アジアのお坊さん 番外編 -16ページ目

アジアのお坊さん 番外編

旅とアジアと仏教の三題噺

「ホームページ アジアの東司…お寺のトイレ」の頁で日本各地のお寺の注意書きや貼り紙を紹介させて頂いていますが、先月、知多半島の野間大坊(大御堂寺)のお手洗いの貼り紙を見たのでこのブログで新たに紹介させて頂きました。

 

いずれホームページを更新したいと考えた矢先、先日、近江甲賀の飯道寺のお手洗いでも、さらなる貼り紙を拝見したので、そちらもご紹介させて頂きます。

 

 

 

                    

                                                                おしまい。

 

ちなみに野間大坊の貼り紙はこちら。

 

先日、松田道弘氏の「トランプ・マジック」(筑摩書房)のことを書かせて頂いた。特別な技術を使わないで、しかも心理的効果の大きなトリックをという趣旨の下に、通常、カード奇術に必要と考えられているいくつかの基本技法をわざと省いたと松田氏がまえがきに書いておられる通り、ダブルリフトもカードのパスもコントロールも出て来ない特異なカード奇術の解説書だ。

 

さて、松田氏が、いずれ機会があれば本格的なカード奇術の本も著しましょうとあとがきに書いておられるのは社交辞令だと思っていたのだが、その後、氏は実際に何冊も、技法を使った奇術愛好家向けのカード奇術の解説書を出版された。

 

その中でも「トリック・カード事典」は仕掛けのあるカードを使った奇術の解説書なので、「トランプ・マジック」とは対極にある本であり、対極にあればこそ、カード奇術が好きではなく、松田氏の他のカード奇術本を読んだことのない私が、この本だけは図書館で借りて、手元にあるバイシクル印のダブルバックを弄びながら時々読んでいる。特別な技術を使わないカード奇術ばかりの「トランプ・マジック」同様に、その発想の奇抜さを存分に味わいながら。

 

                   おしまい。

 

 

「ホームページ アジアのお坊さん 本編」もご覧ください。

毎日毎日、ほぼ必ず「十如是」というお経を上げているのだが、その度にいろんなことが胸に去来するので、今までに書かせて頂いたことも含めて、十如是についてのあれこれを整理してみることにした。

 

十如是は法華経方便品第二の中の、ごくごく短い一節ではあるが、法華経の真髄として、天台宗の日常勤行でよく読誦されている。本文は以下の通り。

 

「仏所成就 第一希有 難解之法 唯仏与仏 乃能究尽 諸法実相 所謂諸法 如是相 如是性 如是体 如是力 如是作 如是因 如是縁 如是果 如是報 如是本末究竟等」

 

ちなみに、書き下しは次の通り。

 

「仏の成就せる所は、第一の希有なる難解の法にして、ただ、仏と仏とのみ、乃ち能く諸法の実相を究め尽くせばなり。謂う所は、諸法の是(か)くの如きの相と、是くの如きの性、是くの如きの体、是くの如きの力、是くの如きの作、是くの如きの因、是くの如きの縁、是くの如きの果、是くの如きの報、是くの如きの本末究竟等なり。」(岩波文庫版より)

 

さらに岩波文庫のサンスクリット原典の対訳は以下の通り。

 

「如来こそ如来の教えを教示しよう。如来は個々の事象を知っており、如来こそ、あらゆる現象を教示することさえできるのだし、如来こそ、あらゆる現象を正に知っているのだ。すなわち、それらの現象が何であるか、それらの現象がどのようなものであるか、それらの現象がいかなるものであるか、それらの現象がいかなる特徴を持っているのか、それらの現象がいかなる本質を持つか、ということである。」

 

上記のように、原典では10項目(十如是)ではなく5項目であり、鳩摩羅什の翻訳のみ、何故か10項目となったそうだ。

 

ちなみに天台大師・智顗の主著「摩訶止観」に十如是についての解説がある。岩波文庫版では282頁の第7章1節1項ー1「不思議の境を観ぜよ」という箇所がそれで、「また十種の五陰は一一におのおの十法を具す。いわく如是相・性・体・力・作・因・縁・果・報・本末究竟等なり。まず総じて釈しのちに類にしたがって釈す」とあって、その後に細かい説明がある(大蔵出版から出ている池田魯參訳の「詳解 摩訶止観」では276頁)。

 

さて、十如是とは直接関係はないが、私が気になるパーリ語版・大般涅槃経の和訳である岩波文庫の「ブッダ 最後の旅」50頁に見える「法の鏡」という教えは、以下の通り。

 

「尊師がみごとに説かれた法は、現にありありと見られるものであり、直ちに効き目のあるものであり、実際に確かめられるものであり、理想の境地にみちびくものであり、諸々の知者が各自みずから証するものである。」

 

