなアポーは、じっとしているのがちょっと苦手。だけど、瞑想教室では“しずかにする”練習ばかり。おばあちゃんは言う、『呼吸と心を見てみよう』って。

しずかって、どういうこと?心をととのえるって、どういうこと?」


ロケ地となった瞑想道場は「wongsanit ashram」だとエンドロールに出ていたので調べてみたら、バンコク近郊のナコンナーヨック県にあるアシュラムだとのこと。

 

ちなみに劇中では瞑想場にプッタタート比丘の肖像が飾られている一方で、祖母が孫に対してプッタタート式とは違うラベリング式(呼吸している時は呼吸している、怒りが生じたら怒っている、蚊に刺されたら刺されている、という風に言葉で確認する修行法)の瞑想法の説明をするシーンがあった。

 

「wongsanit ashram」がどういうコンセプトの瞑想道場なのかは詳しく知らないのだけれど、いずれにしてもこういうドラマが普通に幾つも制作されるタイという国は、本当にいい所だと思う。

 

 

 

 

         

               おしまい。

 

「ホームページ アジアのお坊さん 本編 トップページ」

プッタタート比丘の瞑想手引書「観息正念」を添付してあります。

是非ご覧ください。

 

 

        

※以前の記事にいくつかの小咄を加筆して投稿させて頂きます。

 

 

              おはなし

 

 

砂漠の国の王様が
一人の女に言いました。
毎晩おはなししてください。
おはなしなしでは生きられない。


      ※


朝は足なし、昼は二本足、夜は消えてしまうもの、なーんだ。
水中の暮らしを捨てて人となり、
王子との恋に破れて昇天した人魚の姫を悼み、
スフィンクスは道行く人に謎をかける。

 

      ※

 

鏡よ、鏡、

この世でいちばん美しいのは、

おまえだ。

 

      ※


屏風の虎を召し捕れと言われた小僧はやおら縄を振り回し、
召し捕ってみせますから誰か虎を追い出して下さい、
早く早く、と言ったものの、
周りの大人は白い目で、
それが出来れば苦労はないわ、
つべこべ言わずにさっさと召し捕れとけしかけたものだから、
早く早くの声も今はかすれて、
小僧はただ、赤面するばかり。

 

      ※

 

手袋を買うために小銭を持つ手を出し間違えても

人間は自分を捕えなかった、

だから人間はいいものだよと教えてあげた母親も今は亡く、

そして今や子狐は人間との心の行き違いで胸を撃たれて倒れている。

瀕死の子狐の脳裡に母親の疑問が去来する。

人間は本当にいいものなのか?

 

      ※

 

人間社会と決別した少年は、

三匹の動物だけを友として、

人間のいない島へと移住した。

腰にきび団子をぶら下げて。   
 


      ※


私があの時、少し悲しい顔をした理由は、
悪人が再び地獄に落ちた、
その罪と罰を思ったからではなくて、
仏と呼ばれる身でありながら、
彼の心を試すように蜘蛛の糸を垂らした自分の心を、
悲しく思ったからなのです。

 

      ※


さあ、猿よ、
この世の果てにたどり着けたら、
お前を自由にしてやろうと言って、
仏は自分の指をこの世の果ての柱と見せかけて、
猿の行く手を遮った。
猿は仏の指に、

 

   己が手の 猿捨てきれぬ 仏かな
 
と書き付けると、たちまち姿をくらました。

 

 

        おしまい

 

 

「ホームページ アジアのお坊さん 本編 トップページ」

プッタタート比丘の瞑想手引書「観息正念」を添付してあります。

是非ご覧ください。

 

 

以前からインドの巡礼時における圧死、事故死などのニュースを一覧表にしているのだが、7月に以下のような事故が起きたので、更新させて頂くことにする。

 

 

「インド東部ジャールカンド州で巡礼中の車両が交通事故に遭遇し、少なくとも5人が死亡し、17人以上が負傷した。

道路事故はジャールカンド州のデオガル地区で発生。

「カンワル・ヤトラ」と呼ばれる巡礼の参加者が乗ったバスが、ガスボンベを輸送していたトラックと衝突し、5人が死亡した。

ボンベを運ぶトラックの運転手が居眠りをしていたとのこと」

 

 

 

 

・1999年1月、南インドのケララ州のヒンドゥー教聖地で、丘の上に詰めかけた参拝者100人が負傷。

 

・2005年1月、西インドのマハラシュトラ州の寺院で火災があり、信者300人が死傷。


・2008年10月、ディワリ祭で賑わうジョドプールののヒンドゥー寺院で200人以上の参拝者が転倒。
 

・2010年3月、北インドのウッタルプラデシュ州のアシュラムに詰めかけて転倒した信者100人が負傷。

 

・2012年 ヒマーチャル・プラデシュ州で巡礼者の乗ったバスが事故。

 

