子供の頃、乱歩の随筆を読んでも手品の本を見ても、奇術・ミステリ・落語・パズルなどの愛好家はそれらのすべてを共通して好むものだということが書いてあったが、その他に私が好きだったものが忍者に関することで、そう言えば乱歩が小説や随筆で変身願望を語る時、よく忍者や忍術使いという言葉を使っているのも宜なるかなと思ったものだ。
さて、多くの方がブログなどで大変に懐かしいと書いておられる昭和の学研漫画のシリーズの一つ「忍術・手品のひみつ」という本を、自分はさして愛読した覚えはなく、奇術と忍者の両方が取り上げられているので、ついつい書店で立ち読みはしたものの、漫画のタッチも気に入らず、購入したことは一度もなかった。
それよりも親戚の大人が見に行った忍者展の図録や学年雑誌の付録の忍者本などの方が、私の愛読書ではあったのだが、ただ、この度、忍者に関する本格的な児童向け書籍を図書館で検索したらこの本しか見当たらなかったので、久し振りに読んでみることにした次第だ。
改めて見てみたところ、思っていたよりも体裁が懐かしく、その上、忍者に関する様々な知識も案外きちんと網羅されていて、例えば先日、甲賀の飯道寺参拝の折、同行の方が少しの時間を設けて案内して下さった、現存する唯一の実物の忍者屋敷である甲賀流忍術屋敷にも展示されていた忍術書「萬川集海」のことなども載っていたので、案外、楽しく読ませて頂くことができ、忍者に思いを馳せている。
おしまい。
※「ホームページ アジアのお坊さん 本編」もご覧ください。