そして、こちらも十如是と関係のない、タイの高僧プッタタート比丘の「観息正念」(三橋ヴィプラティッサ比丘・日本語訳)に、こんな箇所がある。

「最善の生き方を決める真理の秘密、すなわち、無常、皆苦、無我、空、あるがまま、という真理を正確に認識する必要がある。
形成されるものはすべて「無常」であり、終りなき流転の中にある、と知る。
形成されるものはすべて本質的に欲望を満たし得ない「皆苦」であると知る。
事物はすべて「無我」である、と知る。
事物は、どんなものでも、自我、私は、私の、が「空」である、と知る。
事物すべてを「あるがまま」に知る。
これらの一緒になったものが「究極の真理」である。心が、二度とその道を見失うことのないよう、この真理が完全に理解されるまで観察する」

法華経とは何の関係もない箇所なのだけれど、「諸法実相」と「あるがまま」(tathata=真如、実相)が対応していることもあり、以上に書いたすべてのことと含めて、私は毎日、十如是を声に出して上げている。

                         おしまい。
     

「ホームページ アジアのお坊さん 本編」 に三橋師訳「プッタタート比丘「観息正念」を公開しています。

子供の頃、乱歩の随筆を読んでも手品の本を見ても、奇術・ミステリ・落語・パズルなどの愛好家はそれらのすべてを共通して好むものだということが書いてあったが、その他に私が好きだったものが忍者に関することで、そう言えば乱歩が小説や随筆で変身願望を語る時、よく忍者や忍術使いという言葉を使っているのも宜なるかなと思ったものだ。

 

さて、多くの方がブログなどで大変に懐かしいと書いておられる昭和の学研漫画のシリーズの一つ「忍術・手品のひみつ」という本を、自分はさして愛読した覚えはなく、奇術と忍者の両方が取り上げられているので、ついつい書店で立ち読みはしたものの、漫画のタッチも気に入らず、購入したことは一度もなかった。

 

それよりも親戚の大人が見に行った忍者展の図録や学年雑誌の付録の忍者本などの方が、私の愛読書ではあったのだが、ただ、この度、忍者に関する本格的な児童向け書籍を図書館で検索したらこの本しか見当たらなかったので、久し振りに読んでみることにした次第だ。

 

改めて見てみたところ、思っていたよりも体裁が懐かしく、その上、忍者に関する様々な知識も案外きちんと網羅されていて、例えば先日、甲賀の飯道寺参拝の折、同行の方が少しの時間を設けて案内して下さった、現存する唯一の実物の忍者屋敷である甲賀流忍術屋敷にも展示されていた忍術書「萬川集海」のことなども載っていたので、案外、楽しく読ませて頂くことができ、忍者に思いを馳せている。

 

 

                    おしまい。

 

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東大寺との縁も深い良弁僧正開基の古刹・甲賀の飯道寺(はんどうじ)は、廃仏毀釈後の飯道山修験の名残りであり、現在は天台宗に属していて、甲賀忍者も修行したという魅力たっぷりの霊場でありながら、なかなか足を向ける機会がなかったところ、案内を手助けしてくださる方がおられて、遂にお参りさせて頂けた。

 

今回は飯道山登山の行場巡りをする時間はなくて、飯道寺の拝観だけをさせて頂くこととなり、飯道寺の総代さんと待ち合わせて、本堂に上がらせて頂いた。

 

 

堂内には、廃仏毀釈を嘆いた地域住民が比叡山に願い出て、明治25年、「飯道寺」という寺名を復興することを許可された当時の天台座主・實源師が揮毫された「温故伝承飯道寺」の額が掲げられていた。

 

 

後で天台宗の教師必携手帳に載っている座主年表を見てみたら、實源座主は第235代であると書いてあったのだが、ちなみに第253代のお座主であり、一般の信者さんにもよくその名を知られた山田恵諦師がまだ権大僧正だった頃の慶讃文も、同じく本堂に掲げられていたし、床の間には比叡山千日回峰行者・光永圓道大阿闍梨の色紙などもあり、本山(おやま)との結びつきの深さが偲ばれた。

 

 

さて、案内して下さった総代のN氏は実に温厚明朗なお人柄で、何をお尋ねしても実に的確にお答え頂いたのだが、またそれ以外にも、他寺の住職が兼務しておられて普段は無住の寺だと思えぬくらいに堂内の荘厳が素晴らしく、境内にも修行僧か小僧さんが住居しているのかと錯覚する程の美しい箒目が入っていて、これも偏えに総代さんたちの信仰の賜物なのだろうと感じ入らせて頂いた。堂内と収蔵庫の仏像をお詣りさせてもらった後に、仏法を伝え得るものは「人」なのだなあと思いつつ、にこやかな笑顔の総代さんに別れを告げさせて頂いた。

 

 

                    おしまい。

 

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