・2013年8月 ビハール州で線路を横切っていた巡礼者の列に、列車が突っ込み、怒った群衆が暴徒化。

 

・2013年10月、マディヤプラデシュ州の寺院付近の橋で巡礼者が押し合いになり、死傷者100人以上、少なくとも89人以上が死亡。

 

・2024年7月、インド北部で開かれたヒンドゥー教の行事で圧死事故が発生し、100人以上が死亡。ウッタル・プラデーシュ州警察が、集会を主催したヒンドゥー教の説教者スラジ・パル(Suraj Pal・信者からは「ボーレ・ババ」と呼ばれていた)を捜索中とのこと。

 

・2025年1月 インドのプラヤグラージでヒンドゥー教の宗教行事「マハ・クンブメーラ」において群衆の密集による圧死事故が起こる。

 

・2025年2月 デリー駅でマハ・クンブメーラに向かうための列車に群衆が押しかけ、圧死事故が起こる。

 

・2025年7月 インド東部ジャールカンド州で「カンワル・ヤトラ」と呼ばれる巡礼の途中だったバスがガスボンベを輸送していたトラックと衝突し、5人が死亡し、17人以上が負傷。

 

 

 

 

「ホームページ アジアのお坊さん 本編」もご覧ください。

 

 

 

※追記:その他の事故

 

・2022年10月 巡礼時の事故ではないが、インドのグジャラート州の吊り橋が落下し、130人以上が死亡。

 

・2015年9月 インドの事故ではないが、サウジアラビアのメッカで巡礼の群衆700人以上が圧死。

 

・2024年6月 メッカへの大巡礼(ハッジ)で、少なくとも数百人以上が猛暑による熱中症などで死亡。

 

                   以上

 

 

奇術師が持つ短い杖のことを「マジック・ウォンド」と呼ぶのだが、いつも読ませて頂いているプロ・マジシャンの方の過去ブログを遡って拝読していたら、マジック・ウォンドに関する詳しい記事が目に留まった。

 

昔は奇術師の必須アイテムであったウォンドが近頃ではないがしろにされているのでは? という内容だったのだが、それを読んで私には大いに感じるところがあった。

 

洒脱で簡潔な内容でありつつも、その記事には奇術の演出や手順に関する本格的な考察が含まれているのだが、さて、私はと言えば、ただ単に奇術が好きなだけで、アマチュア・マジシャンですらない上に、現在、人に奇術を見せたり見せられたりということを全くしてはいないのだが、確かに自分が子供の頃に読み始めた小学生向けの奇術入門書には大抵マジック・ウォンドの説明が載っていたものだ。

 

ちなみに、下図は岡田康彦著「アイデア・マジック」からの画像。

 

 

この著者は当時、子供向け・大人向けを問わず、たくさんの著書を出しておられたが、その中で「アイデア・マジック」(正続2冊)だけは特に内容が充実していて、長い間、愛読したものだ。

 

こちらはその後、もう少し本格的な奇術に目覚めた頃の愛読書「シルク奇術入門」(松田道弘著)より。

 

 

 

松田氏は名著「クロースアップ・マジック」を始めとする他の著作の中でも、時々マジック・ウォンドの意義を説いておられたものだ。

 

ところで、そうした大人向けの奇術書を読むようになると、岡田康彦氏の著作には「ターベルコース・イン・マジック」から挿し絵ごと丸々登用したと思しき記事などもあることに気付いたりしたけれど、それはさて置き、子供の時に買って今だに持っている古い奇術本をパラパラとめくり、マジック・ウォンドの絵を見る度に、たまらなく懐かしい思いがする。

 

そうした古い奇術本には「クロースアップ・マジックにおけるミスディレクションとしてのウォンドの使い方」ではなく、マジック・ウォンドそのものが伸びたり縮んだり消えたり空中に浮いたりする奇術がたくさん載っていた。

 

だから私は、その奇術家の方のブログを読み、「マジック・ウォンド」という言葉を目にした途端、胸が締め付けられるほどの懐かしさを感じたので、こうして駄文を認めている次第です。

 

 

           おしまい。

 

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少林寺拳法の発祥地・中国河南省の少林寺に関する不祥事のニュースが報じられた。

 

先日に紹介したタイのお寺の不祥事と併せて、ここ20年くらいのアジアの仏教寺院やお坊さんに関する事件の一覧を、いずれ年表にしようと思っているのだが、とりあえず今回の少林寺の報道の概要を、以下に纏めておくことにする。

 

 

「2025年6月27日、少林寺の住職が寺院の資産を横領した上、多数の女性と不適切な関係を持ち、地元警察に拘束された。

住職は少林寺に長年勤務し、2002年からは中国仏教協会の副会長も務めていた。」

 

 

 

 

                  おしまい。

 

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